技術図書館高圧ケーブルのサイズ選定を、スライド8枚で短時間許容電流と最大負荷電流の2条件、A=I√t/134 の使い方、図面に残す項目まで確認できます。この資料をスライドで見る資料一覧を見る

この記事の計算を、その場でツールで

高圧ケーブルサイズ選定ツール(6.6kV CVT・短絡電流の確認つき)

変圧器容量・敷設方法・短絡電流から6.6kV CVTのサイズを選定。許容電流リストも参照できます。

セコサポ(電気設計・工事ツール集)で開きます。登録不要で、入力した値はお使いのブラウザに保存されます。

この記事は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」第3回 引込方式とルート の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。

高圧ケーブルのサイズを「前の物件と同じ60sq」で決めていませんか。6.6kV CVT のサイズは計算で根拠を出せます。しかも見るべき条件は、よく言われる「短絡」と「負荷電流」の2つだけではありません。この記事では短時間許容電流・許容電流・電圧降下の3条件を、式と早見表、同じ物件を最後まで通した計算例で解説します。通電時間 t の取り方や、布設条件で許容電流が40A変わることまで含めて整理しました。

結論

高圧ケーブルのサイズは3つの条件で計算し、いちばん大きいサイズを採用します。ひとつでも満たさないサイズは使えません。

  • ① 短時間許容電流 A=I√t/134(CV・銅導体)。短絡電流に遮断されるまで耐えられるか
  • t は「OCRの動作時間 0.2秒 + 遮断器の遮断時間 0.1秒 = 0.3秒」で見るのが実務的
  • ② 許容電流 最大負荷電流を連続で流せるか。38sq は 気中170A/管路140A/直埋180Aと布設条件で変わる
  • ③ 電圧降下 構内が数百mを超える物件では、ここでサイズが1段上がることがある
  • 短絡電流 I[kA]=短絡容量[MVA]÷(√3×6.6)。6.6kV配電線は 12.5kA を上限に設計されている
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
2つではなく3つ。①②で決めたサイズが、こう長の長い物件では③で上がることがあります。

高圧ケーブルのサイズは「3つの条件」で決まる

高圧ケーブルのサイズ選定は、1つの式で答えが出るものではありません。外から決まる条件(電力会社の配電線)と、中から決まる条件(自分の受変電設備)、そして距離で決まる条件(こう長)の3つをそれぞれ計算し、求まったサイズのいちばん大きいものを採用します。

短絡容量は電力会社側、最大負荷電流は自分の設備側。左右から条件が来ます。
条件何から決まるか必要な情報効いてくる場面
① 短時間許容電流電力会社の配電線(外部要因)受電点の短絡容量、遮断までの時間どの物件でも必ず確認する
② 許容電流受変電設備の変圧器容量(内部要因)各変圧器の容量、布設方法、周囲温度どの物件でも必ず確認する
③ 電圧降下引込点から受電設備までの距離こう長、負荷電流、力率構内が数百mを超える物件
①と②はどちらも必須です。③は多くの物件で余裕がありますが、工場・大学・病院など敷地の広い物件では効いてきます。
この記事は、このステップの順に進みます。1と2を飛ばすと、あとで表を引き直すことになります。
ペン太ペン太
①と②のどちらか大きいほうを選ぶ、と習いました。③は要らないんですか?
ハリタハリタ
要るかどうかを確かめるところまでが選定です。引込が100mなら電圧降下は0.2%程度なので問題になりませんが、構内1kmの工場だと話が変わります。
ここまでのポイント
  • サイズは3条件を計算し、いちばん大きいものを採用する
  • ① 短時間許容電流は外部要因(配電線の短絡容量)で決まる
  • ② 許容電流は内部要因(変圧器容量)と布設条件で決まる
  • ③ 電圧降下はこう長で決まる。短い引込では効かないが、確認はする

条件① 短時間許容電流 ― 短絡電流に、何秒耐えるか

短絡が起きてから遮断されるまでの短い時間、ケーブルには通常の何倍もの電流が流れます。このとき導体が許容温度を超えて絶縁体を傷めないサイズかどうかを確かめるのが、短時間許容電流の検討です。

