【接触防護措置】簡易接触防護措置との違い・停電作業と活線作業・接近限界距離
「接触防護措置」「簡易接触防護措置」「活線作業」「停電作業」「接近限界距離」。どれも電気の安全で必ず出てくる言葉ですが、用語集の一行だけでは、何を何cm離せばいいのか、どの順で確かめればいいのかまでは分かりません。この記事は、この5つの言葉だけにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ- ひとことで言うと
- 「接触防護措置」は、電気設備に人がうっかり触れないようにする工夫。高い所に置くか、囲いで近づけないようにします。
- 読み方
- せっしょくぼうごそち/かんいせっしょくぼうごそち/かっせんさぎょう/ていでんさぎょう/せっきんげんかいきょり
- どこで出てくる?
- 電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)の条文、工事の安全計画、キュービクルや電線の近くで働くとき。
結論
設備側の対策が接触防護措置(屋内2.3m・屋外2.5m以上か、囲う)、作業側の対策が停電作業と活線作業です。止められるなら止めて確かめてから触り、止められないなら保護具と器具で守ります。高い電圧には、近づいてよい距離が決まっています。
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| 充電部 | じゅうでんぶ | 電気が来ている金属の部分。触れると感電する。 |
| 電路 | でんろ | 電気の通り道全体。電線や器具を含む。 |
| 電技解釈 | でんぎかいしゃく | 国(経済産業省)が示す、電気設備の技術的なルールの解説書。 |
| 安衛則 | あんえいそく | 労働安全衛生規則。働く人の安全を守るためのルール。 |
| 低圧・高圧・特別高圧 | ていあつ・こうあつ・とくべつこうあつ | 交流では、600V以下が低圧、600Vを超え7,000V以下が高圧、7,000Vを超えると特別高圧。 |
| 残留電荷 | ざんりゅうでんか | 電気を切ったあとも、ケーブルやコンデンサに残っている電気。 |
| 検電 | けんでん | 検電器を当てて、電気が来ているかどうかを確かめること。 |
| 短絡接地器具 | たんらくせっちきぐ | 電線どうしと大地をまとめてつなぎ、急に電気が来ても安全にする道具。 |
「接触防護措置」を理解するために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。
感電は「体が電気の通り道になる」こと
電気が来ている金属(充電部)に触れると、電気が体を通って大地へ流れます。これが感電です。触れなければ、電気は体を通りません。
電圧が高いほど、近づくだけでも危ない
高圧や特別高圧では、触れなくても近づいただけで電気が飛んでくることがあります。そのため「触れない」だけでなく「近づかない」ことも大切です。
守り方は「離す」か「囲う」
人の手が届かない高さに置くか、さく・へい・カバーで囲って近づけないようにします。接触防護措置は屋内2.3m以上・屋外2.5m以上、簡易接触防護措置は屋内1.8m以上・屋外2m以上の高さが目安です(電技解釈 第1条)。
接触防護措置と簡易接触防護措置 ― 高さで離すか、囲う
ペン太
ハリタ電気設備に人が触れないようにする方法は、電技解釈 第1条で2段階に定義されています。どちらも、高さで離す(イ)か、さく・へいや金属管で囲う(ロ)かのどちらかです。
| 接触防護措置 | 簡易接触防護措置 | |
|---|---|---|
| 屋内の高さ | 床上2.3m以上 | 床上1.8m以上 |
| 屋外の高さ | 地表上2.5m以上 | 地表上2m以上 |
| 触れない範囲 | 人が通る場所から手を伸ばしても触れない | 人が通る場所から容易に触れない |
| 囲う方法 | さく・へいを設ける、金属管に収めるなど | 同じ |
どちらが求められるかは、設備ごとの条文で決まります。たとえば、屋外照明の対地電圧を300V以下まで使える条件の1つとして、簡易接触防護措置が出てきます。
- 接触防護措置は、屋内2.3m・屋外2.5m以上か、囲う
- 簡易接触防護措置は、屋内1.8m・屋外2m以上か、囲う
- どちらが必要かは、設備ごとの条文で決まる
停電作業と活線作業 ― 止めて確かめるか、止めずに守るか
ペン太
ハリタ電気設備に触れる作業は、電気を止めて行う停電作業と、止めずに行う活線作業に分かれます。安全なのは停電作業で、労働安全衛生規則には、電気を止めたあとに何を確かめるかが決められています。
