技術図書館立体駐車場の非常照明|設置基準と配置の考え方設置義務はないが、避難経路になり得るなら検討する。配置は車路と通路部分に。全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

立体駐車場や地下駐車場の設計で、非常用の照明装置を入れるかどうかは毎回もめるところです。「駐車場だから要らない」と言われることもあれば、審査で指摘されることもあります。結論を先に言うと、要否を決めているのは「駐車場かどうか」ではなく「居室があるかどうか」です。ここを取り違えたまま話すと、いつまでも答えが合いません。

結論

駐車場を名指しした設置基準はありません。ただし同じ建築物に居室があり、その居室から地上に通ずる通路が駐車場を通るなら、その通路には非常用の照明装置が必要です。

  • 自動車車庫は居室ではない(継続的に使用する室ではない)
  • 非常用の照明装置は建築基準法施行令第126条の4。主語はすべて「居室」
  • 居室がなければ、その通路も対象にならない
  • 採光上有効に直接外気に開放された通路は免除。自走式立体駐車場はここに当たることが多い
  • 地下駐車場は開放の免除が使えないため、避難経路になるなら必要
  • 技術基準は床面1ルクス以上(LED・蛍光灯は2ルクス以上)・30分間(令126条の5)
  • 誘導灯は消防法の別制度。駐車場は地階・無窓階・11階以上の部分に必要
  • 駐車場法施行令第13条の照度(車路10ルクス・駐車部分2ルクス)は、500m²以上の路外駐車場の話
②と④で答えが出ます。①を混ぜたまま考えると結論が出ません。

まず結論 ― 「駐車場だから」ではなく「居室がないから」

先に、よくある説明を否定しておきます。「立体駐車場は屋外だから非常照明は不要」「車庫だから対象外」という言い方は、結論が合っていても理由が違います。理由が違うと、条件が変わったときに間違えます。

同じ建物に店舗や事務室があれば、駐車場の通路も対象になり得ます。

建築基準法施行令第126条の4は、非常用の照明装置を設ける場所を「〜の居室」と「これらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路」と定めています。主語はすべて居室です。自動車車庫は人が継続的に使用する室ではないので居室に当たらず、そのため駐車場そのものには義務が生じません。

逆に言えば、同じ建築物のどこかに居室があれば話が変わります。その居室から地上へ出るまでの経路が駐車場の車路や通路を通るなら、その通路は「地上に通ずる通路」になり、非常用の照明装置の対象になります。

言い方 結論 問題点
屋外だから不要 ときどき合う 屋根のある自走式や地下では成り立たない
車庫だから不要 ときどき合う 同じ建物に居室があると成り立たない
居室がないから不要 これが理由 条件が変わっても判定できる
審査や協議で聞かれるのは3つめです。1つめ2つめでは根拠になりません。
ここまでのポイント
  • 非常用の照明装置の主語は「居室」(令126条の4)
  • 自動車車庫は居室ではないので、駐車場そのものには義務が生じない
  • 同じ建築物に居室があり、避難経路が駐車場を通るなら対象になる
  • 「屋外だから」「車庫だから」は理由として弱い

