この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
セルロイドやマッチ、石油類など燃えやすい危険物がある場所の電気設備を内線規程に基づき解説。金属管・合成樹脂管・ケーブル配線、火花や高温を生じる機器の全閉・防爆構造、接続点のない移動電線、照明器具の固定と接地工事のポイントを図解で整理します。
技術図書館特殊な場所の配線|場所の区分で工事方法が決まる粉じん・じんあい・ガス蒸気・危険物・腐食性ガス・火薬庫。先に決まるのは機器ではなく場所の区分、という見取り図を全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

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出典:電気設備の技術基準の解釈 第177条・第29条
セルロイドやマッチ、石油類など燃えやすい危険物がある場所では、電気火花や高温が火災・爆発の引き金になります。本記事では、電気設備の技術基準の解釈の決まりにもとづいて、配線・器具・接地を図解で整理します。
危険物を、製造・貯蔵する場所 消防法の第2・4・5類など。
配線は、3つの工事から 第177条第1項第一号。
火花・高温の器具は、着火させない 第一項第三号。
ガス・粉じん・火薬庫は別の条 第175・176・178条。

ペン太
セルロイドや石油類がある場所って、普通の配線じゃダメなんですか?

ハリタ
この記事で押さえる3つのこと
- 配線は合成樹脂管・金属管・ケーブルの3つ(第177条)。
- 移動電線は1種以外のキャブタイヤで、接続点なし。
- 火花・高温の器具は着火させない。全閉・防爆の指定は内線規程。
この記事の道案内
火花・高温の器具と火薬類の場所は、2つ目の項にまとめています。
1. 配線の工事
合成樹脂管は、2mm未満・CD管以外 第一号イ。
金属管は、薄鋼電線管以上 第一号ロ。
ケーブルは、防護装置に収める 第一号ハ。
がい装・MIなら、収めなくてよい 第一号ハ(イ)。
- 解釈第177条は、消防法の第2類・第4類・第5類の危険物など、燃えやすい危険な物質を製造したり貯蔵したりする場所の決まりです(第175条・第176条・第178条の場所を除く)
- 屋内配線などは、合成樹脂管工事・金属管工事・ケーブル工事のどれかで施設します(第一号)
- 合成樹脂管は厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管以外とし、管やボックスを損傷しないように施設します
- 金属管は、薄鋼電線管か、これと同等以上の強度のものです
- ケーブルは、がい装ケーブルかMIケーブルを使うか、管などの防護装置に収めます。危険物がガスや蒸気を出すものなら、第176条で確かめます

ペン太
移動電線は普通のコードでもいいんですよね?

