技術図書館商店街の通路でも、低圧工事として厳格に対地電圧は原則150V以下、分岐回路は15Aか20A。金属箱のC種接地と漏電遮断器で二重に守るこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【062】アーケード照明施設
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

商店街などの通路に設けるアーケード照明施設について、対地電圧分岐回路・配線・接地・保護装置のルールを内線規程にもとづいて整理します。

アーケード照明施設のルールを示す図解。対地電圧150V以下、金属箱などにC種接地、専用開閉器と<span style=漏電遮断器の3つのポイント。” style=”max-width:100%;height:auto;”>
結論:アーケード照明施設は電路の対地電圧を原則150V以下放電灯・LEDの規定により300V以下も可)、15A・20A分岐回路で供給します。金属箱などにはC種接地工事を施し、専用の開閉器過電流遮断器漏電遮断器を設けます。
この記事でわかること
✔ 対地電圧・分岐回路・幹線
✔ 配線の方法
✔ 接地と保護装置
ペン太ペン太
商店街のアーケード照明も、普通の屋内配線と同じ扱いでいいんですか?
ハリタハリタ
低圧電気工事として厳格に規制されます。対地電圧は原則150V以下、分岐回路は15Aか20Aです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • アーケード照明施設の電路の対地電圧は、原則として何V以下ですか。
  • 放電灯用変圧器や安定器を収める金属箱には、どの接地工事を施しますか。
  • 用途が決まっていないコンセントは、1個当たり何VAとみなしますか。
この記事の道案内
内線規程(JEAC8001-2022)にそって、アーケード照明施設のルールを4つの視点で整理します。

対地電圧・分岐回路・幹線

トピック1:対地電圧・分岐回路・幹線
  • 電路の対地電圧は原則150V以下。放電灯を屋内電路の対地電圧制限の規定により施設、又はLED照明器具を適用範囲の規定により施設する場合は300V以下とできます。
  • 分岐回路は15A分岐回路又は20A配線用遮断器分岐回路。大形電灯受口のみを施設する場合は20A・30A・40A・50A分岐回路とできます。
  • 分岐回路数は負荷値で決定し、用途不定のコンセントは1個当たり150VAとみなして将来の増容量に余裕を見込みます。
  • 幹線の太さは供給する負荷値をもとに、幹線の簡便設計により決定します(勧告)。
施設する内容分岐回路
一般(原則)15A分岐回路、又は20A配線用遮断器分岐回路
大形電灯受口のみを施設する場合20A・30A・40A・50A分岐回路とできる
ここまでのポイント
  • 電路の対地電圧は原則150V以下(放電灯やLED照明器具を所定の規定により施設する場合は300V以下も可)。
  • 分岐回路は15A分岐回路又は20A配線用遮断器分岐回路(大形電灯受口のみは20A・30A・40A・50A分岐回路も可)。
  • 分岐回路数は負荷値で決定し、用途不定のコンセントは1個当たり150VAとみなす。
  • 将来の増容量に余裕を見込み、幹線の太さは幹線の簡便設計により決定する(勧告)。

配線の方法

トピック2:配線の方法
  • 配線は、がいし引き配線(点検できない隠ぺい場所を除く)、金属管配線、合成樹脂管配線、二種金属製可とう電線管配線、ケーブル配線のいずれかにより施設します。
  • がいし引き配線は絶縁電線(DV電線・DE電線を除く)を使用します。放電灯を使用する場合は各放電灯の規定によります。
  • 照明器具などは機械的に堅ろうに取り付けます。
ペン太ペン太
接地工事さえしてあれば、漏電遮断器は省略できると思ってました…
ハリタハリタ
両者は補完関係です。接地と漏電遮断器が協働して初めて感電防止の二重の安全網になります。
ここまでのポイント
  • 配線はがいし引き配線(点検できない隠ぺい場所を除く)、金属管・合成樹脂管・二種金属製可とう電線管・ケーブル配線のいずれか。
  • がいし引き配線は絶縁電線(DV電線・DE電線を除く)を使用する。
  • 放電灯を使用する場合は各放電灯の規定による。
  • 照明器具などは機械的に堅ろうに取り付ける。

