この記事は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」第4回 責任分界点とPAS・UGS の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
技術図書館専用受電の引込ケーブル|原則は耐火、条件しだいで一般耐火が問われる理由、一般仕様が認められうる4つの場所、消防協議で説明することをスライドで整理しました。この資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:非常電源専用受電設備の高圧ケーブル耐火仕様
 

敷設方法と消防協議

 
今回の疑問

 

非常電源専用受電設備の場合の

高圧ケーブルって耐火にする必要があるの?

 

あにまるさん
あにまるさん
専用受電設備の場合、引込を耐火にしなさいってよく聞くな~

はりた
はりた
引込の高圧ケーブルについて検討しているのかな?

あにまるさん
あにまるさん
引込ケーブルを耐火にしている場合と一般にしている場合の違いって何なんだい?

はりた
はりた
詳しくは協議になるけど、情報として教えていこう!

結論

非常電源専用受電設備の場合、

引込ケーブルを耐火仕様(FPT)に求められる場合があります

規程などがあるわけではなく、

消防の指導や設計指針によって選定する必要があります

ペン太ペン太
非常電源専用受電設備の引込ケーブルは、必ず全部耐火仕様にするんですよね?
ハリタハリタ
一律ではありません。火災時の断線を防ぐための仕様ですが、敷設場所によって例外があります。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 耐火仕様が求められるのは、どの区間の高圧ケーブルですか。
  • 一般ケーブルでも認められる場所を挙げられますか。
  • 仕様は最終的にどうやって決めますか。
この記事でわかること
非常電源専用受電設備における高圧引込ケーブルの耐火仕様を、5つの視点で整理します。

非常電源専用受電設備の引込回路

トピック1:非常電源専用受電設備の引込回路
引き込みケーブルの仕様

非常電源専用受電設備の場合、非常電源を一般系統から供給しています。

火災によりケーブルが燃えて断線などが起こると電力の供給が止まってしまいます。

このため受電点~キュービクル間の高圧引込ケーブルを

耐火仕様にするよう求められる場合があります。

ペン太ペン太
どんな場所なら一般ケーブルでもいいんですか?
ハリタハリタ
地中敷設、火災の影響が少ない屋外・屋上、不燃材料で区画された機械室などが該当します。
ここまでのポイント
  • 非常電源専用受電設備は、非常電源を一般系統から供給している。
  • 火災によりケーブルが燃えて断線などが起こると、電力の供給が止まってしまう。
  • このため受電点~キュービクル間の高圧引込ケーブルを耐火仕様にするよう求められる場合がある。

一般ケーブルでの条件

トピック2:一般ケーブルでの条件
敷設方法・周囲環境

耐火を求められた場合でも下記条件の場合、一般仕様にて敷設可能な場合があります。

  1. 地中
  2. 別棟、屋外、若しくは屋上又は屋根で  開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所
  3.  不燃材料で区画された機械室等
  4.  耐火性能を有するパイプシャフト
(①及び②以外のものは、金属管工事としたものに限る。)
ポイント

地上キュービクルの場合であれば建物と接触しない引込ルートである場合が多く需要家側での火災によってケーブルが燃える可能性は低いといえます。 このような場合も考慮して、上記のような措置を講じれば一般ケーブルの使用でもよい可能性があります。 敷設状況、施工方法を明記の上協議を事前協議を行いましょう。

一般仕様で敷設できる場所付随する条件
地中
別棟、屋外、若しくは屋上又は屋根で開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所
不燃材料で区画された機械室等金属管工事としたものに限る
耐火性能を有するパイプシャフト金属管工事としたものに限る
ここまでのポイント
  • 耐火を求められた場合でも、条件によっては一般仕様で敷設できる場合がある。
  • 対象は、地中/別棟・屋外・屋上又は屋根で開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所/不燃材料で区画された機械室等/耐火性能を有するパイプシャフト。
  • ①及び②以外のものは、金属管工事としたものに限る。
  • 地上キュービクルの場合は建物と接触しない引込ルートが多く、需要家側の火災でケーブルが燃える可能性は低いといえる。
  • 敷設状況・施工方法を明記のうえ、事前協議を行う。

技術基準の記載

トピック3:技術基準の記載
非常電源

非常電源専用受電設備の引込回路の配線及び機器は、次によること。 (1) 配線 非常電源専用受電設備の場合については、建物引込点より規制されることとされており、 引込線取付点(電気事業者用の変電設備がある場合は、当該室等の引出口)から非常電源の 専用区画等までの回路(以下「引込回路」という。)の配線は、別表「耐火耐熱保護配線の 工事方法」(以下「別表」という。)の耐火配線により施設すること。ただし、次に掲げる場所については、別表の耐火配線の電線の種類(①及び②以外のものは、金属管工事としたものに限る。)を用いることで足りるものとする。 ① 地中 ② 別棟、屋外、若しくは屋上又は屋根で開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所 ③ 不燃材料で区画された機械室等 ④ 耐火性能を有するパイプシャフト

