地震と停電にそなえる家の電気【第4回】停電の暗闇であわてない「誘導灯」の見方と逃げ方|緑はゴール・白は道しるべ
本連載は、ふだんは電気設備の設計・施工に携わるプロが、「家の電気の防災」を暮らし目線でやさしく解説するシリーズです。第1回:通電火災と感震ブレーカー/第2回:明かりと電源/第3回:冷蔵庫とスマホもどうぞ。
今回は「外出先」の話 ― 停電の暗闇で頼れるただひとつの明かり
ここまでの3回は自宅の備えの話でした。でも地震は、買い物中のショッピングモールや映画館、地下街、ホテルで起こるかもしれません。停電で照明が落ちた見知らぬ建物から、どうやって逃げるか。
じつはそのための設備が、あなたの頭の上にずっと付いています。誘導灯――あの緑色の「非常口マーク」です。私たち電気設備の設計者が、消防法にもとづいて1棟1棟計算しながら配置している避難専用の照明です。今回はその「読み方」を知ってもらいます。
誘導灯は2種類ある ― 「緑」がゴール、「白」は道しるべ
誘導灯のマークには2種類あることをご存じでしょうか。緑地に白い人型のマークが「避難口誘導灯」で、非常口そのもの。ドアや階段の真上に付いています。いっぽう白地に緑の人型+矢印が「通路誘導灯」で、「非常口はこの方向」という道しるべ。廊下や曲がり角に付いています。

つまり避難のルールはシンプルです。白い矢印をたどって、緑にたどり着く。これだけ覚えておけば、初めての建物でも出口まで導いてもらえます。
停電しても消えないのは、電池を「1台ずつ」内蔵しているから
「でも停電したら消えるのでは?」――消えません。誘導灯は1台1台がバッテリーを内蔵していて、停電すると自動で電池点灯に切り替わります。法令で最低20分間、避難に時間のかかる地下街や大規模施設では60分間の点灯が義務づけられ、定期的な点検も行われています。真っ暗闇になったら、まず誘導灯の緑の光を探してください。
ちなみに、停電時に廊下や階段でパッと点く白い明かりは「非常用照明(非常灯)」という別の設備です。役割分担は、非常灯が足元を照らし、誘導灯が方向を教える。この2つのペアで、皆さんを外まで送り届ける設計になっています。
停電・煙の中の逃げ方 5か条
誘導灯の見方がわかったら、あとは動き方です。地震でも火事でも共通する基本を5つにまとめました。

- エレベーターは使わない:停電で閉じ込められます。避難は必ず階段で。乗車中に地震が来たら全階ボタンを押し、止まった階で降りる
- 煙が出たら姿勢を低く:煙は上にたまるので、空気と視界は床の近くに残ります
- ハンカチや袖で口と鼻をおおう:火災で命を落とす原因の多くは炎より煙。吸わないことが最優先
- 白い矢印→緑のマークの順にたどる:通路誘導灯の矢印の先に、必ず避難口誘導灯=出口があります
- 建物に入ったら非常口を2つ確認するクセを:映画館・ホテル・地下街で。ひとつがふさがれても迷いません
音が鳴る誘導灯、点滅する誘導灯もある
大きな施設では、火災時に「ピンポーン」という誘導音や「非常口はこちらです」という音声を出したり、キセノンランプが点滅したりする誘導灯もあります。煙で視界がきかないときや、目・耳の不自由な方のための設備です。音が聞こえたら、その方向に非常口があります。
まとめ ― 第4回の持ち帰りポイント
- 緑=非常口そのもの、白+矢印=非常口の方向。白をたどって緑へ
- 誘導灯は電池内蔵で停電しても20分以上点灯。暗闇ではまず緑の光を探す
- エレベーターNG・姿勢は低く・口鼻をおおうが煙の中の鉄則
- 建物に入ったら非常口を2つ確認する習慣を
次回・第5回は住まいの設備編「太陽光発電・蓄電池・EVは災害時にどこまで頼れる?」です。
参考資料:岩崎電気「防災照明の技術資料(誘導灯)」/Panasonic「誘導灯の種類(避難口誘導灯・通路誘導灯)」





