変圧器防振架台の仕様を解説。振動が発生する仕組み、スプリング防振装置の構成と原理、平常時の防振効果と地震時の耐震性能まで。
技術図書館変圧器の防振架台|防音だけの部品ではない唸りの正体は磁歪現象で、伝わるのは固体音。同じ架台が地震時には揺れを吸収する。20dB以上の低減と水平震度2.0の意味を全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:変圧器防振装置の仕様と耐震性能
ペン太ペン太
変圧器って通電しているだけでブーンと唸りますよね。あの振動が建物に伝わるのはどう防ぐんですか?
ハリタハリタ
原因は鉄心が周期的に伸縮する磁歪現象です。スプリング防振装置で固体音の伝わりを抑えます。仕組みを見ていきましょう。

この記事で押さえる3つのこと

  • 固体音の原因は、鉄心が伸び縮みする磁歪現象
  • スプリング防振装置で20dB以上の騒音低減が期待できる
  • 建築設備耐震設計・施工指針に準拠し、設計用水平震度2.0・鉛直震度1.0
この記事でわかること
仕様書を確認する前に、耐震性能の項だけでも押さえておくと役立ちます。
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変圧器防振装置とは?

ペン太ペン太
えっ、変圧器ってそんなに音が出るの!?
ハリタハリタ
うん、特に鉄心の磁歪(じわい)っていう現象が原因で、「ブーン…」っていう低い音が出ることがあるんだ。それが床や壁を伝って響くと、固体音として問題になることもあるんだよ。
ペン太ペン太
なるほど〜!じゃあ上の階にあると、下の部屋にも音が響いたりするのか…
ハリタハリタ
そのとおり!だからこそ、防振装置をちゃんと設けて、振動を伝えないようにする必要があるんだ。

災害対策として受変電設備をビルの上階に設置するケースが増えています。その際に注意しなければならないのが「変圧器から発生する振動音(固体音)」です。このような騒音を防ぐために活躍するのが変圧器の防振装置です。

この記事では、初心者の方にもわかりやすく、変圧器の振動の特徴と防振装置さらに耐震性能についても図解を交えて丁寧に解説します。


1. 変圧器の振動とは?

交流 1秒に50回向きが変わる。
磁化 向きに関係なく伸びる。
伸び縮み 1周期に2回。
固体音 100Hzのうなり。
ここに注意!
「変圧器のうなりは、故障のサイン」ではありません。
通電中のブーンという音は、鉄心の磁歪による現象で、いつも出ています。ただし、急に大きくなったときは高調波なども疑います。

● 振動が発生する仕組み

変圧器のコイルに交流電流が流れると、鉄心が磁化し周期的に伸縮する現象が起こります(磁歪現象)。これにより変圧器は振動し、周囲に固体音(建物や床を伝って聞こえる音)として現れます。


用語意味設計で効いてくるところ
磁歪現象鉄心が磁化して周期的に伸縮する現象変圧器そのものが振動源になる
固体音建物や床を伝わって聞こえる音空気を伝わる音と違い、遮音壁では止まらない
防振装置振動が建物へ伝わるのを抑える装置上階設置や居室が近い計画で必要になる
ここまでのポイント
  • コイルに交流電流が流れると鉄心が磁化し、周期的に伸縮する(磁歪現象)
  • その振動が建物や床を伝わり、固体音として聞こえる
  • 受変電設備を上階に置くほど、下階への固体音が問題になりやすい

2. 振動をどう防ぐ?変圧器の防振対策

直置き 床に直に置く。
響く 下の階に固体音。
防振架台 バネで浮かせる。
届かない 通り道を断つ。
たとえるなら
固体音は、上の階の洗濯機の振動
上の階で洗濯機が回ると、音は空気よりも床を伝わって下の階に響きます。だから洗濯機の脚には防振マットを敷きます。変圧器も同じで、鉄心のうなりが床を伝わって下の階に届くので、防振架台で床との間を切り離します。

