内線規程の解釈と解説【070】|工業用赤外線灯加熱装置
出典:内線規程(JEAC8001-2022)より
工業用赤外線灯加熱装置は、赤外線で工業製品を加熱・乾燥させる装置です。高温になり、塗装の乾燥など引火のおそれがある場所で使われることも多いため、内線規程では対地電圧・回路の分割・装置内配線・設置場所まで安全のためのルールが細かく定められています。この記事ではそのポイントを整理して解説します。

赤外線装置は原則として対地電圧150V以下に適用され、所定の条件を満たせば300V以下まで認められます。一装置の最大使用電流が50Aを超える場合は各回路50A以下に分割し、装置内の電線は直径1.6mm以上の軟銅線等を使用、端子部の温度上昇は40℃以下とします。
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 赤外線装置の対地電圧は、原則として何V以下ですか。
- 一装置の最大使用電流が50Aを超えるとき、どうしますか。
- 端子部の温度上昇は、何℃以下に抑えますか。
① 適用範囲と分岐回路
- 対地電圧150V以下の赤外線装置の施設に適用されます。
- 灯具に接触防護装置を施す場合、灯具がキー等点滅機構のないものである場合、灯具を屋内配線と直接接続する場合は、対地電圧を300V以下とできます。
- 赤外線装置は加熱装置回路の幹線及び分岐回路に規定する分岐回路で使用します。
- 一装置の最大使用電流が50Aを超える場合は、適切なユニット又は群ごとに分割し、各回路の最大使用電流を50A以下とします。
ペン太
ハリタ| 条件 | 対地電圧 |
|---|---|
| 原則 | 150V以下 |
| 灯具に接触防護装置を施す場合 | 300V以下とできる |
| 灯具がキー等点滅機構のないものである場合 | 300V以下とできる |
| 灯具を屋内配線と直接接続する場合 | 300V以下とできる |
- 対地電圧150V以下の赤外線装置の施設に適用される。
- 接触防護装置・キー等点滅機構なし・屋内配線と直接接続のいずれかで、対地電圧300V以下とできる。
- 加熱装置回路の幹線及び分岐回路に規定する分岐回路で使用する。
- 一装置の最大使用電流が50Aを超える場合は分割し、各回路50A以下とする。
② ソケット・露出充電部・装置内の配線
- ソケットはキーレスで、磁器又はこれと同等以上の耐熱性・絶縁性を有するものを使用します。
- 人が容易に触れるおそれのある露出充電部がないようにします(取扱者以外が出入りできない場所を除く)。
- 装置内の電線は直径1.6mm以上の軟銅線又は同等以上のものを使用します。
- 耐熱性絶縁被覆電線、又は裸銅線を厚さ1mm以上の堅ろうな磁器製がい管に収め耐熱性絶縁物で支持します。
- 装置内配線と外部配線は接続端子で接続し、端子部の温度上昇は40℃以下とします。
- ソケットはキーレスで、磁器または同等以上の耐熱性・絶縁性のあるもの。
- 人が容易に触れるおそれのある露出充電部がないようにする(取扱者以外が出入りできない場所を除く)。
- 装置内の電線は直径1.6mm以上の軟銅線または同等以上のもの。
- 装置内配線と外部配線は接続端子で接続し、端子部の温度上昇は40℃以下とする。
③ 可搬形・移動形と設置場所
- 可搬形・移動形で電球を附属する場合は、キャブタイヤケーブル又は同等以上のものを使用します(種類の選定は3203-1表を参照)。
- 爆発性ガスを充満するおそれがある場所や可燃性じんあいがある場所には施設しません。
- 塗装工場などのスプレーブース装置からは極力離して施設します(近傍は特殊場所の規定による)。
- コンベア式等では、コンベア停止時に自動的に赤外線電球を消灯する保護装置を設けます。
赤外線装置は、いわば「強力な電気ストーブを工場で使う」ようなものです。家庭でもストーブは燃えやすい物から離し、安定した場所で使いますよね。工業用はさらに高温・大電流になるため、対地電圧を抑え、回路を分割し、可燃物から離すといった一段厳しいルールで守っているのです。
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 対地電圧はいつでも300Vまで使える | 原則は150V以下。300V以下にできるのは、接触防護装置・キー等点滅機構なし・屋内配線と直接接続のいずれかの条件を満たす場合 |
| 50Aを超えたら太い電線にすればよい | ユニット又は群ごとに分割し、各回路の最大使用電流を50A以下にする |
| 装置内の電線は一般の絶縁電線でよい | 直径1.6mm以上の軟銅線等で、耐熱性絶縁被覆電線、または裸銅線を厚さ1mm以上の磁器製がい管に収めて耐熱性絶縁物で支持する |
| ソケットは耐熱性があれば形式は問わない | キーレスで、磁器またはこれと同等以上の耐熱性・絶縁性のあるものを使う |
| スプレーブースの近くでも離せば施設できる | 極力離して施設する。近傍は特殊場所の規定による |
- 電球を附属する可搬形・移動形は、キャブタイヤケーブル(同等以上)を使う。
- 爆発性ガスを充満するおそれがある場所、可燃性じんあいがある場所には施設しない。
- スプレーブース装置からは極力離す。
- コンベア式等は、停止時に赤外線電球を自動消灯する保護装置を設ける。
よくある質問(FAQ)
まとめ|電圧・電流・場所の3つで赤外線装置を安全に
工業用赤外線灯加熱装置は、対地電圧を抑え、回路を50A以下に分割し、可燃物や爆発性ガスのある場所から遠ざけるのが基本です。
| 確認する項目 | 規程が示す数値・条件 |
|---|---|
| 対地電圧(原則) | 150V以下 |
| 対地電圧(条件付き) | 300V以下(接触防護装置/キー等点滅機構なし/屋内配線と直接接続) |
| 一回路の最大使用電流 | 50A以下(超える場合はユニット又は群ごとに分割) |
| 装置内の電線 | 直径1.6mm以上の軟銅線又はこれと同等以上のもの |
| 裸銅線を使う場合 | 厚さ1mm以上の堅ろうな磁器製がい管に収め、耐熱性絶縁物で支持 |
| 端子部の温度上昇 | 40℃以下 |
| ソケット | キーレスで、磁器又はこれと同等以上の耐熱性・絶縁性のあるもの |
| 可搬形・移動形の電線 | キャブタイヤケーブル又はこれと同等以上のもの(種類は3203-1表による) |
| 施設できない場所 | 爆発性ガスを充満するおそれのある場所、可燃性じんあいのある場所 |
| コンベア式等の保護装置 | コンベア停止時に赤外線電球を自動的に消灯 |
回路の計画で押さえること
- 対地電圧の区分と、300V以下にできる条件。
- 分岐回路の規定に合った回路から供給すること。
- 最大使用電流50Aを超える場合の分割。
装置の中で押さえること
- ソケットの種類と耐熱性。
- 露出充電部をなくすこと。
- 電線の太さ・耐熱性と、端子部の温度上昇40℃以下。
設置場所で押さえること
- 爆発性ガス・可燃性じんあいのある場所を避ける。
- スプレーブース装置から極力離す。
- コンベア停止時の自動消灯。
赤外線装置は「高温になる」「大電流が流れる」「引火のおそれがある場所で使われる」という3つの条件が重なりやすい設備です。上の表の数値をそのままチェックリストとして使うと、計画・施工・検査のどの段階でも確認しやすくなります。
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