計算式と、係数134の意味

必要な断面積 A = I × √t / K [mm²]
記号 I:短絡電流[A]/t:通電時間[秒]/K:絶縁体と導体で決まる定数
絶縁体ケーブル記号短絡前→短絡時の許容温度アルミ
ビニルVV・VE・EV・EE60℃ → 120℃9764
ポリエチレン75℃ → 140℃9866
架橋ポリエチレンCV・CVT・CE90℃ → 230℃13490
天然ゴムRN60℃ → 150℃11678
EPゴムPN・PV80℃ → 230℃14094
よく使う「134」は、架橋ポリエチレン絶縁・銅導体(常時90℃・短絡時230℃)の定数です。アルミ導体なら90になります。

出典:日本電線工業会『電線要覧』の短絡時許容電流計算式、JCS 0168-1

t に入れるのは「0.2秒」だけではない

検出してから切り終わるまでが、ケーブルに電流が流れている時間です。

t は短絡の発生から遮断が完了するまでの時間です。配電用変電所の過電流継電器(OCR)の動作時間 0.2秒だけを入れている解説を見かけますが、それだと遮断器が実際に電流を切るまでの時間が抜けます。遮断時間は50Hzで5サイクル=0.1秒が目安なので、合計 0.3秒で見るのが実務的です。OCRの整定と時限協調の考え方は過電流継電器による高圧ケーブルサイズの選定方法で扱っています。

短絡電流はどこから持ってくるか

短絡容量は設計者が決める値ではなく、電力会社に確かめる値です。
短絡電流 I[kA]= 短絡容量[MVA]÷(√3 × 6.6[kV])
 74MVA ÷(1.732×6.6)= 6.47kA

短絡容量は図面や現地では分かりません。引込点にいちばん近い電柱番号を控えて、管轄の電力会社に問い合わせます。なお6.6kV配電線は最大短絡電流12.5kA(約143MVA相当)を上限として設計されており、高圧主遮断装置の定格遮断電流も12.5kAが標準です。照会の回答を待つ間に当たりを付けるなら、12.5kAで計算しておけば外れません。

サイズ別の短時間許容電流

サイズ
[sq]
短時間許容電流[kA]連続の許容電流
(気中40℃)
t=0.2秒t=0.3秒
226.65.4120A
3811.49.3170A
6018.014.7225A
10030.024.5310A
15044.936.7405A
20059.948.9485A
25074.961.2560A
A=I√t/134 から計算した値です。短時間許容電流はケーブルの種類だけで決まり、CV・CVTの別や布設条件には関係しません。

⚠ 手持ちの資料と値が合わないとき

短時間許容電流は短絡時の許容温度をいくつと置くかで変わります。230℃なら係数134ですが、接続部を含む系で200℃と置く流儀では係数が約121になり、同じ60sq・t=0.2秒でも 17.98kA が 16.2kA になります。古い資料の数値をそのまま引き写すのではなく、前提(K と t)をそろえてから比較してください。

💡 計算例:短絡容量 74MVA の物件

  1. 短絡電流 74 ÷(1.732×6.6)= 6.47kA(=6,470A)
  2. 通電時間 OCR 0.2秒 + 遮断器 0.1秒 = 0.3秒
  3. 必要な断面積 6,470×√0.3 /134 = 26.4mm²
  4. 条件①の答え 22sq では足りないので 38sq 以上

参考:値が未確定として12.5kAで計算すると、6,470→12,500A となり必要断面積は51.1mm²、60sq 以上になります。

ペン太ペン太
t を0.2秒にすると、必要な断面積はどれくらい変わるんですか?
ハリタハリタ
この例なら 26.4mm² が 21.6mm² になります。22sqで足りる計算になってしまう。小さいほうへ外れるので、抜けが危ないんです。
ここまでのポイント
  • 必要断面積 A = I√t/K。CV・銅導体なら K=134(90℃→230℃)
  • t は OCR の動作時間 0.2秒 + 遮断器の遮断時間 0.1秒 = 0.3秒で見る
  • 短絡電流 I = 短絡容量[MVA]÷(√3×6.6)。74MVA なら 6.47kA
  • 短絡容量は電柱番号を控えて電力会社へ照会する。上限は 12.5kA

条件② 許容電流 ― 布設条件で 40A 変わる

こちらは自分の設備の側から決まる条件です。受変電設備が使う電流を、ケーブルが連続して流し続けられるかを確かめます。手順は「最大負荷電流を出す」→「布設条件に合った許容電流表から選ぶ」の2段階です。