変圧器の振動は、床や建物を伝わって音として感じられます。これを防ぐために、**防振装置(スプリングなど)**を用いて建物への伝達を抑えます。


3. スプリング防振装置の構成と原理

上部架台 変圧器を受ける。
バネ 振動を吸う。
下部架台 床に固定する。
ストッパー 動きすぎを止める。
たとえるなら
防振架台は、車のサスペンションとストッパー
車は、ふだんの小さな揺れをバネとダンパーで吸収し、大きな段差で沈み込みすぎたときはストッパーで止めます。防振架台も同じで、ふだんの振動はスプリングが吸い、地震で大きく揺れたときはストッパーが動きすぎを止めます。
ここに注意!
「防振架台なら、床に固定しなくてよい」ではありません。
下部架台とストッパーは、床にアンカーで固定します。固定がなければ、地震のときに架台ごと動いてしまいます。

● 構成要素

スプリング防振装置は、主に以下の構造で構成されます。

  • 上部架台と下部架台

  • 振動を吸収するスプリングと吸振体

  • 揺れすぎを防ぐストッパー

ペン太ペン太
防振装置って要は防音対策ですよね?地震のときはバネの上でむしろ揺れて危なくないですか?
ハリタハリタ
防音だけではありません。設計用水平震度2.0、鉛直震度1.0に対応し、揺れを吸収して設備の損傷を防ぐ役割もあるんです。
構成要素はたらき
上部架台・下部架台変圧器を受け、防振要素を挟み込む
スプリング・吸振体振動を吸収し、建物への伝達を抑える
ストッパー揺れすぎを防ぎ、地震時の移動量を抑える
ここまでのポイント
  • スプリング防振装置は上部架台と下部架台で構成される
  • 振動を吸収するスプリングと吸振体を組み込む
  • 揺れすぎを防ぐストッパーを備える

4. 防振性能と耐震性能

重さ 1,000kgで約9.8kN。
水平 ×2.0で約19.6kN。
鉛直 ×1.0で約9.8kN。
確かめる 架台とアンカー。
ここに注意!
「鉛直震度は、水平震度と同じ値」ではありません。
設計用鉛直震度は、設計用水平震度の2分の1です。水平震度2.0なら、鉛直震度は1.0です。
ここに注意!
「設計用水平震度は、どの階でも2.0」ではありません。
建築設備耐震設計・施工指針では、置く階(上層階・屋上、中間階、1階・地下)と耐震クラスで設計用水平震度が変わります。

✅ 平常時の効果

スプリング防振装置は、一般的な防振ゴムと比べて振動の減衰性能が高く、20dB以上の騒音低減が期待できます。

✅ 地震時の効果と安全性

ここに注意!
「防振架台は、どの変圧器でも同じ仕様でよい」ではありません。
変圧器の重さや置く場所によって、バネの強さや架台・アンカーの強さが変わります。容量と設置環境に合う仕様を選びます。

変圧器などの電気設備を建物内に設置する際、意外と見落としがちなのが「振動と地震対策」です。
実は、設置時に使われる**防振装置(ぼうしんそうち)**は、日常の騒音対策だけでなく、地震の揺れによる損傷も防ぐ重要な役割を果たしています。


ペン太ペン太
えっ、防振装置って音を抑えるだけじゃないの?

ハリタハリタ
実はそれだけじゃないんだ。地震のときに設備が壊れないように、揺れを吸収してくれる機能もあるんだよ。


✅ 地震時に揺れを吸収してダメージを最小限に

防振装置は、通常時には安定した振動遮断性能を発揮しながら、地震の揺れが起きた時にはその衝撃を吸収・緩和して、機器の転倒や破損を防ぎます。

この防振装置は、次のような耐震基準を満たしていることがポイントです。


📐 国土交通省「建築設備耐震設計・施工指針」に準拠

つまり、防振装置はただのゴム足ではなく、建築設備の耐震設計における要として活用されているのです。


ペン太ペン太
じゃあ、ただ揺れを抑えるだけじゃなくて、地震にも耐えられるってこと?

