高圧ケーブルのサイズ選定で、「とりあえず60sqでいいか」と感覚で決めていませんか。実は高圧ケーブルのサイズは、計算によって根拠をもって求めることができ、過剰な選定を避けられます。
この記事では、6.6kV CVTケーブルのサイズを、短時間許容電流による選定と最大負荷電流による選定の2つの条件から計算し、大きい方を採用する手順を、計算式と具体例つきで解説します。
時間が重要です。

ペン君
今日は高圧ケーブルのサイズを選ぶんだけど、とりあえず60sqでいってみようかな〜。
はりた
ちゃんと計算して求めようよ…過剰な選定をしているかもしれないよ!
はりた
もちろん!計算によって求めることができるから解説していこう!
⚡ 先に結論だけ言うと
高圧ケーブルの選定方法は次の条件より計算を行いサイズの大きいほうを採用します。
- 短時間許容電流による選定
- 最大負荷電流による選定
▲ 選定の全体フロー

この記事のカテゴリー
類似の記事へ
この記事に書かれていること
この記事でわかること・おすすめの方
● 高圧ケーブルサイズの選定方法について調べている方
● 短時間許容電流の求め方について調べている方
● 短絡容量の聴き取り手順について調べている方
● 受変電設備の負荷電流値について調べている方

高圧ケーブルの短時間許容電流は?
6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
6kVCV-T 60sq=16.3[kA]
変電所の過電流継電器の動作時間:0.2秒の場合
短時間許容電流を求める式は?
A=I√t/134
- A:導体交渉断面積
- I:受電点の短絡電流
- t:短絡電流通電時間(秒)
- ※変電所の過電流継電器の動作時間:0.2秒
導体:銅 短絡前導体温度:90℃ 短絡時導体温度:230℃の場合
短絡電流の計算式は?
I[kA]=短絡容量[MVA]/6.6[kV]×√3
負荷電流の求め方は?
単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV
高圧ケーブルの許容電流は?
| ケーブルサイズ |
電流値 |
| 22 |
sq |
120 |
A |
| 38 |
sq |
170 |
A |
| 60 |
sq |
225 |
A |
| 100 |
sq |
310 |
A |
| 150 |
sq |
405 |
A |
| 200 |
sq |
485 |
A |
| 250 |
sq |
560 |
A |
| 325 |
sq |
660 |
A |
| 400 |
sq |
750 |
A |
| 500 |
sq |
855 |
A |
| 600 |
sq |
950 |
A |
自動計算ツールで算出してみよう!
ペン君
諸条件を入力することでサイズを計算することができるよ!活用してみよう!
計算ツール|高圧ケーブルサイズの計算ツール
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【...
高圧ケーブルの選定条件

ペン君
高圧ケーブルのサイズってなにからやればいいのかな?
はりた
高圧ケーブルのサイズは下記の2項目から求めて大きいほうを選定すればいいんだよ!
はりた
だめだよ~まず、短時間許容電流について解説していくよ!
短時間許容電流による選定手順
過電流や短絡(ショート)などの異常時に、電線やケーブルがどこまで耐えられるかを評価するために用いるのが「短時間許容電流」による選定です。これは、短時間(例:1秒〜3秒)だけ流れる大電流に対し、電線が焼損せずに耐えられるかを確認するための方法であり、特に高圧受電設備やPAS・LBSなどの機器周辺で重要な選定基準となります。
たとえば、短絡事故が起きた際に遮断器が動作するまでのわずかな時間でも、流れる電流は非常に大きくなります。その瞬間に電線が耐えられなければ、発火や事故につながる危険があります。
短時間許容電流とは

はりた
短時間許容電流とは瞬時に流れた電流に耐えられる許容電流のことだよ!
はりた
簡単な計算式で求めることができるから解説していこう!

