【電圧不平衡】電圧不平衡率の計算とは?モーターが熱くなる理由・目安の1%と5%・原因と対策
モーターの過熱や振動の原因調査、点検の電圧測定で出てくる「電圧不平衡」。用語集では一言で説明されますが、どうやって数字にするのか、どのくらいならよいのか、何が原因でどう直すのかまでは分かりにくい言葉です。この記事は、この3つだけにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ- ひとことで言うと
- 「電圧不平衡」は、三相の3つの電圧がそろっていない状態です。少しの偏りでも電流は大きく偏り、モーターが熱くなります。
- 読み方
- でんあつふへいこう/でんあつふへいこうりつ
- どこで出てくる?
- モーターの過熱・振動の原因調査、竣工時や点検時の電圧測定、単相負荷の配分を考える幹線設計、電験の試験。
結論
電圧不平衡は、三相の3つの電圧がそろっていない状態です。不平衡率は平均からの最大のずれ÷平均×100で表し、NEMAの目安では1%未満が理想、5%を超えたら運転しないことがすすめられています。原因は、単相負荷の片寄り・接続のゆるみ・V結線・中性線の欠相などです。
- 205V・198V・200Vなら、不平衡率は約2.0%
- 電流の偏りは、電圧の偏りの数倍になる
- 温度上昇の増え方は約2×(不平衡率)²。3%で約18%増える
- 負荷の振り分け・増し締め・中性線欠相保護で防ぐ
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| 三相 | さんそう | 3本の線に、少しずつずらした電気を流す送り方。 |
| 線間電圧 | せんかんでんあつ | 線と線のあいだの電圧。三相200Vなら、a-b・b-c・c-aの3つがある。 |
| 平均 | へいきん | 3つの値を足して3で割った値。 |
| 不平衡率 | ふへいこうりつ | 平均からのずれが、平均の何%かを表した値。 |
| 逆相電流 | ぎゃくそうでんりゅう | モーターを逆向きに回そうとする電流。電圧不平衡で流れ、熱になる。 |
| 単相負荷 | たんそうふか | 2本の線から電気をとる機器。照明やコンセントなど。 |
| V結線 | ブイけっせん | 単相変圧器2台で三相をつくるつなぎ方。 |
| NEMA | ネマ | アメリカの電機工業会。モーターの規格で、電圧不平衡の目安を示している。 |
「電圧不平衡」を理解するために、土台になる考え方を3つだけ押さえておきましょう。
三相は、3つの電圧がそろっている前提
三相のモーターや機器は、3つの電圧が同じ大きさで、同じ間隔でずれている前提で作られています。この前提がくずれると、本来の動きができなくなります。
電圧の小さな差が、電流の大きな差になる
モーターは、電圧の差にとても敏感です。電圧がわずかに偏るだけで、電流はその何倍も偏ります。
余分な電流は、熱になる
偏った電流のうち、仕事をしない分(逆相電流)は、巻線を温めるだけです。熱は絶縁を傷め、モーターの寿命を縮めます。
電圧不平衡率の計算 ― 平均からの最大のずれ÷平均
ペン太
ハリタ三相200Vなら、線間電圧はa-b・b-c・c-aの3つです。本来はどれも同じはずですが、実際に測ると少しずつ違います。この違いを数字にしたのが電圧不平衡率です。
電圧不平衡率(%)= 平均からの最大のずれ ÷ 平均 × 100
| 手順 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 1. 3つの線間電圧を測る | a-b・b-c・c-a | 205V・198V・200V |
| 2. 平均を出す | (205+198+200)÷3 | 201V |
| 3. 平均からの最大のずれ | 205−201 | 4V |
| 4. 不平衡率 | 4÷201×100 | 約2.0% |