出典:(福岡市 福岡市消防用設備等の技術基準|福岡市消防局)より

 
ここまでのポイント
  • 引込回路の配線は、引込線取付点(電気事業者用の変電設備がある場合は当該室等の引出口)から非常電源の専用区画等までが対象。
  • この区間の配線は、別表「耐火耐熱保護配線の工事方法」の耐火配線により施設する。
  • ただし所定の4つの場所については、別表の耐火配線の電線の種類を用いることで足りる(①及び②以外は金属管工事としたものに限る)。

耐火仕様の判断ポイント(早見図)

トピック4:耐火仕様の判断ポイント(早見図)
原則:非常電源専用受電設備では、受電点~キュービクル間の高圧引込ケーブルを耐火仕様(FPT)とするよう求められる場合があります。
次の場所は一般ケーブルでも可となる場合があります
  1. 地中
  2. 別棟、屋外、若しくは屋上又は屋根で開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所
  3. 不燃材料で区画された機械室等
  4. 耐火性能を有するパイプシャフト

※ ①及び②以外のものは、金属管工事としたものに限る。

規程で一律に定められるものではなく、消防の指導・設計指針により選定し、事前協議が必要です。
取り違えやすいところ正しくは
非常電源専用受電設備なら必ず耐火一律の規程があるわけではなく、消防の指導や設計指針によって求められる場合がある
屋外なら無条件で一般ケーブルでよい別棟・屋外・屋上/屋根でも、開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所であること
4つの場所はすべて同じ扱い①及び②以外のものは、金属管工事としたものに限る
地上キュービクルなら検討は不要建物と接触しない引込ルートが多く可能性は低いが、措置を講じたうえで協議する
仕様は設計側だけで決められる敷設状況・施工方法を明記のうえ、事前に消防協議を行って決定する
ここまでのポイント
  • 原則として、受電点~キュービクル間の高圧引込ケーブルを耐火仕様(FPT)とするよう求められる場合がある。
  • 所定の4つの場所は、一般ケーブルでも可となる場合がある。
  • 規程で一律に定められるものではなく、消防の指導・設計指針により選定する。
  • 事前協議が必要になる。

よくある質問(FAQ)

トピック5:よくある質問(FAQ)

Q. 非常電源専用受電設備の高圧引込ケーブルは必ず耐火にする必要がありますか?
A. 一律の規程があるわけではなく、消防の指導や設計指針によって耐火仕様(FPT)が求められる場合があります。

Q. 一般ケーブルでも認められる場合はありますか?
A. あります。地中、別棟・屋外・屋上/屋根で開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所、不燃材料で区画された機械室等、耐火性能を有するパイプシャフトなどの条件では一般仕様で敷設できる場合があります(①②以外は金属管工事としたものに限る)。

Q. 地上キュービクルの場合はどう考えればよいですか?
A. 建物と接触しない引込ルートとなることが多く、需要家側の火災でケーブルが燃える可能性は低いといえます。措置を講じれば一般ケーブルの使用が可能な場合もあります。

Q. 仕様はどのように決めればよいですか?
A. 敷設状況・施工方法を明記のうえ、事前に消防協議を行って決定しましょう。

ペン太ペン太
仕様を決めるとき、最後に何をすべきですか?
ハリタハリタ
消防との事前協議が必須です。判断ポイントを整理してから協議に臨みましょう。

まとめ|「原則は耐火、条件しだいで一般」を協議で確定する

非常電源専用受電設備の高圧引込ケーブルは、原則として耐火仕様を求められる一方、敷設場所と工事方法しだいで一般仕様も認められうるため、最後は消防との事前協議で確定させます。

確認する項目内容
なぜ耐火が問われるのか非常電源を一般系統から供給しており、火災による断線で供給が止まるため
対象となる区間受電点~キュービクル間(引込線取付点から非常電源の専用区画等まで)
原則の仕様別表「耐火耐熱保護配線の工事方法」の耐火配線
一般仕様が認められうる場所①地中
一般仕様が認められうる場所②別棟、屋外、若しくは屋上又は屋根で開口部からの火災の影響を受けるおそれが少ない場所
一般仕様が認められうる場所③不燃材料で区画された機械室等
一般仕様が認められうる場所④耐火性能を有するパイプシャフト
③④に付く条件金属管工事としたものに限る
地上キュービクルの場合建物と接触しない引込ルートが多く、需要家側の火災で燃える可能性は低い
決め方敷設状況・施工方法を明記のうえ、事前に消防協議を行う

計画で押さえること

  • 非常電源を一般系統から供給する構成かどうか。
  • 受電点からキュービクルまでのルート。
  • 建物と接触するルートになっていないか。

仕様の検討で押さえること

  • 4つの場所のどれにあたるか。
  • 金属管工事としたものに限られる場所かどうか。
  • 耐火仕様(FPT)とする範囲。

協議で押さえること

  • 敷設状況と施工方法を明記すること。
  • 消防の指導・設計指針の確認。
  • 事前協議のタイミング。

この判断は規程の数値だけでは決まらず、建物の構成と敷設ルートをどう説明できるかにかかっています。図面がまとまった段階で判断ポイントを整理し、早めに協議の場を持っておくと、後戻りの少ない進め方ができます。

📘 体系的に学びたい方へ
このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。