絶縁電線の許容電流
この章でわかること
ハリタ先生
今回は絶縁電線の許容電流について学びます。電線の太さや、何本まとめて配線するかによって安全に流せる電流の量が変わる、重要なポイントですよ!
ペン太
はい、絶縁電線の許容電流ですね。計算問題でよく見るやつだ!頑張って覚えます!
基本の解説
電線の絶縁物(ビニルなど)は、温度が上がりすぎると性能が落ちてしまいます。そのため、絶縁物の種類ごとに最高許容温度が定められています。電線に電流を流し続けると熱が発生しますが、この最高許容温度を超えない限界の電流値を許容電流といいます。周囲の温度が高い場合は、その分だけ許容電流は小さくなります。
また、複数の電線を1本の電線管に収めると熱がこもりやすくなるため、電流減少係数を掛けて許容電流を調整する必要があります。
なぜ許容電流があるの?
❌ 大電流を流しすぎると…
電線に大きな電流が流れると、電気抵抗によって多くの熱が発生します。この熱で絶縁物が劣化してしまい、火災などの危険があります。
✅ 許容電流を守ると…
発熱を抑えるために、安全に流せる電流が「許容電流」として制限されています。これにより、電線を安全に使い続けることができます。
電線管に収めた場合は?
電線管やケーブル外装に複数の電線を収めると、熱が放散しにくくなり電線の温度が上昇します。そのため、安全に流せる電流の量を減らす必要があります。これが電流減少係数を掛ける理由です。
同一管内の電線数 | 電流減少係数 |
---|---|
3本以下 | 0.70 |
4本 | 0.63 |
5本または6本 | 0.56 |
7~15本 | 0.49 |
16~40本 | 0.43 |
41~60本 | 0.39 |
61本以上 | 0.34 |
【計算例】
単体で35Aまで流せる電線でも…
4本を同じ管に収めると、電流減少係数の0.63を掛けます。
35[A] × 0.63 = 22.05[A]
7捨8入で端数処理をすると…
1本あたりの許容電流は 22A になります。
電線の太さの表し方
単線
1本の導体でできており、太さは直径(mm)で表します。
より線
細い素線をより合わせて1本にしたもので、太さは断面積(mm²)で表します。
図解で覚える!ポイント
許容電流の基本値
ビニル絶縁電線(IV線)の基本の許容電流です。まずこの2つを暗記しましょう。
● 1.6mm → 27A
● 2.0mm → 35A
電流減少係数
複数の電線を同じ管に収めると熱がこもり危険です。そのため、許容電流を補正(減少)する必要があり、この時に使うのが電流減少係数です。
係数の値
電線本数と係数の組み合わせを覚えます。
● 3本 → 0.70
● 4本 → 0.63
● 5〜6本 → 0.56
端数処理「7捨8入」
係数を掛けた後の値は、小数点第一位を「7捨8入」します。7以下は切り捨て、8以上は切り上げます。
(例: 15.7A → 15A, 15.8A → 16A)
許容電流値 一覧表
600Vビニル絶縁電線をがいし引き配線した場合の、基本的な許容電流値です(周囲温度30℃以下)。太さをクリックすると対応する許容電流がハイライトされます。
単線 | より線 | ||
---|---|---|---|
太さ(直径) | 許容電流値 | 太さ(断面積) | 許容電流値 |
1.6 [mm] | 27 [A] | 2 [mm²] | 27 [A] |
2.0 [mm] | 35 [A] | 3.5 [mm²] | 37 [A] |
2.6 [mm] | 48 [A] | 5.5 [mm²] | 49 [A] |
3.2 [mm] | 62 [A] | 8 [mm²] | 61 [A] |
14 [mm²] | 88 [A] |
許容電流をコップで例えると?
電線の太さと許容電流の関係は、コップの大きさと入る水の量に例えることができます。太い電線(大きいコップ)ほど、たくさんの電流(水)を安全に流すことができます。電流減少係数を適用すると、コップが小さくなるイメージです。
1.6mmの電線
係数適用後 (0.70)
重要ポイントまとめ
単線1.6mmは27A、2.0mmは35A。
電線管に収める本数が増えると電流減少係数を掛ける。
係数は3本で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56。
計算結果の端数処理は7捨8入。
許容電流計算ツール
重要用語フラッシュカード
カードをクリックして、用語と意味を確認し、記憶を定着させましょう。
理解度チェックテスト
テスト履歴
実施日時 | スコア | 正答率 |
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