この記事は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」第1回 全体フローと受電方式の判断第2回 契約電力の想定 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
技術図書館契約電力の圧縮計算|足すのではなく、3回削る入力換算・台数圧縮・容量圧縮の3ステップ。50kW未満まで落ちれば低圧契約の目が出るこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:契約電力の計算方法と圧縮計算
ペン太ペン太
低圧電力の契約電力って、機器の容量を全部足した値で契約するしかないんですか?
ハリタハリタ
決め方は主開閉器契約と負荷設備契約の2つあります。後者の「圧縮計算」を使うと、より合理的な契約にできるんです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 低圧電力の契約電力を決める方式は、主に何と何か
  • 圧縮計算でモーターの出力を入力容量に直すとき、何倍するか
  • 圧縮後の契約電力が何kW未満なら、低圧契約の可能性が出てくるか
この記事でわかること
計算例まで通しで読むと、係数の意味がつかみやすくなります。

~負荷設備契約の「圧縮計算」とは?~

トピック1:圧縮計算とは

見習いペン太
見習いペン太
はりた先輩、契約電力ってどうやって決まるんですか?毎月の基本料金が変わるって聞いたんですけど…

はりた
はりた
いい質問だねペン太くん。とくに「負荷設備契約」って方法だと、実際の使い方に合わせて“圧縮計算”っていう工夫をするんだよ。

ツールで実際に計算してみよう!

トピック2:計算ツールで試す
見習いペン太
見習いペン太
今回の記事を基にした圧縮計算が可能だよ!学んで実際に使ってみよう!
https://harita2021.com/%e8%a8%88%e7%ae%97%e3%83%84%e3%83%bc%e3%83%ab%ef%bd%9c%e5%a5%91%e7%b4%84%e5%ae%b9%e9%87%8f%e5%9c%a7%e7%b8%ae%e8%a8%88%e7%ae%97%e3%83%84%e3%83%bc%e3%83%ab/

🔍契約電力の2つの決め方

トピック3:契約電力の2つの決め方

低圧電力の契約電力は、主に次の2つの方式で決まります。

✅主開閉器契約

主幹ブレーカー(主開閉器)の定格電流に基づいて計算する方法です。
たとえば、75Aの主開閉器なら以下のように算出されます:

75A × 200V × √3 ÷ 1000 = 約26kW

ただしこの方法では、使用状況にかかわらず契約電力が大きめになりやすいという弱点があります。

✅負荷設備契約

使っている動力機器を元に、圧縮計算をして契約電力を算定する方法です。
「全機器が常にフル稼働してるわけじゃないよね?」という実情を反映した、合理的な考え方です。


ペン太ペン太
圧縮計算って難しそうですね…。モーターは銘板の出力をそのまま足せばいいんですか?
ハリタハリタ
モーターは効率を考慮して1.25倍で入力換算します。台数圧縮、容量圧縮と3ステップで進めれば難しくありませんよ。
比較項目主開閉器契約負荷設備契約
よりどころ主幹ブレーカー(主開閉器)の定格電流設置している動力機器の容量
計算のしかた定格電流×電圧×√3÷1000入力換算・台数圧縮・容量圧縮の3ステップ
出やすい傾向使用状況によらず大きめになりやすい実際の使い方に近い値になりやすい
手間主開閉器の定格がわかればすぐ出る機器リストの整理が必要
ここまでのポイント
  • 低圧電力の契約電力は、主開閉器契約と負荷設備契約の2方式で決まる
  • 主開閉器契約は主幹ブレーカーの定格電流から算出する(75Aなら約26kW)
  • 主開閉器契約は使用状況にかかわらず契約電力が大きめになりやすい
  • 負荷設備契約は動力機器から圧縮計算して算定する

⚙️負荷設備契約の3ステップ「圧縮計算」

トピック4:圧縮計算の3ステップ

見習いペン太
見習いペン太
えっ、“圧縮”ってどうやってやるんですか?機械の名前とか書き出して…足して…終わりじゃないんですね?

はりた
はりた
そう簡単にはいかないよ。3段階の圧縮ステップで、より現実的な電力量に調整していくんだ。順番に説明するね!


▶ ステップ① 入力換算

まず、出力(kW)を「入力容量」に換算します。
モーターなどは効率を考慮して1.25倍するのがポイント。

機器種別 換算係数 計算式(例)
ヒーター 100% 5kW × 1.0 = 5kW
モーター 125% 3kW × 1.25 = 3.75kW

▶ ステップ② 台数圧縮

入力換算後の容量を合計する際、同時使用の可能性を考慮して台数ごとに圧縮します。

台数 圧縮係数
最初の2台 100%
次の2台 95%
5台目以降 90%

▶ ステップ③ 容量圧縮

さらに、合計容量が大きいほど係数で圧縮。これが「容量圧縮」です。

区分 圧縮係数
最初の6kWまで 100%
次の14kWまで 90%
次の30kWまで 80%
50kW超の部分 70%

これらを合算して、最終的な契約電力が決まります。

ここまでのポイント
  • 圧縮は「入力換算 → 台数圧縮 → 容量圧縮」の3段階
  • 入力換算はモーターが125%、ヒーターが100%
  • 台数圧縮は最初の2台が100%、次の2台が95%、5台目以降が90%
  • 容量圧縮は6kWまで100%、次の14kWまで90%、次の30kWまで80%、50kW超は70%

🔧計算例でわかる!圧縮計算の3ステップ

トピック5:計算例でたどる

ここでは、「7.5kWモーター×2台」と「3.0kWヒーター×1台」を持つ工場を例に、負荷設備契約によって契約電力がどう圧縮されていくかを見ていきましょう!


