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この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。

粉じん危険場所における電気設備の施設方法を内線規程(JEAC8001-2022)に基づき解説。爆燃性・可燃性粉じんと易燃性繊維の区分、合成樹脂管配線(2mm未満・CD管不可、差込深さ外径1.2倍/接着剤0.8倍以上)、防爆防じん構造の機器、C種接地工事と接地抵抗100Ω以下までを図解とFAQで整理します。

技術図書館特殊な場所の配線|場所の区分で工事方法が決まる粉じん・じんあい・ガス蒸気・危険物・腐食性ガス・火薬庫。先に決まるのは機器ではなく場所の区分、という見取り図を全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

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出典:電気設備の技術基準の解釈 第175条・第29条

粉じん爆発とは、可燃性の粉じんが空気中に浮遊し、そこに点火源が加わって発生する爆発現象です。粉じん危険場所では、粉じんの種類に応じた区分と、配線・機器・接地それぞれの防爆対策が欠かせません。本記事では、電気設備の技術基準の解釈の決まりにもとづいて図解で整理します。

粉じんで、3つに分ける 爆燃性・可燃性・その他。
爆燃性の配線は、金属管かケーブル 第一号イ。
可燃性の配線は、合成樹脂管も可 第二号ロ。
機器は、粉じん防爆の構造 特殊防じん・普通防じん。
ペン太ペン太
小麦粉や砂糖の粉でも爆発するんですか…!
ハリタハリタ
浮遊する可燃性粉じんに点火源が加わると爆発します。爆燃性・可燃性・その他の3つの区分が出発点です。

この記事で押さえる3つのこと

  • 粉じんの区分は、爆燃性・可燃性・その他の3つ(第175条)。
  • 合成樹脂管は可燃性の場所で。差込みは外径の1.2倍以上。
  • 機器は爆燃性で特殊防じん、可燃性で普通防じんの構造。
この記事の道案内
施工の数値は、2つ目の項にまとめています。

1. 粉じんの区分

爆燃性粉じん マグネシウム・アルミ等。
可燃性粉じん 小麦粉・でん粉等。
その他の粉じんの多い場所 綿・麻・絹などの繊維も。
特別高圧は、施設しない 第175条第2項。
  • 解釈第175条では、粉じんの多い場所を3つに分けて、それぞれの施設のしかたを決めています
  • 爆燃性粉じん(第一号):マグネシウム、アルミニウムなどの粉じんで、空気中に浮遊しても集積しても、着火すると爆発するおそれがあるもの。火薬類の粉末もここで扱います
  • 可燃性粉じん(第二号):小麦粉、でん粉などの粉じんで、空中に浮遊した状態で着火すると爆発するおそれがあるもの(爆燃性粉じんを除く)
  • その他の粉じんの多い場所(第三号):綿・麻・絹などの燃えやすい繊維の粉じんがある場所では、粉じんに着火しないように施設します。有効な除じん装置があれば、第三号の決まりによらなくてもかまいません
  • 特別高圧の電気設備は、粉じんの多い場所に施設しません(第2項)。IEC 60079-14(2013)によって施設する方法もあります(第四号)
  • 区分の名前(易燃性繊維など)や物質の例の一覧は、内線規程で確かめます
ペン太ペン太
合成樹脂管なら、どの管でも使えるんでしょうか?
ハリタハリタ
可燃性粉じんの場所なら、厚さ2mm未満の電線管とCD管以外を使えます。爆燃性粉じんの場所では使えません。
区分 決まり(解釈第175条)
爆燃性粉じん Mg・Alなど(第一号)
可燃性粉じん 小麦粉・でん粉など(第二号)
その他の場所 繊維にも着火させない
特別高圧 施設しない(第2項)
物質の例の一覧 内線規程で確認
たとえるなら
爆燃性と可燃性は、火薬と小麦粉のちがい
火薬は置いてあるだけでも火がつけば爆発しますが、小麦粉は宙に舞ったときに危なくなります。解釈も、集積しても爆発するおそれがある爆燃性粉じんと、浮遊したときに爆発するおそれがある可燃性粉じんを分けています。
ここに注意!
「粉じんの区分は、易燃性繊維を入れた3つ」ではありません。
解釈の区分は、爆燃性粉じん(第一号)、可燃性粉じん(第二号)、それ以外の粉じんの多い場所(第三号)です。綿・麻・絹などの燃えやすい繊維は第三号の中で扱います。区分の名前や物質の例の一覧は、内線規程で確かめます。
ここに注意!
「粉じんの多い場所でも、特別高圧を施設できる」ではありません。
特別高圧の電気設備は、粉じんの多い場所に施設しません(解釈第175条第2項)。この条の決まりは、低圧と高圧の電気設備についてのものです。
ここまでのポイント
  • 粉じんの多い場所は、爆燃性・可燃性・その他の3つに分ける
  • 爆燃性粉じんは、マグネシウム・アルミニウムなど(火薬類の粉末も)
  • 可燃性粉じんは、小麦粉・でん粉など(浮遊で爆発するおそれ)
  • 燃えやすい繊維はその他の場所で扱う。特別高圧は施設しない


