技術図書館ラックの高低圧共用|15cm離すか、隔壁で仕切るか原則の離隔距離、隔壁で共用するときの条件、セパレーターに必要な接地と表示をスライドで整理しました。この資料をスライドで見る資料一覧を見る

動く図解この記事のポイントを動く図解にまとめました(離隔 → 隔壁 → 接地と表示 → 隔壁の条件・くり返し再生)。ジャンル「施工・現場」で見る →

幹線用のケーブルラックに、高圧ケーブルと低圧ケーブルを一緒に載せたい——そんな場面では、高圧と低圧をどう隔てるかがポイントになります。感電や事故を防ぐため、離隔距離や隔壁(セパレーター)、表示などのルールが定められています。本記事で要点を整理します。

🐧 見習いペン太:「高圧と低圧、同じラックに載せちゃダメなんですか?」
🦔 はりた:「載せてもいいけど条件があるんだ。間に“耐火性のある堅ろうな隔壁”=セパレーターを入れるか、なければ150mm以上あける。これが基本だよ」
🐧 見習いペン太:「セパレーターにも決まりが?」
🦔 はりた:「そう、A種接地が必要。あとはラックの側面に「高圧危険」の表示を張るのも忘れずに」
⚡ 先に結論だけ言うと
  • 高圧屋内配線と他の電線の離隔は 15cm以上(がいし引きの低圧が裸電線なら 30cm以上)
  • ケーブル工事なら 耐火性のある堅ろうな隔壁(セパレーター)で共用可
  • 隔壁がないときは 150mm以上あける
  • セパレーターは A種接地/側面に 「高圧危険」表示

高圧・低圧をケーブルラックで共用する要点早見表

この記事でわかること
✔ 高圧と他の電線との離隔距離
✔ 同じラックで共用するときの隔て方
✔ 「耐火性のある堅ろうな隔壁」とは
ペン太ペン太
高圧と低圧のケーブルって、同じラックに載せたらダメなんじゃないですか?
ハリタハリタ
条件を満たせば共用できます。基本の離隔15cm以上と、隔壁で仕切る方法を順に見ていきましょう。

この記事で押さえる3つのこと

  • 高圧と他の電線の離隔は、原則15cm以上(がいし引きの低圧裸電線なら30cm)。
  • セパレーターを入れれば、間をあけずに同じラックに載せられる。
  • セパレーターを含むラックの金属部分にはA種接地(接触防護措置ならD種)。
この記事の道案内
数字だけ確認したい方は、離隔距離の表から読んでください。
この記事の内容を、ツールで計算するケーブルラック選定表(Excel体験版)ケーブルの外径から、4つの考え方でラックの幅を選定します
ツールを開く登録不要セコサポ(姉妹サイト)

高圧と他の電線との離隔距離

原則 15cm以上。
裸電線 がいし引きなら30cm。
相手 低圧・弱電・水管など。
根拠 第168条第2項。
ここに注意!
「高圧ケーブルどうしも、15cm離す」ではありません。
15cm以上が要るのは、低圧の電線・弱電流電線・水管などが相手のときです。ケーブル工事で相手も高圧ケーブルなら、この条件はかかりません。

高圧屋内配線と他の屋内電線等との離隔距離は、原則 15cm以上 です。ただし、がいし引き工事で施設する低圧屋内電線が裸電線である場合は 30cm以上 とします。高圧は危険度が高いため、他の配線との距離を確保するのが基本です。

ここがポイント
「離隔15cm/裸電線の低圧は30cm」。まずこの2つの数字を押さえましょう。
ペン太ペン太
セパレーターさえ入れれば、あとは何もしなくていいんですよね?
ハリタハリタ
それだけでは不十分です。セパレーターにA種接地を施し、ラックに「高圧危険」の表示も必要ですよ。
相手の電線 工事方法 離隔距離
他の屋内電線等 原則 15cm以上
低圧屋内電線が裸電線 がいし引き工事 30cm以上
ここまでのポイント
  • 高圧屋内配線と他の屋内電線等との離隔は、原則15cm以上
  • がいし引き工事で施設する低圧屋内電線が裸電線なら30cm以上
  • まずはこの2つの数字を押さえる

