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幹線系統図CV 3C-38sq(E38)×2(FEP80) を、声に出して読めますか。配線の表記は、種類・心数・サイズ・接地線・条数・配管の6つの部品でできています。前回のブレーカー表記と同じように、部品に分ければ読めます。この記事では、同じ E が接地線と電線管の両方に使われる紛らわしさまで含めて、図で分解します。

結論

配線表記は、種類・心数・サイズ・接地線・条数・配管の6要素。3C は心数、×2 は条数、IV×3 は電線の本数で、数え方が全部違います。同じ E でも、接地線は電線サイズの数字、電線管は呼び径の数字で見分けます。

  • IV・HIV・KIV は絶縁電線=管がセット。VVF・CV・CVT・EM はケーブル
  • 1.6・2.0・2.6 は単線の直径 mm、5.5 以上は より線の sq
  • 接地線の太さは遮断器の AT で決まる。盤図と突き合わせる
  • 平面図は斜線の本数=電線の本数。斜線がなければ 2 本
CV 3C-38sq (E38) ×2 (FEP80) を種類・心数・サイズ・接地線・条数・配管に分解した図
幹線系統図の1行。並んでいるのは6つの部品です。順番は事務所ごとに前後しますが、要素は変わりません。

配線表記は6つの部品でできている

幹線系統図や平面図の配線には、CV 3C-38sq(E38)×2(FEP80)のような文字列が付いています。長く見えても、部品は種類・心数・サイズ・接地線・条数・配管の6つ。前回のブレーカー表記と同じで、部品に分ければ読めます。

部品 書き方の例 意味
種類 IV/VVF/CV/CVT/EM-CE 絶縁体・シースの材質と形状の記号。許容電流の表が変わる
心数 2C/3C/4C、CVT(3本より) 1本のケーブルに入っている心線の数。C は core
サイズ 1.6/2.0(mm)、5.5/38(sq) 導体の太さ。単線は直径 mm、より線は断面積 sq(mm²)
接地線 (E38)、+E5.5、IV5.5(E) いっしょに引く接地線の太さ。E は Earth
条数 ×2、2条 同じケーブルを何本並べるか。並列か 2 回線かは系統図で確認
配管・ラック (E31)、(PF28)、(FEP80)、ラック600W、ころがし 入れる管の種類と呼び径、または工法
接地線の (E38) と電線管の (E31) は、同じ E でも意味が違います。数字の桁と前後の文脈で見分けます。
ペン太
(E38) と (E31) が同じ行に出てきたら、どっちが接地線でどっちが管ですか?
ハリタハリタ
慣れないと本当に紛らわしいですね。接地線なら 5.5・8・14・22・38 のような電線サイズの数字、電線管なら 19・25・31・39・51 のような管の呼び径。数字の系列で見分けます。
ペン太
38 は両方にありそうな気がします……
ハリタハリタ
そこは凡例です。図面の最初の「凡例」「一般注記」に、この事務所は接地線をどう書くかが必ずあります。読む前に凡例、これが図面の鉄則です。
ここまでのポイント
  • 配線の1行は「種類・心数・サイズ・接地線・条数・配管」の6要素
  • E は接地線と電線管の両方に使われる。数字の系列と凡例で見分ける
  • 順番は事務所で前後する。凡例を先に読む


種類の記号 ― IV・HIV・VVF・CV・CVT・EM

記号は「絶縁体の材質+シースの材質+形状」を並べたものです。この並びの理屈は小ネタ⑧で掘り下げたので、ここでは図面に出てくる順に、読むための最低限だけ並べます。

記号 正式名の要点 図面で見かける場所
IV 600V ビニル絶縁電線。シースなし 電線管に入れる屋内配線、盤内、接地線
HIV 600V 二種ビニル絶縁電線。IV の耐熱版(75℃) 盤内の発熱が多い場所、照明器具まわり
KIV 電気機器用ビニル絶縁電線。細い素線で柔らかい 盤内配線、機器の内部配線
VVF/VVR ビニル絶縁ビニルシースケーブル。F は平形、R は丸形 住宅・小規模の分岐回路。VVR の旧称が SV
CV 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(90℃) 幹線・動力・高圧。許容電流が大きい
CVT CV の単心 3 本をより合わせた形(トリプレックス) 三相の幹線。曲げやすく放熱が良い
CV-S(CVS) CV にシールドを加えたもの インバータ二次側などノイズ対策が要る回路
CVV/CCV 制御用ケーブル。CVV はビニル絶縁、CCV は架橋ポリエチレン絶縁 制御盤と機器の間の信号線
EM-EEF/EM-CE エコケーブル。ハロゲンを含まない材料 官公庁物件・環境配慮仕様で標準
FP/HP 耐火電線/耐熱電線 消防設備の電源(FP)と信号(HP)
VVF・VVR・CV・EM は「ケーブル」、IV・HIV・KIV は「絶縁電線」。この区別が次の見出しにつながります。