✅ステップ1:入力換算

まず、機器の出力を「入力容量」に換算します。

機器 出力 換算係数 入力換算値
モーター① 7.5kW ×1.25 9.375kW
モーター② 7.5kW ×1.25 9.375kW
ヒーター 3.0kW ×1.00 3.0kW

📌 換算のポイント

  • モーターは効率を考慮して 1.25倍
  • ヒーターはそのまま 100%

✅ステップ2:台数圧縮

次に、入力容量が大きい順に並べて「台数ごとの圧縮係数」を適用します。

台数順 入力容量 圧縮係数 圧縮後容量
1台目 9.375kW 100% 9.375kW
2台目 9.375kW 100% 9.375kW
3台目 3.0kW 95% 2.85kW

📌 台数圧縮ルール:

  • 1~2台目:100%
  • 3~4台目:95%
  • 5台目以降:90%

🧮 合計:21.6kW


✅ステップ3:容量圧縮

合計21.6kWをさらに「容量ごとのブロック」に分けて圧縮します。

区分 割合 圧縮後
最初の6kWまで 100% 6.00kW
次の14kWまで 90% 12.60kW
残りの1.6kW分 80% 1.28kW

🧮 合計:19.88kW → 四捨五入して「20kW」

見習いペン太
見習いペン太
最初は21.6kWもあったのに、最終的には20kWで済むなんて…すごく合理的ですね!

はりた
はりた
圧縮計算を正しく使えば、必要以上の契約を防げてコストも抑えられるんだよ。
 
取り違えやすいところ正しくは
モーターは銘板の出力をそのまま足す効率を考慮して1.25倍して入力換算する
台数圧縮は並び順に関係なく適用する入力容量の大きい順に並べてから係数を当てる
容量圧縮は合計に一つの係数を掛ける区分ごとのブロックに分けて、それぞれの係数を掛ける
圧縮計算だけで低圧契約が確定する管轄の電力会社との協議が必要
ここまでのポイント
  • 入力換算は容量の大きい順に並べてから台数圧縮にかける
  • 例では9.375kW+9.375kW+2.85kW=21.6kW
  • 容量圧縮で6.00+12.60+1.28=19.88kW、四捨五入して20kW

よくある質問(FAQ)

トピック6:よくある質問

Q. 低圧電力の契約電力の決め方は何種類ありますか?
A. 主に「主開閉器契約」と「負荷設備契約」の2方式があります。

Q. 負荷設備契約の圧縮計算はどんな手順ですか?
A. ①入力換算 → ②台数圧縮 → ③容量圧縮 の3ステップで算出します。

Q. モーターの入力換算係数はいくつですか?
A. 効率を考慮して1.25倍します(ヒーターは100%)。

Q. 圧縮計算で低圧契約にできることはありますか?
A. 圧縮後の契約電力が50kW未満になれば、高圧契約を避けて低圧契約にできる可能性があります。詳細は管轄の電力会社と協議してください。

🧾まとめ:合理的な契約がコスト削減につながる!

負荷設備契約では、以下の3段階を通じて合理的な契約電力を算出できます。

🔸 入力換算:出力を実際の使用電力量に変換
🔸 台数圧縮:同時使用の可能性を考慮して係数で合計
🔸 容量圧縮:合計容量が大きいほど係数で調整

見習いペン太
見習いペン太
こんなに工夫された計算方法があるなんて知りませんでした…ちゃんと理解すれば電気料金も減らせそうですね!

はりた
はりた
そうだよペン太くん。契約電力の“中身”を知ることで、無駄をなくして賢く節電できるんだ。

圧縮計算は、機器の出力をそのまま足すのではなく、入力換算・台数・容量の3段階で実情に近づけていく手続きです。順番どおりに進めれば、どこで数字が動いたかを説明できる形になります。

進める順番やること確認しておきたいこと
Step1機器リストを出力(kW)でそろえる銘板の出力か入力かを取り違えていないか
Step2入力換算するモーターは1.25倍、ヒーターは1.0倍か
Step3容量の大きい順に並べて台数圧縮2台目まで100%、3〜4台目95%、5台目以降90%
Step4容量圧縮して四捨五入区分ごとの係数を当てているか
Step5電力会社と協議する低圧契約にできるかどうかを含めて確認

数値でおさえておくところ

  • 入力換算:モーター125%、ヒーター100%
  • 台数圧縮:最初の2台100%、次の2台95%、5台目以降90%
  • 容量圧縮:6kWまで100%、次の14kWまで90%、次の30kWまで80%、50kW超70%
  • 圧縮後が50kW未満なら、低圧契約の可能性が出てくる

契約電力は毎月の基本料金に直結するため、機器リストの整理だけで結果が変わることもあります。計算の根拠を残しておくと、電力会社との協議もスムーズに進みます。

💡圧縮計算で「高圧→低圧」への可能性も!

トピック7:高圧から低圧への可能性

見習いペン太
見習いペン太
あれ? 圧縮していけば、最初は高圧になると思ってた設備でも、もしかして低圧で足りることもあるんじゃ…?

はりた
はりた
その通り!圧縮後の契約電力が50kW未満になれば、高圧契約を避けて低圧契約にできる可能性があるんだ。受変電設備が不要になれば、初期コストも大きく削減できるよ!詳細は管轄の電力会社と協議しよう!
ペン太ペン太
うちの案件でも試したいです。まず何から始めればいいですか?
ハリタハリタ
機器リストの出力を入力換算するところからです。計算例では21.6kWが20kWになりました。ツールで試してみましょう。
📘 体系的に学びたい方へ
このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。