第二種電気工事士 合格カリキュラム学科③ 電気機器・配線器具・材料・工具
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天井裏のジョイントボックスを開けると、何本もの電線がひとまとめにつながれています。このつなぎ目は、配線のなかでいちばんトラブルが起きやすい場所です。ゆるければ熱を持ち、抜ければ停電し、絶縁が甘ければ漏電します。この記事では、電線接続の5原則と、リングスリーブ・差込形コネクタの使い方、絶縁テープの巻き方、つないでよい場所を、図とたとえで1つずつ解説します。第二種電気工事士の筆記・技能試験でもよく出るところです。

結論

電線のつなぎ目は抵抗・強さ・絶縁を元の電線より悪くしないこと。つなぐのはボックスの中で、リングスリーブは太さと本数で刻印が決まる。

  • 電気抵抗を増やさない・引張強さを20%以上減らさない・器具かろう付け・同等以上の絶縁(解釈第12条)
  • リングスリーブは1.6mm2本なら小スリーブで刻印「○」、1.6mm3〜4本・2.0mm2本などは「小」
  • 差込形コネクタは奥まで差し込めば絶縁処理まで完了
  • ビニルテープは半幅以上重ねて2回以上。接続は管の中でなくボックスの中で
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
電線接続の5原則として、電気抵抗を増やさない、引張強さを20%以上減らさない、接続器具かろう付けを使う、元と同等以上に絶縁する、ボックスの中でつなぐ、を並べ、鎖の強さはいちばん弱い輪で決まるというたとえを添えた図
つなぎ目は、鎖の「いちばん弱い輪」になりやすい場所です。
この記事の内容を、ツールで計算する幹線・分岐回路 一気通貫計算電流を入れると、遮断器・電線サイズ・電線管まで一度に出ます
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接続の5原則 ― つなぎ目を「弱い輪」にしない

鎖の強さは、いちばん弱い輪で決まります。電線も同じで、どれだけ太くて丈夫な電線を使っても、つなぎ目が弱ければそこから熱が出たり、抜けたり、漏電したりします。そこで、電気設備技術基準の解釈 第12条では、電線をつなぐときの決まりを定めています。

原則 内容 なぜ?
① 電気抵抗 電気抵抗を増加させない 抵抗が増えると、つなぎ目が熱を持つ
② 引張強さ 電線の引張強さを20%以上減少させない 引っぱられて抜けたり切れたりしないように
③ 接続のしかた 接続管その他の器具を使う、またはろう付けする 手でねじっただけでは、ゆるみやすい
④ 絶縁 元の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使う、または同等以上のもので十分に被覆する つなぎ目から漏電・感電しないように
⑤ つなぐ場所 電線管などの中ではつながず、ボックスの中でつなぐ あとから点検・修理できるように
①〜④は電気設備技術基準の解釈 第12条の考え方。⑤は金属管工事・合成樹脂管工事などの規定による

コードどうし、キャブタイヤケーブルどうしをつなぐときは、コード接続器や接続箱などの器具を使います(断面積8mm²以上のキャブタイヤケーブルは除く)。コードの種類は「電気設備の基本知識 #012【コードの種類と用途】」で解説しています。

ここに注意!
「よくねじってあれば、器具を使わなくてもよい」ではありません。
電気設備技術基準の解釈 第12条では、接続部分に接続管その他の器具を使うか、ろう付けすることを求めています。手でねじっただけのつなぎ目は、ゆるんで熱を持つおそれがあります。
ここまでのポイント
  • 抵抗を増やさない、強さを20%以上落とさない
  • 器具(スリーブ・コネクタ)かろう付けでつなぐ
  • 元と同等以上に絶縁し、ボックスの中でつなぐ

リングスリーブ ― むいて、入れて、ぎゅっと圧着

むく 被覆をむく。
通す スリーブに通す。
○で圧着 1.6mm2本は○のダイス。
刻印を見る ダイスの正誤がわかる。
たとえるなら
リングスリーブの刻印は、検査済みのはんこ
はんこが押してあれば、だれが見ても「確認済み」とわかりますよね。リングスリーブも、圧着すると使ったダイスの印(○・小・中)が残るので、あとから見ても正しい締め方をしたかがわかります。

リングスリーブは、金属の筒に電線をまとめて通し、専用の圧着ペンチで握りつぶしてつなぐ部品です。おにぎりをぎゅっと握って形を決めるように、筒ごと電線を押しつぶして一体にします。リングスリーブ用の圧着ペンチは柄が黄色で、裸圧着端子用(柄が赤色)とは別の工具です。

