①一種耐熱形は840℃・30分の加熱で内部280℃以下、二種耐熱形は280℃・30分の加熱で内部105℃以下が条件です。②居室や一般の廊下・階段は一種、パイプシャフト・屋外・開放廊下は二種が基本です。③建築基準法と消防法の2つの選定表を突き合わせて確定します。
ペン太ペン太
耐熱盤って要するに熱に強い盤ってことでいいんですよね?
ハリタハリタ
火災時にも電気供給を止めないための盤です。設置場所の火災リスクで選定します。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 一種耐熱形が想定する火災の温度と、キャビネット内部温度の上限はいくつか
  • 居室や一般の廊下・階段には、一種と二種のどちらを使うか
  • 耐熱盤の選定は、どの2つの法律を確認して決めるか
この記事でわかること
現場で選定するときは、フローチャートの項が早く判断できます。

🔥一種耐熱盤・二種耐熱盤の違いと設置場所とは?

ペン太ペン太
耐熱盤って聞いたことあるけど…一種とか二種とか、どう違うんだろう?
ハリタハリタ
いい質問だね!用途によって使い分ける必要があるんだよ。じゃあ、まずはその違いから解説していこう!

災害時に、電気を止めずに安全を守るために必要なのが「耐熱盤」。
特に、防災設備(消火ポンプや排煙ファンなど)に電気を供給する配電盤や分電盤には、高い耐熱性能が求められます。

その耐熱盤には、「一種耐熱形」と「二種耐熱形」の2種類があります。
今回は、この2つの違いをわかりやすく解説します。


✅ 一種耐熱形・二種耐熱形の違い

消防庁告示第10号では、一種耐熱形は840℃に達する加熱を30分間行い、盤の中の温度が280℃以下であることを求めます。二種耐熱形は280℃に達する加熱を30分間行い、盤の中が105℃以下であることを求めます。
種類 耐熱試験条件 キャビネット内部温度(30分後)
一種耐熱形 30分で840℃に達する火災を想定 280℃以下
二種耐熱形 30分で280℃に達する中規模火災を想定 105℃以下
ペン太ペン太
えっ!840℃の火災って…そんなに熱くなるの!?
ハリタハリタ
そうだよ。一種耐熱形は、まさに「大規模火災でも機器を守る」ための高性能タイプなんだ。防災用の重要設備に使われることが多いよ!
種別 耐熱試験の想定 内部温度の上限 主な設置例
一種耐熱形 30分で840℃に達する火災 280℃以下 居室、一般の廊下・階段、延焼のおそれがある屋外
二種耐熱形 30分で280℃に達する中規模火災 105℃以下 延焼のおそれのない屋外、開放廊下、機械室、パイプシャフト
一般形 耐熱試験は課されない — 電気室など防火区画された設備室
たとえるなら
一種と二種は、「防火金庫」と「耐熱ランチボックス」のようなものです。
どちらも中身を熱から守りますが、火事の炎に耐える金庫と、夏の車内の暑さに耐える箱では、想定している熱の強さが違います。盤も、置く場所で想定される火災の強さに合わせて選びます。
ひっかけ注意
「一種と二種は耐えられる時間が違う」ではありません。
どちらも30分間の試験です。違うのは、外から当てる温度(840℃と280℃)と、盤の中で守る温度(280℃以下と105℃以下)です(消防庁告示第10号)。
ここまでのポイント
  • 一種耐熱形は30分で840℃に達する火災を想定し、キャビネット内部温度を280℃以下に保つ
  • 二種耐熱形は30分で280℃に達する中規模火災を想定し、内部温度を105℃以下に保つ
  • 一種は大規模火災でも機器を守るための高性能タイプ


どこにどの耐熱盤?一種・二種耐熱形の設置場所早見表!

