建築消防|屋内消火栓の設置基準について詳しく解説
屋内消火栓の設置基準を解説。延べ面積と特定の階による判定、設置基準の表の見方、設置場所の注意点、歩行距離と水平距離の違いまで。
結論
屋内消火栓は用途×延べ面積と地階・無窓階・4階以上の階の床面積で判定し、耐火構造+難燃内装なら基準面積を3倍に読み替えます。1号は水平距離25m、2号は15mで、工場・倉庫・指定可燃物は1号に限られます。
- (一)項500㎡、(二)〜(十)・(十二)・(十四)項700㎡、(十一)・(十五)項1,000㎡
- 3倍は耐火構造+内装難燃、2倍は耐火構造だけ又は準耐火+内装難燃
- SP等の有効範囲内は省略可。屋外消火栓による省略は1・2階だけ
- 非常電源30分。電源回路は耐火、操作・表示灯回路は耐熱配線
ペン太
ハリタ屋内消火栓が必要な建物 ― 令第11条第1項
屋内消火栓設備の設置義務は、消防法施行令第11条第1項で決まります。見るのは用途(令別表第一の項)と延べ面積、そして地階・無窓階・4階以上の階の床面積の2本立てです。
| 用途(令別表第一) | 延べ面積 | 地階・無窓階・4階以上の階の床面積 |
|---|---|---|
| (一)項 劇場・映画館・集会場など | 500㎡以上 | 100㎡以上 |
| (二)〜(十)項・(十二)項・(十四)項 店舗・飲食店・ホテル・病院・学校・工場・倉庫など |
700㎡以上 | 150㎡以上 |
| (十一)項・(十五)項 神社・寺院・事務所など |
1,000㎡以上 | 200㎡以上 |
| (十六の二)項 地下街 | 150㎡以上 | ― |
| 指定可燃物(危政令別表第四の750倍以上) | 数量で判定 | ― |
延べ面積が基準に届かなくても、地階・無窓階・4階以上の階は、その階の床面積で別に判定します。たとえば延べ600㎡の飲食店でも、無窓階の床面積が150㎡以上あれば、その階には屋内消火栓が必要です。(十六)項イの複合用途は、用途ごとに判定します(令第9条)。
- 判定は「用途×延べ面積」と「地階・無窓階・4階以上の階の床面積」の2本立て
- (一)項500㎡、(二)〜(十)・(十二)・(十四)項700㎡、(十一)・(十五)項1,000㎡
- 地階・無窓階・4階以上は100/150/200㎡で別に判定する
倍読み ― 構造と内装で基準面積が2倍・3倍になる
令第11条第2項は、燃えにくい建物ほど基準面積を大きく読み替える規定です。いわゆる「倍読み」です。
| 建物の条件 | 基準面積 |
|---|---|
| 主要構造部(特定主要構造部)を耐火構造とし、かつ壁・天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料としたもの | 3倍 |
| 主要構造部を耐火構造としたもの、又は準耐火建築物で壁・天井の仕上げを難燃材料としたもの | 2倍 |
たとえば耐火構造で内装を難燃材料とした事務所((十五)項)なら、1,000㎡×3=3,000㎡未満は設置不要です。同じ条件の飲食店((三)項)は700㎡×3=2,100㎡なので、延べ2,500㎡なら設置が必要になります。
倍読みは「耐火構造だから3倍」ではなく、内装の仕上げまでそろって3倍です。内装が難燃材料でなければ2倍にとどまります。また(六)項の一部(病院・福祉施設など)には、読み替えた面積の上限に特例があるので、条文で確認してください。
- 3倍は「耐火構造」+「壁・天井の仕上げが難燃材料」の両方がそろったとき
- 耐火構造だけ、又は準耐火建築物+難燃材料の内装なら2倍
- (六)項の一部には読み替えの上限の特例がある
1号・易操作性1号・2号・広範囲型2号の違い
屋内消火栓には、放水量が大きく2人で扱う1号消火栓と、1人で扱いやすい2号消火栓があります。1号には1人でも操作できる易操作性1号、2号には水平距離を広げた広範囲型2号があります。
| 種類 | 水平距離 | 放水圧力 | 放水量 | 水源(1個あたり) |
|---|---|---|---|---|
| 1号・易操作性1号 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 130L/min以上 | 2.6㎥ |
| 2号 | 15m以下 | 0.25MPa以上 | 60L/min以上 | 1.2㎥ |
| 広範囲型2号 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 80L/min以上 | 1.6㎥ |