ハリタ
いけません。1種以外のキャブタイヤケーブルで、接続点のないものを使います。火花の出る器具は、危険物に着火しないように施設します。
| 工事 |
決まり(解釈第177条) |
| 合成樹脂管 |
2mm未満・CD管以外 |
| 金属管 |
薄鋼電線管以上 |
| ケーブル |
防護装置に収める |
| がい装・MIケーブル |
収めなくてよい |
| ガス・蒸気が出る物 |
第176条で確認 |
たとえるなら
危険物のある場所は、マッチ箱の中で作業する
マッチ箱の中では、小さな火花ひとつで全部に火がつきます。燃えやすい危険物を製造・貯蔵する場所では、配線を管やケーブルで守り、火花や熱で着火させないことが大切です。
ここに注意!
「合成樹脂管なら、CD管も使える」ではありません。
合成樹脂管は、厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管以外のものです(解釈第177条第1項第一号イ)。
ここに注意!
「ガスや粉じんの場所も、この条で決める」ではありません。
第177条の場所からは、粉じんの多い場所(第175条)、可燃性ガス等の場所(第176条)、火薬庫(第178条)が除かれています。ガスや蒸気を出す危険物なら、第176条で確かめます。
ここまでのポイント
- 配線は、合成樹脂管工事・金属管工事・ケーブル工事のどれか
- 金属管は、薄鋼電線管か同等以上の強度のもの
- 合成樹脂管は2mm未満・CD管以外で、損傷しないように施設
- ケーブルは、がい装・MIケーブル以外は管などの防護装置に収める
- ガスや蒸気を出す危険物なら、第176条で確かめる
2. 移動電線と火花・高温の器具
1種以外の、キャブタイヤ 第二号イ。
接続点のないもの 第二号ロ。
引込口で、傷めない 第二号ハ。
移動灯の外装は、内線規程 解釈には書いていない。
- 移動電線は、1種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルで、接続点のないものを損傷しないように施設します。器具への引込口でも傷めないようにします(第二号)
- ふだんの使い方で火花やアークを出したり、温度が著しく上がったりするおそれがある器具は、危険物に着火するおそれがないように施設します(第三号)
火花・高温の器具は、着火させない 第1項第三号。
全閉・防爆の指定は、内線規程 解釈には書いていない。
火薬類の場所は、全閉型 第177条第2項。
特別高圧は、施設しない 第177条第3項。
- 火薬類を製造する場所や火薬類がある場所(第2項)は、第1項に準じたうえで、電熱器具以外の器具は全閉型、電熱器具はシーズ線など充電部が露出しない発熱体で、異常時に自動で遮断する装置付きのものです
- 特別高圧の電気設備は、第1項と第2項の場所に施設しません(第3項)
- 火花・高温の器具を全閉構造や防爆構造と指定すること、移動して使う電灯の外装や点検は、内線規程で確かめます
| 項目 |
決まり(解釈第177条) |
| 移動電線 |
1種以外のキャブタイヤ |
| 移動電線の接続 |
接続点なし |
| 火花・高温の器具 |
着火させない |
| 火薬類の場所の器具 |
全閉型(第2項) |
| 特別高圧 |
施設しない(第3項) |
| 全閉・防爆の指定 |
内線規程で確認 |
たとえるなら
接続点のない移動電線は、つなぎ目のないホース
つなぎ目のあるホースは、そこから水がもれやすくなります。移動電線も、接続点があるとそこで火花が出やすいので、接続点のないものを使います。
ここに注意!
「火花の出る器具は、全閉か防爆が解釈の決まり」ではありません。
解釈は、火花・アークや温度上昇のおそれがある器具を「危険物に着火するおそれがないように施設する」ことまでです(解釈第177条第1項第三号)。全閉構造や防爆構造と指定するのは、内線規程で確かめます。
ここに注意!
「火薬類のある場所も、第1項と同じでよい」ではありません。
火薬類を製造する場所や火薬類がある場所は第2項で、電熱器具以外の器具は全閉型、電熱器具はシーズ線など充電部が露出しない発熱体で、異常時に自動で遮断する装置付きのものです。
ここまでのポイント
- 移動電線は、1種以外のキャブタイヤケーブルで接続点のないもの
- 器具への引込口で、損傷しないように施設する
- 火花・アーク・高温の器具は、危険物に着火しないように施設する
- 火薬類の場所は全閉型(第2項)。全閉・防爆の指定は内線規程で
3. 固定・接続・接地
電灯器具は、堅ろうに取り付け 第一号ホに準じる。
接続は、ゆるまないように 第一号ハに準じる。
外箱の接地は、電圧で決まる 第29条(D種・C種)。
保護カバー・止めナットは 内線規程で確かめる。
- 電灯器具は、造営材に直接、または電灯つり管・電灯腕管などで堅ろうに取り付けます(第四号で第175条第1項第一号ホに準じる)
- 電線と器具は、震動でゆるまないように堅ろうに、電気的に完全に接続します(第175条第1項第一号ハに準じる)
- 解釈第177条に接地の決まりはありません。金属製外箱は解釈第29条により、300V以下はD種、300Vを超えるとC種の接地工事です
- 高温になるランプの保護カバー、止めナットやばね座金などのゆるみ止めの方法は、内線規程で確かめます
| 思いこみ |
正しくは |
| 全閉・防爆が解釈に |
着火させないまで |
| CD管も使える |
2mm未満・CD管は不可 |
| 1種キャブタイヤも可 |
1種以外 |
| ガスもこの条で |
第176条で確認 |
| 火薬類も第1項だけ |
第2項で全閉型 |
| 接地は特別な決まり |
第29条で電圧による |
たとえるなら
着火させない施設は、ストーブをカーテンから離す
ストーブはそのものが悪いのではなく、カーテンに近いと火事になります。火花や高温を出す器具も、危険物に着火しないように施設します。どんな構造にするかの指定は内線規程です。
ここに注意!
「移動電線は、1種キャブタイヤでもよい」ではありません。
移動電線は、1種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルで、接続点のないものを使います(第二号)。
ここに注意!
「危険物のある場所の接地は、特別な決まりがある」ではありません。
解釈第177条に接地の決まりはなく、金属製外箱は解釈第29条により、300V以下はD種、300Vを超えるとC種の接地工事です。