火災時にも電気を供給し続けるために必要な「耐熱盤」。
でも、「一種?二種?どこにどれを使えばいいの?」と悩みがちですよね。

実は、建築基準法と消防法の2つの法律で、設置場所に応じた配電盤の種類が決められています。


ペン太ペン太
一種は840℃の火災想定なんですか!二種との差が想像以上でした…
ハリタハリタ
一種は30分840℃で内部280℃以下、二種は280℃想定で内部105℃以下です。

🏢 まずは分類!設置場所と選ぶべき耐熱盤

設置場所 おすすめの配電盤 理由・補足
防火区画内 一般形 or 二種耐熱形 火災が限定的。火元が少ない。
居室 一種耐熱形 人がいて、火災の影響を受けやすいため(機械室は二種耐熱形)。
一般の廊下・階段 一種 or 二種 避難に支障が出ないようにする。
屋外(延焼あり) 一種耐熱形 火の回り込みが想定される。
屋外(その他) 二種耐熱形 延焼の恐れが小さい場所。

ここまでのポイント
  • 防火区画内は火災が限定的で火元も少ないため、一般形または二種耐熱形
  • 居室は人がいて火災の影響を受けやすいため一種耐熱形(機械室は、建築基準法・消防法のどちらの表でも二種耐熱形)
  • 一般の廊下・階段は、一種が基本(建築基準法の表では条件により二種も可。避難階段には置けない)
  • 屋外で延焼のおそれがあれば一種、それ以外は二種

🧱 建築基準法による配電盤選定(表-1)

建築基準法による選定では、耐火区画室は一般形、それ以外の室・開放廊下・延焼のおそれのない屋外は二種、居室・一般の廊下や階段・延焼のおそれのある屋外は一種です。避難階段・特別避難階段・非常用エレベーターの乗降ロビーには設置できません。
設置場所 使用する配電盤の種類
耐火区画の室 一般形
上記以外の室 二種耐熱形
居室 一種耐熱形
屋外(延焼の恐れ) 一種耐熱形
屋外(その他) 二種耐熱形
廊下(一般) 一種 or 二種耐熱形(※条件あり)
廊下(開放) 二種耐熱形
階段(一般) 一種 or 二種耐熱形(※条件あり)
避難階段・EVロビー 設置不可


🔍 ポイント:「延焼」「開放」「防火区画」などのワードに注目!
※条件ありの場所は、選定表の注記に条件があります(一般の廊下・階段は、条件により二種耐熱形でもよい場合があります)。適用できるかは、JSIA(日本配電制御システム工業会)の選定表の注記と所轄の判断で確かめてください。


ここまでのポイント
  • 耐火区画の室は一般形、それ以外の室は二種耐熱形
  • 居室と、屋外で延焼のおそれがある場所は一種耐熱形
  • 屋外(その他)と開放廊下は二種耐熱形
  • 避難階段・EVロビーには設置できない


🔥 消防法による配電盤選定(表-2)

消防法による選定では、電気室は一般形、機械室・パイプシャフト・屋外又は屋上・開放廊下・避難階段と附室は二種、居室・一般の廊下・一般の階段は一種です。

👷 消防設備を設計する際はこちらのルールも確認!

設置場所 使用する配電盤の種類
電気室 一般形
機械室 二種耐熱形
パイプシャフト 二種耐熱形
居室 一種耐熱形
屋外または屋上 二種耐熱形
廊下・階段(一般) 一種耐熱形
避難階段・特別避難階段(附室を含む) 二種耐熱形


ひっかけ注意
「消防法の選定では、居室は二種でよい」ではありません。
日本配電制御システム工業会の選定表では、消防法でも居室は一種耐熱形です。二種になるのは機械室・パイプシャフト・屋外又は屋上・開放廊下・避難階段と附室です。
ここまでのポイント
  • 電気室は一般形
  • 機械室・パイプシャフト・屋外または屋上・開放廊下は二種耐熱形
  • 居室と一般の廊下・階段は一種耐熱形
  • 避難階段・特別避難階段(附室を含む)は二種耐熱形(建築基準法の表では、避難階段・特別避難階段には置けないので注意)

