引込小柱を建てるとき、「この柱に支線は要るのか、省略できるのか」は現場でよく迷うところです。支線は場所を取るので、できれば省きたい。けれども省略には条件があります。この記事では、引込柱の支線だけにしぼって、役目・決まり・省略の条件を説明します。

結論

支線は、引込線に引っぱられる柱を、反対側から支える綱です。張るときは柱との角度30度以上。軟弱地盤でない・地際を堅固に施設・径間が表の範囲の3つがそろったときだけ、省略できます。

  • 支線は、引込線と反対側へ斜めに張る
  • 材料は22mm²以上の亜鉛めっき鋼より線、または直径4mm以上の鉄線3条以上
  • 柱との角度は30度以上
  • 省略は3条件がそろったときだけ(内線規程2205節)
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

支線は何のため? ― 柱が引っぱられて傾くのを防ぐ

引込小柱は、電柱から来た引込線を受けて、建物まで渡す柱です。引込線は張って架けるので、柱は電柱の方へいつも引っぱられています。何もしないと、少しずつ傾いていきます。そこで、引込線と反対側へ斜めに綱を張って、柱を引き戻します。これが支線です。

引込線の力柱を電柱の方へ引っぱる
支線がないと少しずつ傾く
支線の向き引込線と反対側へ
役目柱を立たせておく
たとえるなら
支線は、テントの張り綱
テントのポールは、張り綱がないと風で倒れます。引込小柱も、引込線という「片側だけの力」を受け続けるので、反対側に張り綱(支線)を張って立たせておきます。
ここまでのポイント
  • 引込線は、柱を電柱の方へ引っぱり続ける
  • 支線は、反対側へ斜めに張って柱を支える
  • 支線がないと、柱が少しずつ傾く

支線の決まり ― 材料と角度

支線の材料と角度は、内線規程2205節で決まっています。

より線亜鉛めっき鋼22mm²以上
鉄線直径4mm以上を3条以上
角度柱との角度30度以上
浅いと引っぱっても支えにならない
項目 決まり メモ
材料(より線) 亜鉛めっき鋼より線 22mm²以上 1本で張るならこちら
材料(鉄線) 直径4mm以上の鉄線を3条以上 1本だけでは足りない
角度 柱との角度 30度以上 角度が浅いと、柱を支える力がほとんど出ない
向き 引込線と反対側 引っぱる力を打ち消す向き
内線規程(JEAC8001-2022)2205節による。
ここに注意!
「支線は、柱に沿わせて細く張ればよい」ではありません。
柱との角度が浅いと、支線を強く張っても柱を横から支える力がほとんど出ません。柱との角度は30度以上取ります。
ここまでのポイント
  • 材料は22mm²以上のより線か、直径4mm以上の鉄線3条以上
  • 柱との角度は30度以上
  • 引込線と反対側へ張る


支線を省略できる3つの条件

次の3つがすべてそろったときだけ、支線を省略できます。

  1. 軟弱地盤ではない
  2. 地際をコンクリート巻きなどで堅固に施設する
  3. 径間が内線規程2205-2表の範囲である
地盤軟弱地盤はだめ
地際コンクリート巻きで堅固に
径間2205-2表の範囲
1つ欠けたら支線を入れる

径間は、電柱から引込小柱までの距離です。電線が太いほど、径間が長いほど柱を引っぱる力は大きくなるので、省略できる径間には上限があります。上限は内線規程2205-2表と、引込ポールのメーカーが出している実用径間表で確かめます。

たとえるなら
支線の省略は、重い台にしっかり差したビーチパラソル
重い台にしっかり差せば、ロープなしでもパラソルは立ちます。けれども、やわらかい砂の上や、風を強く受ける大きなパラソルでは倒れます。引込小柱も、地盤・地際・径間の3つがそろったときだけ、支線なしで立てられます。
ここに注意!
「根巻きをすれば、いつでも支線を省略できる」ではありません。
軟弱地盤では省略できません。径間が表の範囲を超えるときも省略できません。3つのうち1つでも欠けたら支線を入れます。

柱の長さ・末口の太さ・引込線の高さなど、引込小柱のほかの決まりは内線規程の解釈と解説【025】|引込小柱などの施設にまとめています。

ここまでのポイント
  • 軟弱地盤でない・地際を堅固に・径間が表の範囲の3つ
  • 3つすべてがそろったときだけ省略できる
  • 径間の上限は2205-2表とメーカーの実用径間表で確かめる

まとめ|結論

結論

引込柱の支線は、引込線に引っぱられる柱を反対側から支える綱で、原則として必要です。軟弱地盤でない・地際を堅固に施設・径間が2205-2表の範囲、の3つがそろったときだけ省略できます。張るときは柱との角度30度以上です。

迷ったら、この順で確かめます。

  1. 地盤が軟弱でないかを確かめる
  2. 地際をコンクリート巻きなどで堅固にできるかを確かめる
  3. 径間が2205-2表とメーカーの実用径間表の範囲かを確かめる
  4. 1つでも欠けたら、22mm²以上のより線などで、柱との角度30度以上の支線を張る


よくある質問

引込柱に支線は必ず必要ですか?

原則として必要です。軟弱地盤でなく、地際をコンクリート巻きなどで堅固に施設し、径間が内線規程2205-2表の範囲であれば、省略できます。

支線の角度は何度以上ですか?

柱との角度を30度以上にします(内線規程2205節)。

支線にはどんな材料を使いますか?

断面積22mm²以上の亜鉛めっき鋼より線、または直径4mm以上の鉄線を3条以上より合わせたものを使います。

支線はどちら向きに張りますか?

引込線に引っぱられる向きと反対側へ張ります。

省略できる径間は何mまでですか?

電線の太さや柱の種類で変わります。内線規程2205-2表と、引込ポールのメーカーの実用径間表で確かめます。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。