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プロット図の見方 第5回(最終回)連載の一覧 ›

プロット図のすみに、丸にM、丸に小さな輪が2つ、四角にRC。壁ぎわには、半分だけ塗った長方形。スイッチやコンセントに比べて数は少ないのに、ここを読み違えると電源の太さも盤の数も狂います。最終回は換気扇・機器・盤。中の文字で機器を、横の傍記で電源と容量を、長方形の塗り方で盤を読み、機器表と系統図へつなぎます。

結論

機器は中の文字で種類、横の傍記で電源と容量、盤は長方形の塗り方で種類、盤名で系統図を読みます。数字の出どころは、どちらも機器表と盤図です。

  • M=電動機、H=電熱器、輪2つ=換気扇、RC=ルームエアコン
  • 横の「3φ200V 3.7kW」は電源と出力。機器表・負荷表で確かめる
  • 半分塗り=分電盤、×=配電盤、×の左右を塗る=制御盤、二重枠=防災用
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

機器は、丸や四角の中の文字で読む

機器の記号は、丸や四角の中に文字や形を1つ入れた名札のようなものです。M は電動機(Motor)、H は電熱器(Heater)、RC はルームエアコン(Room air Conditioner)。中を見れば、そこに何が付くかが分かります。換気扇だけは文字ではなく、丸の中に小さな輪を2つ並べた形で描きます。

電動機は丸にM、換気扇は丸に小さな輪2つ、ルームエアコンは四角にRC、分電盤は長方形の半分を塗る、配電盤は長方形に×、制御盤は×の左右を塗ることを示す図
JIS C 0303 の基本形。機器は中の文字、盤は長方形の塗り方で見分けます。
記号 機器 横に書くこと
丸にM 電動機(ポンプ・送風機など) 電気方式・電圧・容量(例:3φ200V 3.7kW)
丸にH 電熱器(温水器・ヒーターなど) 電動機と同じ
丸に輪2つ 換気扇(扇風機を含む) 種類・大きさ。天井付は四角で囲む
四角にRC ルームエアコン O=屋外ユニット、I=屋内ユニット、電源・容量
丸にSV・MV 電磁弁・電動弁 電気方式・電圧
JIS C 0303「機器」の図記号から。丸や四角の中の文字が機器の種類です。

エアコンは1台でも、プロット図には室内機(I)と室外機(O)の2か所に記号が出ます。電源をどちらから取るかは機種で違うので、その先は機器表で確かめます。

ここまでのポイント
  • 機器は中の文字が名札。M・H・RC
  • 換気扇は丸に輪2つ、天井付は四角で囲む
  • エアコンは室内機 I と室外機 O の2か所に出る

横の傍記で、電源と容量を読む

機器の記号の横には、電源と容量が書かれます。たとえば丸にMの横の「3φ200V 3.7kW」は、三相200Vで動く、出力3.7kWの電動機という意味。φ(ファイ)の前の数字が相の数で、1φなら単相、3φなら三相です。

傍記 読み方 つながる先
3φ200V 三相200Vの電源 動力の盤(P)から電気が来る
1φ100V・1φ200V 単相100V・200Vの電源 電灯の盤(L)から来ることが多い
3.7kW 電動機の出力 電流に直してブレーカーとケーブルを決める
P-1-3 など 盤名と回路番号 動力盤の3番回路。盤図・系統図とつながる
回路番号の書き方は事務所ごとに違います。凡例で確認します。

この数字は、プロット図で決めたものではありません。機器表から写したものです。機器の出力や台数は機械設備が決め、電気はそれを受けて盤とケーブルを決めます。kW のままでは電線は選べないので、電流への直し方は動力設備の設計マニュアル② 負荷容量の換算で確認できます。電灯(L)と動力(P)の分け方は新人講座 第10回 電灯と動力のちがいが入口です。

読むときのコツ:傍記の数字と機器表の数字が合っているかを必ず見ます。機器表は途中で何度も変わるので、プロット図の数字が古い版のまま残っていることがあります。
ここまでのポイント
  • 3φ200V=三相200V、1φ=単相
  • kW は出力。電流に直してから線を選ぶ
  • 傍記の出どころは機器表。版がそろっているかを見る


盤は、長方形の塗り方で見分ける

盤の記号は、どれも横長の長方形です。見分けるのは中の描き方。信号機の色で意味が変わるように、同じ長方形でも塗り方で役割が変わります。

記号 盤 役割
対角線で分けて片側を塗る 分電盤 照明・コンセントの回路を分ける盤
×を描く 配電盤 建物や階に電気を配る大もとの盤
×の左右を塗る 制御盤 ポンプやファンを運転・停止する盤
二重枠 防災電源回路用 非常用照明・消防設備の回路。耐熱形
四角の中に×印の丸 接地端子箱 接地線をまとめる箱
JIS C 0303 と官庁営繕の標準図の書き方から。図面ごとの凡例が最優先です。

記号の横には盤名が付きます。「L-1」なら電灯の1番、「P-1」なら動力の1番、というように、盤名が幹線系統図や盤図とつながる鍵です。盤の中のブレーカーの読み方は盤図のブレーカー表記の読み方、制御盤の中身は制御盤・動力盤の盤図の読み方で扱っています。