✅ 最後に:選定フローチャート

まず建築基準法で盤を置けない場所でないかを確かめ、次に居室・一般の廊下や階段・延焼のおそれのある屋外なら一種、耐火区画室・電気室なら一般形、それ以外は二種を選びます。最後に2つの選定表を突き合わせて、厳しいほうに合わせます。

以下のようなチャートで選定すると簡単です:

1. 居室、または一般の廊下・階段ですか?(避難階段・特別避難階段・非常用EVの乗降ロビーは、建築基準法の表では置けません)
└─ はい → 一種耐熱形
└─ いいえ

2. 屋外で延焼の恐れがありますか?
└─ はい → 一種耐熱形
└─ いいえ → 二種耐熱形

3. 防火区画内で安全な機器室など
└─ はい → 一般形または二種耐熱形

 

ペン太ペン太
なるほど〜!順番にたどっていけば、どの耐熱形にするか分かるってわけだね!
ハリタハリタ
そうそう!火災時に人がいる場所や、延焼しそうな場所は一種って覚えておけば安心だよ!



取り違えやすいところ 正しくは
耐熱盤は一種を選んでおけば間違いない 場所によっては一般形や二種で足りる。過剰な仕様はコストに響く
建築基準法だけ確認すればよい 消防法による選定表も確認する。両方で扱いが異なる場所がある
避難階段にも耐熱盤を置ける 建築基準法の区分では避難階段・EVロビーは設置不可
屋外はすべて二種でよい 延焼のおそれがある場所は一種耐熱形
一種と二種は耐える時間が違う どちらも30分。違うのは想定する火災の温度と内部温度の上限


よくある質問(FAQ)

Q1. 一種耐熱形と二種耐熱形の最大の違いは?
A. 想定する火災規模と耐熱性能が異なります。一種耐熱形は30分で840℃に達する火災を想定し、キャビネット内部温度を280℃以下に保ちます。二種耐熱形は30分で280℃に達する中規模火災を想定し、内部温度を105℃以下に保ちます。

Q2. 居室や一般の廊下・階段にはどちらを使えばよい?
A. 一種耐熱形を使用します。人がいる場所のため高い耐熱性能が求められます。建築基準法・消防法のどちらの選定表でも、居室は一種耐熱形です。なお、避難階段・特別避難階段・非常用エレベーターの乗降ロビーは、建築基準法の選定表では盤を置けません。

Q3. 屋外ではどちらを選ぶ?
A. 延焼の恐れがある場所は一種耐熱形、延焼の恐れが小さいその他の場所は二種耐熱形を選定します。

Q4. 一般形はどこで使える?
A. 電気室など、防火区画された安全な設備室で使用します。耐熱試験は課されません。

📝 まとめ

耐熱形種別 特徴 設置例
一種耐熱形 高温(840℃)に30分耐える 居室、一般の廊下・階段、延焼のおそれがある屋外
二種耐熱形 中温(280℃)に30分耐える 延焼のおそれのない屋外、開放廊下、機械室、パイプシャフト
一般形 耐熱試験なし、安全な区画用 電気室など防火区画された設備室

ペン太ペン太
選定はどんな手順で進めれば?
ハリタハリタ
建築基準法と消防法の両方を確認し、居室や一般の廊下・階段は一種を選ぶのが基本です。

耐熱盤の選定は「火災時にそこに人がいるか」「延焼のおそれがあるか」の2点で大きく分かれます。そのうえで、建築基準法と消防法の選定表を両方あたって確定させます。

確認する順番 問い 当てはまるときの選定
Step1 居室、または一般の廊下・階段か 一種耐熱形
Step2 屋外で延焼のおそれがあるか 一種耐熱形
Step3 防火区画内の安全な機器室か 一般形または二種耐熱形
Step4 上記以外 二種耐熱形
Step5 最終確認 建築基準法(表-1)と消防法(表-2)の両方を突き合わせる

2つの法律で同じ場所の扱いが違うことがあるため、片方だけで決めると後から指摘を受けます。設計の早い段階で両方の表を並べておくと、盤の仕様と設置位置を同時に固められます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。