第二種電気工事士 合格カリキュラム学科⑦ 保安に関する法令
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家のコンセントは100V、ビルの受電は6,600V、送電線は数十万V。電気の世界には、たくさんの電圧があります。そして、すべての電気設備は電気設備技術基準という安全のルールにもとづいてつくられています。この記事では、ルールの体系、送電の流れ、電圧の区分、対地電圧、住宅の対地電圧の制限を、図とたとえで1つずつ解説します。

結論

電圧は低圧(交流600V以下・直流750V以下)、高圧(7,000V以下)、特別高圧の3つ。住宅の屋内電路は対地電圧150V以下が原則で、2kW以上の機器などの条件をすべて満たせば300V以下にできます。

  • ルールは電気事業法→電技(省令)→解釈→内線規程の順に具体的になる
  • 電気は高い電圧で運び、使う場所で低い電圧に下げる
  • 家庭の単相3線式は100V/200Vで、対地電圧はどちらも100V
  • 対地電圧は人が触れたときに体にかかる電圧
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
電気設備のルールの体系として、電気事業法、電気設備技術基準(省令)、電気設備技術基準の解釈、内線規程の順に具体的になることを示した図
法律から現場の規程まで、下にいくほど具体的になります。

ルールの体系 ― 法律から現場の規程まで

電気の安全を守るルールは、何段にも重なっています。大もとは国の法律である電気事業法。その下に、電気設備が守るべき安全の性能を定めた電気設備技術基準(省令、略して電技)があります。

電技は「感電や火災のおそれがないようにすること」のように、目標を定めています。その目標を満たす具体的な方法の例を示したのが電気設備技術基準の解釈です。さらに現場の施工方法をくわしく定めた民間の規程として内線規程があります。たとえるなら、電技が校則、解釈がその守り方のマニュアルです。

ここまでのポイント
  • 大もとは電気事業法
  • 電技は守るべき性能、解釈は具体的な方法の例
  • 内線規程は現場の施工方法をさらにくわしく

送電の流れ ― 上げて運び、下げて使う

発電所でつくった電気を送電線で27.5万〜50万Vなどの高い電圧で運び、変電所で6.6万Vなどに下げ、配電線の6,600Vを経て柱上変圧器で100V・200Vにして家に届ける流れを示した動く図解
動く図解:電圧を変えながら、電気は家まで届きます。

発電所でつくった電気は、変電所でとても高い電圧に上げて送電線で運ばれます。同じ電力を送るなら、電圧が高いほど電流が小さくて済み、電線での損失を減らせるからです。

使う場所が近づくと、変電所で段階的に電圧を下げ、最後は電柱の柱上変圧器で100V・200Vにして家に届けます。たとえるなら、遠くへは高速道路でまとめて運び、近くなったら一般道に下りるようなものです。

ここまでのポイント
  • 高い電圧で運ぶと損失が少ない
  • 変電所で段階的に電圧を下げる
  • 柱上変圧器で100V・200Vにして家へ

電圧の区分 ― 低圧・高圧・特別高圧

電圧の区分として、低圧が交流600V以下・直流750V以下、高圧が低圧を超え7,000V以下、特別高圧が7,000Vを超えるものであることを示した図
電圧は3つに区分されます。
区分 交流 直流 主な例
低圧 600V以下 750V以下 家庭・一般の店舗(100V・200V)
高圧 600Vを超え7,000V以下 750Vを超え7,000V以下 ビル・工場の受電(6,600V)
特別高圧 7,000Vを超える 7,000Vを超える 大きな工場・ビルの受電、送電線
電気設備技術基準をもとに作成
ひっかけ注意
低圧の上限は、交流と直流で違うんですね。
そうなんです。低圧は交流600V・直流750Vが境目ですが、高圧と特別高圧の境目は交流も直流も7,000Vです。数字が3つだけなので、表で一気に覚えてしまいましょう。
ここまでのポイント
  • 低圧:交流600V以下・直流750V以下
  • 高圧:7,000V以下
  • 特別高圧:7,000Vを超える


対地電圧 ― 大地との間の電圧

単相3線式の変圧器から電圧線2本と中性線1本が出ていて、中性線が接地されているため、電圧線と中性線の間は100V、電圧線どうしは200V、どちらも対地電圧は100Vになることを示した図
単相3線式では、200Vの機器でも対地電圧は100Vです。

