変圧器版体温計
ダイヤル温度計って何?
使用用途と設置基準について知りたい!
- ダイヤル温度計の用途が気になる方
- 主な設置場所について知りたい方
- 機器の規格について知りたい方
- ダイヤル温度計の設置基準
- ダイヤル温度計の使用用途
- ダイヤル温度計のコスト
クイックトピックス
ダイヤル温度計の主な用途としては、トランス(変圧器)の故障対策になります。負荷の稼働率上昇に伴い機器本体の温度が上昇していきますが、トランスのみでは、温度上昇を測ることができないため、ダイヤル温度計を取り付けます。
- ダイヤル温度計は変圧器の温度異常を検出するために用いる
- 法的な設置義務はない
- 過負荷の可能性、施設としての重要度を確認し設置検討
- 1台当たり十数万程度の機器費がかかるため不要であればコストの低減が可能
🔧 ダイヤル温度計とは?仕組みと基本機能をわかりやすく解説!
📘 ダイヤル温度計の構造と特徴
ダイヤル温度計は、以下のような構造で構成されています。
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円形の温度指示部
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棒状の感温部
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両者を接続する導管
温度指示部は盤面に表示されるアナログメーターのような見た目をしており、感温部は変圧器に挿入して温度を直接測定します。これらは導管で接続されており、柔軟に配置を変えることができます。
そのため、変圧器がキュービクル内に収納されている場合でも、温度指示部だけを前面パネルに取り付けることができ、メンテナンス性や視認性に優れています。
ダイヤル温度計の設置目的
点検としての活用
1) 通常の温度指示…変圧器の日常点検で変圧器の温度を確認します。
受変電設備等に組み込むトランス(変圧器)は稼働状況により機器温度が上昇します。特に過負荷となるとトランスの定格温度以上になる場合があり故障の原因となるため警報により温度以上が確認できるよう取り付けます。
🔔 ダイヤル温度計の警報出力とは?

警報出力機能を活用して早期異常対応
ダイヤル温度計には、次のような機能を活用することで、外部機器と連携し、温度異常を警報として出力することが可能です。
🛠 2)警報接点によるアラーム出力
ダイヤル温度計そのものにはアラーム機能はありませんが、任意の温度で動作する「警報接点」が内蔵されている製品が一般的です。
この警報接点を用いて、以下のような外部機器と連携が可能です。
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⚠ 警報ランプ
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🔊 ブザー
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📡 管理室の警報盤
📝 管理体制と設置のポイント
ダイヤル温度計のみを設置している場合、現地での目視確認が唯一の点検手段になります。そのため、以下のようなトラブル時には対応が遅れるリスクがあります。
-
一時的な温度異常があっても気付けない
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異常温度が発生しても放置される
-
定期点検のタイミングまで異常が分からない
このような事態を防ぐためには、ダイヤル温度計に警報接点を備え、警報を外部に出力する仕組みを導入することが重要です。
特に管理室内の警報盤と連動させることで、迅速な対応が可能になります。
🔍 目視で最高温度を確認するには?
3) 最高指針
ダイヤル温度計には、オプションで**「最高指針」**を追加することが可能です。
この最高指針は、計測された中で最も高い温度を示し続ける機構となっており、一時的な温度上昇があった場合でも、そのピーク値を目視で確認することができます。
✅ 一時的な温度上昇も見逃さない工夫
通常のダイヤル温度計は、リアルタイムの温度を指針で示しますが、短時間で温度が上下した場合は記録が残らず、後から確認することができません。
しかし、「最高指針」を装備することで、以下のようなメリットが得られます。
🔸 一時的な温度異常を後から目視で確認できる
🔸 点検時にピーク温度が分かるため記録管理にも有効
🔸 警報接点がなくても、温度異常の兆候を把握できる
🔧 ダイヤル温度計の役割とは?|トランス保護に欠かせない温度監視機器

トランス(変圧器)は、負荷の増加に伴って発熱し、機器内部の温度が上昇していきます。
しかし、トランス本体だけでは温度上昇を直接測定する機能は備わっていません。
トランスの温度測定方法
- 棒状温度計(警報を取り出せない)
- ダイヤル温度計(警報を取り出せる)
- 低圧母線の負荷電流(サーマルリレーによる警報を取り出せる
そこで必要になるのが、ダイヤル温度計の導入です。
📘 トランスの温度測定方法と、なぜダイヤル温度計なのか?
トランスの温度を測る方法にはいくつかありますが、施工性やメンテナンス性を考慮したとき、最も現実的で使いやすいのがダイヤル温度計です。
現場での取り扱いやすさ、後の点検のしやすさという点において、ダイヤル温度計は非常に優れた選択肢とされています。

ダイヤル温度計設置の判断方法

設置を推奨する建物
- 工場
- 病院
- 商業施設
- 公共の施設など
などの負荷の変動が大きい場所や施設としての重要度が高い場所には設置を検討しましょう。

変圧器の故障の可能性及び故障時の施設としての重要度を考えて設置しましょう。
- 工場(負荷増設の可能性がある)
初期の設計時より機器増設の可能性があるため設置を検討しましょう
- 病院(変圧器故障時のリスクを抑える)
施設としての重要度が高く変圧器故障による停電のリスクを下げるために設置を検討しましょう
- 商業施設(変圧器故障時のリスクを抑える)
施設としての重要度が高く変圧器故障による停電のリスクを下げるために設置を検討しましょう


- ダイヤル温度計は変圧器の温度異常を検出するために用いる
- 法的な設置義務はない
- 過負荷の可能性、施設としての重要度を確認し設置検討
- 1台当たり十数万程度の機器費がかかるため不要であればコストの低減が可能
ダイヤル温度計の設定方法
ダイヤル温度計の温度設定値は、任意になりますが設定例を下記に示します。
トランス(変圧器)設置場所の周囲温度(許容値)にトランスの許容温度上昇値を足した値が、変圧器の許容温度となり許容温度以上にならないようダイヤル温度計の警報出力温度を設定します。
変圧器の許容温度は周囲温度+変圧器の許容温度上昇値となります。
(許容周囲温度)+(変圧器の許容温度上昇値)
=40+55=95°C
となり95℃が変圧器の許容温度上昇値となります。この温度を超えないよう、ダイヤル温度計の設定を行い警報出力が出せるようにします。
ダイヤル温度計の設定を~85℃等に設定し
変圧器の温度上昇時に警報信号を取り出すことができます。
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まとめ
ダイヤル温度計の設置目的
- 1) 通常の温度指示…変圧器の日常点検で変圧器の温度を確認します。
- 2) 警報接点…ダイヤル温度計自身にアラームなどは付属していませんが、任意温度にセットできる警報接点を持っていますので、外部にランプやブザーなどを備えることで警報を発することができます。
- 3) 最高指針…オプションで、最高温度の指針をつけることができます。一時的な温度上昇を見分けることができます。
設置場所の検討方法
- 工場(負荷増設の可能性がある)
- 病院(変圧器故障時のリスクを抑える)
- 商業施設(変圧器故障時のリスクを抑える)
設置検討のポイント
- ダイヤル温度計は変圧器の温度異常を検出するために用いる
- 法的な設置義務はない
- 過負荷の可能性、施設としての重要度を確認し設置検討
- 1台当たり十数万程度の機器費がかかるため不要であればコストの低減が可能