受変電設備の設計 PR

受変電設備の設計|変流器(CT)の選定ポイントについて詳しく解説

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🔧受電設備に使う変流器(CT)の選定ポイント!


✅ 変流器(CT)とは?

CT(Current Transformer) = 電流を比例的に変換する計器用変成器

種類 特徴
巻線型 CT 高圧用。構造が固定され、絶縁性能が高い
貫通型 CT 低圧用。電線を通すだけで使用可能、取り扱い簡単

✅ 変流比の決め方(選定基準)

  • 定格一次電流:定格負荷電流 × 1.5倍 が目安

  • 定格二次電流は通常 5A
     → 離隔が長い場合は 1A を選択する


✅ CTの定格項目

項目 内容
一次電流 例:50A, 75A, 100A…
二次電流 通常5A(または1A)
定格負担 VA単位。機器+配線の負荷容量(例:40VA)
確度階級 計測精度(例:1級=±1%)
過電流定数 例:>10(10倍電流まで計測精度維持)
耐電圧 12.5kA(短時間電流耐性)
番インパルス耐電圧 60kV(雷サージなど)

✅ 選定時の注意点

チェック項目 理由とポイント
負荷電流に対して1.5倍程度を選ぶ 実際の電流に近すぎると指針が振り切れて計測不能に
確度階級は「1級」以上 精度が求められる用途では誤差±1%の1級以上を目安にする
定格負担を超えないように 接続する計器や配線長の合計VAをCT仕様に収めることが必要
過電流定数・耐電圧の確認 系統保護や高電圧サージに対応できる性能があるかを確認

✅ CT選定チェックリスト

✅項目 推奨値/基準
定格一次電流 負荷電流 × 1.5倍
定格二次電流 5A(遠距離は1A)
定格負担 使用機器VA合計以下
確度階級 1級(±1%)
過電流定数 10以上
耐電圧 系統に応じて確認

 

✅ 過電流定数(Accuracy Limit Factor)

◆ 定義:

過電流定数 = 一次電流 ÷ 定格一次電流
→ 「n = 10」「n = 20」などと表記される

項目 内容
意味 CTが誤差10%以内で測定できる最大電流の倍率
基準 JIS C 4610 ではn ≧ 10が必要
適用 過電流継電器と接続する場合に重視される指標

◆ 注意点:

  • 過電流定数が小さいと、大電流時の誤差が大きくなる

  • 一般計測用途(例:電力量計)ではそこまで大きなn値は不要


✅ 過電流強度(Thermal Current Withstand)

◆ 定義:

変流器が、定格電流を超える電流(事故電流)に何秒耐えられるかを表す
→ 通常は「定格電流 × 時間」で評価(例:12.5kA × 1秒)

◆ 実用上のポイント:

項目 内容
測定目的 CTが熱・機械的に壊れない範囲で使用するための基準
一般的な基準 定格電流の40倍×1秒が目安(例:定格電流5Aなら200A×1秒)
実事故想定時 75倍、150倍、300倍など大きな耐性が必要な場合もある

→ 特に短絡事故を想定した保護リレー系統では重要な選定条件。


✅ 確度階級(Accuracy Class)

◆ 定義:

CTの測定精度を分類した指標。値が小さいほど精密。

確度階級 意味
0.2級・0.5級 特別精密計測用(例:需要家契約電力量計)
1.0級 一般的な電力計測用、受電計測にも使用
3.0級 精度の要求が緩い一般監視計測に使用

→ 通常、配電盤計測なら「1.0〜3.0級」、契約計量なら「1.0級以下」が目安。


✅ 実務選定のポイントまとめ:

選定項目 実務での目安
過電流定数 n≧10(過電流リレー連携時)
過電流強度 40倍×1秒(高短絡時は150倍以上)
確度階級 一般1.0級、契約計量は0.5級以下


✅ 定格負担(Rated Burden)

◆ 定義:

CTの二次側に接続可能な機器(電流計・保護リレー等)+配線による消費容量の上限(単位:VA)


◆ ポイント整理:

項目 内容
定格負担を超えると? 測定誤差増加、誤作動の原因に
小さすぎても? 誤差が大きくなり、指示が安定しない
使用推奨範囲 定格負担の1/4~定格値以内
配線のVAも含む? 含みます(例:I²RまたはI²Zₙ)
配線距離が長い場合 5Aよりも1A CTが有利(25倍の差)

◆ 配線抵抗参考

線種 抵抗値(Ω/km)
3.5mm² 5.20
5.5mm² 3.33
8.0mm² 2.31

✅ 注意点:二次回路の開放禁止!

❗ 絶対にやってはいけないこと:

CTの一次側に電流が流れている状態で、二次側を開放すると…

発生事象 説明
鉄心が磁気飽和 正常な変流ができず、異常高電圧が発生
発熱・焼損の恐れ CTが過熱し破損するリスクがある
機器破損・人身事故 二次電路に高電圧 → 非常に危険 ⚡

✅ 現場での対応ポイント

処置 内容
CT二次側は必ず閉ループで使用 開放厳禁、短絡端子板で保守中も閉回路に
負担VAは常に計算・確認 特に長距離配線時に注意
1A CTの活用検討 配線距離長い場合に有効