屋内幹線の設計は、電気設備の試験で頻出の計算テーマです。「幹線をどれくらい太くするか(許容電流 Iw)」「過電流遮断器をどの定格にするか(IB)」を、負荷の電流から計算で求めます。電動機があるかどうかで式が変わるのがポイントです。
この記事では、記号の意味→Iwの求め方→IBの決め方→分岐幹線の省略条件の順に、図解と計算例、自動計算ツールでていねいに解説します。
🦔 はりた:「まずは記号の意味から。IMが電動機、IHがそれ以外、Iwが幹線の太さ、IBがブレーカの定格。これだけ押さえれば式が読めるよ」
🐧 見習いペン太:「電動機があると式が変わるんですよね?」
🦔 はりた:「そう。電動機は始動電流が大きいから割増する。そこが最大のポイントだよ」
- IM≦IH → Iw ≧ IM+IH
- IM>IH かつ IM≦50A → Iw ≧ 1.25IM+IH/IM>50A → Iw ≧ 1.1IM+IH
- 過電流遮断器 IB:電動機なし IB ≦ Iw/電動機あり 3IM+IH と 2.5Iw の小さいほう以下
- 分岐幹線の省略:55%→長さ制限なし/35%→8m以下/3m以下+接続なし


まず記号を整理:IM・IH・Iw・IB
幹線の許容電流(電線の太さ)は、つながる負荷の定格電流の合計で決まります。計算では次の4つの記号を使います。IM=電動機の定格電流の総和、IH=電動機以外の負荷の定格電流の総和、Iw=幹線に必要な許容電流、IB=幹線の過電流遮断器の定格電流です。
🦔 はりた:「“水道”でイメージしてみよう。幹線は家じゅうに水を送る太い管、Iwはその管の太さだよ」
🐧 見習いペン太:「じゃあ電動機は?」
🦔 はりた:「洗濯機みたいに“回り始めに水をドバッと使う”機器。その出だしのぶん、管を少し太めにしておくのが割増なんだ」

幹線の許容電流 Iw の求め方
Iw は、IM と IH の大小で場合分けします。
① IM ≦ IH(電動機が小さい、または同じ)の場合は、割増せずに Iw ≧ IM + IH。
② IM > IH(電動機が大きい)の場合は、IMに割増します。IM ≦ 50A なら Iw ≧ 1.25IM + IH、IM > 50A なら Iw ≧ 1.1IM + IH です。電動機が大きいほど始動電流の影響が大きいですが、容量が大きい機器ほど相対的な始動電流の比率は下がるため、割増率は1.25→1.1と小さくなります。


幹線の過電流遮断器の定格 IB の求め方
過電流遮断器は幹線を保護するので、定格 IB は幹線の許容電流 Iw を超えないのが原則(IB ≦ Iw)です。ただし、負荷に電動機がつながっている場合は始動電流で頻繁に切れてしまうため、上限が緩和されます。
電動機があるときは、IB ≦ 3IM + IH とします。ただし 2.5Iw < 3IM + IH になるときは IB ≦ 2.5Iw とします。つまり 3IM+IH と 2.5Iw の小さいほう以下、と覚えれば確実です。


計算例で確認
具体的な数字で求めてみましょう。IM = 30A、IH = 10A とします。IM > IH かつ IM ≦ 50A なので、Iw ≧ 1.25×30 + 10 = 47.5A。IB は、3IM+IH = 100A と 2.5Iw = 118.75A の小さいほうなので IB ≦ 100A となります。

自動計算ツールで試す
IM と IH を入力すると、Iw と IB の基準値を自動で計算します。数字を変えて、式の場合分けがどう変わるか確かめてみてください。
電動機の定格電流の総和 IM と、電動機以外の総和 IH(単位:A)を入力してください。
※ 求めた値は基準値です。実際は規格品の許容電流・定格から適切なものを選びます。
🦔 はりた:「IMを50A以上にすると割増が1.1に変わるよ。IMを0にすると“電動機なし”の式になる。動かして体で覚えよう」
分岐した細い幹線:過電流遮断器を省略できる条件
太い幹線から細い幹線を分岐したとき、細い幹線の電源側には過電流遮断器を施設するのが原則です。ただし、細い幹線の許容電流 Iw が太い幹線の過電流遮断器 IB に対してじゅうぶん大きければ、省略できます。
① Iw ≧ 0.55IB(55%以上)…長さの制限なしで省略可。② Iw ≧ 0.35IB(35%以上)…長さ8m以下なら省略可。③ 長さ3m以下で、負荷側に幹線を接続しない場合…許容電流の制限なしで省略可。

よくある質問(FAQ)
Q. 幹線の許容電流 Iw はどう求めますか?
A. 電動機の総和 IM と電動機以外 IH を比べます。IM≦IH なら Iw≧IM+IH。IM>IH のときは、IM≦50A で Iw≧1.25IM+IH、IM>50A で Iw≧1.1IM+IH です。
Q. なぜ電動機があると割増するのですか?
A. 電動機は始動時に定格より大きな始動電流が流れるためです。その余裕を見込んで、IMに1.25倍(または1.1倍)を掛けて幹線を太くします。
Q. 幹線の過電流遮断器の定格 IB はどう決めますか?
A. 電動機がなければ IB≦Iw が原則です。電動機があるときは、3IM+IH と 2.5Iw のうち小さいほう以下にします。
Q. 分岐した細い幹線の過電流遮断器を省略できる条件は?
A. ①Iw≧0.55IB なら長さ制限なし、②Iw≧0.35IB なら長さ8m以下、③長さ3m以下で負荷側に幹線を接続しない場合(許容電流の制限なし)、のいずれかで省略できます。
数字の意味を整理(早見表)
ここまで出てきた数字を、意味とセットで一覧にまとめました。試験前の最終チェックに使ってください。

まとめ
屋内幹線の設計の要点:
- Iw:IM≦IH→IM+IH/IM>IH→1.25IM+IH(≦50A)・1.1IM+IH(>50A)
- IB:電動機なしIB≦Iw/電動機あり3IM+IH と 2.5Iw の小さいほう以下
- 分岐の省略:55%→制限なし/35%→8m以下/3m以下+接続なし
- 電動機は始動電流が大きいので割増して余裕をもたせる
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