短時間許容電流とは
短絡・地絡事故などで瞬時(長くても1~2秒程度)に大電流が流れる場合は、発生した熱量は全て導体の温度上昇にのみ費やされると考えることができます。
電線・ケーブルの短絡時または地絡時の許容電流は、絶縁体の種類に応じて、簡略計算式を用いることが可能です。この短絡または地絡時の許容電流値が短時間許容電流になります。
短時間許容電流による選定手順
短時間許容電流による選定
短絡時には瞬時に大電流(短絡電流)が発生するため、
ケーブル自体の【短時間許容電流】が【短絡電流】以上ある必要があります。
ケーブルサイズの短絡時許容電流の計算式は下記になります。


短絡時許容電流の計算式
A=I√t/134
- A:導体交渉断面積
- I:受電点の短絡電流
- t:短絡電流通電時間(秒)
- ※変電所の過電流継電器の動作時間:0.2秒
導体:銅 短絡前導体温度:90℃ 短絡時導体温度:230℃の場合
引込設備の設計|過電流継電器による高圧ケーブルサイズの選定方法について詳しく解説
瞬間の短絡電流に耐えろ。
...
CVT38㎟の短時間許容電流は…
38[㎣]=I√0.2/134(0.003337)
I=38°/0.003337=11.3[kA]
6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
CVT60㎟の短時間許容電流は…
60[㎣] =I√0.2/134(0.003337)
I=60°/0.003337=16.2[kA]
6kVCV-T 60sq=16.3[kA]
となり求めた値以下の短絡電流にする必要があります。
はりた
ケーブルごとの短時間許容電流の値だけ覚えておいて!


各ケーブルサイズ毎の短時間許容電流
- 6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
- 6kVCV-T 60sq=16.3[kA]
変電所の過電流継電器の動作時間:0.2秒の場合
受電点の短絡容量の確認
短絡容量の確認方法
次に短絡電流を求めるために受電点の短絡容量を確認する必要があります。
引込点の最寄りの電柱等に記載されている電柱番号を管轄の電力会社に問い合わせ短絡容量の確認を行いましょう。
電柱番号の見分け方については各電力会社のホームページに記載されています。

はりた
引込点の短絡容量は、管轄の電力会社に確認しないといけないよ

確認の主な流れ
電柱番号の確認

⇓
管轄の電力会社に問い合わせ
(短絡容量の聞き取り)

⇓
短絡容量により短絡電流の算出

施工時のトラブルとならないよう引込柱の情報を記載しておくようにしましょう。
- 〇〇電力柱
- 電柱番号
- 短絡容量
- B種接抵抗値

短絡電流の計算式
I[kA]=短絡容量[MVA]/6.6[kV]×√3
短絡容量が74MVAの場合(電力会社に確認した値)
I=74[MVA]/6.6[kV]×√3(10.39)
=7.12[kA]
ケーブルの短時間許容電流と比較してみる!
11.3[kA](38sqの短時間許容電流)>7.12[kA]
高圧ケーブル選定の流れ
高圧ケーブルの許容短絡電流を求める
⇩
計算式|A=I√t/134
⇩
各ケーブルサイズの短時間許容電流
6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
6kVCV-T 60sq=16.3[kA]
⇩
短絡電流を求める
⇩
I[kA]=短絡容量[MVA]/6.6[kV]×√3
⇩
短絡容量は電力会社に確認する
⇩
11.3[kA](6.6kV CVT38sqの短時間許容電流)>短絡電流
であればよいということになります



ペン君
38[㎣]の短時間許容電流は11.3[kA]だったよね!
はりた
そうだね!38[㎣]の短時間許容電流が11.3[kA]なので、38[㎣]で満足していることになるよ。
最大負荷電流による選定

最大負荷電流値による選定方法
次に最大負荷電流値による選定方法について解説したいと思います。短時間許容電流による選定は外部要因『短絡容量』によるケーブルサイズの選定ですが、最大負荷電流による選定は、内部要因『受変電設備』の負荷容量より決定されます。高圧ケーブルのサイズ選定を行う際は、この両方の結果を満足する必要があります。
最大負荷電流値の計算
最大負荷電流値の計算方法
最大負荷電流は新築建物の実際の最大負荷電流値は”契約容量”により算出を行います。

しかしケーブル選定の段階では契約容量が決まっていない場合が多いので、需要家の受変電設備容量より最大電流値の算出を行います。
契約容量が未確定の場合
受変電設備の変圧器容量は、実際に使用する建物の負荷容量よりも大きくなるように計画します。したがって変圧器容量により求めた負荷電流値が需要家の最大負荷電流値と考え最大負荷電流値を満足できる高圧ケーブルを選定すればよいということになります。
変圧器容量による負荷電流値の計算方法
変圧器容量から求めよう!
建物の最大負荷電流はトランス容量によって選定することができます。各トランスごとの電流値を計算し合計したものが建物の最大負荷電流値になります。