対地電圧は、電線と大地との間の電圧です。人は大地の上に立っているので、電線に触れて感電したとき、体にかかるのはこの対地電圧です。

家庭で使われる単相3線式は、電圧線2本と中性線1本の3本で送ります。中性線は接地されているので、電圧線と中性線の間は100V、電圧線どうしは200Vですが、対地電圧はどちらも100Vです。つまり、200Vのエアコンを使っていても、対地電圧は100Vに抑えられています。

ここまでのポイント
  • 対地電圧は、電線と大地との間の電圧
  • 感電したとき体にかかるのは対地電圧
  • 単相3線式なら200Vでも対地電圧は100V

住宅の制限 ― 原則150V、条件つきで300V

住宅の屋内電路の対地電圧は原則150V以下で、定格消費電力2kW以上の機器、簡易接触防護措置、屋内配線と直接接続、専用の開閉器・過電流遮断器、漏電遮断器の条件をすべて満たすと300V以下にできることを示した動く図解
動く図解:条件が1つずつそろうと、300V以下で施設できます。

住宅の屋内電路の対地電圧は、原則として150V以下です。人が暮らす場所なので、感電したときの危険を小さくするためです。

ただし、定格消費電力2kW以上の大きな機器に電気を送る場合は、次の条件をすべて満たせば300V以下にできます。

条件 内容
機器 定格消費電力2kW以上の電気機械器具
接触防護 電路に簡易接触防護措置をする
接続 機器は屋内配線と直接接続する(コンセントを使わない)
開閉器・遮断器 専用の開閉器と過電流遮断器を設ける
漏電遮断器 地絡したときに自動で電路を遮断する装置(漏電遮断器)を設ける
電気設備技術基準の解釈(対地電圧の制限)の条件を要約。くわしくは条文で確認する

くわしい条件と例外は「電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】」で解説しています。漏電遮断器の決まりは「電気設備の基本知識 #034【漏電遮断器の施設と省略】」も参考にしてください。

ここまでのポイント
  • 住宅の屋内電路は対地電圧150V以下が原則
  • 2kW以上の機器で条件をすべて満たせば300V以下
  • 直接接続・専用の開閉器と遮断器・漏電遮断器が条件


押さえる要点 ― 数字と考え方

電気設備技術基準で押さえる要点として、ルールの体系、低圧・高圧・特別高圧の区分、住宅の対地電圧、家庭の単相3線式100V/200Vを並べた図
電気設備技術基準で押さえる要点のまとめ。

電圧の区分と対地電圧の考え方は、配線方法、接地、漏電遮断器など、ほかのあらゆるルールの土台になります。次の#014は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」です。

ここまでのポイント
  • ルールは法律→電技→解釈→内線規程
  • 低圧600V・750V、高圧7,000Vが境目
  • 住宅は対地電圧150V以下が原則

よくある質問

低圧・高圧・特別高圧の区分は?

低圧は交流600V以下・直流750V以下、高圧は低圧を超えて7,000V以下、特別高圧は7,000Vを超えるものです。家庭の100V・200Vは低圧、多くのビルや工場が受電する6,600Vは高圧です。

電気設備技術基準と「解釈」の違いは?

電気設備技術基準(省令)は、電気設備が守るべき安全の性能を定めたルールです。電気設備技術基準の解釈は、その性能を満たす具体的な方法の例を示したものです。さらに現場の施工方法をくわしく定めた民間の規程として、内線規程があります。

対地電圧とは何ですか?

電線と大地との間の電圧です。家庭で使われる単相3線式では中性線が接地されているので、電圧線と中性線の間の100Vも、電圧線どうしの200Vも、対地電圧はどちらも100Vになります。

住宅の屋内電路の対地電圧はなぜ150V以下なのですか?

人が電線や機器に触れたとき、体にかかるのは対地電圧だからです。感電したときの危険を小さくするため、住宅の屋内電路の対地電圧は原則として150V以下に制限されています。

対地電圧300V以下が認められるのはどんな場合ですか?

定格消費電力2kW以上の機器に電気を送る場合で、電路に簡易接触防護措置をする、機器を屋内配線と直接接続する、専用の開閉器と過電流遮断器を設ける、漏電遮断器を設ける、などの条件をすべて満たす場合です。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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