最大負荷電流は、変圧器容量の合計から出す

本来は契約電力から求めますが、ケーブルを選ぶ設計段階では契約電力が決まっていないことがほとんどです。その場合は受変電設備の各変圧器の一次電流を合計した値を最大負荷電流とみなします。変圧器容量は建物の負荷容量より大きく計画するので、安全側の見積りになります(変圧器容量の選定方法契約電力の計算方法(圧縮計算))。

単相変圧器 一次電流 = 容量[kVA]÷ 6.6
三相変圧器 一次電流 = 容量[kVA]÷(√3 × 6.6)

💡 計算例:単相300kVA×2台 + 三相200kVA×3台

  1. 単相 300 ÷ 6.6 = 45.5A → 45.5A × 2台
  2. 三相 200 ÷(1.732×6.6)= 17.5A → 17.5A × 3台
  3. 合計 45.5+45.5+17.5+17.5+17.5 = 143.5A
各変圧器の一次電流を出して足すだけ。契約電力が決まっていなくても計算できます。

許容電流は、布設条件ごとに表が違う

断面で見ると違いがはっきりします。管路は熱がこもるぶん、いちばん小さい値になります。

ここが実務でいちばん間違えやすいところです。許容電流表は布設条件ごとに別の表になっていて、基準温度も違います。気中(暗渠)は周囲温度40℃管路・直埋は基底温度25℃が基準です。「気中の値を25℃基準として説明している資料」は前提を取り違えているので注意してください。

サイズ
[sq]
許容電流[A](6.6kV CVT・1回線・導体90℃)
気中・暗渠
周囲温度40℃
管路(1孔1条)
基底温度25℃
直接埋設(平積)
基底温度25℃
22120100135
38170140180
60225180235
100310240310
150405305390
200485360450
250560405510
土壌固有熱抵抗100℃・cm/W が前提です。同じ管路に複数条を入れる場合は、回線数と損失率に応じた別の表を使います。

出典:昭和電線(SWCC)許容電流 技術資料、フジクラ・ダイヤ 技術情報、矢崎 管路布設連続許容電流

周囲温度・基底温度気中・暗渠(40℃基準)管路・直埋(25℃基準)
20℃1.181.04
30℃1.10
35℃0.92
40℃1.00
45℃0.950.83
50℃0.890.78
電気室やピットの実際の温度が基準と違う場合は、この係数を掛けて補正します。

💡 計算例のつづき:最大負荷電流 143.5A のとき

  • 気中(暗渠・ラック)で引き込む場合 38sq=170A > 143.5A → 38sq でよい
  • 管路で引き込む場合 38sq=140A < 143.5A → 足りない → 60sq(180A)

布設方法を決めずに表を引くと、ここで1サイズ分の判断が変わります。高圧引込は管路+ハンドホールで計画することが多いので、まず布設方法を確定させてください。

ペン太ペン太
同じ物件なのに、気中と管路でサイズが変わってしまうんですね。
ハリタハリタ
そうです。だから許容電流表を引く前に、ルートと布設方法を決めます。順番が逆だと、あとで図面ごと直すことになります。
ここまでのポイント
  • 最大負荷電流は各変圧器の一次電流の合計(単相 P/6.6、三相 P/√3×6.6)
  • 許容電流表は布設条件ごとに別。気中は40℃、管路・直埋は25℃が基準
  • 38sq の許容電流は 気中170A/管路140A/直埋180A
  • 周囲温度が基準と違うときは補正係数を掛ける

条件③ 電圧降下 ― こう長が伸びたとき

高圧側の電圧降下は、低圧ほど神経質になる必要はありません。ただし「考えなくてよい」ではなく、効かないことを確かめるのが設計です。構内が広い物件では、ここでサイズが1段上がることがあります。

こう長100mなら0.16%。効いてくるのは数百mを超えてからです。
サイズ
[sq]
6.6kV CVT の電気的定数(90℃・50Hz)
抵抗 R[Ω/km]リアクタンス X[Ω/km]インピーダンス Z[Ω/km]
221.060.1341.07
380.6130.1230.625
600.3890.1140.405
1000.2340.1060.257
1500.1570.1000.186
2000.1180.09840.154
2500.09590.09560.135
電圧降下の計算には90℃の交流抵抗を使います。20℃の直流抵抗(カタログの導体抵抗)より約1.25倍大きい値です。
三相3線式 Vd = √3 × I × ℓ ×(R·cosθ + X·sinθ)[V]
記号 I:負荷電流[A]/ℓ:こう長[km]/cosθ:力率

