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家の電気が急に消えて、玄関や洗面所の白い箱を開けたことはありませんか。あの箱が分電盤、中に並ぶスイッチのようなものがブレーカーです。この記事では、ものとしての分電盤とブレーカー、落ちる理由と戻し方、図面の記号、用途を、使っている場面の動く図解でほどきます。コンセント、スイッチ、電線とケーブルに続く、超基本の4本目です。

結論

分電盤は電気を部屋ごとの回路に配る箱、ブレーカーは電線を守るために電気を切る門です。図面では分電盤を斜めに半分塗った長方形で描き、中の機器はB(配線用遮断器)とE(漏電遮断器)で表します。

  • 家の分電盤は、契約ブレーカー(ない家も)→ 主幹(漏電遮断器)→ 分岐ブレーカー
  • 使いすぎとショートは分岐が、漏電は主幹が切る
  • 100Vの回路は2P1E、200Vの回路は2P2E。主幹は感度30mAの漏電遮断器が一般的
  • ビルは階ごとの電灯分電盤(L)と、空調・ポンプの動力盤(P)
この記事で押さえる5つのこと
項目を押すと、その章へ飛びます。図はすべて使っている場面の動く図解です(止まっていても読めます)。

この図の読み方

くり返し動きます。上から、もの・記号・用途の順です。

  1. もの:電気は契約 → 主幹 → 分岐の順に通り、部屋ごとに分かれます
  2. 記号:図面の分電盤は、斜めに半分を塗った長方形
  3. 用途:家は1面、ビルは階ごとの電灯分電盤と動力盤

動く図解で学ぶ電気設備屋内配線と保護の動く図解12本を、まとめて見られます見る →

分電盤とブレーカーとは ― 電気を配る「木」と、守る「門」

電柱から引き込んだ電気は、メーターを通って分電盤に入ります。分電盤の中で、太い幹(主幹)から細い枝(分岐回路)に分かれ、居間、台所、エアコンなど、部屋や機器ごとに届きます。枝の入口ごとに付いているのがブレーカーです。

図の見どころ

電気がメーターから分電盤に入り、部屋ごとに分かれて流れます。

  1. 太い幹が主幹、細い枝が分岐回路
  2. 枝の入口ごとに分岐ブレーカーが1つずつ
  3. 1つの枝が落ちても、ほかの部屋は消えません

ブレーカーのいちばんの役目は電線を守ることです。電線に流せる電流には上限(許容電流)があり、超えて流し続けると熱で傷みます。ブレーカーは、電線が傷む前に電気を切ります(電線の太さとの組み合わせは電線とケーブルとはで)。

呼び方 正式な名前 役目
契約ブレーカー 電流制限器(アンペアブレーカー) 契約した電流を超えると切れる。電力会社のもの
主幹 漏電遮断器 漏電を見張る。家全体の入口
分岐ブレーカー 配線用遮断器(安全ブレーカー) 回路ごとの使いすぎ・ショートを見張る
スマートメーターの地域では、契約ブレーカーの役目をメーターが持ち、分電盤にないことがあります。

動く図解で見る:分電盤の中身 ― 幹線・主幹・分岐は1本の木電気が木の枝のように分かれていく様子(屋内配線と保護のページへ)

たとえるなら
ブレーカーは、電線の「体温計つきの門番」
枝ごとの門番が電線の体温(電流)をいつも測っていて、熱が上がりすぎる前に門を閉めます。家全体の入口には、漏れ(漏電)を見張る門番(主幹)が立っています。
ここまでのポイント
  • 分電盤は、電気を部屋ごとの回路に配る箱
  • ブレーカーは電線を守るために電気を切る
  • 契約・主幹・分岐の3種類

ものとしての分電盤 ― 3種類のブレーカーと表示

住宅の分電盤のふたを開けると、左から契約ブレーカー → 主幹 → 分岐ブレーカーの順に並んでいるのが一般的です。主幹の漏電遮断器には黄色などのテストボタンがあり、押すと漏電したときと同じように切れます。月に1回押して、ちゃんと切れるかを確かめるようメーカーはすすめています。

図の見どころ

テストボタンを押すと主幹が切れ、レバーを上げると戻ります。

  1. 並びは左から契約 → 主幹 → 分岐
  2. 主幹のテストボタンは漏電と同じ切れ方を試すもの
  3. 主幹が切れると、家全体が停電します

表示を読む ― 2P1E・2P2E・30mA

ブレーカーには、P(極数)とE(素子数)、定格電流が書いてあります。Pは通る電線の数、Eは電流を見張る部分の数です。100Vの回路は電圧側の1本を見張る2P1E、200Vの回路は2本とも見張る2P2Eを使います。主幹の漏電遮断器には、漏電を感じる大きさ(感度電流)も書いてあり、住宅では30mA・0.1秒以内に切れるものが一般的です。