同じラックで共用するときの隔て方

セパレーター 入れれば間はいらない。
なし 150mm以上。
接地 A種(接触防護ならD種)。
表示 高圧と分かるように。
たとえるなら
高圧と低圧の仕切りは、冷蔵庫の仕切り板
冷蔵庫で生肉と野菜を同じ段に入れるときは、トレーや仕切り板で分けますよね。高圧と低圧のケーブルも、同じラックに載せるなら、間に燃えない仕切り板(セパレーター)を立てて分けます。仕切りがなければ、間を15cm以上あけます。
ここに注意!
「高圧と低圧は、同じラックに載せられない」ではありません。
ケーブル工事なら、耐火性のある堅ろうな隔壁(セパレーター)を設ければ同じラックに載せられます。隔壁がなければ、間を15cm(150mm)以上あけます。
ここに注意!
「隔壁を入れれば、ラックの接地は要らない」ではありません。
セパレーターを含め、高圧ケーブルを収めるラックの金属部分にはA種接地工事を施します(接触防護措置を施した場合はD種)。

高圧屋内配線をケーブル工事で施設する場合は、ケーブルと他の屋内電線等との間に 耐火性のある堅ろうな隔壁(セパレーター)を設けることで、同じケーブルラックに載せられます。

隔壁を設けない場合は、高圧と低圧の間を150mm以上あける必要があります。あわせて、セパレーターには A種接地工事 を施し、ラックの側面には 「高圧危険」の表示 を張ります。

ケーブルラック共用の施設イメージ(セパレーターあり/なし150mm)

🐧 見習いペン太:「セパレーターを入れれば距離はいらないんですね」
🦔 はりた:「そう。隔壁があれば密に並べてもOK。なければ150mm。どちらにしても“A種接地”と“高圧危険表示”はセットだよ」
項目 隔壁を設ける場合 隔壁を設けない場合
高圧と低圧の間隔 距離の確保は不要 150mm以上
隔壁 耐火性のある堅ろうな隔壁(セパレーター) なし
セパレーターの接地 A種接地工事 ー
ラックの表示 側面に「高圧危険」 側面に「高圧危険」
ここまでのポイント
  • ケーブル工事なら、耐火性のある堅ろうな隔壁を設けて同じラックに載せられる
  • 隔壁を設けない場合は、高圧と低圧の間を150mm以上あける
  • どちらの場合も、A種接地と「高圧危険」の表示はセットで必要

ケーブル工事で15cm未満にするときの方法は、隔壁のほかに2つあります。高圧ケーブルを耐火性のある堅ろうな管に収める方法と、相手も高圧ケーブルである場合です(電技解釈 第168条第2項第二号)。HIVE管などの樹脂管は、耐火性のある管に当たりません。

1 耐火性のある隔壁。
2 耐火性のある管。
3 相手も高圧ケーブル。
樹脂管 当たらない。
ここに注意!
「15cm未満にするには、隔壁しか方法がない」ではありません。
ケーブル工事なら、高圧ケーブルを耐火性のある堅ろうな管に収める方法もあります。相手も高圧ケーブルなら、15cm未満でもかまいません(第168条第2項)。


「耐火性のある堅ろうな隔壁」とは

不燃性 だけでは足りない。
耐火性 熱しても形を保つ。
鋼板 形を保つ。
倒れると 高圧と低圧が近づく。
たとえるなら
耐火性の隔壁は、火事でも倒れない防火扉
防火扉は、燃えないだけでなく、火にあぶられても形を保って炎をさえぎります。耐火性のある隔壁も同じで、熱で曲がったり倒れたりしないことが条件です。倒れてしまえば、高圧と低圧のケーブルが近づいてしまいます。
ここに注意!
「燃えない材料なら、どんな隔壁でも耐火性」ではありません。
耐火性は、不燃性のうち、炎で熱しても著しく変形・破壊しないものです。熱で曲がって倒れる仕切りでは、高圧と低圧を隔てられません。

耐火性とは、不燃性のうち、炎により加熱された状態でも著しく変形・破壊しない性能を満たせばよい、とされています。

堅ろうな隔壁は、内線規程上はメーカ標準のセパレーターを使用してよいとされます。ただし、国土交通省仕様では「1.6mm以上の鋼板」と定義されているため、メーカ標準品を使う際は適合するか確認が必要です。

「耐火性のある堅ろうな隔壁」の定義

ここがポイント
内線規程ならメーカ標準セパレーターでOK。ただし国交省仕様は「鋼板1.6mm以上」。仕様によって基準が変わる点に注意。
適用する仕様 隔壁の基準 注意すること
内線規程 メーカ標準のセパレーターでよい ー
国土交通省仕様 1.6mm以上の鋼板 メーカ標準品が適合するか確認が必要
ここまでのポイント
  • 耐火性とは、炎で加熱された状態でも著しく変形・破壊しない性能
  • 内線規程上は、メーカ標準のセパレーターを使用してよい
  • 国土交通省仕様では1.6mm以上の鋼板と定義されており、適合の確認が要る