ここまでのポイント
  • 半分塗り=分電盤、×=配電盤、×の左右を塗る=制御盤
  • 二重枠は防災電源回路用。一般の盤と分けて読む
  • 盤名(L-1・P-1)で系統図と盤図を引く

機器のそばの小さな四角は、開閉器

電動機やエアコンの室外機のすぐ近くに、小さな四角が描かれていることがあります。これは開閉器。機器のそばで電気を切れるようにする、いわば手元のブレーカーです。点検や修理のとき、盤まで戻らずにその場で電源を切れます。

記号 名称 横に書くこと
四角にS 開閉器 極数・定格電流・ヒューズの定格(例:3P 30A f20A)
四角にB 配線用遮断器 極数・フレーム・定格電流(例:3P 50AF 30A)
四角にE 漏電遮断器 配線用遮断器と同じ+感度電流
数値は一例。どの開閉器を付けるかは機器と盤の組み合わせで決まります。

拾いのときに落としやすいのが、この開閉器・現場の操作盤・制御線です。機器表に欄がなくても、現場には要ります。台数だけを数えるのではなく、盤から機器までの経路を1本ずつ追うと、途中の部品が自然に拾えます。考え方は動力設備の設計マニュアル⑥ 図面化と拾いにまとめています。

工事の区分も確かめる:換気扇やポンプの本体は機械設備の工事で付け、電気は電源と接続まで、という分け方がよくあります。凡例や工事区分表で、どこまでが電気の仕事かを見てから拾います。
ここまでのポイント
  • 機器のそばの四角は開閉器。S・B・E で種類
  • 開閉器・操作盤・制御線は拾いで落としやすい
  • 本体と電源で工事が分かれることがある


読み違えやすいところと、5回のまとめ

⚠️ よくある読み違い

  1. 配電盤の×と「撤去」の×を混同する:改修の図面では、撤去する機器に×を付けます。長方形の中の×が配電盤、記号の上に重ねた×は撤去です。
  2. 天井付の換気扇とエアコンを取り違える:どちらも四角ですが、中が輪2つなら換気扇、RCならエアコンです。
  3. kW を kVA と読む:電動機は出力の kW、変圧器は kVA。単位が違えば計算の入口も違います。
  4. 二重枠を見落とす:防災電源回路用の盤は耐熱形。一般の盤と同じに拾うと仕様が抜けます。
  5. 傍記の数字をそのまま信じる:機器表の最新版と照らしてから使います。

これで「プロット図の見方」は全5回です。1枚のプロット図は、次の5つを順に読めば、ほぼすべての記号に答えられます。

回 題材 まず見るところ つながる先
第1回 スイッチ 黒丸・横の数字・イロハ 同じ文字の照明
第2回 コンセント 塗った側・2E・20A250V 専用回路・高さの特記
第3回 照明器具 形・中の文字・横の符号 照明器具表
第4回 弱電 丸の中身・ピン数・対数 系統図・工事区分
第5回 換気扇・機器・盤 中の文字・電源と kW・塗り方 機器表・盤図・系統図
どの回も「形で種類、横の文字で中身、行き先は表と系統図」という同じ読み方です。
ここまでのポイント
  • ×は配電盤か撤去か、置き場所で見分ける
  • 二重枠は防災用、kW は kVA ではない
  • 5回とも、形で種類・横の文字で中身・表と系統図へ

よくある質問

電動機の記号の横にある「3φ200V 3.7kW」は何ですか?

電源と出力です。3φ200V は三相200Vの電源、3.7kW は電動機の出力を表します。この数字は機器表から写したもので、ブレーカーやケーブルの太さは、この出力を電流に直してから決めます。kWのままでは電線は選べないので、機器表と負荷表で確かめます。

換気扇の記号はどれですか?天井付との違いは?

丸の中に小さな輪を2つ並べた記号が換気扇です。天井に付ける換気扇は、その記号を四角で囲んで描きます。必要に応じて、種類(扇風機を含む)や大きさを横に傍記します。

ルームエアコンの「RC」の横にある「O」「I」は何ですか?

O は屋外ユニット(室外機)、I は屋内ユニット(室内機)です。1台のエアコンでも、プロット図には室内機と室外機の2か所に記号が出ます。電源をどちらから取るかは機種で違うので、機器表や凡例で確認します。

分電盤・配電盤・制御盤の記号は、どう見分けますか?

長方形の中の描き方で見分けます。対角線で分けて片側を塗るのが分電盤、×を描くのが配電盤、×の左右を塗るのが制御盤です。どの盤かは記号の横の盤名(L-1、P-1 など)とあわせて読み、中身は盤図と幹線系統図で確かめます。

盤の記号が二重の枠で描かれているのは何ですか?

防災電源回路用の盤です。非常用照明や消防設備など、火災のときにも電気を送り続ける回路の盤で、耐熱形の盤を使います。一般の盤とは扱いが違うので、拾いでも分けて数えます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。