表示の読み方

表示の文字が順に光ります。

  1. Pは通る電線の数、Eは見張る部分の数
  2. 100Vは2P1E、200Vは2P2E
  3. 主幹は30mA・0.1秒以内で切れる漏電遮断器
ひっかけ注意
「2P=200V用」ではありません。
2Pは電線が2本通るという意味で、100Vの回路も2P(2P1E)です。200V用かどうかは、素子が2つの「2P2E」で見分けます。

ビルの盤で使う「3P 225AF/175AT」のような表記は盤図のブレーカー表記の読み方で、選び方は【新人講座 第14回】ブレーカー選定のきほんで解説しています。

動く図解で見る:ブレーカー表記極数・フレーム・定格電流を分解して読む(図面の読み方・描き方のページへ)

ここまでのポイント
  • 左から契約、主幹、分岐の順
  • 主幹のテストボタンは月1回
  • 100Vは2P1E、200Vは2P2E、主幹は30mA


ブレーカーが落ちる3つの理由と戻し方

ブレーカーが落ちる理由は、大きく3つです。同じ回路で家電を同時に使いすぎる過負荷はしばらくしてから、コードが傷んで線どうしが触れる短絡(ショート)は一瞬で、どちらも分岐ブレーカーが切ります。機器や電線から電気が漏れる漏電は、主幹の漏電遮断器が切ります。家全体で使いすぎたときは、契約ブレーカー(またはスマートメーター)が切れます。

落ち方の違い

左から使いすぎ、ショート、漏電の順です。

  1. 使いすぎ:しばらくしてから分岐が落ちる
  2. ショート:一瞬で分岐が落ちる
  3. 漏電:主幹の漏電遮断器が落ちる

動く図解で見る:ブレーカー ― 過負荷と短絡、2つの落ち方少しオーバーと一瞬の大電流の違い(屋内配線と保護のページへ)

戻し方 ― 漏電のときは回路を探す

分岐ブレーカーが落ちたときは、使っていた機器を減らしてからレバーを上げます。主幹(漏電遮断器)が落ちたときは、どの回路で漏電しているかを探します。分岐を全部切って主幹を入れ、分岐を1つずつ入れていくと、入れたとたんに主幹がまた落ちる回路が原因です(詳しくは漏電ブレーカーが落ちたときの切り分け手順)。

切り分けの手順

分岐を1つずつ入れていくと、3つ目で主幹がまた落ちます。

  1. まず分岐を全部切る
  2. 主幹を入れてから、分岐を1つずつ入れる
  3. 主幹がまた落ちた回路が漏電の原因
ひっかけ注意
「落ちたらすぐ上げれば直る」ではありません。
原因を取り除かずに何度も上げると、ショートや漏電が続いて危険です。続けて落ちる、焦げ臭い、コンセントが熱いといったときは、使うのをやめて電気工事店に相談します。

一部の部屋だけ落ちるときの見方はブレーカーが落ちる原因と調べ方、同時に使う家電で落ちるかどうかはブレーカー落ちるかな?判定で確かめられます。

ここまでのポイント
  • 使いすぎ・ショートは分岐、漏電は主幹
  • 分岐が落ちたら機器を減らして戻す
  • 主幹が落ちたら、分岐を1つずつ入れて原因の回路を探す


図面ではこう描く ― 盤の記号と S・B・E

平面図(プロット図)では、盤を横長の長方形で描き、中の模様で種類を表します(JIS C 0303)。分電盤は斜めに半分を塗った長方形です。盤の中の機器は、単線結線図などで四角に1文字を書いて表します。

記号の見どころ

上は盤の種類、下は盤の中の機器です。

  1. 分電盤は斜めに半分塗りの長方形
  2. 機器は四角に1文字:S開閉器、B配線用遮断器、E漏電遮断器
  3. 横の数字は極数や定格電流
記号 意味
× の長方形 配電盤
斜めに半分塗り 分電盤
× の左右を塗る 制御盤
二重枠 防災電源回路用の盤
S 開閉器
B 配線用遮断器
E 漏電遮断器(過負荷保護付は BE とも)
出典:JIS C 0303:2000。盤の横の「L-1」「P-1」は盤の名前です。

6種類の盤の模様と見分け方、盤の名前と二重枠は【プロット図の見方⑨】盤の記号で詳しく解説しています。

動く図解で見る:プロット図の見方⑨ 盤の記号模様で盤の種類を見分ける(図面の読み方・描き方のページへ)

ひっかけ注意
「AF と A は同じ」ではありません。
「225AF」は遮断器の枠(フレーム)の大きさ、「150A」が実際に切る電流(定格電流)です。ビルの盤図でよく並んで書かれます。
ここまでのポイント
  • 分電盤は斜めに半分塗りの長方形
  • ×は配電盤、×の左右塗りは制御盤、二重枠は防災用
  • Sは開閉器、Bは配線用遮断器、Eは漏電遮断器

