耐震支持の図面や仕様書に出てくる「SA種」「A種」「B種」。耐震クラスS・A・Bと名前が似ていて、混ざってしまいがちです。この記事では、配管やケーブルラックを支える耐震支持の種別だけにしぼって、何が違うのか、どこに使うのかを説明します。

結論

SA種・A種・B種は、耐震支持の組み方と強さの違いです。A種とSA種は部材で枠を組み、選ぶときの地震力がA種は重量×0.6、SA種は×1.0。B種は斜材で振れ止めする簡単な組み方です。

  • SA種・A種:引張り・圧縮・曲げに耐える部材で組む
  • A種は重量×0.6、SA種は重量×1.0の水平地震力で選ぶ
  • B種:引張りに効く斜材だけで振れ止めする
  • どれを使うかは、施設区分と設置階で決まる(標準仕様書 表2.1.2)
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

SA種・A種・B種は「組み方」が違う

天井から吊ったケーブルラックや配管は、地震のときに横へ大きく揺れます。揺れを止めるために付けるのが耐震支持で、その組み方と強さでSA種・A種・B種に分かれます。

支持なし大きく揺れてぶつかる
B種斜材で振れ止め
A種・SA種部材で枠を組む
A種とSA種選ぶ地震力が違う
種別 組み方 支持材を選ぶ地震力
SA種 引張り・圧縮・曲げに耐える部材で組む 配管等の重量 × 1.0
A種 SA種と同じ組み方 配管等の重量 × 0.6
B種 引張りに効く振止めの斜材だけで組む。吊り材と同じくらいの材料 ―
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)の考え方による。

たとえば、支持1か所が受け持つ配管等の重さが100kgなら、A種は100kg×9.8×0.6≒590N、SA種は100kg×9.8×1.0≒980Nの横向きの力に耐える支持材を選びます。SA種はA種の約1.7倍の力を見込むので、部材が太くなります。

たとえるなら
B種は「つっかえ棒」、A種・SA種は「本棚の筋かい付きの枠」
B種は、吊られたラックが振れすぎないように斜めの線で引っぱっておく、つっかえ棒のような支持です。A種・SA種は、押されても引かれても曲げられても形が崩れないように、部材で枠を組みます。
ここまでのポイント
  • A種・SA種は部材で枠を組む。B種は斜材で振れ止め
  • A種は重量×0.6、SA種は重量×1.0の地震力で選ぶ
  • SA種がいちばん強い

どこにどの種別を使う? ― 施設区分と設置階で決まる

どの種別を何mごとに付けるかは、特記仕様書の施設区分(特定の施設/一般の施設)と、設置する階で決まります。ケーブルラック(横引き)の場合は次のとおりです。

特定の施設上層階は6mごとにSA種
一般の施設どの階もA種又はB種
1階・地下一般の施設なら12mごと
書いてなければ一般の施設を適用
設置場所 特定の施設 一般の施設
上層階・屋上・塔屋 6m以内ごとにSA種 8m以内ごとにA種又はB種
中間階 8m以内ごとにA種 8m以内ごとにA種又はB種
1階・地下階 8m以内ごとにA種 12m以内ごとにA種又はB種
ケーブルラック(横引き)の耐震支持。出典:公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 2.1.13 表2.1.2。
ここに注意!
「立上りのラックにも、B種が使える」ではありません。
B種は吊り材を使って振れ止めする形なので、吊りのない立上りには当てはまりません。立上りはSA種かA種で、各階の構造体に固定します。

表の詳しい読み方と積算での拾い方はケーブルラックの耐震クラスはどう決める?、立上りの耐震支持はケーブルラックの耐震支持方法『立ち上げ編』で説明しています。

ここまでのポイント
  • 施設区分と設置階で、種別と間隔が決まる
  • 特記がなければ一般の施設
  • 立上りにはB種を使えない


耐震クラスS・A・Bとの違い

名前が似ていますが、耐震クラスS・A・Bは、盤や変圧器などの機器を固定するときの強さの区分です。一方、耐震支持のSA種・A種・B種は、配管やケーブルラックを吊って支える金物の組み方の区分です。

耐震クラス S・A・B 耐震支持 SA種・A種・B種
対象 盤・変圧器などの機器 配管・ダクト・ケーブルラック
決めるもの 機器を固定する設計用震度 支持金物の組み方と間隔
決め方 機器の区分(重要/一般)と設置階など 施設区分(特定/一般)と設置階
似た名前でも、決める対象と表が違う。

耐震クラスの決め方は耐震クラスS・A・Bの決め方、機器の区分は重要機器と一般機器の違いで説明しています。

ここまでのポイント
  • 耐震クラスは機器の区分、耐震支持の種別は支持金物の区分
  • 配管・ラックは施設区分と設置階で種別を決める
  • 名前は似ていても、使う表が違う

まとめ|結論

結論

SA種・A種・B種は、耐震支持の組み方と強さの違いです。A種・SA種は部材で枠を組み、地震力を重量×0.6(A種)・×1.0(SA種)で見込みます。B種は斜材で振れ止めします。どれを使うかは、施設区分と設置階で決まり、立上りにB種は使えません。

迷ったら、この順で確かめます。

  1. 特記仕様書で施設区分(特定/一般)を確かめる。書いてなければ一般の施設
  2. 設置階(上層階・中間階・1階と地下)を確かめる。天井から吊るなら直上階
  3. 表2.1.2で種別と間隔を読む
  4. 立上りならSA種かA種で、各階の構造体に固定する

よくある質問

A種とB種の違いは何ですか?

A種は引張り・圧縮・曲げに耐える部材で枠を組む支持で、配管等の重量×0.6の水平地震力で支持材を選びます。B種は引張りに効く振止めの斜材だけで組む支持で、材料が少なくて済みます。

SA種とA種の違いは何ですか?

組み方は同じで、支持材を選ぶときの地震力が違います。A種は重量×0.6、SA種は重量×1.0です。SA種のほうが強い支持になります。

一般の施設の「A種又はB種」はどちらを使えばよいですか?

表ではどちらでもよいとされているので、設計図・施工図の指定に従います。指定がなければ質疑で確かめます。

ケーブルラックの立上りにB種は使えますか?

使えません。B種は吊り材を使って振れ止めする形なので、立上りはSA種かA種で各階の構造体に固定します。

耐震クラスSAというのはありますか?

耐震クラスはS・A・Bの3つです。SA種は耐震支持の種別の名前で、耐震クラスとは別のものです。

次に読むならこれ垂直(縦)の支持間隔は何m?金属管・VE管・ケーブル・ラック・ダクトを1枚で比べる仕様の設計
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。