誘導電動機
この章でわかること
ハリタ先生
今回は**誘導電動機**について学びます。種類や始動方法、回転速度の仕組みなど、重要なポイントをしっかり押さえましょう!
ペン太
はい、**誘導電動機**ですね。頑張って覚えます!
基本の解説
ハリタ先生
まず、誘導電動機がどんなものか説明しますね。これは交流電源で動くモーターで、構造がシンプルで丈夫なので、工場や家庭で広く使われているんですよ。
ペン太
へぇ、そうなんですね!うちの洗濯機もそうですか?
ハリタ先生
その通り!洗濯機や換気扇のように家庭のコンセントで使うのは「単相誘導電動機」です。一方、エレベーターや工場の大きな機械には、より強力な「三相誘導電動機」が使われます。試験では、この三相誘導電動機がよく出題されますよ。
回転速度とすべり
ハリタ先生
電動機には**「回ろうとする速さ」(同期速度)と、実際に「回っている速さ」**(回転速度)があります。かけっこでいうと、先生が「ゴールまで毎秒100mのペースで走れ!」と笛を吹くのが同期速度。でも実際には、選手は100mピッタリでは走れず、ちょっと遅れて走っています。
ペン太
この「ほんのちょっと遅れる分」が**滑り(すべり)**なんですね!
ハリタ先生
その通り!電動機は「遅れ」があるからこそ力を生み出せるんだ。かけっこでも、**ほんの少し遅れて走ることで前にいる先生を追いかける力(がんばる力)**が出るイメージだね。もし遅れがゼロなら、追いかける力もゼロになって、回す力がなくなってしまうんだ。
「すべり」のかけっこ例え
重要公式
同期速度 Ns [min⁻¹]
Ns = 120 × f / P
f: 周波数 [Hz], P: 極数
回転速度 N [min⁻¹]
N = Ns (1 – s)
s: すべり
⚙️ 同期速度を計算してみよう!
同期速度 (Ns) は…
1500 min⁻¹
始動方法の詳細
全電圧始動法(じか入れ始動)
電源電圧を直接モーターに加えて始動させる方法です。回路が簡単ですが、始動時の電流が定格電流の5~8倍と非常に大きくなる欠点があります。
この大きな始動電流が他の機器に影響を与える可能性があるため、定格出力が5kW以下の比較的小さなかご形誘導電動機に使用が限定されます。
スターデルタ始動法(Y-Δ始動法)
始動時の電流を抑えるための方法です。始動時は固定子巻線をスター結線(Y結線)にすることで、始動電流を全電圧始動の場合の3分の1に抑えます。
モーターの回転速度が定格速度に近づいたら、巻線をデルタ結線(Δ結線)に切り替え、通常の運転に移ります。この方法は、定格出力が10~15kWのかご形誘導電動機で一般的に使われます。
始動法による違いのまとめ
スターデルタ始動法は始動電流を抑えられる反面、始動時の力(トルク)も小さくなります。
始動方法 | 始動電流 | 始動トルク |
---|---|---|
全電圧始動法 | I | τ |
Y-Δ始動法 | I / 3 | τ / 3 |
回転を逆転させる方法
三相誘導電動機の回転方向を逆にするには、三相交流電源(R, S, T)の3本のうち、いずれか2本を入れ替えます。
これにより、モーター内部の回転磁界の向きが逆になり、回転子の回転方向も逆になります。
力率の改善対策
力率とは「電力をどれだけ有効に使えるか?」を表す値です。電動機の巻線(コイル)は、電流が電圧より遅れて流れる性質があり、これが力率を悪化させる(電力を有効に使えない)原因となります。
力率が悪いと、同じ仕事をするのにより多くの電流が必要になり、電力の無駄が増えます。この問題を解決するのが進相コンデンサです。
コンデンサの接続場所
力率改善用のコンデンサは、誘導電動機を操作する手元開閉器の負荷側(電動機側)に、電動機と並列に接続するのが正解です。
もし手元開閉器の電源側に接続してしまうと、電動機が停止している(開閉器がOFFの)ときでもコンデンサに電流が流れ続け、無駄な電力を消費してしまいます。
図解で覚える!ポイント
全電圧始動法
定格出力5kW以下の電動機で使われる始動法。
スターデルタ始動法
10~15kWのかご形誘導電動機で使われる始動法。
三相誘導電動機の逆転
電源線のうち、2本を入れ替えることで逆回転する。
力率の改善
進相コンデンサを設置して電力効率を上げる。
重要用語フラッシュカード
カードをクリックして、用語と意味を確認し、記憶を定着させましょう。
理解度チェックテスト
テスト履歴
実施日時 | スコア | 正答率 |
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