避雷設備の積算|受雷部・引下げ導線・接地極の数量の拾い方と見積もりの注意点
避雷設備は、材料の種類は少ないのに、積算ではよく拾い漏れが出ます。屋上・外壁・地中にまたがり、建築や躯体の工事と入り組んでいるからです。この記事では、避雷設備の数量の拾い方の順番、計算例、工事区分の決め方、見積もりで見落としやすい項目を整理します。
結論
避雷設備の数量は受雷部 → 支持金物 → 引下げ導線 → 試験用接続部 → 接地極 → ボンディング・SPD → 試験の順に拾います。そのうえで工事区分を見積もり前に書面で決めることが大切です。
- 屋上伏図・立面図・接地極配置図・特記仕様から順に拾う
- 引下げ導線は「本数×(高さ+余長)」、環状接地極は「壁から1m外の周長」
- 構造体利用は材料が減る代わりに、接続箇所と試験が増える
- 笠木の橋絡・鉄筋の溶接・防水補修・足場は区分を先に決める
拾う順番 ― 上から下へ、図面ごとに
避雷設備の数量は、雷の通り道の順(上から下)に拾うと漏れが出にくくなります。
| 項目 | 単位 | 拾い方 |
|---|---|---|
| 受雷部 | 本・m | 突針の本数、棟上導体・メッシュ導体の長さ(屋上伏図) |
| 支持金物 | 個 | 導体の長さ ÷ 支持間隔。支持間隔は仕様書・規格の附属書で確認 |
| 引下げ導線 | m | 本数 ×(建物の高さ+余長)。構造体利用なら接続箇所数 |
| 試験用接続部 | 個 | 引下げ導線の本数(構造体接地極との組み合わせは不要) |
| 接地極 | m・本 | 環状接地極の長さ、接地棒の本数、構造体接地極の接地端子 |
| 掘削・埋戻し | m | 接地極の経路の長さ(外構・根切りとの取り合い) |
| ボンディング・SPD | か所・台 | 屋上機器・引込口・金属管のボンディング、SPDの台数 |
| 試験・その他 | 式 | 接地抵抗測定、導通試験、防水補修、足場・高所作業 |
たとえるなら、水道の配管を蛇口から元栓までたどるのと同じです。雷の通り道を上から順にたどれば、拾い漏れがなくなります。
- 上から下へ、雷の通り道の順に拾う
- 支持金物は長さ÷支持間隔で個数を出す
- 試験・防水補修・足場も忘れずに
計算例 ― 40m×25m・高さ30m・クラスⅣ
40m×25m、高さ30mの建物を、クラスⅣ・メッシュ法(20m×20m以下)で設計した例です。
- 屋上の外周の導体:(40+25)×2 = 130m
- メッシュの内側の導体:40m方向の中央に1本(25m)、25m方向の中央に1本(40m)で 65m
- 受雷部の導体 合計:195m
- 引下げ導線:外周130m÷20m=6.5 → かど4本+辺の中間4本で8本
- 専用導線の場合:8本×(30m+余長2m)= 256m
- 試験用接続部:8個
- 環状接地極:壁から1m外に回すと (42+27)×2 = 138m
メッシュの網目は、40m方向は中央の1本で20m、25m方向は中央の1本で12.5mになり、どちらも20m以下を満たします。引下げ導線の間隔も、長辺20m・短辺12.5mで20m以内です。
- 受雷部の導体は、外周+メッシュの内側
- 引下げ導線は、外周÷間隔で本数を出し、かど優先で配置
- 環状接地極は、壁から1m外の周長
構造体利用だと ― 材料が減り、接続と試験が増える
| 項目 | 専用導線 | 構造体利用 |
|---|---|---|
| 引下げ導線の材料 | 本数×高さ分の導体と支持金物 | ほぼ不要 |
| 接続 | 受雷部・接地極との接続 | 柱頭・柱脚の接続(溶接・クランプ)、途中階の接続 |
| 試験用接続部 | 引下げ導線の本数分 | 構造体接地極との組み合わせなら不要 |