💡 絶縁電線とケーブルの違い ― シースがあるかないか

絶縁電線(IV など)は導体に絶縁体を被せただけで、傷に弱いので電線管や線ぴに入れて使います。ケーブル(VVF・CV など)は絶縁した心線をさらにシース(外装)で包んだもので、管に入れずにころがし配線やラック配線ができます。図面で「IV」を見たら管がセット、「CV」を見たら管がなくても成立する、と読めます。

ここまでのポイント
  • 記号は「絶縁体+シース+形状」の並び
  • IV・HIV・KIV は絶縁電線=管がセット
  • VVF・CV・CVT・EM はケーブル=管なしでも成立


心数と条数 ― 3C と ×2 は別物

3Cは1本のケーブルに3心、×2は同じケーブルを2本並列、IV×3は単心の電線3本を電線管に入れる、の違いを示す図
心数はケーブルの中身、条数はケーブルの本数、IV の ×3 は電線の本数。数え方が全部違います。

心数(C)は、1本のケーブルの中に入っている心線の数です。CV 3C なら 3 心。三相なら 3C、単相 3 線なら 3C、単相 2 線なら 2C、接地線を心線に含めるなら 4C というように、回路の線数で決まります。

条数(×2、2条)は、同じケーブルを何本並べるかです。1 本では太すぎて曲げられない・管に入らない幹線を、並列にして分ける書き方です。内線規程・電技解釈には、同じ太さ・同じ長さ、銅なら 50mm² 以上、といった並列使用の条件があるので、「×2」を見たら条件を満たしているかも読みます。

⚠️ 「×2」が並列とは限らない

同じ「×2」でも、幹線系統図では「2 回線(別の負荷へ 2 本)」の意味で使う事務所があります。並列なら遮断器は 1 台、2 回線なら遮断器は 2 台。盤図の遮断器の台数と突き合わせると、どちらかが分かります。

絶縁電線(IV)の場合は「IV 38sq×3」のように書き、これは単心の電線 3 本を電線管に入れるという意味です。ケーブルの心数とは違い、電線の本数そのものを指します。積算で数えるとき、3C は「ケーブル 1 本」、×3 は「電線 3 本」になります。

ここまでのポイント
  • 心数(C)=ケーブルの中身の心線数
  • 条数(×2)=同じケーブルの並列本数。2 回線の意味もあるので盤図と照合
  • IV ×3 = 単心の電線 3 本を管に入れる

サイズ ― mm と sq の使い分け

サイズの数字には 2 種類あります。1.6・2.0・2.6 は単線の直径(mm)5.5・8・14・22・38・60・100 はより線の断面積(sq=mm²)です。なぜ使い分けるのかは小ネタ③に書きましたが、図面を読むうえでは「2.0 と書いてあれば単線、5.5 なら より線」と見分けられれば足ります。

表記 種類 断面積の目安 よく使う場所
1.6 単線 φ1.6mm 約 2 mm² 照明・コンセントの分岐回路(VVF1.6)
2.0 単線 φ2.0mm 約 3.1 mm² エアコン・IH など 20A 回路(VVF2.0)
2.6 単線 φ2.6mm 約 5.3 mm² 小さい幹線、単三の引込み
5.5sq より線 5.5mm² 5.5 mm² 接地線、小容量の動力
14sq/22sq/38sq より線 そのまま 幹線・動力
60sq/100sq/150sq より線 そのまま 大容量の幹線。条数が付き始める
sq はスケア(square)の略。読むときは「サンジュウハチ スケ」のように呼びます。

サイズを見たら、次に見るのがこう長(亘長)です。図面に「45m」「L=60m」と書かれるのは、電圧降下を検証するための実長で、平面図の直線距離ではありません。こう長の考え方は幹線設備の設計マニュアル④にまとめています。

サイズ・こう長・電流を入れると、電圧降下と許容電流を一度に確認できます。

電圧降下計算ツールを開く

ここまでのポイント
  • 1.6・2.0・2.6 は単線の直径 mm、5.5 以上は より線の sq
  • sq=mm²。「スケ」と読む
  • サイズの次に見るのは こう長(実長)


接地線 (E) の読み方

接地線は「(E38)」「+E5.5」「IV5.5(E)」のように書かれます。太さは、その回路を守る過電流遮断器の定格電流で決まります。内線規程の表では、たとえば 100A の遮断器なら 5.5sq、200A なら 14sq、400A なら 22sq という具合に、遮断器が大きいほど接地線も太くなります。

図面を読むときは、接地線の太さと、盤図のその回路の AT を突き合わせます。前回の記事で読んだ AT が、ここでつながります。

遮断器の定格電流から、内線規程の表に沿った接地線の太さを引けます。

接地線サイズ選定ツールを開く

ここまでのポイント
  • 接地線の太さは遮断器の定格電流(AT)で決まる
  • (E38) と (E31) の見分けは数字の系列と凡例
  • 盤図の AT と接地線サイズを突き合わせる

