電気設備の基本知識 #034【漏電遮断器の施設と省略】
分電盤の中にある、テストボタン付きのブレーカー。あれが漏電遮断器です。電気が漏れたことに気づくと、人が感電したり火事になったりする前に、すばやく電気を止めてくれます。この記事では、漏電遮断器のしくみ、設けなければならない電路、省略できる場合、感度と速さを、図とたとえで確認していきます。
結論
漏電遮断器は行きと帰りの電流の差で漏電を見つけます。金属製外箱・60V超・人が触れるおそれがある機器の電路には原則設け、乾燥した場所・150V以下で水気なし・二重絶縁などは省略できます。
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しくみ ― 行きと帰りの差を見張る
電気は、電線の「行き」から機器に入り、「帰り」の電線で戻ってきます。漏電がなければ、行きと帰りの電流は同じです。ところが、機器から大地へ電気が漏れると、帰りの電流が少し減ります。漏電遮断器は、この差を零相変流器で見張り、差が決まった値(定格感度電流)を超えると電路を遮断します。
たとえるなら駐車場の入口と出口のカウンターです。入った台数と出た台数が合わなければ、どこかに消えた(漏れた)とわかります。
ペン太
ハリタ- 行きと帰りの電流の差を見張る
- 零相変流器で差を検出
- 差が定格感度電流を超えたら遮断
設ける電路 ― 3つの条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 機器 | 金属製外箱を持つ機械器具 |
| 電圧 | 使用電圧が60Vを超える低圧 |
| 場所 | 人が容易に触れるおそれがある場所に施設する |
このほか、住宅で対地電圧300V以下の電路を使う場合(「電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】」)や、ライティングダクト(「電気設備の基本知識 #029【ライティングダクト工事】」)など、個別に漏電遮断器を求める決まりもあります。
- 金属製外箱の機器
- 使用電圧60V超の低圧
- 人が触れるおそれのある場所
省略できる場合 ― 8つのパターン
| 主な場合 | 内容 |
|---|---|
| 簡易接触防護措置 | 機械器具に簡易接触防護措置をする |
| 乾燥 | 機械器具を乾燥した場所に施設する |
| 150V以下 | 対地電圧150V以下の機械器具を、水気のある場所以外に施設する |
| 二重絶縁・被覆 | 二重絶縁構造の機械器具、ゴム・合成樹脂などの絶縁物で被覆した機械器具 |
| 誘導電動機 | 誘導電動機の二次側電路に施設する機械器具 |
| 絶縁変圧器 | 電源側に二次電圧300V以下の絶縁変圧器を設け、負荷側を非接地 |
| 接地抵抗 | 機械器具に施したC種・D種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下 |
- 乾燥・150V以下で水気なし・二重絶縁が軸
- 簡易接触防護措置でも省略できる
- 絶縁変圧器・接地抵抗3Ω以下も
感度と速さ ― 目的で選ぶ
| 種類 | 定格感度電流・動作時間 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 高感度高速形 | 30mA以下・0.1秒以下 | 人の感電を防ぐ(住宅の分電盤など) |
| 中感度形など | 100mA〜など | 漏電火災の防止、幹線の保護など |
外箱の接地を省略するために使う漏電遮断器は、定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下とされています(「電気設備の基本知識 #033【接地工事の要点 C種・D種】」参照)。目的によって必要な感度が違う点に注意しましょう。
- 住宅は30mA・0.1秒以下が一般的
- 接地省略用は15mA・0.1秒以下
- 中感度形は火災防止などに
規定の全体像 ― 5つの視点
「設ける所」の3条件と、省略の3つのグループを押さえれば、全体が整理できます。
- しくみ・設ける所・省略の3グループ
- 省略は「場所」「機器」「電源」で分けて覚える
- 細かな条件は条文で確認
押さえる要点 ― 6つのルール
次の#035は、この連載の最終回「電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】」です。
- 金属製外箱・60V超・人が触れるおそれで設ける
- 乾燥・150V以下・二重絶縁などで省略
- 住宅は30mA・0.1秒以下が一般的
よくある質問
漏電遮断器はどうやって漏電を見つけるのですか?
零相変流器で、電路の行きと帰りの電流の差を見張っています。漏電がなければ差は0ですが、電気が大地へ漏れると差が生じ、それが定格感度電流を超えると電路を遮断します。
漏電遮断器を設けなければならないのはどんな場合ですか?
金属製外箱を持つ使用電圧60Vを超える低圧の機械器具で、人が容易に触れるおそれがある場所に施設するものに電気を送る電路には、原則として地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器)を設けます。
漏電遮断器を省略できる主な場合は?
機械器具に簡易接触防護措置をする場合、乾燥した場所に施設する場合、対地電圧150V以下の機械器具を水気のある場所以外に施設する場合、二重絶縁構造の機械器具、絶縁物で被覆した機械器具、誘導電動機の二次側電路に施設する機械器具などです。
絶縁変圧器を使う場合は?
電源側に二次電圧300V以下の絶縁変圧器を設け、その負荷側の電路を非接地とする場合は、漏電遮断器を省略できます。細かな条件は条文で確認します。
住宅でよく使われる漏電遮断器の感度は?
人の感電を防ぐ目的で、定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以下の高感度高速形が一般的に使われます。
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