この記事は連載「地震と停電にそなえる家の電気」(全5回)の1本です。

本連載は、ふだんは電気設備の設計・施工に携わるプロが、「家の電気の防災」を暮らし目線でやさしく解説するシリーズです。第1回:通電火災と感震ブレーカー第2回:明かりと電源第3回:冷蔵庫とスマホもどうぞ。

今回は「外出先」の話 ― 停電の暗闇で頼れるただひとつの明かり

ここまでの3回は自宅の備えの話でした。でも地震は、買い物中のショッピングモールや映画館、地下街、ホテルで起こるかもしれません。停電で照明が落ちた見知らぬ建物から、どうやって逃げるか。

じつはそのための設備が、あなたの頭の上にずっと付いています。誘導灯――あの緑色の「非常口マーク」です。私たち電気設備の設計者が、消防法にもとづいて1棟1棟計算しながら配置している避難専用の照明です。今回はその「読み方」を知ってもらいます。

誘導灯は2種類ある ― 「緑」がゴール、「白」は道しるべ

誘導灯のマークには2種類あることをご存じでしょうか。緑地に白い人型のマークが「避難口誘導灯」で、非常口そのもの。ドアや階段の真上に付いています。いっぽう白地に緑の人型+矢印が「通路誘導灯」で、「非常口はこの方向」という道しるべ。廊下や曲がり角に付いています。

誘導灯は2種類あることを示す図解。避難口誘導灯は緑地に白のピクトグラムで非常口の場所そのものを示し、通路誘導灯は白地に緑と矢印で非常口の方向を示す。停電しても内蔵バッテリーで最低20分、地下街や大規模施設では60分点灯する

つまり避難のルールはシンプルです。白い矢印をたどって、緑にたどり着く。これだけ覚えておけば、初めての建物でも出口まで導いてもらえます。

停電しても消えないのは、電池を「1台ずつ」内蔵しているから

「でも停電したら消えるのでは?」――消えません。誘導灯は1台1台がバッテリーを内蔵していて、停電すると自動で電池点灯に切り替わります。法令で最低20分間、避難に時間のかかる地下街や大規模施設では60分間の点灯が義務づけられ、定期的な点検も行われています。真っ暗闇になったら、まず誘導灯の緑の光を探してください。

ちなみに、停電時に廊下や階段でパッと点く白い明かりは「非常用照明(非常灯)」という別の設備です。役割分担は、非常灯が足元を照らし、誘導灯が方向を教える。この2つのペアで、皆さんを外まで送り届ける設計になっています。

停電・煙の中の逃げ方 5か条

誘導灯の見方がわかったら、あとは動き方です。地震でも火事でも共通する基本を5つにまとめました。

停電・煙の中の逃げ方5か条の図解。1 エレベーターは使わず階段で、2 煙が出たら姿勢を低く、3 ハンカチや袖で口と鼻をおおう、4 白い矢印をたどって緑の避難口誘導灯を目指す、5 建物に入ったら非常口を2つ確認する
  • エレベーターは使わない:停電で閉じ込められます。避難は必ず階段で。乗車中に地震が来たら全階ボタンを押し、止まった階で降りる
  • 煙が出たら姿勢を低く:煙は上にたまるので、空気と視界は床の近くに残ります
  • ハンカチや袖で口と鼻をおおう:火災で命を落とす原因の多くは炎より煙。吸わないことが最優先
  • 白い矢印→緑のマークの順にたどる:通路誘導灯の矢印の先に、必ず避難口誘導灯=出口があります
  • 建物に入ったら非常口を2つ確認するクセを:映画館・ホテル・地下街で。ひとつがふさがれても迷いません

音が鳴る誘導灯、点滅する誘導灯もある

大きな施設では、火災時に「ピンポーン」という誘導音や「非常口はこちらです」という音声を出したり、キセノンランプが点滅したりする誘導灯もあります。煙で視界がきかないときや、目・耳の不自由な方のための設備です。音が聞こえたら、その方向に非常口があります。

まとめ ― 第4回の持ち帰りポイント

  • 緑=非常口そのもの、白+矢印=非常口の方向。白をたどって緑へ
  • 誘導灯は電池内蔵で停電しても20分以上点灯。暗闇ではまず緑の光を探す
  • エレベーターNG・姿勢は低く・口鼻をおおうが煙の中の鉄則
  • 建物に入ったら非常口を2つ確認する習慣を

次回・第5回は住まいの設備編「太陽光発電・蓄電池・EVは災害時にどこまで頼れる?」です。

参考資料:岩崎電気「防災照明の技術資料(誘導灯)」/Panasonic「誘導灯の種類(避難口誘導灯・通路誘導灯)」

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