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はじめまして、ハリタといいます。 電気設備の計画や設計、むずかしいと感じたことはありませんか? 「先輩に聞けない」「相談できる人がいない」 ――そんな悩みを抱える方の力になりたくて、このサイトを立ち上げました。 現場で迷ったとき、ふと立ち寄ってヒントが得られるような、そんな場所を目指しています。 あなたのモヤモヤが少しでも晴れることを願って――どうぞよろしくお願いします。
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電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】

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絶縁電線の許容電流

学習進捗0%

この章でわかること

🦔

ハリタ先生

今回は絶縁電線の許容電流について学びます。電線の太さや、何本まとめて配線するかによって安全に流せる電流の量が変わる、重要なポイントですよ!

ペン太

はい、絶縁電線の許容電流ですね。計算問題でよく見るやつだ!頑張って覚えます!

🐧

基本の解説

電線の絶縁物(ビニルなど)は、温度が上がりすぎると性能が落ちてしまいます。そのため、絶縁物の種類ごとに最高許容温度が定められています。電線に電流を流し続けると熱が発生しますが、この最高許容温度を超えない限界の電流値を許容電流といいます。周囲の温度が高い場合は、その分だけ許容電流は小さくなります。

また、複数の電線を1本の電線管に収めると熱がこもりやすくなるため、電流減少係数を掛けて許容電流を調整する必要があります。

なぜ許容電流があるの?

❌ 大電流を流しすぎると…

🥵

電線に大きな電流が流れると、電気抵抗によって多くの熱が発生します。この熱で絶縁物が劣化してしまい、火災などの危険があります。

✅ 許容電流を守ると…

😊

発熱を抑えるために、安全に流せる電流が「許容電流」として制限されています。これにより、電線を安全に使い続けることができます。

電線管に収めた場合は?

電線管やケーブル外装に複数の電線を収めると、熱が放散しにくくなり電線の温度が上昇します。そのため、安全に流せる電流の量を減らす必要があります。これが電流減少係数を掛ける理由です。

同一管内の電線数 電流減少係数
3本以下 0.70
4本 0.63
5本または6本 0.56
7~15本 0.49
16~40本 0.43
41~60本 0.39
61本以上 0.34
【計算例】

単体で35Aまで流せる電線でも…

4本を同じ管に収めると、電流減少係数の0.63を掛けます。

35[A] × 0.63 = 22.05[A]

7捨8入で端数処理をすると…

1本あたりの許容電流は 22A になります。

電線の太さの表し方

単線

1本の導体でできており、太さは直径(mm)で表します。

より線

細い素線をより合わせて1本にしたもので、太さは断面積(mm²)で表します。

図解で覚える!ポイント

許容電流の基本値

ビニル絶縁電線(IV線)の基本の許容電流です。まずこの2つを暗記しましょう。
1.6mm → 27A
2.0mm → 35A

電流減少係数

複数の電線を同じ管に収めると熱がこもり危険です。そのため、許容電流を補正(減少)する必要があり、この時に使うのが電流減少係数です。

係数の値

電線本数と係数の組み合わせを覚えます。
3本 → 0.70
4本 → 0.63
5〜6本 → 0.56

端数処理「7捨8入」

係数を掛けた後の値は、小数点第一位を「7捨8入」します。7以下は切り捨て、8以上は切り上げます。
(例: 15.7A → 15A, 15.8A → 16A)

許容電流値 一覧表

600Vビニル絶縁電線をがいし引き配線した場合の、基本的な許容電流値です(周囲温度30℃以下)。太さをクリックすると対応する許容電流がハイライトされます。

単線 より線
太さ(直径) 許容電流値 太さ(断面積) 許容電流値
1.6 [mm] 27 [A] 2 [mm²] 27 [A]
2.0 [mm] 35 [A] 3.5 [mm²] 37 [A]
2.6 [mm] 48 [A] 5.5 [mm²] 49 [A]
3.2 [mm] 62 [A] 8 [mm²] 61 [A]
14 [mm²] 88 [A]

許容電流をコップで例えると?

電線の太さと許容電流の関係は、コップの大きさと入る水の量に例えることができます。太い電線(大きいコップ)ほど、たくさんの電流(水)を安全に流すことができます。電流減少係数を適用すると、コップが小さくなるイメージです。

27A

1.6mmの電線

19A

係数適用後 (0.70)

重要ポイントまとめ

単線1.6mmは27A、2.0mmは35A

電線管に収める本数が増えると電流減少係数を掛ける。

係数は3本で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56

計算結果の端数処理は7捨8入

許容電流計算ツール

重要用語フラッシュカード

カードをクリックして、用語と意味を確認し、記憶を定着させましょう。

理解度チェックテスト

テスト履歴

実施日時 スコア 正答率
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