第二種電気工事士 合格カリキュラム学科② 配電理論と配線設計
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この連載の最終回は、「電気設備の基本知識 #013【電気設備技術基準の規定】」でも触れた住宅の屋内電路の対地電圧の制限です。住宅は対地電圧150V以下が原則ですが、大きな機器のために300V以下にできる例外があります。この記事では、原則、200Vの機器と対地電圧の関係、例外の条件、施工イメージを、図とたとえで確認していきます。

結論

住宅の屋内電路は対地電圧150V以下が原則。単相3線式の200Vは対地100Vなので原則に収まります。2kW以上の機器なら、専用配線・直接接続・専用の開閉器と遮断器・漏電遮断器などの条件で300V以下にできます。

  • 感電したとき体にかかるのは対地電圧
  • 例外が必要なのは三相200Vなど対地電圧が150Vを超える場合
  • コンセントは使わず、屋内配線と直接接続する
  • 屋内配線と機器には簡易接触防護措置
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
住宅は人が長い時間くらす場所なので屋内電路の対地電圧は150V以下が原則で、単相3線式の100V・200Vはどちらも対地電圧100Vなので原則に収まることを示した図
住宅の屋内電路は、対地電圧150V以下が原則です。

原則 ― 対地電圧150V以下

住宅の屋内電路の対地電圧は、原則として150V以下です。住宅は人が長い時間くらす場所で、電気の知識がない人や子どもも電気を使います。感電したときに体にかかるのは対地電圧なので、それを低く抑えています。

たとえるなら家の中の階段の手すりです。毎日だれもが使う場所だからこそ、安全の基準を一段高くしています。対地電圧の考え方は「電気設備の基本知識 #013【電気設備技術基準の規定】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 住宅の屋内電路は対地電圧150V以下
  • 感電したとき体にかかるのは対地電圧
  • くらしの場は低く抑える

200Vと対地電圧 ― 線間で判断しない

単相3線式では中性線を接地しているので、線間200Vでも対地電圧は100Vで、IHやエアコンの200Vは原則に収まるのに対し、三相3線式200Vで1相を接地すると対地電圧が200Vになり例外の条件が必要になることを比べた動く図解
動く図解:同じ200Vでも、配電方式で対地電圧が変わります。

「200Vの機器を住宅で使うなら例外が必要」と思いがちですが、そうとは限りません。住宅で一般的な単相3線式は中性線を接地しているので、電圧線どうしの線間は200Vでも、対地電圧は100Vです。IHクッキングヒーターやエアコンを単相200Vで使っても、原則の150V以下に収まります。

例外の条件が必要になるのは、三相200Vの機器のように、対地電圧が150Vを超える場合です。

ペン太ペン太
IHやエアコンを200Vで使うのは、対地電圧の制限に引っかからないんですか?
ハリタハリタ
単相3線式の200Vなら、対地電圧は100Vなので引っかかりません。例外の条件が必要なのは、三相200Vのように対地電圧が150Vを超える場合なんですよ。
ここまでのポイント
  • 単相3線式の200Vは対地100V
  • IH・エアコンの単相200Vは原則に収まる
  • 三相200Vなど対地150V超で例外が必要

例外の条件 ― 6つそろえば300V以下

住宅で対地電圧300V以下にできる例外の条件として、定格消費電力2kW以上の電気機械器具、その機器だけに電気を送る専用の屋内配線、屋内配線と機器に簡易接触防護措置、機器は屋内配線と直接接続、専用の開閉器と過電流遮断器、電路に漏電遮断器の6つが順にそろうことを示した動く図解
動く図解:条件が1つずつそろうと、300V以下で施設できます。
条件 内容
機器 定格消費電力2kW以上の電気機械器具
専用の屋内配線 その機器だけに電気を送る。対地電圧は300V以下
簡易接触防護措置 屋内配線と機器に施す
直接接続 機器は屋内配線と直接接続する(コンセントを使わない)
開閉器・過電流遮断器 専用の開閉器と過電流遮断器を設ける
漏電遮断器 電路に漏電遮断器を設ける(二次300V以下の絶縁変圧器で負荷側を非接地にする場合などを除く)
電気設備技術基準の解釈(対地電圧の制限)をもとに要約。くわしくは条文で確認する

