高圧受電設備に使われるLBSとは?
高圧受電設備において、保守点検や事故時の安全対策として欠かせないのが「LBS(Load-break Switch)」です。負荷電流の開閉と短絡事故への初期対応を担う、重要な開閉器です。
項目 | 内容 |
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名称 | Load-break Switch(LBS) |
主な役割 | 通電状態での負荷開閉操作+短絡時の限流保護 |
使用場所 | 高圧受電設備 |
🔥 限流ヒューズの選定ポイントとは?|突入電流への配慮が重要!
電気設備の保護に使われる限流ヒューズ。特に負荷開閉器(LBSなど)に挿入される限流ヒューズの選定は、単に定格電流に合わせればよいというものではありません。
実は、機器の始動時や投入時に流れる大きな突入電流をしっかり考慮しないと、ヒューズが誤って溶断してしまうリスクがあります。
💡 限流ヒューズ選定で考慮すべき3つの突入電流
限流ヒューズを選ぶときに、特に注意が必要な電流の種類は以下の3つです。
種類 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
🔌 変圧器の磁励突入電流 | 変圧器投入時に流れる一過性の大電流 | 定格電流の10〜15倍にもなる |
🔄 電動機の始動電流 | モーター始動時に流れる高電流 | 始動方式によっては6〜8倍以上 |
⚡ コンデンサの突入電流 | コンデンサ投入時に流れる一時的電流 | 位相ずれが大きく、波形が鋭い |
これらを考慮せずに選んだヒューズは、正常な運転開始時に誤って切れる可能性があり、トラブルの原因になります。
✅ 限流ヒューズの選定チェックリスト
☑️ 保護対象機器の種類(変圧器/モーター/コンデンサ)
☑️ 突入電流の波形と倍率
☑️ 通常運転時の定格電流
☑️ ヒューズの瞬時特性・溶断時間特性
☑️ 過電流保護としての協調関係(LBS・遮断器との整合)
🎯ここまでのまとめ
限流ヒューズの選定は、以下のように突入電流を見越した保護設計が重要です。
機器 | 注意する電流 |
---|---|
変圧器 | 磁励突入電流 |
電動機 | 始動電流 |
コンデンサ | 突入電流 |
- 変圧器の磁励突入電流
- 電動機の始動電流
- コンデンサの突入電流
これらをちゃんと考慮しておかないと、ヒューズが誤って切れたり、逆に守ってくれなかったりするからね。
✏️ ポイント:
定格電流の1.1~1.3倍程度の負荷電流まで見込み、10~20%程度の余裕を持たせる
一般定格電流以外に、【変圧器用】【電動機用】【コンデンサ用】の種類がある
✅ 特徴・開閉操作
LBS本体にはヒューズが挿入されており、短絡事故時に保護
通電中の開閉が可能(短絡遮断機能は限流ヒューズ頼り)
通常の開閉操作はトリップレバーを使う
✅ アーク消弧(アーク消し)
開放時に発生するアークは、アークシュートの冷却効果で消弧
細部形状と冷却設計で安全にアークを処理する
✅ ストライカの役割
短絡や過負荷時に限流ヒューズが溶断すると、内部のストライカ(ばね付ピン)が飛び出す
この力を使ってLBS本体を強制開放(トリップ)!
📘ストライカの動きでトリップレバーが作動する仕組み。
✅ 絶縁バリア
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LBSに取り付けられる樹脂製の絶縁板
-
相間の短絡防止やアーク防護のため必須
📘→ 全面カバー型または三相個別バリア型に分かれる
項目 | 内容 |
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目的 | – アーク(電弧)の保護 – 小動物侵入による相間短絡防止 |
対象 | 限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(LBS)の相間 |
材質 | 絶縁体(樹脂製パネルなど) |
✅ 絶縁バリアの設置が義務づけられるケース
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高圧受電設備でPF・S方式を採用する場合
-
特に受電LBSに対しては必須!
→ 電気設備技術基準やJIS規格(JIS C4620:2023)でも明記されています。
✅ JIS C4620:2023の具体規定
条文・条件 | 内容 |
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PF・S方式の主遮断装置を使用する場合 | LBS部に絶縁バリアを設置することが義務 |
高圧充電露出部がある場合 | – 全面に透明な隔壁を設置 – 赤字で危険表示 – 相間および側面に絶縁バリアを追加 |
✅ まとめ:絶縁バリアの役割はここ!
ポイント | 内容 |
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アーク防護 | アークショート時の飛び火防止 |
小動物侵入防止 | ネズミ、ヘビ、カエルなどによる短絡事故を防止 |
人身災害防止 | 誤って接触しないように物理的遮断 |
✅ まとめ:LBS選定と使用上のポイント
項目 | ポイント |
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定格電流の選定 | 負荷電流+10~20%の余裕を持たせる |
ヒューズ選定 | 突入電流・起動電流を考慮(特に変圧器・電動機用途) |
安全開閉機構 | ストライカ+アークシュートによる保護付き |
絶縁対策 | 絶縁バリアを必ず装着(高圧配線間ショート防止) |