この計算はNEMA(アメリカの電機工業会)の定義で、テスターで測った値からすぐに出せます。厳密には、電圧を正相分と逆相分に分けて、その比で表す方法もあります。
- 3つの線間電圧を、同じ時刻に測る
- 不平衡率=平均からの最大のずれ÷平均×100
- 205・198・200Vなら約2.0%
モーターへの影響 ― 電流は数倍、温度は2乗で増える
ペン太
ハリタ三相のモーターは、電圧の偏りにとても敏感です。電圧がわずかに偏るだけで、電流はその何倍も偏ります。偏った電流のうち、モーターを逆に回そうとする逆相電流は仕事をせず、巻線を温めるだけです。
| 不平衡率 | 温度上昇の増え方(目安) | NEMAのすすめ |
|---|---|---|
| 1%未満 | 2%未満 | 理想 |
| 2% | 約8% | 出力を下げて使う |
| 3% | 約18% | 出力を下げて使う |
| 5% | 約50% | 5%を超えたら運転しない |
温度上昇の増え方は、約2×(不平衡率)²が目安です。不平衡率が2倍になると、熱の増え方は4倍になります。巻線の温度が上がると絶縁が早く傷み、モーターの寿命が縮みます。
- 電流の偏りは、電圧の偏りの数倍
- 逆相電流が巻線を温める
- 1%未満が理想、5%を超えたら運転しない
原因と対策 ― 負荷・接続・変圧器・中性線
ペン太
ハリタ電圧不平衡は、建物の中の原因と、電源側の原因に分けて考えます。まずは建物の中から、次の順で疑います。
設計の段階では、単相負荷が各線間に片寄らないように配分します。三相3線式では、設備不平衡率を30%以下にするのが原則です。V結線の変圧器の考え方は単相変圧器2台をV結線にすると何kVAで使える?、単相3線式の中性線が切れたときの電圧の偏りは中性線が切れるとどうなる?で説明しています。
- 単相負荷の片寄りは、振り分けなおす
- 接続のゆるみは、増し締めと点検
- V結線・中性線の欠相・電源側も疑う
まとめ|結論
結論
電圧不平衡は、三相の3つの電圧がそろっていない状態です。不平衡率は平均からの最大のずれ÷平均×100で表し、1%未満が理想、5%を超えたら運転しないのが目安です。わずかな偏りでも電流は数倍偏り、モーターは熱くなります。単相負荷の配分や接続の点検で防ぎます。
モーターが熱いときは、この順で確かめます。
- 3つの線間電圧を同じ時刻に測り、不平衡率を出す
- 3相それぞれの電流を測り、偏りを見る
- 単相負荷の配分と、端子のゆるみ・変色を確かめる
- 建物の中に原因がなければ、電源側(電力会社)に相談する
よくある質問
電圧不平衡とは何ですか?
三相の3つの線間電圧(または各相の電圧)が、そろっていない状態です。三相のモーターなどは、3つの電圧がそろっている前提で作られているので、そろわないと電流が偏り、過熱や故障の原因になります。
電圧不平衡率はどう計算しますか?
3つの線間電圧を測り、平均を出します。平均からいちばん大きくずれた電圧との差を、平均で割って100をかけます。205V・198V・200Vなら、平均201V、最大のずれ4Vで、4÷201×100=約2.0%です(NEMAの定義)。
どのくらいの不平衡率なら大丈夫ですか?
NEMAの目安では、1%未満が理想で、1%を超えるとモーターの出力を下げて使い、5%を超えたら原因がなくなるまで運転しないことがすすめられています。
電圧不平衡と設備不平衡率は、何が違いますか?
電圧不平衡は、実際の電圧の偏りです。設備不平衡率は、設計の段階で単相負荷が各線間にどれだけ片寄っているかを表す値で、電圧不平衡を起こさないための設計上の決まりです。
電圧不平衡の原因は何ですか?
単相負荷の片寄り、端子や接続部のゆるみ、V結線の変圧器、単相3線式の中性線の欠相、電源側の偏りなどがあります。測った電圧と負荷の配分を見比べて、原因をしぼりこみます。
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