似た制度が3つある ― まず言い分ける

駐車場の照明の話がかみ合わない最大の理由は、根拠の違う3つの制度が同じ「照明」という言葉で語られていることです。目的も、かかる場所も、数字も違います。

相談が食い違うときは、たいてい別々の制度の話をしています。
非常用の照明装置 誘導灯 駐車場の照度
根拠 建築基準法 令126条の4・5 消防法 令第26条 駐車場法 施行令第13条
目的 停電時に避難経路を照らす 避難口と避難方向を示す ふだんの明るさの確保
かかる場所 居室と地上に通ずる通路 地階・無窓階・11階以上 500m²以上の路外駐車場
数字 1ルクス(LEDは2ルクス)・30分 ― 車路10ルクス・駐車部分2ルクス
所管 建築主事・確認検査機関 消防 駐車場担当部局
相手がどの制度の話をしているかを確かめると、議論が半分に減ります。
ペン太ペン太
消防に聞いたら「要る」と言われたんですが、建築の審査では何も言われませんでした。
ハリタハリタ
消防は誘導灯、建築は非常用照明の話をしています。別の設備です。
ここまでのポイント
  • 非常用の照明装置は建築基準法、誘導灯は消防法、駐車場の照度は駐車場法
  • 目的・かかる場所・数字がすべて違う
  • 所管も別なので、指摘の出どころが違う
  • まず「どの制度の話か」を確かめる


法令での判定 ― 令126条の4の4つの入口

非常用の照明装置が要るかどうかは、次の順で決まります。居室があるか → 4つの入口のどれかに当たるか → その居室から地上に通ずる通路はどこかです。

どれも主語は「居室」です。居室がなければ、通路も対象になりません。

建築基準法施行令 第126条の4(設置)

法第35条の規定により、別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が3以上で延べ面積が500m²を超える建築物の居室、第116条の2第1項第1号に該当する窓その他の開口部を有しない居室または延べ面積が1,000m²を超える建築物の居室およびこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く)には、非常用の照明装置を設けなければならない、と定められています。

ただし、一戸建の住宅や長屋・共同住宅の住戸、病院の病室、学校等などは除かれます。

ここで駐車場に関係するのは二・三・四の入口です。自動車車庫は別表第一では(六)項に当たるため、一の入口((い)欄(一)項から(四)項)には該当しません。つまり駐車場の用途そのものが引き金になることはありません。

⚠ 見落としやすいのは「採光上有効に直接外気に開放された通路を除く」

条文の末尾にあるこの一文が、自走式立体駐車場では大きく効きます。外周が開放されていて、採光上有効に直接外気に開放された通路と認められれば、その通路は対象から外れます。

逆に地下駐車場では開放が取れないため、この免除は使えません。同じ「駐車場」でも、地上の自走式と地下とで結論が変わるのはこのためです。

出典:建築基準法施行令 第126条の4。開放された通路の扱いは特定行政庁の取扱いによります。

ここまでのポイント
  • 判定は「居室があるか → 4つの入口 → 地上に通ずる通路」の順
  • 自動車車庫は別表第一(六)項なので、一の入口には当たらない
  • 効いてくるのは二(3階以上500m²超)・三(無窓居室)・四(1,000m²超)
  • 採光上有効に直接外気に開放された通路は対象から外れる
  • 地上の自走式と地下とで結論が変わるのは、この開放の扱いによる


車庫は居室ではない ― ここが分かれ目

判定の出発点になる「居室」は、建築基準法第2条第4号で「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義されています。

居室は「継続的に使用する室」。車を置く場所は当たりません。

駐車スペースも車路も、人が継続的に使用する室ではありません。機械式駐車装置の部分も同じです。実務でも地下駐車場や大規模倉庫は居室として利用されることはないと解されるという扱いが一般的で、ここから「駐車場に非常用照明の義務はない」という結論が出てきます。

💡 同じ建物の中にある「居室」を見落とさない

駐車場の建物でも、次のような室があれば居室です。ここがあると、その居室と地上に通ずる通路が対象になります。

管理室・料金精算室(人が常駐する)
事務室・休憩室
併設の店舗・営業所

とくに管理室が窓のない室だと、三の入口(無窓居室)に当たります。この場合は管理室そのものと、そこから地上に通ずる通路に必要になります。

ペン太ペン太
駐車場の中の管理室ひとつで、通路まで対象になるんですか。
ハリタハリタ
条文が「これらの居室から地上に通ずる通路」と書いているので、そうなります。
ここまでのポイント
  • 居室は「継続的に使用する室」(法第2条第4号)
  • 駐車スペース・車路・機械式駐車装置の部分は居室ではない
  • 管理室・事務室・併設店舗は居室
  • 無窓の管理室があると、三の入口に当たる
  • 居室がひとつあれば、そこから地上に通ずる通路が対象になる