変圧器容量による負荷電流値の計算方法

- 単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
- 三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV
計算例
- 単相変圧器 300KVA×2台
- 三相変圧器 200kVA×3台
単相変圧器の電流値を算出
- 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
- 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
三相変圧器の電流値を算出
- 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
- 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
- 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A

合計すると・・・
最大負荷電流値=45.5+45.5+17.5+17.5+17.5=143.5A
各トランス容量から一次側電流値を計算し合計値を建物の最大負荷電流値と仮定します。

はりた
補足:トランス容量から算出すると建物の最大の値となるので検討は十分に行う必要があります。
6.6kV CVTケーブルの許容電流
見習いペン太
さっき計算した負荷電流より大きい許容電流のケーブルを選べばいいんですね!💡
はりた
その通りだよ!ケーブルの許容電流欄をチェックして、余裕のあるサイズを選んでおこうね📊🔍

6600Ⅴ CVTケーブルの許容電流 周囲温度40℃
| ケーブルサイズ |
電流値 |
| 22 |
sq |
120 |
A |
| 38 |
sq |
170 |
A |
| 60 |
sq |
225 |
A |
| 100 |
sq |
310 |
A |
| 150 |
sq |
405 |
A |
| 200 |
sq |
485 |
A |
| 250 |
sq |
560 |
A |
| 325 |
sq |
660 |
A |
| 400 |
sq |
750 |
A |
| 500 |
sq |
855 |
A |
| 600 |
sq |
950 |
A |
空中暗渠周囲温度25°Cの場合、最大負荷電流値【126A】を超える許容電流を持つケーブルサイズは【CVT38sq(170A)】となります。
出典:(電線・ケーブルの許容電流について | 橋本興産 (hashimoto-kosan.jp))より
はりた
最後にこの2つの計算結果の大きいサイズはどっちだったかな?
ペン君
どちらの結果も38sqだったから38sqでOKってことになるね!
[/box02]
▲ 計算式と計算例のまとめ
よくある質問(FAQ)
Q. 高圧ケーブルのサイズはどうやって選ぶ?
A. 「短時間許容電流による選定」と「最大負荷電流による選定」の2条件で計算し、求まったサイズの大きい方を採用します。
Q. 短絡電流はどう計算しますか?
A. 短絡電流 I[kA] = 短絡容量[MVA] ÷ (√3 × 6.6[kV]) で求めます。短絡容量は受電点(引込柱)の値を管轄の電力会社に確認します。例として短絡容量74MVAなら約7.12kA、38sqの短時間許容電流11.3kAと比較してOKと判断できます。
Q. 最大負荷電流はどう求めますか?
A. 各変圧器容量から一次電流を計算して合計します。単相=容量÷6.6kV、三相=容量÷(√3×6.6kV)。例:単相300kVA×2+三相200kVA×3で、45.5×2+17.5×3=143.5Aとなります。
Q. 引込柱に記載しておくとよい情報は?
A. 施工時のトラブルを避けるため、〇〇電力柱・電柱番号・短絡容量・B種接地抵抗値を図面に記載しておくと親切です。
まとめ
高圧ケーブルの選定方法
選定条件
- 短時間許容電流
- 最大負荷電流
の2項目ありそれぞれ選定したうちの大きいほうのサイズにて決定します。
ケーブルサイズ毎の短時間許容電流
- 6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
- 6kVCV-T 60sq=16.3[kA]
ケーブルサイズ毎の短時間許容電流は上記値となり受電点の短絡電流が11.3[kA]を超えれば60sqとなります。受電点の短絡容量は、管轄の電力会社に問い合わせる必要がありますので、引込点に近接する電柱番号を控えておくようにしましょう。
最大負荷電流の求め方
- 新築建物の契約容量により算出する
- 受変電設備の変圧器容量より算出する
変圧器容量による最大負荷電流の求め方
- 単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
- 三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV
契約容量は設計段階で決まっていないことが多いため受変電設備の変圧器容量により求める場合が多くなります。選定の際は各変圧器容量より電流値を求め最大負荷電流値を算出しケーブルサイズを決定するようにしましょう。
🔗 あわせて読みたい関連記事
関連