家電のアース線をつなごうとしてコンセントを見たら、アース端子がない。それならと分電盤のカバーを開けてみたけれど、どこがアースなのか分からない――。この記事は、そんなときに見る場所と、アースが来ていなかったときの対処法だけにしぼって説明します。

結論

分電盤のアース端子は、盤の下のほうにある緑の端子台(E端子)です。見当たらない、または外の接地極へ線が出ていないなら、アースは来ていません。そのときは中性線やガス管につながず、接地極の新設・分電盤の交換・漏電遮断器のどれかで対処します。

  • E端子台は「E」や接地の記号が目印。緑の線が外へ出ている
  • 中性線(白)・ガス管・水道管は、アースの代わりにならない
  • 対処は 接地極の新設/分電盤の交換/漏電遮断器(条件つき)
  • 分電盤の中の作業と接地工事は、電気工事士の仕事
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

分電盤のアース端子はどこ? ― 見る場所は3つ

住宅の分電盤では、主幹ブレーカーと分岐ブレーカーの下のほうに、ネジがいくつも並んだ端子台が付いていることがあります。これがアース(接地)の集まる場所で、E端子台と呼びます。各部屋のアース付きコンセントへ行く緑の線はここから分かれ、建物の外の接地極(地面に打ったアース棒)へ1本の線が出ていきます。

盤の下のほうネジの並んだ端子台を探す
目印「E」や接地の記号
外へ出る線緑の線が接地極へ
ないならアースは来ていない

カバーを開けるときは、ブレーカーに手を触れず、見るだけにします。端子台そのものがない、または端子台はあっても外へ出ていく線がない場合は、アースが来ていないと考えます。

たとえるなら
E端子台は、建物のアースの「集合場所」
マンションの郵便受けが1か所に集まっているように、各部屋のアース線は分電盤のE端子台に集まり、そこから1本の太い線で地面の接地極へ出ていきます。集合場所がなければ、各部屋の線をつないでも行き先がありません。
ここまでのポイント
  • E端子台は、主幹・分岐ブレーカーの下のほうにある
  • 「E」や接地の記号と、外へ出る緑の線が目印
  • 端子台がない、または外へ線が出ていなければ、アースは来ていない

アースが来ていないときに、やってはいけない3つ

アースが来ていないと分かると、近くの金属につなぎたくなります。ところが、次の3つはアースの代わりになりません。かえって危険をつくります。

中性線(白)電流が流れている線。切れると外箱に電圧
ガス管火花で引火のおそれ
水道管途中が樹脂なら地面につながらない
正しい先接地極かE端子台

特に気をつけたいのが単相3線式の中性線です。中性線は変圧器の側で接地されているので、「アースと同じ」と思われがちです。けれども中性線には、ふだんから電流が流れています。中性線が切れたりゆるんだりすると、アース線でつないだ家電の外箱に電圧が出ることがあります。分電盤の中性線の端子にアース線をつなぐのは誤りです。

ここに注意!
「中性線は接地されているから、アースの代わりになる」ではありません。
中性線は電流の通り道です。アース線は、漏電したときだけ電気を地面へ逃がす専用の道なので、中性線とは別に設けます。
ここまでのポイント
  • 中性線(白)にアース線をつながない
  • ガス管・水道管もアースの代わりにならない
  • アース線の行き先は、接地極につながった接地線かE端子台


アースがないときの3つの対処法

アースが来ていないときの対処法は3つです。どれも分電盤の中や壁の中を触るので、電気工事士に頼む工事になります。

接地極を新設アース棒を打ち、E端子台を付ける
分電盤ごと交換E端子台つきの新しい盤へ
漏電遮断器水気のない場所の機器だけ
水気のある場所アースを取るのが基本
対処法 向いているとき 費用の目安
接地極を新設し、接地線を引く 建物に接地極がない古い住宅 約30,000〜60,000円
分電盤ごと交換する E端子台のない古い分電盤。ブレーカーも古い 盤の大きさで変わる。見積もりで確かめる
漏電遮断器で保護する 水気のない場所の機器だけ 回路や機器の数で変わる
費用は施工会社や建物で変わる目安。アースの接地抵抗は、D種接地工事で100Ω以下(漏電のとき0.5秒以内に自動で切れる装置があれば500Ω以下)。

漏電遮断器で守る方法は、電技解釈 第29条の「接地を省略できる場合」にもとづきます。水気のない場所に置く低圧の機器で、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型の漏電遮断器を付けたときに限られます。洗濯機や温水洗浄便座、屋外の機器のように水気のある場所の機器は、アースを取るのが基本です。

コンセント側のアース端子へのつなぎ方はアース線のつなぎ方・ない場合の対処で、接地のしくみは接地(アース)とは?で説明しています。

ここまでのポイント
  • 接地極の新設、分電盤の交換、漏電遮断器の3つ
  • 漏電遮断器で済ませられるのは、水気のない場所の機器だけ
  • どれも電気工事士に頼む工事

まとめ|結論

結論

分電盤のアース端子は、盤の下のほうにある緑のE端子台です。なければアースは来ていないので、中性線・ガス管・水道管にはつながず、接地極の新設・分電盤の交換・漏電遮断器のどれかを電気工事士に頼みます。水気のある場所の機器は、アースを取るのが基本です。

迷ったら、この順で確かめます。

  1. 分電盤のカバーを開け、E端子台と外へ出る緑の線があるかを見る
  2. なければ、アース線を近くの金属や中性線につながない
  3. アースを取りたい機器が水気のある場所にあるかを確かめる
  4. 接地極の新設・分電盤の交換・漏電遮断器のどれにするか、電気工事士に相談する


よくある質問

分電盤にアース端子があるか、どうやって確かめますか?

カバーを開け、主幹・分岐ブレーカーの下のほうに、ネジが並んだ緑の端子台(Eの表示や接地の記号)があるかを見ます。端子台から外の接地極へ緑の線が出ていれば、アースが来ています。ブレーカーには触れず、見るだけにします。

中性線にアース線をつないでもいいですか?

いけません。中性線はふだん電流が流れている線で、切れたりゆるんだりすると家電の外箱に電圧が出ることがあります。アース線は、接地極につながった接地線か、分電盤のE端子台につなぎます。

アースがない家でも、漏電遮断器があれば大丈夫ですか?

水気のない場所の機器で、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器で保護されていれば、接地を省略できる場合があります(電技解釈 第29条)。洗濯機など水気のある場所の機器はアースを取るのが基本です。

アースの工事は自分でできますか?

接地極の新設や分電盤の中の作業は電気工事士の工事です。家電のアース線をコンセントのアース端子に留めるだけなら、資格はいりません。

D種接地の接地抵抗はいくつ以下ですか?

100Ω以下です。漏電のときに0.5秒以内に自動で電路を切る装置を付けていれば、500Ω以下でよいとされています(電技解釈 第17条)。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。