リングスリーブの組み合わせとして、1.6mm2本は小スリーブで刻印○、1.6mm3〜4本・2.0mm2本・1.6mm2本と2.0mm1本は小スリーブで刻印小、1.6mm5〜6本・2.0mm3〜4本などは中スリーブで刻印中になることを示した図
スリーブの大きさと刻印は、電線の太さと本数で決まります。
スリーブ 刻印 電線の組み合わせ(例)
小 ○ 1.6mm×2本
小 小 1.6mm×3〜4本、2.0mm×2本、1.6mm×2本+2.0mm×1本
中 中 1.6mm×5〜6本、2.0mm×3〜4本、1.6mm×1〜2本+2.0mm×2本、1.6mm×3本+2.0mm×1本
第二種電気工事士の学習範囲の主な組み合わせ。ほかの組み合わせはメーカーの表で確認する
ペン太ペン太
小スリーブなのに、刻印が「○」と「小」の2つあるのはなぜですか?
ハリタハリタ
いちばん細い1.6mm2本だけは、小スリーブでも中がすかすかになります。だから圧着ペンチの「○」のダイスで、さらに強く締めるんです。圧着したあとの刻印を見れば、正しいダイスを使ったかが一目でわかります。
ここに注意!
「小スリーブなら、刻印も小」ではありません。
1.6mmを2本つなぐときだけは、同じ小スリーブでも刻印「○」で圧着します。1.6mm3〜4本や2.0mm2本などは刻印「小」です。技能試験では、刻印の間違いは欠陥になります。
ここまでのポイント
  • リングスリーブは黄色の柄の圧着ペンチで圧着
  • 1.6mm2本は刻印○、1.6mm3〜4本や2.0mm2本は刻印小
  • 刻印を見れば、正しく圧着したかがわかる


差込形コネクタ ― むいて、奥まで差し込むだけ

むく長さ ゲージに合わせる。
差し込む 奥まで1本ずつ。
目で見る 先端まで届いている。
引いてみる 抜けなければ完了。
ここに注意!
「差込形コネクタにも、念のためテープを巻く」ではありません。
本体が絶縁物なので、テープはいりません。大事なのは、むく長さを本体のゲージに合わせることと、心線が先端まで差し込まれているのを目で確かめることです。

差込形コネクタは、被覆をむいた電線を差し込むだけでつなげる器具です。圧着工具がいらず、本体が絶縁物なのでテープを巻く必要もありません。そのぶん、次の3点を必ず確かめます。

  • むく長さ:本体に付いているゲージ(ストリップゲージ)に合わせる。長すぎると心線が外に見え、短すぎると奥まで届かない
  • 差し込み:透明な本体の先端まで、心線が届いているかを目で見る
  • 抜けないか:軽く引っぱって、抜けないことを確かめる
ここまでのポイント
  • 差込形コネクタは差し込むだけで接続と絶縁が完了
  • むく長さは本体のゲージで合わせる
  • 先端まで届いているか、抜けないかを確かめる

絶縁テープ ― テープの種類で回数が変わる

重ね方 半幅以上重ねる。
1回目 行きで2層。
2回目 帰りで4層。
テープの種類 回数が変わる。
ここに注意!
「どのテープでも、巻く回数は同じ」ではありません。
ビニルテープは半幅以上重ねて2回以上(4層以上)、黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープは1回以上(2層以上)、自己融着性絶縁テープは1回以上巻いたうえに保護テープも巻きます。

リングスリーブで圧着したあとは、むき出しの金属をテープで包んで絶縁します。テープは包帯のように、前の巻きの半分以上にかぶせながら巻いていきます。これを「半幅以上重ねて巻く」といいます。

テープ 巻き方 層の数
ビニルテープ 半幅以上重ねて2回以上(往復) 4層以上
黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープ(厚さ約0.5mm) 半幅以上重ねて1回以上 2層以上
自己融着性絶縁テープ(厚さ約0.5mm) 半幅以上重ねて1回以上巻き、その上に保護テープを半幅以上重ねて1回以上 2層以上+保護
600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルどうしを接続したときの絶縁処理の例(第二種電気工事士の学習範囲)
ここまでのポイント
  • テープは包帯のように半幅以上重ねて巻く
  • ビニルテープは2回以上(4層以上)
  • 黒色粘着性ポリエチレン・自己融着性は1回以上(自己融着性は保護テープも)


工具 ― 作業ごとに「相棒」を選ぶ

電線の接続では、作業ごとに決まった工具を使います。見た目が似ていても役割がちがうので、取り違えないようにします。

工具 使いみち ポイント
電工ナイフ ケーブルの外装や絶縁被覆をむく 刃を外側に向けて使い、心線を傷つけない
ケーブルストリッパ 外装や被覆を決まった長さでむく 電線の太さに合った穴を使う
ペンチ 電線を切る・曲げる 切断は刃の根元で
リングスリーブ用圧着ペンチ リングスリーブを圧着する 柄が黄色。○・小・中・大のダイスを使い分ける
裸圧着端子用圧着工具 圧着端子を圧着する 柄が赤色。リングスリーブには使わない
第二種電気工事士の学習範囲で出てくる主な工具
ここまでのポイント
  • むくのは電工ナイフやケーブルストリッパ
  • リングスリーブは黄色の柄、裸圧着端子は赤色の柄の工具
  • 工具は作業ごとに使い分ける