💡 38sq・100A・力率0.9 のときの電圧降下

  • こう長 100m … 約10V(0.16%
  • こう長 300m … 約31V(0.48%
  • こう長 500m … 約52V(0.79%
  • こう長 1,000m … 約105V(1.59%

6,600V に対する比率です。一般的な引込(数十〜200m)なら 0.5%以内に収まります。

なお内線規程の電圧降下(こう長60m以下3%など)は低圧側の規定で、高圧ケーブルそのものに%の明文規定は見当たりません。発注者の設計基準や電力会社の指針がある場合はそれに従い、なければ「受電設備の電圧変動に影響しないこと」を目安に判断します(低圧側の考え方は幹線計算|許容電流による選定方法)。

ここまでのポイント
  • Vd = √3 × I × ℓ ×(R·cosθ + X·sinθ)で計算する
  • 38sq・100A・力率0.9 なら、こう長1,000mで約1.6%
  • 一般的な引込では効かないが、構内が数百mを超えると1サイズ上がることがある
  • 内線規程の3〜7%は低圧側の規定。高圧側は物件ごとの判断になる

選定したあと ― 図面に残す項目と、更新の目安

サイズが決まったら終わりではありません。何を根拠に決めたかを図面に残しておくと、施工時の問い合わせと、10年後の更新判断がぐっと楽になります。

⚠ 引込まわりで図面に残しておきたいこと

  1. 電力会社名と電柱番号 短絡容量を再照会するときの手がかりになる
  2. 受電点の短絡容量[MVA] いつ・誰に確認した値かも添える
  3. B種接地抵抗値 施工時のトラブルを避けられる
  4. 布設方法とこう長 許容電流と電圧降下の前提。あとから検証できる
  5. ケーブルの種類 CV か CVT か、遮水層付き(E-Eタイプ)かどうか

高圧ケーブルは、何年で更新するのか

屋内と直埋では、更新推奨時期の目安が倍ちがいます。
使用環境更新推奨時期該当する場所の例
屋内・屋外(水の影響がない)20〜30年電気室内、水のたまらない屋内ピット、屋外の露出配線
屋外(水の影響がある)10〜20年直接埋設、埋設管路、水没しうる屋外ピット
日本電線工業会 技術資料 技資第107号A『電線・ケーブルの更新推奨時期について』(2024年11月)による。

水の影響がある環境で寿命が短くなるのは、水トリー劣化が起きるためです。絶縁体の中に水と電界が加わると、樹枝状の微小な亀裂が成長し、やがて絶縁破壊に至ります。対策として、絶縁体と半導電層を同時押出した遮水層付き(E-Eタイプ)のケーブルが有効です。経済産業省も、点検で劣化の兆候が確認された場合は更新推奨時期に満たなくても速やかに更新するよう注意喚起しています。

出典:日本電線工業会 技資第107号A『電線・ケーブルの更新推奨時期について』(2024年11月)、経済産業省 電力安全課の注意喚起(令和5年12月)、関東電気保安協会

この記事の3条件を、入力するだけで確認できます。変圧器容量・布設方法・短絡電流から 6.6kV CVT のサイズを選定し、許容電流リストも参照できます(登録不要)。
高圧ケーブルサイズ選定ツールを開く
ここまでのポイント
  • 電柱番号・短絡容量・B種接地抵抗値・布設方法・こう長を図面に残す
  • 更新推奨時期は 水の影響なし20〜30年/水の影響あり10〜20年(日本電線工業会)
  • 水に浸かる環境では水トリー劣化が進む。遮水層付き(E-Eタイプ)が有効
  • 年数に達していなくても、点検で兆候があれば更新する

よくある質問

高圧ケーブルのサイズはどうやって選びますか?

短時間許容電流(短絡)・許容電流(連続)・電圧降下(こう長)の3条件でそれぞれ計算し、求まったサイズのいちばん大きいものを採用します。ひとつでも満たさないサイズは使えません。

短時間許容電流の式 A=I√t/134 の t には何秒を入れますか?

