変圧器防振装置とは?
災害対策として受変電設備をビルの上階に設置するケースが増えています。その際に注意しなければならないのが「変圧器から発生する振動音(固体音)」です。このような騒音を防ぐために活躍するのが変圧器の防振装置です。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく、変圧器の振動の特徴と防振装置さらに耐震性能についても図解を交えて丁寧に解説します。
1. 変圧器の振動とは?
● 振動が発生する仕組み
変圧器のコイルに交流電流が流れると、鉄心が磁化し周期的に伸縮する現象が起こります(磁歪現象)。これにより変圧器は振動し、周囲に固体音(建物や床を伝って聞こえる音)として現れます。
2. 振動をどう防ぐ?変圧器の防振対策
変圧器の振動は、床や建物を伝わって音として感じられます。これを防ぐために、**防振装置(スプリングなど)**を用いて建物への伝達を抑えます。
3. スプリング防振装置の構成と原理
● 構成要素
スプリング防振装置は、主に以下の構造で構成されます。
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上部架台と下部架台
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振動を吸収するスプリングと吸振体
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揺れすぎを防ぐストッパー
4. 防振性能と耐震性能
✅ 平常時の効果
スプリング防振装置は、一般的な防振ゴムと比べて振動の減衰性能が高く、20dB以上の騒音低減が期待できます。
✅ 地震時の効果と安全性
変圧器などの電気設備を建物内に設置する際、意外と見落としがちなのが「振動と地震対策」です。
実は、設置時に使われる**防振装置(ぼうしんそうち)**は、日常の騒音対策だけでなく、地震の揺れによる損傷も防ぐ重要な役割を果たしています。
✅ 地震時に揺れを吸収してダメージを最小限に
防振装置は、通常時には安定した振動遮断性能を発揮しながら、地震の揺れが起きた時にはその衝撃を吸収・緩和して、機器の転倒や破損を防ぎます。
この防振装置は、次のような耐震基準を満たしていることがポイントです。
📐 国土交通省「建築設備耐震設計・施工指針」に準拠
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設計用水平震度:2.0
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設計用鉛直震度:1.0
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→ これは、耐震クラスの中でも**「Sクラス(最高ランク)」**に該当します。
つまり、防振装置はただのゴム足ではなく、建築設備の耐震設計における要として活用されているのです。
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地震時には揺れを吸収して設備の損傷を防ぐ。
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国土交通省監修「建築設備耐震設計・施工指針」に準拠。
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設計用水平震度2.0、鉛直震度1.0を満たす(耐震Sクラス)。
このように、防振装置は振動対策と地震対策の両面を担う重要な装置となっています。
✅ まとめ
変圧器は磁歪によって騒音や振動を発生させる。
スプリング防振装置を使うことで、固体音を20dB以上低減可能。
防振装置は、地震時の揺れも吸収し、設備を守る耐震効果もある。
建築設備耐震設計・施工指針に準拠した製品であれば、より安心。