2. 配線の工事

金属管は、薄鋼電線管以上 5山以上ねじ合わせ。
ボックスは、パッキンで密に 粉じんを入れない。
ケーブルは、キャブタイヤ以外 防護装置に収める。
可とう部分は、粉じん防爆型 フレキシブルフィッチング。
  • 爆燃性粉じんの場所(第一号)は、金属管工事かケーブル工事です。合成樹脂管工事は使えません
  • 金属管は薄鋼電線管以上の強さのものとし、管とボックス・器具は5山以上ねじ合わせて堅ろうに、粉じんが入らないように接続します。ボックスはパッキンで粉じんを入れません
  • ケーブルはキャブタイヤケーブル以外とし、がい装ケーブルやMIケーブルを除いて、管などの防護装置に収めます。器具への引込口はパッキンや充てん剤で粉じんを入れません
  • 電動機に接続する部分で可とう性が要るところは、粉じん防爆型フレキシブルフィッチング(第159条第4項第一号)を使います
合成樹脂管は、2mm未満・CD管以外 第二号ロ(イ)。
差込みは、外径の1.2倍以上 接着剤なら0.8倍以上。
ボックスは、粉じんが入り難く パッキンなどで。
金属管・ケーブルも、使える 第二号ロ(ロ)・(ハ)。
  • 可燃性粉じんの場所(第二号)は、合成樹脂管工事・金属管工事・ケーブル工事のどれかです
  • 合成樹脂管は、厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管以外を使い、損傷を受けないように施設します
  • 管と電気機械器具は、差込み深さを管の外径の1.2倍(接着剤を使うときは0.8倍)以上にして接続します(第158条第3項第二号に準じる)
  • ボックスは、パッキンやすきまの奥行きを長くする方法などで、粉じんが入り難いようにします
  • その他の粉じんの多い場所(第三号)は、がいし引き・合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属ダクト・バスダクト(換気型を除く)・ケーブルの各工事です
配線 決まり(解釈第175条)
爆燃性の場所 金属管かケーブル
金属管の接続 5山以上ねじ合わせ
爆燃性のケーブル キャブタイヤ以外
可燃性の合成樹脂管 2mm未満・CD管以外
差込み深さ 外径の1.2倍以上
接着剤を使うとき 外径の0.8倍以上
可とう部分 粉じん防爆型
たとえるなら
ねじ5山の接続は、びんのふたをしっかり閉める
びんのふたを何回転も回して閉めれば、中に粉が入りません。爆燃性粉じんの場所の金属管も、5山以上ねじ合わせて堅ろうに接続し、ボックスはパッキンで粉じんを入れません。
ここに注意!
「合成樹脂管工事は、どの粉じんの場所でも使える」ではありません。
合成樹脂管工事が使えるのは、可燃性粉じんの場所(第二号)とその他の場所(第三号)です。爆燃性粉じんの場所(第一号)は、金属管工事かケーブル工事です。
ここに注意!
「差込み深さは、管の外径の0.8倍でよい」ではありません。
管と電気機械器具の差込み深さは、管の外径の1.2倍以上です。0.8倍以上でよいのは、接着剤を使う場合です(解釈第175条第1項第二号・第158条第3項第二号)。
ここまでのポイント
  • 爆燃性の場所は金属管工事かケーブル工事(合成樹脂管は不可)
  • 金属管は薄鋼電線管以上、5山以上ねじ合わせて接続する
  • 可燃性の場所の合成樹脂管は、厚さ2mm未満の電線管とCD管以外
  • 差込み深さは管の外径の1.2倍(接着剤を使うときは0.8倍)以上
  • 電動機の可とう性が必要な部分には、粉じん防爆型フレキシブルフィッチング(解釈第159条第4項適合品)を使用する


