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変圧器の励磁突入電流って何?
励磁突入電流とは、
変圧器に電圧を印加(再投入)した瞬間に流れる大きな電流の事です。
- 発生要因|変圧器に対する電圧の印加
- 大きさ |定格電流の~10倍程度(場合によっては10倍を超えることもある)
- 影響 |継電器類の誤作動、急激な電圧降下など
- 励磁突入電流について調べている方
- 単線結線図を作成中の方
- 突入電流について調べている方
- 変圧器容量を選定中の方
- エネセーバーについて調べている方
- エネセーバーの設置基準について調べている方
- 励磁突入電流とは何か
- 励磁突入電流の何が悪いのか
- 励磁突入電流の対策方法について
励磁突入電流の発生原因
- 変圧器に電源を投入するとき、電源電圧が零の位置、
- あるいは変圧器鉄心に大きな残留磁気があるときに再投入した時、
及びこれら2つの条件が重なった時に
大きな電流(突入電流)が流れます。
発生の条件
- 変圧器に電源を投入するとき
- 変圧器鉄心に大きな残留磁束があるとき
これら2つの条件が重なったときに大きな電流(突入電流)が流れます
なぜ励磁突入電流が起こるのか
変圧器(鉄心内)残留磁束が残っている場合、再投入した電圧+残留磁束が
上乗せされるため再投入時にの電流が大きくなります
【励磁】とは
励磁(れいじ)とは
- 磁化していない強磁性体を磁化すること。また、電磁石のコイルに電流を通じて磁束を発生させること。
つまり受変電設備で言うと1次側まで受電された状態の変圧器を投入して2次側へ送電するタイミングの事を差します。
残留磁束とは
残留磁束(ざんりゅうじそく)とは
変圧器に印加した際
鉄の強磁性体を磁化して飽和磁束密度まで達する
変圧器を切り離す
電流の大きさを弱めて磁界をゼロに戻しても、強磁性体には磁化が残ります
これを残留磁束と言います
つまり改修などのタイミングで変圧器の一次側を切り離した後でも鉄心内に磁束が残っている状態のことを差します。
励磁突入電流による影響・問題点
励磁突入電流が発生した場合の主な影響として次が挙げられます
- 過電流継電器(OCR)への影響
- PASの誤動作
- 電力ヒューズの劣化・溶断
- 配電系統の瞬時電圧低下
励磁突入電流の対策方法(ポイント)
励磁突入電流の対策として有効・実用的なものが次に挙げられます
- 変圧器を分割(容量を小さくする)し順次投入する
- 高圧負荷開閉器に励磁突入電流抑制機能付を採用する(エネセーバー)
変圧器容量を小さくし順次投入する方法
1バンクあたりの変圧器容量を小さくし分割することで時限を分けて投入することができる(順次投入)ため1バンクの場合のに比べ突入電流を抑えることができます
メリット
- 励磁突入電流を抑制できる
デメリット
- 変圧器バンク増によるコスト増
- 順次投入という人為的な動作によるミス
変圧器の分割が有効な理由
- 変圧器定格電流波高値【 K 】
- 減衰時定数 【 t 】
この値が変圧器容量に応じておおよそ決まっており容量が小さいほど低くなります。そのため変圧器容量が小さいほど励磁突入電流の最大値が低くなるため容量の分割し順次投入する方法が有効的な方法となります。
励磁突入電流抑制機能付を採用する方法
変圧器の一次側にLBSを採用する場合、変圧器励磁突入電流抑制機能付(三菱電機製:エネセーバー)を採用することで励磁突入電流を抑えることができます
メリット
- 励磁突入電流を抑制できる
- 変圧器容量を変更する必要がない
- 機器による抑制のため信頼性がある
- 容量に関係なく励磁突入電流が一律となる(単相:16A、三相:18A)
デメリット
- 機器(エネセーバー)自体が高価である
- 設置スペースの確認が必要である
励磁突入電流抑制機能付が有効な理由
エネセーバーを取り付けた場合励磁突入電流を一律にする
- 単相変圧器|16A
- 三相変圧器|18A
励磁突入電流抑制機能付を取り付けた場合、変圧器容量に関わらず励磁突入電流を一律にすることが可能なため、必要な場面においては最も有効的で信頼性のあるシステムとなっといます。ただしコストが掛かるため、必要性と経済性を考慮して設置検討が必要となります。
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まとめ
励磁突入電流の発生の条件
- 変圧器に電源を投入するとき
- 変圧器鉄心に大きな残留磁束があるとき
励磁突入電流が与える主な影響
- 過電流継電器(OCR)への影響
- PASの誤動作
- 電力ヒューズの劣化・溶断
- 配電系統の瞬時電圧低下
励磁突入電流の対策
- 変圧器を分割(容量を小さくする)し順次投入する
- 高圧負荷開閉器に励磁突入電流抑制機能付を採用する(エネセーバー)