よくある質問(FAQ)

Q. 高圧と低圧を同じケーブルラックに載せてもよいですか?

A. 高圧屋内配線をケーブル工事で施設する場合、ケーブルと他の屋内電線等との間に耐火性のある堅ろうな隔壁(セパレーター)を設ければ共用できます。隔壁を設けない場合は150mm以上の間隔をあけます。

Q. セパレーターに必要な工事はありますか?

A. セパレーターにはA種接地工事を施します。また、ラックの側面には「高圧危険」の表示を張ります。

Q. 「耐火性のある堅ろうな隔壁」とは具体的に何ですか?

A. 耐火性は、不燃性のうち炎で加熱されても著しく変形・破壊しない性能を満たせばよいとされます。堅ろうな隔壁は内線規程上メーカ標準のセパレーターでよいですが、国土交通省仕様では1.6mm以上の鋼板と定義されるため、標準品使用時は適合確認が必要です。

Q. 15cm未満にする方法は、隔壁のほかにありますか?

A. ケーブル工事なら、あと2つあります。高圧ケーブルを耐火性のある堅ろうな管に収める方法と、相手も高圧ケーブルである場合です(電技解釈 第168条第2項)。HIVE管などの樹脂管は、耐火性のある管に当たりません。

Q. 高圧ケーブルどうしも15cm離しますか?

A. ケーブル工事で、相手の高圧屋内配線もケーブルなら、15cm未満でもかまいません(電技解釈 第168条第2項第二号)。15cm以上の離隔が要るのは、低圧の電線・弱電流電線・水管などが相手のときです。

高圧・低圧 共用ラックの隔て方
① 離隔で隔てる:高圧と他の電線は 15cm以上(がいし引きの低圧が裸電線なら 30cm以上)
② 隔壁(セパレーター)で隔てる:耐火性のある堅ろうな隔壁を設ければ共用可。
隔壁が無いときは 150mm以上あける
付帯:セパレーターは A種接地/側面に「高圧危険」表示
隔壁の仕様:内線規程=メーカ標準品可/国交省仕様=鋼板1.6mm以上(要確認)
ペン太ペン太
隔壁なしで共用したいときは、どうすればいいですか?
ハリタハリタ
150mm以上の間隔を確保します。内線規程と国交省仕様で条件が違うので、適用仕様書を確認しましょう。


まとめ

ケーブルラック共用(高圧・低圧)の要点:

結論です。高圧と他の電線の離隔は原則15cm以上、同じラックで共用するなら耐火性のある堅ろうな隔壁を設けます。隔壁がなければ150mm以上あけること、そしてA種接地と「高圧危険」表示がセットになる点まで含めて、ひとつの決まりとして覚えてください。

場面 どうするか
高圧と他の電線をあける 原則15cm以上
低圧が裸電線(がいし引き) 30cm以上
同じラックに載せたい 耐火性のある堅ろうな隔壁を設ける
隔壁を設けない 高圧と低圧の間を150mm以上あける
セパレーターを入れた A種接地工事を施す
ラックに表示する 側面に「高圧危険」
国交省仕様の物件 隔壁は1.6mm以上の鋼板か確認する

この記事の要点

  • 離隔:15cm以上(がいし引きの低圧が裸電線なら 30cm以上)
  • 共用:耐火性のある堅ろうな隔壁(セパレーター)を設ける/なければ 150mm以上
  • 付帯:セパレーターは A種接地、側面に 「高圧危険」表示
  • 隔壁:内線規程はメーカ標準品可、国交省仕様は 鋼板1.6mm以上(要確認)

現場で迷わないための順番

  • まず、隔壁を入れるか距離であけるかを決める
  • 隔壁を入れるなら、その仕様が案件の基準に適合するか確認する
  • どちらを選んでも、A種接地と「高圧危険」表示を忘れない

高圧と低圧の共用は、数字そのものより「隔壁か距離か」という選択で覚えるほうが実務では早く動けます。そのうえで、隔壁の仕様が内線規程基準か国交省仕様かは案件ごとに変わるため、着手前の確認だけは省かないでください。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。