屋内幹線の設計
この章でわかること
ハリタ先生
今回は屋内幹線の設計について学びます。電線の太さ(IW)と、それを保護するブレーカー(IB)の選び方がポイントです!
ペン太
はい、屋内幹線の設計ですね。IWとIB、両方の計算をマスターします!
基本の解説
ペン太
先生、IMがモーターで、IHがそれ以外…ということですね!なぜモーターだけ特別扱いなんですか?
ハリタ先生
いい質問だね、ペン太くん。モーターは動き出す瞬間(始動時)に、普段よりずっと大きな電気が流れるんだ。だから、その分を考えて電線の太さを決めないと危ないのさ。
記号 | アイコン | 意味 |
---|---|---|
IM | 💨 | 電動機(モーター)の定格電流の合計 |
IH | 💡 | 電動機以外の負荷(照明など)の定格電流の合計 |
IW | 〰️ | 幹線に必要な許容電流(電線の太さ) |
IB | ⚡️ | 過電流遮断器(ブレーカー)の定格電流 |
屋内幹線の許容電流(電線の太さ)は、接続される負荷の定格電流の総計によって決まります。幹線は複数の分岐回路に電気を供給する大元のため、すべての負荷が同時に使われても耐えられる太さが必要になります。
特に負荷に電動機(モーター)があるときは、始動時に大きな電流が流れるため、その分を考慮した余裕(マージン)が必要になります。計算では、電動機の定格電流の総量をIM、それ以外の負荷の定格電流の総量をIHとし、この2つの大小関係によって、幹線に必要な許容電流IWの計算方法が変わります。
幹線の許容電流(IW)の考え方
IMとIHの合計値に、条件に応じた係数を掛けて、幹線に必要な許容電流IWを求めます。モーターは起動時に大きな電流が流れるため、その分を考慮して余裕を持たせる必要があるのです。
【重要公式】電線の余裕 ≧ 負荷の電流
(IW)
(1.25 or 1.1倍)
負荷の合計電流
(IM + IH)
モーターの始動電流に耐えられるよう、電線には必ず余裕を持たせる必要があります!
なぜ1.25倍や1.1倍の係数が必要なの?
モーターが動き出す瞬間の「始動電流」は、平常運転時の数倍にもなります。この大きな電流が流れると、電圧が一時的に下がる「電圧降下」が起こり、他の機器(照明がチカチカするなど)に影響を与えることがあります。この影響を抑えるために、あらかじめ電線に余裕を持たせるのが係数を掛ける理由です。
選択ロジックで学ぶ!IWの計算ルール
ハリタ先生
IMとIHの関係性を順番に選んでいくと、使うべき計算ルールがわかるよ。挑戦してみよう!
Step 1: モーター(IM)とその他(IH)の大きさを比べよう
Step 2: モーター(IM)の大きさは50Aを超える?
IW計算ルールの早見表
ハリタ先生
この表があれば、3つのルールが一目でわかるね。復習に役立てよう。
IMとIHの大小関係、そしてIMが50Aを超えるかどうか、が分岐点です。
IW計算ツール
ペン太
わー、計算ツールだ!これで練習すれば、ややこしい計算も間違えなさそうですね!
過電流遮断器の定格電流 (IB)
ペン太
先生、ブレーカー(IB)は電線(IW)を守るものなのに、IBの方がIWより大きくなることがあるんですか?なんだか不思議です。
ハリタ先生
鋭いね、ペン太くん。それはモーターの始動電流でブレーカーがすぐに落ちてしまわないようにするための特別なルールなんだ。もちろん、どんな場合でもOKというわけではなく、ちゃんと上限が決められているから安全なんだよ。
過電流遮断器(ブレーカー)は、幹線を保護する大切な装置です。原則として、その定格電流IBは、保護する電線の許容電流IWより小さくなければなりません (IB ≦ IW)。
しかし、モーターの始動電流でブレーカーがすぐに落ちてしまわないように、特別なルールが設けられています。
【重要公式】ブレーカー(IB)の上限値の決め方
ブレーカー(IB)の定格電流は、下の2つの計算結果のうち、小さい方の値以下にする必要があります。
計算① モーター重視
3 × IM + IH
計算② 電線保護
2.5 × IW
⚡️ IB ≦ (計算① と 計算② の小さい方)
選択ロジックで学ぶ!IBの選定ルール
Step 1: 回路にモーター(IM)はありますか?
Step 2: 「3×IM+IH」と「2.5×IW」を比べると?
IB計算ルールの早見表
過電流遮断器の定格電流(IB)の選定ルールを一覧表で確認しましょう。
条件 | 過電流遮断器の定格電流 | |
---|---|---|
電動機なし | IB ≦ IW | |
電動機あり | 2.5 IW ≧ 3 IM + IH | IB ≦ 3 IM + IH |
2.5 IW < 3 IM + IH | IB ≦ 2.5 IW |
計算シミュレーション
ペン太
なるほど!値を入れると、計算の流れが一つずつ表示されるんですね。これなら、どこでどの式を使えばいいかよく分かります!
重要ポイントまとめ
重要用語フラッシュカード
カードをクリックして、用語と意味を確認し、記憶を定着させましょう。
理解度チェックテスト
テスト履歴
実施日時 | スコア | 正答率 |
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