それでも必要になる3つの場面

ここまでをまとめると、駐車場で非常用の照明装置が必要になるのは次の3つの場面です。逆にこれに当たらなければ、法令上の義務は生じません。

駐車マスは車でふさがるので、非常用照明の対象にしません。
4つめのように居室がまったくない自走式駐車場は、法令上の義務は生じません。
場面 どこが引き金か 必要になる範囲
複合用途の建物 店舗・事務所などの居室がある その居室と、地上に通ずる通路
地下駐車場 外気開放の免除が使えない 避難経路になる車路・通路・階段
無窓の管理室 令116条の2の窓を持たない居室 その居室と、地上に通ずる通路
駐車場だけの建物 居室がない 原則として不要
判断に迷うのは1つめです。建物全体の避難経路を追ってから決めます。

⚠ 義務がないことと、付けないことは別

法令上の義務がなくても、停電した駐車場は真っ暗になります。自走式立体駐車場の内側や、屋根のある部分はとくにそうです。

歩行者が通る前提の場所であれば、義務の有無とは別に、設けるかどうかを建築主と相談して決めるのが実務です。「義務がないので付けませんでした」という説明は、事故が起きたあとでは通りません。

ここまでのポイント
  • 必要になるのは複合用途・地下・無窓の管理室の3場面
  • 居室がまったくない自走式駐車場は、法令上の義務は生じない
  • 判断に迷うのは複合用途。建物全体の避難経路を追ってから決める
  • 義務がなくても、歩行者が通る場所は設置を建築主と相談する


技術基準 ― 1ルクス・2ルクス・30分

必要と決まったら、仕様は令第126条の5と告示で決まっています。器具の種類によって必要な照度が変わるのが、実務でいちばん効くところです。

LEDに替えるときは、同じ配置でも成立しないことがあります。
項目 基準 補足
床面の水平面照度 1ルクス以上 白熱灯の場合。直射照明で測る
LED・蛍光灯の場合 2ルクス以上 同じ場所でも2倍必要になる
地下街の地下道 10ルクス以上(LED・蛍光灯は20ルクス以上) 値の桁が変わる
点灯時間 30分間以上 停電から連続して
予備電源 自動的に切り替わること 充電を行うことなく点灯するもの
耐熱 火災時に温度上昇しても機能すること 配線を含めて考える
照度は器具の直下ではなく、床面のいちばん暗くなるところで成立させます。

非常用照明そのものの基準は消防設備編④ 非常用照明の設置基準に、非常電源の考え方は消防設備編⑤ 非常電源のきほんにまとめています。ふだんの照度の目安は照度基準の早見表をご覧ください。

出典:建築基準法施行令 第126条の5、昭和45年建設省告示第1830号。

ここまでのポイント
  • 床面の水平面照度は1ルクス以上。LED・蛍光灯は2ルクス以上
  • 地下街の地下道は10ルクス以上(LED・蛍光灯は20ルクス以上)
  • 点灯時間は30分間以上
  • 予備電源へ自動的に切り替わること
  • 器具の種類で必要照度が変わるので、LED化のときは再検討する

誘導灯は消防法 ― 地階・無窓階・11階以上

非常用の照明装置と混同されやすいのが誘導灯です。こちらは消防法の設備で、要否の分かれ目も違います。駐車場は消防法施行令別表第一の(13)項イ 自動車車庫、駐車場に当たります。

駐車場は消防法の(13)項イ。誘導灯の要否は階で決まります。
無窓階かどうかは開口部の割合で決まります。自走式でも階によって判定が変わります。

(13)項イでは、避難口誘導灯・通路誘導灯は地階、無窓階および11階以上の部分に設けることとされています。したがって地下駐車場は誘導灯が必要で、窓のある地上階の自走式駐車場は(11階以上の部分を除いて)不要になります。