つなぐ場所 ― ボックスの中、管の中ではつながない

管 電線を通すだけ。
ボックス この中でつなぐ。
ふた 開ければ点検できる。
管の中 つなぐのはNG。
たとえるなら
管の中でつなぐのは、壁に埋めた水道管の継ぎ目
水道管の継ぎ目を壁の中に埋めてしまうと、漏れても見つけられず、直すには壁を壊すしかありません。電線のつなぎ目も同じで、ボックスの中に置いておけば、ふたを開けるだけで確かめられます。
ここに注意!
「あとで引き替えないなら、管の中でつないでもよい」ではありません。
金属管工事や合成樹脂管工事などでは、管の中に接続点を設けないこととされています。つなぎ目はトラブルが起きやすい場所なので、点検できるボックスの中に置きます。

接続は、アウトレットボックスやジョイントボックスの中で行います。金属管工事や合成樹脂管工事などでは、管の中に接続点を設けないこととされています。つなぎ目は配線でいちばんトラブルが起きやすい場所なので、あとからふたを開けて点検できることが大切です。管の中でつないでしまうと、見えない・点検できない・電線を引き替えられない、の三重苦になります。

⚠️ 現場で多いつなぎ目のトラブル

  • 圧着不足:ダイスを間違えた、握りが足りない → 刻印を確認
  • 差し込み不足:コネクタの奥まで届いていない → 透明な本体で確認
  • 心線の傷:電工ナイフで心線に切れ目を入れた → 使う前に確認
  • テープの巻き不足:回数や重ねが足りない → 巻き方の決まりを守る

電線やケーブルの種類そのものは「電気設備の基本知識 #001【ケーブルの種類】」、ケーブルを使った工事の決まりは「電気設備の基本知識 #022【ケーブル工事】」で解説しています。

ここまでのポイント
  • 接続はボックスの中で。管の中ではつながない
  • つなぎ目はあとから点検できるように
  • 圧着・差し込み・心線の傷・テープを必ず確かめる


よくある質問

電線の接続で守るべき決まりは何ですか?

電気設備技術基準の解釈 第12条では、電線を接続するときは、電気抵抗を増加させないこと、引張強さを20%以上減少させないこと、接続管その他の器具を使うかろう付けすること、絶縁電線どうしなら元の絶縁物と同等以上の絶縁効力をもたせることなどを定めています。さらに、電線管の中では接続せず、ボックスの中で接続します。

リングスリーブの「○」と「小」の刻印はどう使い分けますか?

どちらも小スリーブを使いますが、1.6mmの電線2本をつなぐときだけ刻印「○」で圧着します。1.6mmを3〜4本、2.0mmを2本、1.6mm2本と2.0mm1本などのときは刻印「小」です。電線が増えて1.6mm5〜6本や2.0mm3〜4本などになると、中スリーブで刻印「中」になります。

差込形コネクタを使ったら絶縁テープは必要ですか?

必要ありません。差込形コネクタは本体が絶縁物でできているので、電線を奥まで差し込めば絶縁処理まで済みます。被覆をむく長さは本体のゲージに合わせ、透明な本体の先端まで心線が届いていることを目で確かめます。

ビニルテープは何回巻けばよいですか?

ビニルテープは、半幅以上重ねて2回以上(4層以上)巻きます。黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープなら半幅以上重ねて1回以上(2層以上)、自己融着性絶縁テープなら半幅以上重ねて1回以上巻いたうえに、保護テープを半幅以上重ねて1回以上巻きます。

電線管の中で電線をつないでもよいですか?

いけません。金属管工事や合成樹脂管工事などでは、管の中に接続点を設けないこととされています。接続は、アウトレットボックスやジョイントボックスなど、あとから点検できる場所で行います。

リングスリーブと差込形コネクタは、どちらを使えばよいですか?

どちらも電気設備技術基準の解釈 第12条でいう「接続管その他の器具」にあたるので、正しく使えばどちらでも構いません。技能試験では、施工条件で指定されたほうを使います。差込形コネクタは、使える電線の太さと本数が品番ごとに決まっているので、本体の表示を確かめます。

リングスリーブの刻印を間違えたら、上から圧着し直せますか?

し直しはしません。いったん圧着したスリーブは切り落とし、電線をむき直して新しいスリーブで圧着します。技能試験では、刻印の間違いは欠陥になります。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

次に読むならこれ高校生が第二種電気工事士に受かるまでの勉強時間|学科60時間・技能は13問×2回、部活と両立する12週間の日程第2種電気工事士
第二種電気工事士 合格カリキュラム学科③ 電気機器・配線器具・材料・工具
次はこれ(学科③)過電流遮断器
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。