この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
全体像:内線規程【086】パイプラインなどの電熱装置の施設
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

パイプラインなどの電熱装置は、導管により液体を輸送する施設で、凍結防止や加熱のために設けられる電熱装置です。発熱線をパイプに固定する方式、パイプ自体を発熱体とする直接加熱方式、表皮電流加熱方式などがあり、感電・爆発・火災を防ぐための基準が内線規程で定められています。

パイプラインなどの電熱装置の施設の3つのポイント(使用電圧・温度管理・接地と遮断)を整理した図解

結論

パイプライン等の電熱装置は、発熱線方式は低圧が原則、表皮電流加熱は3,500V以下。発熱線の温度は被加熱液体の発火温度の80%を超えず、水道管などでは80℃以下に。使用電圧300V以下はD種、300V超はC種接地とし、漏電遮断器を施設します。

この記事でわかること
✔ 使用電圧と電源装置
✔ 発熱線・温度管理
接地工事開閉器・漏電遮断器
ペン太ペン太
パイプラインを電気で温めるって、電圧はいくつまで使えるんですか?
ハリタハリタ
発熱線方式は低圧が原則、表皮電流加熱装置なら交流3,500V以下までです。方式で違うんですよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 発熱線の温度は、被加熱液体の発火温度に対して何%を超えないようにするか
  • 送配水管・水道管などに施設する場合、発熱線の温度はいくつ以下か
  • 接地工事の種別は、使用電圧によってどう分かれるか
この記事でわかること
温度の上限は、2つ目の項にまとめています。

使用電圧と電源装置

トピック1:使用電圧と電源装置
  • 発熱線をパイプラインに固定する場合、電路の使用電圧は低圧とします。送配水管・水道管などでは対地電圧300V以下とします。
  • 直接加熱装置(パイプ自体を発熱体とする)は、交流(50Hzまたは60Hz)の低圧。表皮電流加熱装置は交流3,500V以下の高圧または低圧とします。
  • 直接加熱・表皮電流加熱では、電源側に専用の絶縁変圧器を施設し、二次側電路は接地しないようにします。
ペン太ペン太
温度って、上げられるだけ上げていいと思ってました!
ハリタハリタ
被加熱液体の発火温度の80%を超えてはいけません。水道管に施設する場合は80℃以下です。
ここまでのポイント
  • 発熱線をパイプラインに固定する場合、電路の使用電圧は低圧とする
  • 送配水管・水道管などでは対地電圧300V以下とする
  • 直接加熱装置(パイプ自体を発熱体とする)は、交流(50Hzまたは60Hz)の低圧
  • 表皮電流加熱装置は交流3,500V以下の高圧または低圧とする
  • 直接加熱・表皮電流加熱では、電源側に専用の絶縁変圧器を施設し、二次側電路は接地しない

発熱線・温度管理

トピック2:発熱線・温度管理
  • 発熱線はMIケーブルまたは発熱線などの規格に適合するものを用い、断熱材や金属製ボックス等に収めて施設します。
  • 発熱線の温度は、被加熱液体の発火温度の80%を超えないように施設します。
  • 送配水管・水道管などに施設する場合は、発熱線の温度を80℃を超えないように施設します。
取り違えやすいところ正しくは
温度は上げられるだけ上げてよい被加熱液体の発火温度の80%を超えない
送配水管でも温度の上限は同じ考え方発熱線の温度を80℃以下とする
接地はD種でそろえてよい300V超の低圧はC種、表皮電流加熱の高圧用はA種
二次側も接地しておくほうが安全直接加熱・表皮電流加熱では二次側電路を接地しない
危険場所でも保護すれば設置できる粉じん・ガス蒸気・腐食性ガスのある場所には施設できない
ここまでのポイント
  • 発熱線はMIケーブルまたは発熱線などの規格に適合するものを用いる
  • 断熱材や金属製ボックス等に収めて施設する
  • 発熱線の温度は、被加熱液体の発火温度の80%を超えないように施設する
  • 送配水管・水道管などに施設する場合は、発熱線の温度を80℃を超えないようにする

接地工事・開閉器・漏電遮断器

トピック3:接地工事・開閉器・漏電遮断器
  • 発熱線・口出し線の金属体やパイプラインなどは、使用電圧300V以下でD種、300Vを超える低圧でC種接地工事を施します(表皮電流加熱の高圧用はA種)。
  • 電路には専用の開閉器および過電流遮断器を各極(中性極を除く)に施設します。
  • パイプラインなどの電熱装置に電気を供給する電路には、漏電遮断器を施設します。また粉じん・ガス蒸気・腐食性ガスのある危険場所には施設できません。

