取付点・引込口・責任分界点の違いとは?電柱から分電盤までの順番と、1需要場所1引込みの理由
引込みの図面や電力会社との打合せでは、「取付点」「引込口」「責任分界点」という言葉が何度も出てきます。どれも電柱と建物のあいだのどこかを指しますが、場所も意味も違います。この記事は、電柱から分電盤までの名前の順番、責任分界点の位置、「1需要場所1引込み」の理由の3つにしぼって説明します。
ペン太
ハリタ結論
取付点は架空引込線を建物に取り付ける点、引込口は電線が建物の中へ入る点です。責任分界点は電力会社とお客さまの保安の受け持ちの境で、低圧の架空引込では取付点になることが多くあります。同じ需要場所には、原則として引込みを1つだけ設けます。
この記事に出てくる言葉
読む前に、意味をざっと押さえておくと分かりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | やさしい説明 |
|---|---|---|
| 架空引込線 | かくうひきこみせん | 電柱から、ほかの支持物を経ずに建物の取付点まで張る電線。 |
| 取付点 | とりつけてん | 架空引込線を建物(造営物)に取り付ける点。 |
| 引込口 | ひきこみぐち | 電線が建物の中へ入る点。 |
| 引込口配線 | ひきこみぐちはいせん | 引込口から最初の開閉器(引込口装置)までの配線。 |
| 責任分界点 | せきにんぶんかいてん | 電力会社とお客さまの保安の受け持ちを分ける点。 |
| 需要場所 | じゅようばしょ | 電気を使う1つの構内や、それに準じる区域。 |
この3つを頭に入れておくと、残りがすっと読めます。
「付く」所と「入る」所
取付点は建物に付く点、引込口は建物に入る点です。
引込線は引込口まで
電技解釈では、架空引込線と屋側の部分を合わせて、引込口に至るまでを引込線と呼びます。
引込みは原則1つ
同じ需要場所には、引込みを1つだけ設けて構内で分けます。
どの順に並ぶ? ― 電柱から分電盤までの名前
電技解釈 第1条では、架空引込線を「架空電線路の支持物からほかの支持物を経ずに需要場所の取付け点に至る架空電線」、引込線を「架空引込線と、需要場所の造営物の側面などに施設する電線で、引込口に至るもの」と定めています。つまり、電柱から取付点までが架空引込線、取付点から引込口までが屋側の引込線で、両方を合わせて引込線です。
| 順 | 名前 | どこからどこまで(どこ) |
|---|---|---|
| ① | 架空引込線 | 電柱 → 取付点 |
| ② | 取付点 | 架空引込線を建物に取り付ける点 |
| ③ | 引込線(屋側の部分) | 取付点 → 引込口(外壁などを伝う) |
| ④ | 引込口 | 電線が建物の中へ入る点 |
| ⑤ | 引込口配線 | 引込口 → 引込口開閉器 |
| ⑥ | 引込口開閉器(引込口装置) | 引込口に近い所に設ける開閉器(電技解釈 第147条) |
低圧架空引込線の取付点の高さは、地表上4m以上が原則で、技術上やむを得ず交通に支障がない場合は2.5m以上とできます。引込線の距離や高さの条件は引き込み電線の距離と条件、屋側の部分の施設方法は内線規程【026】屋側電線路で説明しています。
- 電柱→取付点が架空引込線、取付点→引込口が屋側の引込線
- 取付点は「付く」所、引込口は「入る」所
- 引込口の近くに引込口開閉器を設ける
責任分界点はどこ? ― 保安の受け持ちの境
責任分界点は、電力会社とお客さま(需要家)の保安の受け持ちを分ける点です。ここより電源側の故障は電力会社、負荷側はお客さまが対応します。低圧の架空引込では、引込線の取付点が責任分界点になることが多くあります。
高圧で受電する場合は、お客さまが設ける区分開閉器(PAS・UGSなど)の電源側が一般的です。区分開閉器から先はお客さまの電気工作物なので、事故のときに配電線へ波及させないように、地絡保護の付いた開閉器を設けます。くわしくは引込・受電設備の設計マニュアル④ 責任分界点とPAS、連絡先の分け方は電力会社と電気工事店、どっちに連絡する?で説明しています。
ペン太
ハリタ- 責任分界点は保安の受け持ちの境
- 低圧の架空引込では取付点が多い
- 高圧は区分開閉器の電源側が一般的。最終的には協議で決まる
なぜ1需要場所に1引込み? ― 安全と契約のため
同じ需要場所には、原則として引込みを1つだけ設けます。引込みが2つあると、片方を切って「停電した」と思って作業したときに、もう片方から電気が来ている、という危険が生まれるからです。また、電気の契約や計量も需要場所ごとにまとめる決まりになっています。
別棟が電柱に近くても、本館で引き込んでから構内の幹線で送るのが基本です。用途や区画によって別の需要場所として扱える場合や、例外として2引込みが認められる場合もあるので、計画の早い段階で電力会社と協議します。対策の考え方は電力の1引込・2引込の定義と対策方法でくわしく説明しています。
- 同じ需要場所には、原則として引込みを1つ
- 2引込みは停電作業の安全を損なう
- 例外の扱いは、早めに電力会社と協議する
まとめ
結論
取付点は電線が建物に「付く」所、引込口は建物に「入る」所、責任分界点は保安の受け持ちの境です。同じ需要場所には、原則として引込みを1つだけ設けます。
実務で迷わないための4つの確認
- 電柱→取付点→引込口→引込口開閉器の順に、図面で位置を確かめる
- 取付点の高さ(原則4m以上)を確保する
- 責任分界点を電力会社と協議し、図面に明記する
- 別棟でも、まず1需要場所1引込みで計画する
引込柱の支線については引込柱に支線はいる?も参考にしてください。
よくある質問
取付点と引込口は、どう違いますか?
取付点は、電柱から来た架空引込線を建物(造営物)に取り付ける点です。引込口は、電線が建物の中へ入る点です。取付点から引込口までは、外壁などを伝う引込線(屋側の部分)になります。
引込口配線とは、どこからどこまでですか?
引込口から、引込口の近くに設ける開閉器(引込口装置)までの配線です。屋内に入ってから最初の開閉器までの短い区間を指します。
低圧の取付点の高さはどれくらい必要ですか?
低圧架空引込線の取付点は、地表上4m以上が原則です。技術上やむを得ず交通に支障がない場合は2.5m以上とできます。道路を横断する部分は、さらに高さの決まりがあります。
責任分界点はどこになりますか?
低圧の架空引込では引込線の取付点、高圧では需要家が設ける区分開閉器の電源側になることが多いです。ただし、最終的には電力会社との協議で決まります。
別棟に別の引込みを付けることはできますか?
原則は1需要場所1引込みなので、同じ構内の別棟でも1か所で引き込んでから構内で分けて送ります。用途や構内の区分によって別の需要場所として扱える場合もあるので、計画の早い段階で電力会社と協議してください。
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