💡 無窓階の判定は建築の「無窓居室」とは別

消防法の無窓階は、避難上または消火活動上有効な開口部の面積が床面積に対して一定の割合に満たない階のことです。建築基準法の無窓居室(令116条の2)とは判定の方法が違います。

名前が似ているので、協議の場で取り違えないようにします。自走式立体駐車場でも、外周の開口が少ない階は無窓階になることがあります。

誘導灯そのものの選び方は消防設備編③ 非常放送設備と誘導灯に、消防用設備の全体像は消防設備編① 消防用設備、全体像のつかみ方にまとめています。

出典:消防法施行令 第26条、別表第一(13)項イ。

ここまでのポイント
  • 誘導灯は消防法。駐車場は別表第一(13)項イ
  • 避難口誘導灯・通路誘導灯は地階、無窓階、11階以上の部分
  • 地下駐車場は誘導灯が必要
  • 消防法の無窓階と建築基準法の無窓居室は別の判定
  • 自動火災報知設備は駐車用途200m²以上の地階・2階以上の階が目安


駐車場法の照度 ― 10ルクスと2ルクス

3つめの制度が駐車場法です。こちらは非常時ではなくふだんの明るさの話で、かかる駐車場の範囲も限られています。

駐車場法施行令 第13条(照明装置)

建築物である路外駐車場には、次の各号に定める照度を保つために必要な照明装置を設けなければならない。

一 自動車の車路の路面 10ルックス以上
二 自動車の駐車の用に供する部分の床面 2ルックス以上

条文は「ルックス」と表記されています。いまのルクスと同じ単位です。

⚠ どの駐車場にでもかかるわけではない

この規定が置かれている節は、路外駐車場で、自動車の駐車の用に供する部分の面積が500m²以上のものに適用されます。

さらに路外駐車場とは、道路の路面外に設けられ、一般公共の用に供される駐車場のことです。テナント専用・社員専用のように利用者を限る駐車場や、500m²未満の駐車場には、この照度規定は直接かかりません。

かからない場合でも、設計上の目安としてこの値を使うのが一般的です。

条件 駐車場法施行令第13条
一般公共の用に供する路外駐車場・500m²以上・建築物 かかる
500m²未満の路外駐車場 かからない(目安として使う)
テナント専用・社員専用の駐車場 かからない(目安として使う)
建築物でない平面駐車場 第13条は建築物である路外駐車場が対象
義務としてかかるかどうかと、設計の目安として使うかどうかは別に考えます。
ここまでのポイント
  • 駐車場法施行令第13条は車路の路面10ルクス以上、駐車部分の床面2ルクス以上
  • これはふだんの明るさで、非常時の話ではない
  • 適用されるのは一般公共の用に供する路外駐車場で500m²以上のもの
  • 専用駐車場や小規模な駐車場には直接かからない
  • かからない場合も、設計の目安として使うのが一般的

配置の実務と、図面に残すこと

必要と決まったあとの配置は、人が歩いて逃げるところに置き、車が停まるところには置かないという考え方で整理できます。

器具の位置は図面に残します。数年後の改修で、同じ検討をやり直さずに済みます。
場所 非常用の照明装置 理由
車路 置く 避難経路として歩かれる
歩行者通路 置く 避難経路そのもの
階段・出入口 置く 地上に通ずる経路の要になる
駐車マス 置かない 車が停まり、避難経路にならない
機械式駐車装置の内部 置かない 人が立ち入る前提の場所ではない
駐車マスに置かないのは、車で遮られて床面の照度が確保できないためでもあります。

図面と計算書に残す3つ

一.判定の根拠 居室の有無と、当たる入口(二・三・四のどれか)を書く。「該当しないため不要」と書くだけでは、次の人が同じ検討をやり直します。
二.開放の扱い 外気開放で免除を受けた通路は、その旨と根拠を残す。
三.誘導灯との切り分け 建築の非常照明と消防の誘導灯を、図面上で区別して表示する。