ペン太
先生、燃えやすい物がある場所で気をつけることは何ですか?

ハリタ
配線は合成樹脂管・金属管・ケーブルのどれかにして、火花や高温を出す器具は危険物に着火しないように施設するんだ。全閉構造か防爆構造にするかは内線規程で確かめよう。

ペン太
移動電線はどうすればいいですか?

ハリタ
1種以外のキャブタイヤケーブルで、接続点のないものを使う。電灯器具は堅ろうに取り付け、接続は震動でゆるまないようにして、外箱は第29条で接地するんだよ。
ここまでのポイント
- 電灯器具は、造営材に直接か電灯つり管などで堅ろうに取り付け
- 電線と器具は、震動でゆるまないように堅ろうに接続
- 外箱の接地は第29条(300V以下D種、超えるとC種)
- 保護カバー・止めナット等は、内線規程で確かめる
よくある質問(FAQ)
Q1. 配線の工事は? 3つの工事。
Q2. 火花の出る器具は? 着火させない。
Q3. 移動電線と接地は? 1種以外・第29条。
全閉・防爆の指定は? 内線規程で確かめる。
Q. 燃えやすい危険物がある場所ではどんな配線方法が使えますか?
A. 解釈第177条により、合成樹脂管工事(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管とCD管を除く)・金属管工事(薄鋼電線管以上)・ケーブル工事(がい装ケーブルやMIケーブルを使うか、管などの防護装置に収める)のどれかで施設します。
Q. 火花や高温を生じる機器にはどんな対策が必要ですか?
A. ふだんの使い方で火花・アークを出したり温度が著しく上がったりするおそれがある器具は、危険物に着火するおそれがないように施設します(解釈第177条第1項第三号)。全閉構造や防爆構造と指定するのは内線規程で確かめます。火薬類のある場所では、器具は全閉型です(第2項)。
Q. 移動電線や接続部、接地はどうすればよいですか?
A. 移動電線は1種キャブタイヤケーブル以外のキャブタイヤケーブルで、接続点のないものを使います。電線と器具は震動でゆるまないように接続し、金属製外箱は解釈第29条により、300V以下はD種、300Vを超えるとC種の接地工事です。
まとめ|火花を出さない、閉じ込める、固定する
燃えやすい危険物がある場所では、小さな火花や熱が大きな事故につながります。配線は3つの工事で守り、火花や高温を出す器具は危険物に着火しないように施設し、器具は堅ろうに取り付けます。火薬類のある場所では、器具を全閉型にします。
| 確認する項目 |
決まり |
| 場所の区分 |
第177条(ガスは第176条) |
| 配線の工事 |
3つの工事から |
| 金属管 |
薄鋼電線管以上 |
| 移動電線 |
1種以外・接続点なし |
| 火花・高温の器具 |
着火させない |
| 火薬類の場所 |
全閉型(第2項) |
| 外箱の接地 |
第29条(D種・C種) |
| 全閉・防爆の指定 |
内線規程で確認 |
工事現場のように設備が動く場所では、移動電線と仮設照明の扱いが要点になります。接続点のないケーブルを使うこと(解釈)と、定期的な点検(内線規程)を、現場のルールとして共有しておくと確実です。

ペン太
現場ではまず何から確認すればいいですか?

ハリタ
危険物の種類と場所の把握からです。ガスや蒸気が出るなら第176条、それ以外は第177条で配線と器具を選びましょう。
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