配管・ラックの付記と、平面図の斜線

平面図の配線に付く斜線の本数と傍記、電線管の記号(E・G・C・PF・CD・VE・HIVE・FEP)の読み方
平面図は「斜線の本数=電線の本数」「傍記=種類・太さ・管」で読みます。斜線がなければ 2 本、が JIS C 0303 の約束です。

配線を入れる管は、種類の記号と呼び径で書きます。E はねじなし電線管、G は厚鋼電線管、C は薄鋼電線管、PF・CD は合成樹脂製可とう電線管、VE・HIVE は硬質ビニル電線管、FEP は波付硬質合成樹脂管です。同じ「25」でも E25 と G22・C25 は実寸が違うので、管の種類を先に読みます。管の使い分けは電線管の種類と使い分けにまとめています。

記号 管の種類 呼び径の系列 主な場所
E ねじなし電線管 E19・25・31・39・51・63・75 屋内の露出・隠ぺい。いちばん多い
G 厚鋼電線管 G16・22・28・36・42・54・70 屋外・地中・防爆など丈夫さが要る場所
C 薄鋼電線管 C19・25・31・39・51・63・75 屋内。E に置き換わりつつある
PF/CD 合成樹脂製可とう電線管 PF14・16・22・28・36・42 コンクリート埋込(CD)、天井内(PF)
VE/HIVE 硬質ビニル電線管(HIVE は耐衝撃) VE14・16・22・28・36・42・54・70・82 屋外・地中・腐食環境
FEP 波付硬質合成樹脂管 FEP30・40・50・65・80・100・125・150 地中埋設の引込み・構内配線
管に入れない配線は「ころがし」「ラック 600W」「MD(メタルダクト)」「BD(バスダクト)」のように工法を傍記します。

平面図では、配線の線に斜線を引いて電線の本数を表します。斜線 3 本なら電線 3 本。斜線がない線は 2 本と読むのが JIS C 0303 の約束です。種類・太さ・管径は線の脇の傍記で書き、傍記がない線は凡例の「標準」で読みます。この頻出記号は新人講座 第5回でも扱っています。

ペン太
斜線がない線は 2 本、って初めて知りました。書き忘れじゃないんですね。
ハリタハリタ
書き忘れではなく「省略」です。2 本がいちばん多いので、いちいち引かない。3 本以上になったら引く。省略のルールを知っていると、図面が急に静かに見えてきますよ。
ここまでのポイント
  • 管は「種類の記号+呼び径」。E・G・C・PF・CD・VE・HIVE・FEP
  • 平面図は斜線の本数=電線の本数、なければ 2 本
  • 傍記がない線は凡例の標準で読む


実例 ― 幹線系統図の1行を読む

最初の図の 1 行、CV 3C-38sq(E38)×2(FEP80)L=45m を読み下すと、「CV ケーブルの 3 心 38sq を、38sq の接地線といっしょに、2 本並列で、FEP 管 80 に入れて 45m 引く」です。読めたら、次に確かめることが 3 つあります。

💡 配線表記を読んだあとに照合する3つ

  1. 許容電流 ≧ 盤図の AT CV 38sq 2 条の許容電流(敷設条件で減少係数がかかる)が主幹の AT 以上か
  2. 電圧降下 こう長 45m・負荷電流で、内線規程の目安(幹線なら 2〜3%)に収まるか
  3. 管の占積率 FEP80 に CV 3C-38sq が 2 本と接地線が入るか。管の内断面積の 32% までが目安

前回のブレーカー表記と今回の配線表記がつながると、幹線系統図は「遮断器 → ケーブル → 管」の 1 本の流れとして読めるようになります。次回は、照明図・器具表・照度計算書――lm・W・K・Ra・UGR・保守率を分解します。

よくある質問

CV 3C-38sq の 3C とは何ですか?

心数です。1本のケーブルの中に心線が3本入っていることを表します。C は core の意味で、三相回路や単相3線式回路では 3C を使います。ケーブルの本数を表す条数(×2 など)とは別のものです。

(E38) は接地線ですか、電線管ですか?

どちらにも使われる書き方です。接地線なら 5.5・8・14・22・38 のような電線サイズの数字、ねじなし電線管なら 19・25・31・39・51 のような呼び径の数字になります。判断に迷うときは図面の凡例で、その事務所の書き方を確認します。

1.6 と 5.5sq は単位が違うのはなぜですか?

1.6 は単線の直径(mm)、5.5sq は より線の断面積(mm²)です。単線は 1 本の導体なので直径で、より線は細い素線を束ねているので合計の断面積で表します。

×2 は並列という意味ですか?

多くの場合は同じケーブルを 2 本並列にする意味ですが、事務所によっては 2 回線の意味で使うこともあります。並列なら遮断器は 1 台、2 回線なら 2 台なので、盤図の遮断器の台数と突き合わせると区別できます。

平面図の配線に斜線がないのはなぜですか?

JIS C 0303 では、電線 2 本の配線は斜線を省略できると定めています。3 本以上のときに本数分の斜線を引きます。斜線がない線は 2 本と読みます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。