ハリタハリタ
そうそう!しかも国が定めた指針に沿って設計されてるから信頼性もバッチリ。ビルの上階に設備を置くときなんかには特に重要だよ。

  • 地震時には揺れを吸収して設備の損傷を防ぐ。

  • 国土交通省監修「建築設備耐震設計・施工指針」に準拠。

  • 設計用水平震度2.0、鉛直震度1.0を満たす(耐震Sクラス)。

このように、防振装置は振動対策と地震対策の両面を担う重要な装置となっています。


確認する項目値・よりどころ
準拠する指針国土交通省「建築設備耐震設計・施工指針」
設計用水平震度2.0
設計用鉛直震度1.0
耐震クラスSクラス(最高ランク)
騒音低減の目安防振ゴムより高く、20dB以上
ここまでのポイント
  • 通常時は振動遮断、地震時は衝撃の吸収・緩和という2つの役割を持つ
  • 国土交通省「建築設備耐震設計・施工指針」に準拠する
  • 設計用水平震度2.0、設計用鉛直震度1.0
  • これは耐震クラスのうちSクラス(最高ランク)に該当する

よくある質問(FAQ)

Q. 変圧器はなぜ振動や騒音が発生するのですか?
A. 鉄心が磁化して周期的に伸縮する磁歪現象により振動し、建物や床を伝わる固体音として現れます。

Q. スプリング防振装置でどのくらい騒音を減らせますか?
A. 一般的な防振ゴムより減衰性能が高く、20dB以上の騒音低減が期待できます。

Q. 防振装置は地震対策にもなりますか?
A. はい。地震時の揺れを吸収・緩和し、機器の転倒や破損を防ぐ耐震効果があります。

Q. どのような耐震基準に準拠していますか?
A. 国土交通省「建築設備耐震設計・施工指針」に準拠し、設計用水平震度2.0・鉛直震度1.0(耐震Sクラス)を満たします。

Q. 変圧器のうなり音は、何Hzですか?
A. 鉄心は磁化の向きに関係なく伸びるので、1周期に2回伸び縮みします。そのため、電源周波数の2倍(50Hz地域は100Hz、60Hz地域は120Hz)が基本の音になります。

Q. 設計用鉛直震度は、どう決まりますか?
A. 設計用水平震度の2分の1とします。水平震度が2.0なら、鉛直震度は1.0です。

✅ まとめ

変圧器は磁歪によって騒音や振動を発生させる。 スプリング防振装置を使うことで、固体音を20dB以上低減可能。 防振装置は、地震時の揺れも吸収し、設備を守る耐震効果もある。 建築設備耐震設計・施工指針に準拠した製品であれば、より安心。
ペン太ペン太
防振と耐震の両方に効くんですね。設計ではまず何を確認すればいいですか?
ハリタハリタ
変圧器の容量と設置環境に合う仕様の選定です。20dB以上の騒音低減も期待できるので、仕様書をしっかり確認しましょう。

変圧器の防振装置は、平常時の固体音対策と、地震時の損傷防止という2つの役割を兼ねています。仕様書では騒音低減量だけでなく、震度と耐震クラスまで見ておくと選定を外しません。

取り違えやすいところ正しくは
防振装置は音を抑えるだけの部材地震時の揺れを吸収し、転倒や破損も防ぐ
バネの上に載せると地震時にかえって危ないストッパーを備え、水平震度2.0・鉛直震度1.0に対応している
防振ゴムでもスプリングでも効果は同じスプリングのほうが減衰性能が高く、20dB以上の低減が期待できる
固体音は遮音壁を立てれば止められる床や建物を伝わる音なので、伝達経路を断つ防振が要る

受変電設備を上階に置く計画では、容量と設置環境に合う防振仕様を早い段階で決めておくと安心です。指針への準拠と震度の記載がある製品を選んでおけば、耐震計算の裏付けもそろいます。

📘 体系的に学びたい方へ
このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。