短絡の発生から遮断が完了するまでの時間です。配電用変電所のOCRの動作時間0.2秒に、遮断器の遮断時間(50Hzで5サイクル=0.1秒)を足した0.3秒で見るのが実務的です。OCRの0.2秒だけで計算すると、必要な断面積を小さく見積もってしまいます。

係数の134は何の数字ですか?

架橋ポリエチレン絶縁・銅導体(常時90℃、短絡時230℃)の場合の定数です。アルミ導体のCVなら90、ビニル絶縁の銅なら97、EPゴムの銅なら140になります。

受電点の短絡容量はどこで分かりますか?

図面や現地では分かりません。引込点に近い電柱番号を控えて、管轄の電力会社に問い合わせます。6.6kV配電線は最大短絡電流12.5kA(約143MVA相当)を上限に設計されているので、回答を待つ間は12.5kAで当たりを付けておけば外れません。

許容電流表は、どの条件のものを見ればいいですか?

布設方法に合わせて選びます。気中(暗渠・ラック・ピット)は周囲温度40℃基準、管路と直接埋設は基底温度25℃基準です。38sq なら 気中170A・管路140A・直埋180A と、40Aの差があります。

契約電力が決まっていなくても計算できますか?

できます。受変電設備の各変圧器の一次電流(単相=容量÷6.6、三相=容量÷√3×6.6)を合計した値を、最大負荷電流とみなします。変圧器容量は建物の負荷容量より大きく計画するので安全側の見積りになります。

電圧降下は考えなくてもいいですか?

一般的な引込(数十〜200m)なら0.5%以内に収まるので、多くの場合サイズを左右しません。ただし構内が数百mを超える工場・大学・病院などでは、電圧降下でサイズが1段上がることがあります。「効かないことを確かめる」までが選定です。

高圧ケーブルは何年で更新すればよいですか?

日本電線工業会の技術資料では、水の影響がない環境で20〜30年、直埋・埋設管路など水の影響がある環境で10〜20年が目安です。年数に達していなくても、点検で劣化の兆候が確認されたら速やかに更新します。

まとめ ― 取り違えやすいところと、選定の手順

この記事の計算例を、3条件そろえて1枚にしたものです。
取り違えやすいところ正しくは
負荷電流に耐えられればサイズは決まる短時間許容電流・許容電流・電圧降下の3条件すべてを満たす必要がある
t は OCR の 0.2秒でよい遮断器の遮断時間0.1秒を足した0.3秒で見る
許容電流はサイズだけで決まる布設方法と温度で変わる。38sq は気中170A・管路140A・直埋180A
気中の許容電流は25℃基準気中・暗渠は40℃基準。25℃なのは管路・直埋(基底温度)
短絡容量は図面や現地で分かる電柱番号を控えて管轄の電力会社に問い合わせる
契約容量が未定だと計算できない変圧器容量の合計から最大負荷電流を求められる
高圧側の電圧降下は無視してよい短い引込では効かないが、構内が長い物件では効く。確認はする
審査や先輩のチェックで指摘されやすいのは、たいていこの7つのどれかです。
手順やること使う式・情報
1|前提をそろえるルート・布設方法・こう長を決める平面図、ハンドホール位置
2|短絡電流受電点の短絡容量を電力会社に照会I=短絡容量/(√3×6.6)
3|条件①短絡に耐える断面積を出すA=I√t/134(t=0.3秒)
4|最大負荷電流各変圧器の一次電流を合計する単相 P/6.6、三相 P/(√3×6.6)
5|条件②布設条件に合う許容電流表から選ぶ気中40℃/管路・直埋25℃
6|条件③こう長が長いときは電圧降下を確認Vd=√3 I ℓ(R·cosθ+X·sinθ)
7|決定と記録いちばん大きいサイズを採用し、根拠を図面に残す電柱番号・短絡容量・布設方法
この7手順をチェックリストにしておくと、物件が変わっても同じ精度で選定できます。

📘 体系的に学びたい方へ

この記事は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」第3回 引込方式とルートの補足解説です。計画全体の流れは設計・施工マニュアル(目次)から、受電設備側の機器選定は高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)からご覧いただけます。

出典:日本電線工業会『電線要覧』および技資第107号A、JCS 0168-1、昭和電線(SWCC)・フジクラ・ダイヤ・矢崎の許容電流技術資料、経済産業省 電力安全課の注意喚起、日本電気技術者協会。数値は目安であり、適用にあたっては採用品のメーカー資料と最新版の原典をご確認ください。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。