負荷率・需要率・不等率の違いとは?3つの式と変圧器容量の計算例、変圧器の「負荷率」との違い
変圧器の容量を決めるときに出てくる「需要率」「不等率」「負荷率」。どれも「〇〇率」で、分子と分母を取り違えやすい言葉です。この記事は、3つの式と意味、変圧器容量までの計算の流れ、変圧器の負荷率との違いの4つにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ結論
需要率は最大需要電力÷設備容量、不等率は各最大需要電力の和÷合成最大需要電力、負荷率は平均需要電力÷最大需要電力です。変圧器の容量は、設備容量×需要率を負荷群ごとに出し、その和を不等率で割り、力率で割って決めます。
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| 設備容量 | せつびようりょう | つながっている機器の容量の合計。 |
| 最大需要電力 | さいだいじゅようでんりょく | ある期間に使った電力のいちばん大きい値(ふつう30分平均)。 |
| 需要率 | じゅようりつ | 設備容量のうち、最大でどれだけ同時に使うかの割合。 |
| 不等率 | ふとうりつ | ピークの時刻がずれる度合い。1以上になる。 |
| 負荷率 | ふかりつ | 最大に対して、平均でどれだけ使っているかの割合。 |
この3つを頭に入れておくと、残りがすっと読めます。
分母で覚える
需要率は設備容量、負荷率は最大需要、不等率は合成の最大で割ります。
需要率と負荷率は1以下、不等率は1以上
需要率と負荷率は%で表し、100%以下。不等率は倍率で、1以上です。
容量計算に使うのは需要率と不等率
負荷率は、設備の使われ方(むらの大きさ)を見るための数字です。
何を何で割る? ― 3つの式を並べる
| 率 | 式 | 値の範囲 | 何が分かるか |
|---|---|---|---|
| 需要率 | 最大需要電力 ÷ 設備容量 × 100 | 100%以下 | 設備のうち、同時に使う割合 |
| 不等率 | 各負荷群の最大需要電力の和 ÷ 合成最大需要電力 | 1以上 | ピークの時刻のずれ |
| 負荷率 | 平均需要電力 ÷ 最大需要電力 × 100 | 100%以下 | 使い方のむら(山と谷) |
3つとも「〇〇率」ですが、分母が違います。需要率は設備容量、負荷率は最大需要電力、不等率は合成した最大需要電力で割ります。分母を取り違えると、値が1を超えたり小さすぎたりするので、計算結果の範囲でも間違いに気づけます。
- 需要率=最大需要÷設備容量
- 不等率=各最大の和÷合成の最大(1以上)
- 負荷率=平均÷最大
変圧器の容量はどう計算する? ― 需要率と不等率の使い方
変圧器の容量は、つながる機器を全部同時に最大で使う前提で決めると、大きすぎて不経済になります。そこで、負荷群ごとに需要率を掛けて最大需要電力を出し、その和を不等率で割って合成の最大需要電力にし、力率で割ってkVAに直す、という順で計算します。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 設備容量 | 動力A 200kW、動力B 100kW | ― |
| ② 需要率を掛ける | A:200×0.6、B:100×0.7 | A 120kW、B 70kW |
| ③ 不等率で割る | (120+70)÷1.2 | 約158kW |
| ④ 力率で割る | 158÷0.9 | 約176kVA |
| ⑤ 標準容量を選ぶ | 176kVAの直近上位 | 200kVA |
電動機の設備容量をkVAで扱う場合は、出力kWから入力kVAへの換算が必要です。出力ごとの値は動力の負荷容量換算表にまとめています。変圧器容量の決め方の全体は変圧器容量の計算と需要率の記事で説明しています。
- 負荷群ごとに 設備容量×需要率