用途で選ぶ ― 家の分電盤、ビルの電灯盤と動力盤

住宅では、玄関や洗面所などに住宅用分電盤が1面あり、照明・コンセント・エアコンなどの回路を分けています。ビルでは、各階に照明とコンセント用の電灯分電盤(L)、機械室や屋上に空調やポンプ用の動力盤(P)を置き、非常用照明や消防設備には防災用の盤を使います。

ビルの盤の置き場所

番号のピンが順に立ち上がります。

  1. 幹線が各階へ電気を運ぶ
  2. 各階に照明・コンセント用の電灯分電盤(L)
  3. 空調・ポンプは機械室や屋上の動力盤(P)
盤 置く場所 中身
住宅用分電盤 玄関・洗面所など 主幹(漏電遮断器)と十数回路の分岐
電灯分電盤(L) 各階の電気室・廊下 照明・コンセントの分岐
動力盤(P) 機械室・屋上 三相200Vの空調・ポンプ
制御盤 機器のそば モーターの運転・停止を制御
防災用分電盤 各階 非常用照明・消防設備(二重枠)
地震のときに電気を止める感震ブレーカーを分電盤に付けることもあります。

家の分電盤を写真に近い形で見たいときは分電盤の見方 完全入門(家庭向け)、感震ブレーカーは感震ブレーカー完全ガイドで解説しています。

動く図解で見る:電灯と動力 ― 単相(L)と三相(P)の2つの家系L盤とP盤が分かれる理由(電気のきほんのページへ)

ここまでのポイント
  • 家は住宅用分電盤が1面
  • ビルは階ごとの電灯分電盤(L)と動力盤(P)
  • 非常用は防災用の盤(二重枠)


読み違えやすいところ

よくある読み違い

  1. ブレーカーは家電を守るものと思う:いちばんの役目は電線を守ることです。
  2. 2Pを200V用と読む:100Vも2P(2P1E)。200V用は2P2Eです。
  3. 漏電で落ちたのに分岐ばかり見る:漏電で落ちるのは主幹の漏電遮断器です。
  4. 分電盤の記号をOA盤と読む:分電盤は斜め半分を塗り、OA盤は斜線だけです。
  5. 契約ブレーカーがない=故障と思う:スマートメーターが役目を持つ地域では、ないことがあります。

動く図解で学ぶ電気設備この記事の図のほかにも、分電盤や配線のしくみを動く図解で見られます。気になるジャンルを選んでください。

動く図解のジャンル一覧を見る →

よくある質問

分電盤とは何ですか?

電柱から引き込んでメーターを通った電気を、部屋や機器ごとの回路に分けて配る箱です。住宅では玄関や洗面所などに1面あり、中に契約ブレーカー(ない家もあります)、主幹の漏電遮断器、回路ごとの分岐ブレーカーが並んでいます。ビルでは階ごとの電灯分電盤や、空調・ポンプ用の動力盤があります。

ブレーカーは何を守っているのですか?

いちばんの役目は電線を守ることです。電線には安全に流せる電流の上限(許容電流)があり、超えて流し続けると熱で傷みます。分岐ブレーカー(配線用遮断器)は使いすぎやショートで、主幹の漏電遮断器は漏電で電気を切り、電線の発熱や感電・火災を防ぎます。

漏電ブレーカーが落ちたらどうすればいいですか?

分岐ブレーカーを全部切ってから主幹を入れ、分岐を1つずつ入れていきます。入れたとたんに主幹がまた落ちた回路が漏電の原因です。その回路の機器のプラグを抜き、原因がわからない、何度も落ちるときは電気工事店に相談します。

ブレーカーの「2P1E」と「2P2E」の違いは何ですか?

Pは極数(通る電線の数)、Eは素子数(電流を見張る部分の数)です。2P1Eは2本の電線のうち電圧側の1本を見張るもので、100Vの回路に使います。2P2Eは2本とも見張るもので、エアコンやIHなど200Vの回路に使います。「2P」だけでは200V用とは限りません。

図面の分電盤の記号はどう描きますか?

JIS C 0303では、盤は横長の長方形で描き、中の模様で種類を表します。分電盤は斜めに半分を塗り、配電盤は×、制御盤は×の左右を塗ります。防災電源回路用の盤は二重枠です。盤の中の機器は四角に1文字で、Sは開閉器、Bは配線用遮断器、Eは漏電遮断器です。

分電盤に契約ブレーカーがないのはなぜですか?

スマートメーターが契約ブレーカーの役目を持つ地域では、分電盤の中の契約ブレーカー(電流制限器)を取り付けない、または取り外すことがあります。故障ではありません。契約した電流を超えると、メーター側で電気が止まります。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。