受変電設備の設計 PR

受変電設備の設計|受電設備容量の制限はどう決まる?

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✅ 質問の概要:

高圧受電設備には**容量制限(例:300kVA以下)**がありますが、
その根拠や考え方は?どの法令・規格に基づくの?


✅ 答えのポイント

  • 容量制限は、安全性・保守性・周囲環境への影響配慮のために設けられている

  • 該当する規定は:
    ▶︎ 高圧受電設備規程 1110-5条「受電設備容量の制限」


🔍 解説:受電設備容量の考え方

  • 受電容量=受電電圧で使用する変圧器、電動機、機器の合計容量(kVA)

  • 高圧電動機は「定格出力(kW)」ではなく「kVA」で算定

  • 高圧進相コンデンサは、JIS C 4620 の定義により容量に含めない


🔢 規定の上限「300kVA」の理由は?

PF・SF形キュービクル式高圧受電設備については:

内容 詳細
容量制限の対象 箱型・屋外式を除く、屋内設置のPF・SF型キュービクル
制限容量 300kVA以下と規定
根拠 配電変電所のOCR(過電流継電器)とPF・SFの限流ヒューズとの動作協調

📌 なぜ動作協調が重要?

もしOCRとヒューズの協調がとれていないと…

停電リスク

設備破損

感電・火災の危険

→ だから、制限内で安全性を担保することが求められる!

⚡PF・SF形受電設備の容量制限(300kVA)と動作協調の考え方

🧠 解説:なぜPF・SFは300kVA制限なの?

1. 屋外式で箱に収める構造のPF・SFは、

  • 保守性や環境耐性に制約あり

  • そのため、設備容量は最大300kVAまでとされている(※他方式は上限なしもある)

2. 制限の根拠は「動作協調」にあり!

  • 高圧規程「動作協調1」では:

    「PF・SF形の主遮断装置と配電変電所のOCRとの協調」が求められる


⚙ 設定条件の具体例(本文より)

  • 配変OCR:200/5A、タップ6A、タイムレバー #1

  • → このOCR特性と限流ヒューズの遮断特性がぶつからないように設定

  • 自家用PFでも、OCR設定に応じて限流ヒューズを選定する必要あり


✅ キーワード解説

用語 解説
PF・S形 パッケージ型(箱入り)の屋外高圧受電装置
OCR 過電流継電器。電流が異常時に遮断信号を出す機器
動作協調 ヒューズ・継電器などが順番に正しく作動するように調整すること
限流ヒューズ 大電流を短時間で遮断するヒューズ(開閉器内に内蔵)

✅ まとめ:なぜ300kVAなのか?

理由 内容
保守・耐環境性の限界 箱入り構造ゆえに大容量化には不向き
配電変電所との協調 OCRと限流ヒューズのタイミングがズレると事故に直結
高圧規程の明確な指針に基づく 「動作協調1」にて数値と条件が規定されている

主遮断装置の形式と受電設備方式による設備容量の上限

(高圧規程1110-1表)

受電設備方式 主遮断装置の形式 CB形(kVA) PF・S形(kVA)
箱に収めないもの(屋外式) 屋上式 制限なし 150
箱に収めないもの(屋外式) 柱上式 100
箱に収めないもの(屋外式) 地上式 制限なし 150
箱に収めないもの(屋内式) 制限なし 300
箱に収めるもの(屋内式) キュービクル 4,000 300
箱に収めるもの(屋内式) その他 制限なし 300

✅ ポイント:

  • **CB形(遮断器)**は基本的に容量制限なし

  • PF・SF形は構造的制約から容量制限あり

    • 屋外柱上式では最大100kVA

    • 屋内で箱収めなら最大300kVA


【表2】限流ヒューズの最大適用の例(定格電流ごとの制限)

項目
定格電流(A) G50 (G40) G75 (G50)
受電電力(kW) 150 195
三相変圧器容量(kVA) 150 200
単相変圧器容量(kVA) 75 100
合計変圧器容量(kVA) 225 300
OCR設定(例) CT比200/5A・タップ6A・TL#1 CT比400/5A・タップ4A・TL#1
OCR整定(静止) 240A相当(一次) 320A相当(一次)

✅ 限流ヒューズの選定条件:

  • 電力会社側の配電用OCRとの協調が前提

  • 例)G50(150A)は最大225kVA程度まで、G75(195A)は最大300kVAまでが安全範囲


✅ まとめ:実務上の注意点

項目 内容
PF・SF形は300kVAまで 箱収め設備(屋内)でも容量制限あり
柱上式ではもっと小さい 100kVAが上限(保守性や安全性の観点)
ヒューズ容量も制限要素 G50=225kVA、G75=300kVAが上限目安