コンセントを使わないのは、ほかの機器を差し込めないようにするためです。専用の配線と直接接続で、その機器以外に高い対地電圧がかからないようにしています。漏電遮断器の決まりは「電気設備の基本知識 #034【漏電遮断器の施設と省略】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 2kW以上の機器の専用配線
  • 直接接続・簡易接触防護措置
  • 専用の開閉器・遮断器と漏電遮断器


施工イメージ ― 専用回路を引く

住宅の分電盤から、漏電遮断器と専用の開閉器を通り、簡易接触防護措置をした専用の屋内配線で、コンセントを使わずに2kW以上の機器へ直接接続する施工イメージを示した図
条件をそろえれば、住宅でも対地電圧300V以下の電路を引けます。

分電盤に専用の漏電遮断器と開閉器を設け、その機器だけのための配線を引いて、コンセントを使わずに直接つなぎます。配線は人が簡単に触れないように施設します。

ここまでのポイント
  • 分電盤に専用の漏電遮断器・開閉器
  • その機器だけの専用配線
  • コンセントを使わず直接接続

規定の全体像 ― 5つの視点

住宅の屋内電路の対地電圧制限の規定を、原則(対地電圧150V以下・単相3線は100Vで収まる)、例外(2kW以上の機器・対地電圧300V以下)、配線(専用・直接接続)、開閉器・遮断器(専用の開閉器と過電流遮断器)、守る(簡易接触防護措置・漏電遮断器)の5つの視点で整理した図
住宅の対地電圧制限は、5つの視点で整理できます。

原則と例外を分け、例外の条件を「配線」「開閉器・遮断器」「守る」の3つに整理すると覚えやすくなります。

ここまでのポイント
  • 原則150V、例外300V
  • 例外は2kW以上の機器だけ
  • 条件は配線・開閉器・守るの3グループ

押さえる要点 ― 6つのルール

住宅の屋内電路の対地電圧制限で押さえる要点として、原則は対地電圧150V以下、単相3線式は200Vでも対地100V、例外は2kW以上の機器で対地300V以下、専用・直接接続でコンセント不可、専用の開閉器と過電流遮断器、簡易接触防護措置と漏電遮断器の6つを並べた図
住宅の屋内電路の対地電圧制限のまとめ。

これで「電気設備の基本知識」全35回はおしまいです。最初から読み返すなら「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」からどうぞ。

ここまでのポイント
  • 住宅は対地電圧150V以下
  • 単相3線式の200Vは対地100V
  • 2kW以上の機器は条件つきで300V以下

よくある質問

住宅の屋内電路の対地電圧は?

原則として150V以下です。住宅で一般的な単相3線式は、100Vも200Vも対地電圧は100Vなので、この原則に収まります。

対地電圧300V以下にできる例外は?

定格消費電力2kW以上の電気機械器具と、それだけに電気を送る屋内配線は、条件をそろえれば対地電圧300V以下にできます。

例外の条件は?

その機器だけに電気を送る専用の屋内配線とする、屋内配線と機器に簡易接触防護措置をする、機器は屋内配線と直接接続する(コンセントを使わない)、専用の開閉器と過電流遮断器を設ける、電路に漏電遮断器を設ける、などです。

200VのIHクッキングヒーターやエアコンは、例外の条件が必要ですか?

単相3線式の200Vで使う場合、対地電圧は100Vなので、この例外の対象ではありません。例外が必要になるのは、三相200Vの機器のように対地電圧が150Vを超える場合です。

なぜ住宅だけ対地電圧が制限されているのですか?

住宅は人が長い時間くらす場所で、電気の知識がない人や子どもも電気を使います。感電したときに体にかかるのは対地電圧なので、それを低く抑えて危険を小さくしています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。