たとえ話でイメージ

パイプラインの電熱装置は「配管に巻く電気毛布」のようなもの。中身を温めすぎて発火させないよう温度に上限を設け、毛布から電気が漏れても感電しないよう接地と漏電遮断器でしっかり守る、というイメージです。

見習いペン太
見習いペン太
先生、パイプの電熱装置って電圧はどのくらいまで使えるんですか?
はりた
はりた
発熱線方式は低圧が原則だよ。表皮電流加熱装置なら交流3,500V以下の高圧または低圧まで使えるんだ。
見習いペン太
見習いペン太
温度や接地で気をつけることは?
はりた
はりた
発熱線の温度は被加熱液体の発火温度の80%を超えないこと。水道管なら80℃以下だね。接地は300V以下でD種、超えたらC種。漏電遮断器も必須だよ。
パイプラインなどの電熱装置の使用電圧・温度・接地を示した図
発熱線をパイプラインに固定する場合の使用電圧は低圧(送配水管・水道管などは対地電圧300V以下)、直接加熱装置は交流の低圧、表皮電流加熱装置は交流3,500V以下。直接加熱・表皮電流加熱では電源側に専用の絶縁変圧器を施設し二次側電路は接地しない。発熱線の温度は被加熱液体の発火温度の80%を超えず、送配水管・水道管などでは80℃以下とする。接地は300V以下でD種、300Vを超える低圧でC種(表皮電流加熱の高圧用はA種)とし、電路には漏電遮断器を施設する。
使用電圧接地工事の種別
300V以下D種接地工事
300Vを超える低圧C種接地工事
表皮電流加熱の高圧用A種接地工事
ここまでのポイント
  • 発熱線・口出し線の金属体やパイプラインなどは、使用電圧300V以下でD種、300Vを超える低圧でC種接地工事を施す
  • 表皮電流加熱の高圧用はA種接地工事
  • 電路には専用の開閉器および過電流遮断器を各極(中性極を除く)に施設する
  • パイプラインなどの電熱装置に電気を供給する電路には漏電遮断器を施設する
  • 粉じん・ガス蒸気・腐食性ガスのある危険場所には施設できない

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. パイプライン電熱装置の使用電圧はどのくらいですか?
A. 発熱線をパイプに固定する方式は低圧が原則で、送配水管・水道管などでは対地電圧300V以下です。直接加熱装置は交流(50Hzまたは60Hz)の低圧、表皮電流加熱装置は交流3,500V以下の高圧または低圧とします。
Q. 発熱線の温度に上限はありますか?
A. 発熱線の温度は被加熱液体の発火温度の80%を超えないように施設します。送配水管・水道管などに施設する場合は、発熱線の温度を80℃を超えないように施設します。
Q. 接地工事や漏電遮断器はどうしますか?
A. 発熱線・口出し線の金属体やパイプラインなどは、使用電圧300V以下でD種、300Vを超える低圧でC種接地工事を施します(表皮電流加熱の高圧用はA種)。あわせて電路には漏電遮断器を施設します。

まとめ|温度の上限と、電圧に応じた接地

パイプラインの電熱装置は「被加熱液体の発火温度の80%を超えない」という温度の上限と、「使用電圧で変わる接地種別」の2点が判断の軸になります。加熱方式によっては絶縁変圧器を設け、二次側電路を接地しない構成にします。

確認する順番見るところ基準
Step1加熱方式発熱線固定か、直接加熱か、表皮電流加熱か
Step2使用電圧低圧、対地電圧300V以下、交流3,500V以下など
Step3電源装置直接加熱・表皮電流加熱は専用の絶縁変圧器、二次側は非接地
Step4温度発火温度の80%以下。送配水管などは80℃以下
Step5接地と保護D種/C種/A種の区分、専用開閉器と過電流遮断器、漏電遮断器

加熱する対象の液体が何かによって、許される温度が変わります。設計の最初に被加熱液体の発火温度を確認しておけば、発熱線の選定と温度制御の仕様が同時に決まります。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
保護のための装置はどう選べばいいですか?
ハリタハリタ
300V以下はD種、超えればC種の接地に加え、漏電遮断器と専用の絶縁変圧器が必要ですよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。