この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
停電に備える予備電源施設(自家発電機蓄電池・切替開閉器)の施設要点を内線規程にもとづき解説。常用電源との非接続、過電流遮断器や接地、セル電圧の算出、電源切替のルールを整理します。
技術図書館予備電源施設|つながないこと、逆流させないこと常用電源と電気的に接続しないのが大原則。切替開閉器は電源側、鉛2V・アルカリ1.2V/セル、鉄台は1350-2で接地。全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:内線規程【114】予備電源施設
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

停電時に活躍する予備電源は、非常時の命綱です。ここでは内線規程にもとづき、自家発電機や蓄電池、切替開閉器などからなる予備電源施設を安全に設置するための要点を整理します。

予備電源施設の3つのポイント(発電機・蓄電池・電源切替)を整理した図解

この記事の結論

予備電源施設は常用電源と電気的に接続しないことが基本です。発電機・蓄電池ともに開閉器と過電流遮断器を設け、鉄台・金属外箱は1350-2にもとづき接地します。負荷が共通な場合は切替開閉器を電源側に設け、予備電源の逆流を防ぎます。

この記事でわかること
✔ 発電機の設置ルール
✔ 蓄電池を予備電源にする場合
✔ 電源切替のルール
ペン太ペン太
停電対策の予備電源って、常用電源とつないでおけば切替が楽じゃないですか?
ハリタハリタ
非常用予備電源は常用電源と電気的に接続しない、これが大原則です。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 非常用予備電源を設置するときの、いちばんの大原則は何か
  • 鉛蓄電池とアルカリ蓄電池では、1セルあたり何Vで計算するか
  • 常時電源と予備電源で負荷が共通のとき、切替開閉器はどちら側に置くか
この記事でわかること
内線規程の予備電源施設の要点を、順にたどれる構成にしています。

発電機の設置ルール

トピック1:発電機の設置ルール
  • 非常用予備電源は常用電源と電気的に接続しないように設置する(需要場所以外からの常用供給と切り離す)
  • 低圧発電機には開閉器・過電流遮断器を設け、電圧計・電流計は発電機の近くで開閉しやすい場所に設置する
  • 高圧発電機では各極に開閉器+過電流遮断器を設け、電圧計は各相、電流計は中性線を除く各極を読めるようにする
  • 鉄台・金属外箱・鉄枠などは1350-2の規定により接地する
ペン太ペン太
蓄電池の電圧計算って、セルの種類で違うんですか?
ハリタハリタ
鉛蓄電池は2V/セル、アルカリ蓄電池は1.2V/セルで計算します。混同しやすい点です。
区分開閉器・過電流遮断器計器の要件
低圧発電機開閉器と過電流遮断器を設ける電圧計・電流計を発電機の近くで開閉しやすい場所に設置
高圧発電機各極に開閉器+過電流遮断器電圧計は各相、電流計は中性線を除く各極を読めるように
蓄電池開閉器と過電流遮断器(開閉機能付きなら単独可)
ここまでのポイント
  • 非常用予備電源は、常用電源と電気的に接続しないように設置する
  • 需要場所以外からの常用供給とは切り離す
  • 低圧発電機には開閉器・過電流遮断器を設け、電圧計・電流計は発電機の近くで開閉しやすい場所に置く
  • 高圧発電機では各極に開閉器+過電流遮断器を設ける
  • 高圧では電圧計は各相、電流計は中性線を除く各極を読めるようにする
  • 鉄台・金属外箱・鉄枠などは1350-2の規定により接地する

蓄電池を予備電源にする場合

トピック2:蓄電池を予備電源にする場合
  • 開閉器と過電流遮断器を設ける(過電流遮断器に開閉機能があれば単独でもよい)
  • 開放形蓄電池は磁器・ガラスなどのがいしで支持し、腐食に強い絶縁台に設置する(16V以下の蓄電池は除外)
  • 電圧の算出は、鉛蓄電池は2V/セル、アルカリ蓄電池は1.2V/セルで計算する
ここまでのポイント
  • 開閉器と過電流遮断器を設ける(過電流遮断器に開閉機能があれば単独でもよい)
  • 開放形蓄電池は磁器・ガラスなどのがいしで支持し、腐食に強い絶縁台に設置する
  • 16V以下の蓄電池はこの支持の規定から除外される
  • 電圧の算出は、鉛蓄電池が2V/セル、アルカリ蓄電池が1.2V/セル