とくに三つめは、竣工後の消防検査でもめる原因になりやすいところです。

照明設計の進め方そのものは照明設備の設計マニュアル① 全体の流れから、図面での非常電源の読み方は図面の見方・読み方 非常電源をご覧ください。

ここまでのポイント
  • 人が歩いて逃げるところに置き、車が停まるところには置かない
  • 車路・歩行者通路・階段・出入口が対象
  • 駐車マスと機械式駐車装置の内部は対象にしない
  • 判定の根拠と開放の扱いを図面・計算書に残す
  • 建築の非常照明と消防の誘導灯は図面上で区別して表示する

よくある質問

立体駐車場に非常用照明の設置義務はありますか?

駐車場を名指しした設置基準はありません。自動車車庫は居室ではないため、建築基準法施行令第126条の4の直接の対象になりません。ただし同じ建築物に居室があり、その居室から地上に通ずる通路が駐車場を通る場合は、その通路が対象になります。

地下駐車場ではどうなりますか?

地下は「採光上有効に直接外気に開放された通路」の免除が使えません。そのため同じ建築物に居室があり、避難経路が地下駐車場を通るなら、車路・通路・階段に非常用の照明装置が必要になります。

駐車場しかない建物なら不要ですか?

居室がまったくなければ、令126条の4の対象になりません。ただし停電時に真っ暗になることは変わらないため、歩行者が通る前提の場所には設置を検討します。

自走式立体駐車場は屋外だから不要と聞きました。

結論が合うことはありますが、理由としては不正確です。正しくは「居室がないから」、あるいは「採光上有効に直接外気に開放された通路だから」です。屋根がある部分や内側の通路は開放と認められないことがあります。

管理室があると何が変わりますか?

管理室は人が継続的に使用する室なので居室です。居室があると、その居室から地上に通ずる通路が対象になります。さらに管理室が窓のない室であれば、無窓居室として管理室そのものも対象になります。

「居室」の定義はどこにありますか?

建築基準法第2条第4号です。「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定められています。

令126条の4の「4つの入口」とは何ですか?

別表第一(い)欄(一)項から(四)項までの特殊建築物の居室、階数3以上で延べ面積500m²超の建築物の居室、令116条の2の窓を持たない居室、延べ面積1,000m²超の建築物の居室の4つです。自動車車庫は別表第一(六)項なので、1つめには当たりません。

非常用照明の照度は何ルクス必要ですか?

床面の水平面照度で1ルクス以上です。LED・蛍光灯を使う場合は2ルクス以上になります。地下街の地下道では10ルクス以上(LED・蛍光灯は20ルクス以上)です。

点灯時間は何分ですか?

30分間以上です。停電から連続して点灯し、予備電源に自動的に切り替わる必要があります。

白熱灯からLEDに替えるとき、そのままでよいですか?

必要照度が1ルクスから2ルクスに変わるため、同じ配置のままでは成立しないことがあります。台数や配置の再検討が必要です。

誘導灯と非常用照明は同じものですか?

別の制度です。非常用照明は建築基準法で停電時に避難経路を照らすもの、誘導灯は消防法で避難口と避難方向を示すものです。所管も建築と消防で分かれています。

駐車場に誘導灯は必要ですか?

消防法施行令別表第一(13)項イとして、地階、無窓階、11階以上の部分に必要です。窓のある地上階の自走式駐車場は、11階以上の部分を除いて不要になります。

消防法の無窓階と建築基準法の無窓居室は同じですか?

別のものです。消防法の無窓階は避難上・消火活動上有効な開口部の割合で判定し、建築基準法の無窓居室は令116条の2の採光・排煙の開口部で判定します。名前が似ているので協議の場で取り違えないようにします。

駐車場法の照度基準はどこにありますか?