- その和を不等率で割り、力率で割ってkVAに
- 直近上位の標準容量を選ぶ
不等率と負荷率は何を表す? ― ピークのずれと、使い方のむら
不等率は、負荷どうしのピークの時刻がずれている度合いです。昼に使う動力と夕方に使う動力をまとめて受けると、合成した最大は単純な和より小さくなります。全部のピークがそろえば1、ずれが大きいほど大きな値になります。
負荷率は、最大に対して平均でどれだけ使っているかです。1日に2,400kWhを使えば平均は100kW、最大が158kWなら負荷率は約63%です。負荷率が高いほど、山と谷の差が小さく、設備や契約電力をむだなく使えていることになります。
ペン太
ハリタ- 不等率はピークのずれ。そろえば1、ずれるほど大きい
- 負荷率は平均÷最大。高いほど設備をむだなく使える
- 容量は需要率と不等率、運用の検討は負荷率
変圧器の「負荷率」とは違う? ― 同じ言葉の別の意味
現場では、変圧器の定格容量に対して、いまどれだけ負荷がかかっているかを「変圧器の負荷率(利用率)」と呼ぶこともあります。こちらは実際の負荷÷変圧器の定格容量で、電力の負荷率(平均÷最大)とは計算のしかたが違います。
| 呼び方 | 式 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 電力の負荷率 | 平均需要電力 ÷ 最大需要電力 | 使い方のむら、契約電力の検討 |
| 変圧器の負荷率(利用率) | 実際の負荷(kVA)÷ 変圧器の定格容量(kVA) | 変圧器の余裕・過負荷の確認、更新計画 |
変圧器の負荷率が100%を超える運転(過負荷運転)がどこまで許されるかは、過負荷率の早見表で説明しています。
- 変圧器の負荷率(利用率)=実負荷÷定格容量
- 電力の負荷率(平均÷最大)とは別もの
- 数字を聞いたら、どちらの意味かを確かめる
まとめ
結論
需要率は最大÷設備容量、不等率は各最大の和÷合成の最大、負荷率は平均÷最大です。変圧器の容量は需要率と不等率で決め、負荷率は使い方のむらを見るのに使います。
実務で迷わないための4つの確認
- 分母で覚える(設備容量・合成の最大・最大)
- 需要率と負荷率は1以下、不等率は1以上かを結果で確かめる
- 容量計算は 設備容量×需要率 → 和÷不等率 → ÷力率
- 「変圧器の負荷率」は実負荷÷定格容量で、別の意味
電流での考え方は定格電流・規約電流・許容電流の違いもあわせて読んでみてください。
よくある質問
需要率と負荷率は何が違いますか?
需要率は「設備容量のうち、最大でどれだけ同時に使うか」で、最大需要電力÷設備容量です。負荷率は「最大に対して、ふだん平均でどれだけ使っているか」で、平均需要電力÷最大需要電力です。需要率は設備の大きさを決めるとき、負荷率は使い方のむらを見るときに使います。
不等率が1より小さくなることはありますか?
ありません。各負荷群の最大の和は、合成した最大以上になるので、不等率は必ず1以上です。全部のピークが同じ時刻にそろえば1になります。
変圧器の「負荷率」は、この負荷率と同じですか?
別の意味で使われることが多いので注意が必要です。変圧器の負荷率(利用率)は、実際の負荷÷変圧器の定格容量で、変圧器がどれだけ埋まっているかを表します。電力の負荷率(平均÷最大)とは計算のしかたが違います。
需要率はどのくらいの値を使えばいいですか?
用途や負荷の種類によって大きく変わります。発注者の基準や過去の実績、設計基準の参考値をもとに決めます。この記事の0.6・0.7は計算の流れを見せるための例です。
負荷率が高いと何がいいのですか?
同じ電力量を使うのに、最大需要電力(契約電力のもと)が小さくて済みます。設備をむだなく使えて、基本料金も下がりやすくなります。
この記事に関連する無料ツール
- 変圧器容量・需要率 計算ツール(セコサポ・ブラウザで無料)