電源切替のルール

トピック3:電源切替のルール
  • 常時電源と予備電源で負荷が共通な場合は、切替開閉器を電源側に設置する
  • 予備電源が常時線路に逆流しないように構成するのが原則
  • 直流と交流が切り替わるような場合は、特に注意して構成する

たとえ話でイメージ

予備電源は、停電という非常事態にだけ開く「もう一つの蛇口」です。普段の蛇口(常用電源)と直接つなげてしまうと水が混ざって事故のもと。だから切替開閉器という栓で、どちらか一方だけが流れるようにしておくわけです。

見習いペン太
見習いペン太
停電のときに活躍する予備電源って、設置に何かルールあるの?
はりた
はりた
あるよ。一番大事なのは、予備電源を常用電源と電気的につながないこと。混ざると危険なんだ。
見習いペン太
見習いペン太
発電機と蓄電池で気をつけることは違うの?
はりた
はりた
発電機は開閉器・過電流遮断器と接地、蓄電池はセル電圧の計算(鉛2V・アルカリ1.2V)や絶縁台がポイントだよ。
予備電源施設の常用電源との分離と電源切替を示した図
非常用予備電源は常用電源と電気的に接続しないことが基本。常時電源と予備電源で負荷が共通な場合は切替開閉器を電源側に設置し、予備電源が常時線路に逆流しないよう構成する。低圧発電機は開閉器・過電流遮断器を設け、電圧計・電流計を発電機の近くで開閉しやすい場所に設置。高圧発電機は各極に開閉器・過電流遮断器を設ける。鉄台・金属外箱・鉄枠などは1350-2の規定により接地する。蓄電池を予備電源にする場合は開閉器と過電流遮断器を設け、電圧の算出は鉛蓄電池2V/セル、アルカリ蓄電池1.2V/セルで行う。
取り違えやすいところ正しくは
予備電源は常用電源とつないでおくと切り替えが早い電気的に接続しない。切替開閉器で一方だけを流す
蓄電池の電圧はセル数×2Vで計算すればよい鉛は2V/セル、アルカリは1.2V/セル
切替開閉器は負荷側に置いてもよい負荷が共通な場合は電源側に設置する
どんな蓄電池もがいしで支持する16V以下の蓄電池は除外される
低圧も高圧も計器の要件は同じ高圧は各相の電圧計と各極の電流計が必要
ここまでのポイント
  • 常時電源と予備電源で負荷が共通な場合は、切替開閉器を電源側に設置する
  • 予備電源が常時線路に逆流しないように構成するのが原則
  • 直流と交流が切り替わるような場合は、特に注意して構成する

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. 予備電源は常用電源とつないでよいですか?
A. いいえ。非常用予備電源は常用電源と電気的に接続しないように設置します。需要場所以外からの常用供給と切り離すための基本ルールです。
Q. 蓄電池のセルあたりの電圧はいくつで計算しますか?
A. 鉛蓄電池は2V/セル、アルカリ蓄電池は1.2V/セルで算出します。なお16V以下の蓄電池は絶縁台の規定から除外されます。
Q. 発電機の鉄台や外箱に接地は必要ですか?
A. 必要です。鉄台・金属外箱・鉄枠などは1350-2の規定により接地します。高圧発電機でも同様に接地が必須です。
Q. 負荷が共通の場合、切替はどうしますか?
A. 常時電源と予備電源で負荷が共通な場合は、切替開閉器を電源側に設置します。予備電源が常時線路へ逆流しないように構成するのが原則です。

まとめ|つながないこと、逆流させないこと

予備電源施設の要点は「常用電源と電気的に接続しない」「予備電源を常時線路に逆流させない」の2点に集約されます。そのうえで、発電機か蓄電池かによって開閉器・計器・支持の要件を当てはめていきます。

確認する順番見るところ決まること
Step1常用電源との関係電気的に分離できているか
Step2予備電源の種類発電機(低圧・高圧)か、蓄電池か
Step3開閉器と過電流遮断器極ごとの要件を満たしているか
Step4計器の配置低圧は近くで開閉しやすい場所、高圧は各相・各極
Step5切替と接地切替開閉器は電源側か、鉄台等は1350-2で接地しているか

予備電源は普段動かさない設備だからこそ、つなぎ方の誤りが表に出るのは非常時になります。切替の構成と接地は、竣工時に図面と現物を突き合わせて確認しておくと安心です。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
切替まわりは何から設計すれば?
ハリタハリタ
切替開閉器を電源側に設け、どちらか一方だけが流れる構成にすることからです。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。