駐車場法施行令第13条です。車路の路面10ルックス以上、駐車の用に供する部分の床面2ルックス以上と定められています。

駐車場法の照度はどの駐車場にかかりますか?

一般公共の用に供する路外駐車場で、駐車の用に供する部分の面積が500m²以上のものです。テナント専用・社員専用の駐車場や、500m²未満の駐車場には直接かかりません。

駐車マスにも非常用照明を配置しますか?

配置しません。車が停まるため避難経路にならず、床面の照度も車で遮られて確保できないためです。車路と通路に配置します。

機械式駐車装置の部分はどう扱いますか?

人が継続的に使用する室ではないため居室に当たらず、人が立ち入る前提の場所でもないので非常用照明の対象にしません。操作盤のある乗り込みスペースは、避難経路との関係で判断します。

確認申請で何を説明すればよいですか?

居室の有無と、令126条の4の4つの入口のどれに当たるか(または当たらないか)です。外気開放で免除を受ける通路があれば、その根拠もあわせて示します。

特定行政庁によって扱いが違うことはありますか?

あります。とくに「採光上有効に直接外気に開放された通路」の判断は取扱いが分かれるところです。計画の早い段階で事前相談しておくと確実です。

義務がなければ付けなくてよいですか?

法令上はそうですが、停電時に真っ暗になる場所を歩行者が通る計画であれば、設置を建築主と相談して決めます。義務の有無と、設計としての妥当性は別に考えます。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
立体駐車場だから非常用照明は不要 居室がないから不要。条件が変われば必要になる
屋外だから対象外 屋根のある部分や内側の通路は開放と認められないことがある
駐車場に義務がないので何も要らない 同じ建物に居室があれば、通路が対象になる
車庫も居室に含まれる 継続的に使用する室ではないので居室ではない
管理室くらいなら関係ない 居室なので、そこから地上に通ずる通路が対象になる
非常用照明と誘導灯は同じもの 建築基準法と消防法で別の制度。所管も違う
誘導灯も居室の有無で決まる 誘導灯は地階・無窓階・11階以上という階で決まる
消防法の無窓階と建築の無窓居室は同じ 判定の方法が違う別のもの
照度は1ルクスでよい LED・蛍光灯なら2ルクス以上
LED化は器具を置き換えるだけ 必要照度が2倍になるので配置の再検討が要る
点灯時間は決まっていない 30分間以上
駐車場法の照度はすべての駐車場にかかる 500m²以上の路外駐車場が対象
駐車場法の10ルクスは非常時の値 ふだんの明るさの値。非常時とは別
駐車マスにも配置する 車が停まるため避難経路にならない。配置しない
該当しないと書けば図面は足りる 居室の有無と根拠を残さないと、次の人がやり直す
「駐車場かどうか」ではなく「居室があるかどうか」。ここだけ外さなければ迷いません。
手順 やること 見るところ
1|制度を分ける 非常照明・誘導灯・駐車場法を言い分ける 根拠条文
2|居室を探す 管理室・事務室・併設店舗があるか 法第2条第4号
3|入口を確かめる 3階以上500m²超/無窓居室/1,000m²超 令126条の4
4|経路をたどる 居室から地上までの経路が駐車場を通るか 平面図・断面図
5|開放を確認する 採光上有効に直接外気に開放されているか 特定行政庁の取扱い
6|仕様を決める 1ルクス(LEDは2ルクス)・30分 令126条の5
7|誘導灯を検討 地階・無窓階・11階以上か 消防令第26条
8|照度を決める 車路10ルクス・駐車部分2ルクス 駐車場法令13条
この8手順で、図面と計算書に書けるところまで決まります。

📘 あわせて確認したいこと

非常用照明そのものの基準は消防設備編④ 非常用照明の設置基準、誘導灯は消防設備編③ 非常放送設備と誘導灯、消防用設備の全体像は消防設備編① 全体像のつかみ方で扱っています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。