3. 機器・移動電線・接地

爆燃性の機器は、特殊防じん構造 第一号ニ。
可燃性の機器は、普通防じん構造 第二号ニ。
移動電線は、接続点なし 種類は区分で決まる。
外箱の接地は、電圧で決まる 第29条(D種・C種)。
  • 電気機械器具は、爆燃性粉じんの場所では粉じん防爆特殊防じん構造、可燃性粉じんの場所では粉じん防爆普通防じん構造のものです(第一号ニ・第二号ニ)
  • その他の粉じんの多い場所では、粉じんが付いて温度が異常に上がるおそれや、絶縁・開閉の性能が損なわれるおそれがある器具に、防じん装置を施します
  • 移動電線は、爆燃性では3種・4種のキャブタイヤケーブル、可燃性では1種以外のキャブタイヤケーブルとし、接続点のないものを損傷を受けないように施設します
  • 電線と器具は、震動でゆるまないように堅ろうに接続します。電灯器具は造営材に直接か、電灯つり管などで堅ろうに取り付け、電動機は過電流で粉じんに着火しないように施設します
  • 解釈第175条に接地の決まりはありません。金属製外箱は解釈第29条により、300V以下はD種、300Vを超えるとC種の接地工事です
  • 移動灯・可搬形機器を原則使わないこと、露出金属部を原則C種にすること、接地抵抗値、地絡の警報と遮断は、内線規程で確かめます
思いこみ 正しくは
合成樹脂管はどこでも 可燃性の場所で
差込みは0.8倍 1.2倍(接着剤0.8倍)
可燃性も特殊防じん 普通防じん構造
移動電線は何でも 区分で種類が決まる
接地はC種が解釈 第29条で電圧による
特別高圧も可 施設しない
たとえるなら
防じん構造は、粉の舞う台所の密閉容器
粉が舞う台所でも、密閉容器の中には粉が入りません。粉じん防爆の構造の機器も、粉じんが入らないようにして点火源にならないようにします。爆燃性では特殊防じん、可燃性では普通防じんです。
ここに注意!
「可燃性粉じんの機器も、特殊防じん構造が決まり」ではありません。
爆燃性粉じんの場所は粉じん防爆特殊防じん構造、可燃性粉じんの場所は粉じん防爆普通防じん構造の機器です(解釈第175条第1項第一号ニ・第二号ニ)。
ここに注意!
「粉じん危険場所の接地は、C種が解釈の決まり」ではありません。
解釈第175条に接地の決まりはなく、金属製外箱は解釈第29条により300V以下はD種、超えるとC種です。露出金属部を原則C種にすることや、接地抵抗値・地絡の警報と遮断は、内線規程で確かめます。
ペン太ペン太
先生、燃えない金属でも粉だと危ないんですか?
ハリタハリタ
そうなんだ。マグネシウムやアルミも粉になって舞うと“爆燃性粉じん”として一番危険な区分になる。だから機器は特殊防じん構造が必要なんだよ。
ペン太ペン太
合成樹脂管の接続で気をつける数字はありますか?
ハリタハリタ
差込み深さだね。可燃性粉じんの場所の合成樹脂管は、管の外径の1.2倍以上、接着剤を使うときは0.8倍以上だよ。爆燃性粉じんの場所は合成樹脂管ではなく、金属管かケーブルにするんだ。
ここまでのポイント
  • 機器は、爆燃性の場所では粉じん防爆特殊防じん構造
  • 可燃性の場所では、粉じん防爆普通防じん構造
  • 移動電線は、爆燃性で3種・4種、可燃性で1種以外のキャブタイヤ。接続点なし
  • 金属製外箱の接地は第29条(300V以下D種、超えるとC種)
  • 原則C種・接地抵抗値・地絡の警報と遮断は、内線規程で確かめる


よくある質問(FAQ)

Q1. 区分は? 爆燃性・可燃性・その他。
Q2. 合成樹脂管は? 可燃性の場所なら可。
Q3. 機器の構造は? 特殊防じん・普通防じん。
Q4. 接地は? 300V以下はD種。
Q. 粉じん危険場所はどのように区分されますか?
A. 解釈第175条では、爆燃性粉じん(マグネシウム・アルミニウムなど)、可燃性粉じん(小麦粉・でん粉など)、それ以外の粉じんの多い場所の3つに分けます。燃えやすい繊維の粉じんは3つ目の場所で扱い、着火しないように施設します。物質の例の一覧は内線規程で確かめます。
Q. 合成樹脂管配線で守るべき寸法のルールは何ですか?
A. 合成樹脂管工事が使えるのは可燃性粉じんの場所などで、爆燃性粉じんの場所では使えません。厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管以外の管を使い、管と電気機械器具は差込み深さを管の外径の1.2倍(接着剤を使う場合は0.8倍)以上にして接続します(解釈第175条・第158条)。
Q. 粉じん危険場所での接地工事はどうしますか?
A. 解釈第175条に接地の決まりはなく、機械器具の金属製外箱は解釈第29条により、300V以下はD種、300Vを超えるとC種の接地工事です。露出金属部を原則C種にすることや、接地抵抗値、地絡の警報と遮断は、内線規程で確かめます。

まとめ|粉じんの区分が、機器の構造を決める

粉じん危険場所では、まず粉じんの区分(爆燃性・可燃性・その他)を確定させることが出発点です。その区分によって、使える配線の工事と、機器に求められる防じん構造が変わります。合成樹脂管工事は、可燃性粉じんの場所なら使えます。

確認する項目 決まり
粉じんの区分 爆燃性・可燃性・その他
爆燃性の配線 金属管かケーブル
可燃性の配線 合成樹脂管も可
差込み深さ 外径の1.2倍以上
爆燃性の機器 特殊防じん構造
可燃性の機器 普通防じん構造
接地 第29条(D種・C種)
例の一覧・C種原則 内線規程で確認

同じ「粉じん」でも、小麦粉とアルミ粉では求められる構造が変わります。取り扱う物質が決まった時点で区分を確定させておけば、機器の型式選定でつまずくことがありません。

ペン太ペン太
機器と接地は、どう仕上げればいいですか?
ハリタハリタ
区分に合った防じん構造の機器を選び、金属製外箱は解釈第29条で電圧に応じて接地します。原則C種にする決まりは内線規程で確かめましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。