| 試験 | 接地抵抗 | 導通試験(最上階〜地上)+接地抵抗 |
| 立会い・記録 | 少なめ | 打設前の確認と写真が必要 |
構造体利用にすると、材料費と外壁の取付け手間は減りますが、接続の箇所数・打設前の確認・導通試験が増えます。接続を電気工事で行うのか、躯体工事で行うのかによって、どちらの見積もりに入るかも変わります(「引下げ導線と構造体利用|本数と間隔の決め方、鉄骨・鉄筋を使う条件と0.2Ωの確認」参照)。
- 構造体利用は材料と外壁の手間が減る
- 代わりに接続箇所・打設前確認・導通試験が増える
- 接続をどの工事で行うかで見積もりの行き先が変わる
工事区分 ― 見積もり前に書面で決める
避雷設備は、電気工事だけで完結しません。とくに次の項目は、どの工事に含めるかで揉めやすいので、見積もりの前に書面で決めておきます。
- 金属笠木・金属屋根の継目の橋絡:笠木は建築、橋絡は電気、が多いが案件しだい
- 鉄筋・鉄骨への溶接・クランプ:躯体工事で行うか、電気工事が行うか
- 防水の貫通部の補修:防水業者の保証との関係も確認
- 足場・高所作業車:共通仮設か、電気工事の専用か
- 避雷設備は電気・建築・躯体にまたがる
- 笠木の橋絡・鉄筋の溶接・防水補修・足場は区分を明確に
- 見積もり前に書面で決める
見落としやすい項目 ― 小物と試験と仮設
| 見落としやすい項目 | ポイント |
|---|---|
| 支持金物・接続材 | 導体の長さから個数を出す。材料をそろえる(異種金属に注意) |
| 屋上機器のボンディング | 室外機・太陽光・アンテナなどの台数分 |
| SPD | 引込口のクラスⅠ試験SPD、分電盤のSPD |
| 試験と記録 | 接地抵抗の単独・総合測定、導通試験、写真と報告書 |
| 防水の貫通部 | 補修の材料と手間、防水業者の立会い |
| 高所作業 | 外壁の引下げ導線、高い突針の取付けに足場・高所作業車 |
ペン太
ハリタ- 支持金物・接続材は導体の長さから個数を出す
- 屋上機器のボンディングとSPDを忘れない
- 試験・記録・防水補修・高所作業も費用に入れる
よくある質問
避雷設備の数量はどうやって拾いますか?
受雷部(突針の本数、棟上導体・メッシュの長さ)、支持金物(導体の長さ÷支持間隔)、引下げ導線(本数×(高さ+余長))、試験用接続部(引下げ導線の本数)、接地極(環状の長さ・接地棒の本数)、掘削・埋戻し、ボンディング・SPD、試験の順に、屋上伏図・立面図・接地極配置図・特記仕様から拾います。
構造体利用だと、避雷設備の費用は下がりますか?
専用の引下げ導線の材料と取付けが減る分、下がることが多いです。ただし、鉄骨・鉄筋との接続(溶接・クランプ)の箇所数、打設前の確認、導通試験の費用が加わります。接続を誰が行うか(電気か躯体か)も、見積もりの前に決めておきます。
避雷設備の工事区分で揉めやすいのはどこですか?
金属笠木や金属屋根を受雷部に使うときの継目の橋絡、鉄筋・鉄骨への溶接、防水の貫通部の補修、足場の費用負担です。見積もりの前に、電気・建築・躯体のどの工事に含めるかを書面で決めておきます。
引下げ導線の長さの余長はどれくらい見ますか?
接続部、屋上での取り回し、試験用接続部から接地極までの長さなどを見込みます。一律の決まりはないので、図面の経路で拾ったうえで、会社や案件の積算基準に合わせて余長を加えます。
見積もりで見落としやすい項目は何ですか?
支持金物と接続材、防水の貫通部の補修、屋上機器のボンディング、SPD、接地抵抗の測定と記録、構造体利用時の導通試験、高所作業の足場や高所作業車です。特記仕様の試験と記録の項目も、費用に入れておきます。
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