- 開路に使った開閉器に施錠するか、「通電禁止」の表示をする(監視人を置く方法もある)
- 電力ケーブルやコンデンサに残っている電気(残留電荷)を、確実に放電する
- 検電器具で停電を確かめ、短絡接地器具で確実に短絡・接地する
- 作業が終わったら、作業者が離れたこと、短絡接地器具を外したことを確かめてから送電する
止められない設備を扱うときが活線作業で、低圧でも高圧でも、絶縁用保護具(ゴム手袋など)を着る、活線作業用器具を使うなどの対策をとります。検電器具の使い方は、検電器の使い方で説明しています。
- 停電作業は、施錠・表示、放電、検電、短絡接地の順に確かめる
- 活線作業は、絶縁用保護具と活線作業用器具で守る
- できるかぎり停電作業にする
どこまで近づいてよい? ― 高圧は頭上30cm・躯側60cm、特別高圧は接近限界距離
ペン太
ハリタ電圧が高くなると、触れなくても、近づいただけで放電して感電するおそれがあります。そこで、近づく作業にも決まりがあります。
| 電圧 | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 高圧 | 頭上30cm・躯側(足下)60cm以内に近づくおそれがあれば、絶縁用防具を付けるなどの対策 | 安衛則 第342条 |
| 特別高圧 22kV以下 | 接近限界距離 20cm | 安衛則 第344条 |
| 特別高圧 33kV以下 | 接近限界距離 30cm | 同上 |
| 特別高圧 66kV以下 | 接近限界距離 50cm | 同上 |
| 特別高圧 77kV以下 | 接近限界距離 60cm | 同上 |
| 特別高圧 154kV以下 | 接近限界距離 120cm | 同上 |
特別高圧の表は抜粋で、220kVを超えると200cmまで決められています。これは法令で守るべき最小の距離で、電力会社や現場では、これより余裕を持たせた距離で管理することが多くあります。
- 高圧は、頭上30cm・躯側60cmが目安の線
- 特別高圧は、電圧ごとに接近限界距離が決まっている
- 脚立や工具の先も含めて、近づけない
まとめ|結論
結論
設備は、接触防護措置(屋内2.3m・屋外2.5m以上)か簡易接触防護措置(屋内1.8m・屋外2m以上)、または囲って人が触れないようにします。作業は、できるかぎり停電作業にし、切る・表示・放電・検電・短絡接地の順に確かめます。止められないときは活線作業として保護具と器具で守り、高い電圧には近づいてよい距離を守ります。
作業の前に、この順で確かめます。
- その設備は止められるか。止められるなら停電作業にする
- 止めたら、施錠・表示、放電、検電、短絡接地まで済ませる
- 止められないなら、保護具と器具をそろえ、近づいてよい距離を確かめる
- 作業のあとは、全員が離れたことを確かめてから送電する
よくある質問
接触防護措置とは何ですか?
人が電気設備に触れないようにする措置で、電技解釈 第1条で定義されています。屋内は床上2.3m以上、屋外は地表上2.5m以上の高さに、手を伸ばしても触れない範囲に置くか、さく・へいを設ける、金属管に収めるなどで人が近づけないようにします。
簡易接触防護措置との違いは何ですか?
高さの基準と、触れない範囲の言い方が違います。簡易接触防護措置は、屋内が床上1.8m以上、屋外が地表上2m以上で、「容易に触れることのない範囲」に置けばよいとされています。さく・へいや金属管などで囲う方法は両方に共通です。
停電作業では、何をしてから触ればいいですか?
開閉器を切って施錠か通電禁止の表示をし、残留電荷を放電し、検電器具で停電を確かめ、短絡接地器具で短絡・接地してから作業します。終わったら、作業者が離れたことや短絡接地器具を外したことを確かめてから送電します(安衛則 第339条)。
活線作業とは何ですか?
電気を止めずに、充電されている電路を扱う作業です。低圧でも高圧でも、絶縁用保護具を着る、活線作業用器具を使うなどの対策が求められます(安衛則 第341条・第346条など)。
接近限界距離とは何ですか?
特別高圧の充電電路に対して、身体や持ち物を近づけてはいけない距離です。22kV以下で20cm、66kV以下で50cm、154kV以下で120cmなど、電圧が高いほど長くなります(安衛則 第344条)。高圧では、頭上30cm・躯側60cm以内に近づくおそれがあれば、防具や保護具の対策をとります(第342条)。
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