【単線結線図の見方⑩】低圧配電 ― 遮断器・幹線・盤名の順で読み、電流の大きさを見るMCCBと漏れを見るELCBを知る
家の分電盤には、いちばん左に大きなブレーカー、その横に漏電ブレーカー、右に小さなブレーカーがずらりと並んでいます。台所で電子レンジを使いすぎても、落ちるのは台所の小さなブレーカーだけです。キュービクルの低圧側は、この分電盤をぐっと大きくしたようなものです。第10回は、変圧器の二次側から先の低圧配電(MCCB・ELCB)の読み方です。
結論
低圧配電は遮断器・幹線・盤名の順に読みます。MCCBは電流の大きさ、ELCBは行きと帰りの差を見て切り、選ぶときは負荷の電流≦AT≦電線の許容電流の順番を守ります。
- AFは枠の大きさ、ATは切れる電流
- ELCBは30mA・0.1秒で人を守る
- 遮断容量(kA)は短絡電流より大きく
- 盤名(P-1・L-1)で行き先をたどる
低圧配電は「回路ごとに守る」
変圧器で210V・105Vに下げた電気は、低圧母線に集まり、そこから遮断器を通って各階の動力盤や電灯盤へ分かれていきます。回路ごとに遮断器を置くことで、事故が起きてもその回路だけを切り、ほかの回路は使い続けられます。
| 家の分電盤 | キュービクルの低圧側 | 役目 |
|---|---|---|
| 主幹ブレーカー | 変圧器二次側の主幹(ACB・MCCB) | バンク全体の入口を守る |
| 分岐ブレーカー | フィーダーのMCCB | 各盤へ行く幹線を守る |
| 漏電ブレーカー | ELCB | 漏電を見つけて人を守る |
- 変圧器の二次側から先
- 回路ごとに遮断器
- 事故の回路だけ切る
図面は「遮断器→幹線→盤名」の順に読む
単線結線図の低圧側は、太い縦線の低圧母線から横に線が何本も出て、それぞれに遮断器、ケーブル、行き先の盤名が書かれています。
| 図面の表記 | 読み方 |
|---|---|
| 3P | 3極(三相用)。単相3線なら3P、単相2線なら2P |
| 225AF/200AT | AFは枠の大きさ、ATは切れる電流(定格電流) |
| CV 3C 100sq | ケーブルの種類(CV)、心数(3心)、太さ(100mm²) |
| P-1 1F動力盤 | 負荷名称。Pは動力、Lは電灯が多い |
| 予備 | 将来のための空き回路 |
盤名は、単線結線図と各階の分電盤図をつなぐ「住所」の役目をします。「P-1」をたどれば、1階の動力盤の図面に行き着きます。
- 3P・AF・ATを読む
- ケーブルの種類と太さ
- 盤名で行き先をたどる
MCCBは電流の大きさ、ELCBは行きと帰りの差
MCCB(配線用遮断器)は、流れる電流が大きくなりすぎたとき(過電流・短絡)に切ります。守るのはおもに電線と機器です。ELCB(漏電遮断器)は、中にZCTが入っていて、行きと帰りの電流の差を見ます。帰りが少ない、つまりどこかで大地へ漏れていれば、漏電として切ります。
| MCCB | ELCB | |
|---|---|---|
| 見ているもの | 電流の大きさ | 行きと帰りの電流の差 |
| 切るとき | 過電流・短絡 | 過電流・短絡・漏電 |
| おもに守るもの | 電線・機器 | 人(感電)と建物(火災) |
| よく使う場所 | 幹線・一般の分岐 | 水まわり・屋外・コンセント回路 |
- MCCBは大きさ
- ELCBは差
- 30mA・0.1秒で人を守る
遮断器の数字は「負荷≦AT≦電線」
遮断器のATは、ふだんの負荷の電流では切れず、電線が熱くなりすぎる前には切れる大きさにします。
| 比べるもの | 決め方 | 例 |
|---|---|---|
| 負荷の電流 | つながる機器の電流の合計(需要率を考える) | 48A |
| 遮断器のAT | 負荷の電流以上、電線の許容電流以下 | 60A |
| 電線の許容電流 | ケーブルの太さ・敷設のしかたで決まる | 71A |
| 遮断容量(kA) | その場所の短絡電流より大きい | 例 25kA |
もう1つ大事なのが遮断容量です。変圧器に近い低圧母線ほど短絡電流が大きくなるので、主幹やフィーダーの遮断器は、そこで起きる短絡電流を切れるものを選びます。上位の遮断器より先に下位が切れるよう、協調も考えます(保護協調は第7回)。設計の考え方は設計マニュアル⑩ 低圧配電部で扱っています。
- 負荷≦AT≦電線
- 遮断容量は短絡電流以上
- 上位より先に切れる
間違えやすいところ
よくある読み違い
- AFを定格電流と読む:切れる電流はATです。AFは枠の大きさです。
- ATだけ見て遮断容量を見ない:短絡電流を切れないと、遮断器が壊れます。
- ELCBは漏電しか切らないと思う:一般的なELCBは過電流・短絡も切れます(漏電専用のものもあります)。
- 電線を細くしてATはそのまま:ATは電線の許容電流以下にします。
- 盤名をたどらない:P-1・L-1をたどると、各階の分電盤図につながります。
次回は、A種〜D種の接地の読み方です。力率改善は第9回、全体の流れは第1回で見ています。
- ATとAFを分ける
- 遮断容量も読む
- 盤名で先へつなぐ
よくある質問
MCCBとELCBはどう違いますか?
MCCB(配線用遮断器)は、流れる電流の大きさを見て、過電流や短絡のときに切ります。ELCB(漏電遮断器)は、それに加えて行きと帰りの電流の差を見て、漏電のときにも切ります。MCCBは電線と機器を、ELCBは人を感電から守るのがおもな役目です。
「225AF/200AT」は何を表していますか?
AF(アンペアフレーム)は遮断器の枠の大きさ、AT(アンペアトリップ)は定格電流で、どれだけの電流から切れるかを表します。225AFの枠に200Aで切れる中身が入っている、という意味です。
遮断器の定格電流(AT)はどう決めますか?
負荷の電流より大きく、電線の許容電流より小さくします。負荷の電流≦AT≦電線の許容電流の順になっていれば、ふだんは切れず、電線が焼ける前に切れます。電動機の回路などには例外があるので、内線規程で確かめます。
遮断容量とは何ですか?
その遮断器が切ることのできる短絡電流の上限で、kAで表します。取り付ける場所の短絡電流より大きいものを選ばないと、短絡のときに切れずに壊れてしまいます。変圧器に近いところほど短絡電流が大きくなります。
ELCBの「30mA・0.1秒」とは何ですか?
30mAの漏電を検出したら0.1秒以内に切る、という性能です。高感度高速形と呼ばれ、人が感電したときの保護に使われます。水まわりや屋外のコンセント回路などに使います。
図面の「P-1」「L-1」は何ですか?
負荷名称(盤名)です。Pは動力盤、Lは電灯盤を表すことが多く、数字は階や系統の番号です。単線結線図から先は、この名前で各階の分電盤の図面につながっていきます。
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