接地と保護装置

トピック3:接地と保護装置
  • 放電灯用変圧器・安定器・金属箱・台にはC種接地工事。金属製アーケードの接地抵抗が10Ω以下で電気的・機械的に完全連絡する場合などは省略できます。
  • 共同接地時は対地電位上昇を制限するため接地抵抗3Ω以下。小規模アーケードで絶縁台などにより絶縁する場合も省略できます。
  • 専用の開閉器及び過電流遮断器を各極に施設(過電流遮断器が開閉機能を持つ場合は過電流遮断器のみ)。施設場所に応じ防護・防水構造とします。
  • 電路には漏電遮断器を施設します。
たとえ話:アーケードは大きな金属の屋根。万一漏電して金属に電気が乗ると通行人が感電する危険があります。そこでC種接地で電気を地面に逃がし、漏電遮断器ですばやく回路を切る——という二重の安全網で守るイメージです。
見習いペン太
見習いペン太
アーケードの金属の屋根って、感電しないんですか?
はりた
はりた
そこが大事なポイント。放電灯用変圧器や金属箱にはC種接地工事をするんだ。金属製アーケードの接地抵抗が10Ω以下で完全に連絡していれば省略できることもあるよ。
見習いペン太
見習いペン太
接地だけで十分なんですか?
はりた
はりた
いや、電路には漏電遮断器も施設する。さらに専用の開閉器と過電流遮断器を各極に設けて、施設場所に応じた防雨・防水構造のものを選ぶんだ。
アーケード照明施設の対地電圧・分岐回路と接地・保護を示した図
アーケード照明施設の電路の対地電圧は原則150V以下(放電灯を屋内電路の対地電圧制限の規定により施設する場合等は300V以下)。分岐回路は15A分岐回路または20A配線用遮断器分岐回路とし、用途不定のコンセントは1個当たり150VAとみなして負荷を見積もる。配線はがいし引き・金属管・合成樹脂管・二種金属製可とう電線管・ケーブルのいずれかにより施設し、放電灯用変圧器・安定器・金属箱・台にはC種接地工事、電路には専用の開閉器・過電流遮断器と漏電遮断器を設ける。
取り違えやすいところ正しくは
対地電圧はつねに150V以下原則は150V以下。放電灯を屋内電路の対地電圧制限の規定により施設する場合や、LED照明器具を適用範囲の規定により施設する場合は300V以下とできる
がいし引き配線はどこでも使える点検できない隠ぺい場所を除く。電線はDV電線・DE電線を除く絶縁電線
C種接地工事は必ず必要金属製アーケードの接地抵抗値が10Ω以下で電気的・機械的に完全連絡する場合や、小規模アーケードで絶縁台などにより絶縁する場合は省略できる
共同接地でも接地抵抗は10Ω以下でよい共同接地時は対地電位上昇を制限するため3Ω以下
接地工事をすれば漏電遮断器は不要接地と漏電遮断器は補完関係。電路には漏電遮断器を施設する
コンセントは実際に使う分だけ見込めばよい用途不定のコンセントは1個当たり150VAとみなし、将来の増容量に余裕を見込む
ここまでのポイント
  • 放電灯用変圧器・安定器・これらを収める金属箱・台にはC種接地工事。
  • 金属製アーケードの接地抵抗が10Ω以下で電気的・機械的に完全連絡する場合などは省略できる。
  • 共同接地時は対地電位上昇を制限するため接地抵抗3Ω以下。
  • 専用の開閉器及び過電流遮断器を各極に施設し、施設場所に応じ防護・防水構造とする。
  • 電路には漏電遮断器を施設する。

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)
Q. アーケード照明の分岐回路はどれを使いますか?
A. 15A分岐回路又は20A配線用遮断器分岐回路を使用します。大形電灯受口のみを施設する場合は、20A・30A・40A・50A分岐回路とできます。
Q. 接地工事の種類と省略できる条件は?
A. 放電灯用変圧器や安定器、これらを収める金属箱・台にはC種接地工事を施します。金属製アーケードの接地抵抗値が10Ω以下に保持され電気的・機械的に完全連絡する場合や、絶縁台などで絶縁する場合は省略できます。共同接地時は接地抵抗を3Ω以下とします。
Q. 用途不定のコンセントの負荷はどう見込みますか?
A. 用途不定のコンセントは1個当たり150VAとみなします。将来の増容量(臨時的なものを含む)に備えて十分余裕を見込みます。

まとめ|電圧・回路・接地の3点でアーケード照明を押さえる

アーケード照明施設は、対地電圧を原則150V以下に抑え、負荷値から回路を決め、C種接地と漏電遮断器で二重に守ることが基本です。

確認する項目規程が示す内容
電路の対地電圧(原則)150V以下
300V以下とできる場合放電灯を屋内電路の対地電圧制限の規定により施設、又はLED照明器具を適用範囲の規定により施設する場合
分岐回路15A分岐回路、又は20A配線用遮断器分岐回路
大形電灯受口のみの場合20A・30A・40A・50A分岐回路
分岐回路数負荷値で決定する
用途不定のコンセント1個当たり150VAとみなす
幹線の太さ供給する負荷値をもとに、幹線の簡便設計により決定(勧告)
配線の方法がいし引き(点検できない隠ぺい場所を除く)・金属管・合成樹脂管・二種金属製可とう電線管・ケーブル
がいし引き配線の電線絶縁電線(DV電線・DE電線を除く)
接地工事放電灯用変圧器・安定器・金属箱・台にC種接地工事
接地を省略できる場合金属製アーケードの接地抵抗値10Ω以下で電気的・機械的に完全連絡する場合、絶縁台などにより絶縁する小規模アーケードなど
共同接地の接地抵抗3Ω以下
開閉器・過電流遮断器専用のものを各極に施設(過電流遮断器が開閉機能を持つ場合は過電流遮断器のみ)
漏電遮断器電路に施設する

回路の計画で押さえること

  • 対地電圧の区分と、300V以下にできる条件。
  • 分岐回路の種類と回路数。
  • 用途不定のコンセントの見込みと将来の増容量。

配線と器具で押さえること

  • 配線方法が規定のいずれかにあてはまるか。
  • がいし引き配線の電線と施設場所の制限。
  • 照明器具を機械的に堅ろうに取り付けているか。

保安で押さえること

  • C種接地工事と、その省略条件を満たしているか。
  • 共同接地の場合の接地抵抗3Ω以下。
  • 専用の開閉器・過電流遮断器と、電路の漏電遮断器。

アーケードは金属の屋根の下を多くの人が通る場所です。照明そのものより、漏電したときに人が触れる金属部分をどう守るかが要になります。上の表の接地と保護装置の欄は、竣工後の点検でも使えるチェック項目として残しておくと役立ちます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
設計の次の一歩は何から確認すべきですか?
ハリタハリタ
分岐回路と幹線の構成からです。用途不定のコンセントは1個150VAで負荷を見積もりましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。