水源は、設置個数が最も多い階の個数(2を超えるときは2)に上の量を掛けて求めます。工場・作業場((十二)項イ)、倉庫((十四)項)、指定可燃物の貯蔵・取扱いの場所は、火災の規模が大きくなりやすいため1号(易操作性1号を含む)に限られ、2号は使えません。
- 1号は水平距離25m・130L/min、2号は15m・60L/min、広範囲型2号は25m・80L/min
- 工場((十二)項イ)・倉庫((十四)項)・指定可燃物は1号に限る
- 水源は最も多い階の個数(最大2)×1個あたりの水量
設置を省略できる場合 ― 令第11条第4項
スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備を技術基準どおり設けたときは、その有効範囲内の部分について屋内消火栓を設けないことができます。
屋外消火栓設備や動力消防ポンプ設備を設けた場合も省略できますが、対象は1階と2階の部分に限られます。3階以上や地階は省略できません。
- SP・水噴霧・泡・ガス系・粉末の有効範囲内は屋内消火栓を省略できる
- 屋外消火栓・動力消防ポンプで省略できるのは1階・2階の部分だけ
電気設計が関わるところ
屋内消火栓は水の設備ですが、ポンプを動かす電源と信号は電気の担当です。
- 加圧送水装置の起動:直接操作できるほか、消火栓箱の内部又はその直近の操作部(自動火災報知設備のP型発信機を含む)から遠隔で起動できるようにします。
- 表示灯:消火栓箱の上部に赤色の位置表示灯を設け、取付け面と15度以上の角度となる方向に沿って10m離れたところから容易に識別できるようにします。ポンプの始動を示す表示灯も赤色です。
- 非常電源:30分以上作動できる容量が要ります。延べ1,000㎡以上の特定防火対象物(小規模特定用途複合防火対象物を除く)では、非常電源専用受電設備は使えず、自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備とします(規則第12条第1項第4号)。
- 配線:非常電源からポンプまでの電源回路は耐火配線、操作回路と表示灯回路は耐熱配線とします(規則第12条第1項第5号)。
- 起動は直接操作と、消火栓箱付近の操作部(P型発信機を含む)からの遠隔操作
- 位置表示灯は赤色で、15度・10mで識別できること
- 非常電源は30分。延べ1,000㎡以上の特定防火対象物では専用受電不可
- 電源回路は耐火配線、操作・表示灯回路は耐熱配線
まとめ
屋内消火栓の設置は、用途×延べ面積と地階・無窓階・4階以上の階の床面積で判定し、構造と内装による倍読みで基準面積を読み替えます。設置が決まったら、1号か2号かで水平距離(25m/15m)と台数が変わり、ポンプ容量・表示灯・起動配線の数も決まっていきます。
電気設計としては、非常電源の種類(専用受電が使えるか)と、耐火・耐熱配線の範囲を早めに押さえておくと、受電計画のやり直しを防げます。
| 確認すること | 根拠 |
|---|---|
| 設置が必要か | 令第11条第1項(用途×延べ面積/階の床面積) |
| 倍読みできるか | 令第11条第2項(耐火構造・内装) |
| 1号か2号か | 令第11条第3項(工場・倉庫・指定可燃物は1号) |
| 省略できるか | 令第11条第4項(SP等の有効範囲、屋外消火栓は1・2階) |
| 非常電源・配線 | 規則第12条第1項第4号・第5号 |
よくある質問
屋内消火栓はどんな建物に設置が必要ですか?
用途と規模で決まります。(一)項は延べ500㎡以上、(二)〜(十)・(十二)・(十四)項は700㎡以上、(十一)・(十五)項は1,000㎡以上です。延べ面積が基準未満でも、地階・無窓階・4階以上の階で床面積が100/150/200㎡以上なら、その階に必要です。
耐火構造だと基準はどう変わりますか?
主要構造部を耐火構造とし、壁・天井の仕上げを難燃材料とした建物は基準面積が3倍に、耐火構造だけ又は準耐火建築物で内装を難燃材料としたものは2倍に読み替えます(令第11条第2項)。
1号消火栓と2号消火栓はどう違いますか?
1号は水平距離25m以下・放水量130L/min以上で、2人で扱うのが基本です。2号は15m以下・60L/min以上で1人でも扱いやすい構造です。工場・倉庫・指定可燃物の場所は1号(易操作性1号を含む)に限られます。
屋内消火栓を設置しなくてよい場合はありますか?
スプリンクラー設備や水噴霧・泡・ガス系・粉末消火設備を設けた部分は、その有効範囲内で省略できます。屋外消火栓や動力消防ポンプを設けた場合の省略は、1階と2階の部分に限られます。
屋内消火栓の非常電源は何分必要ですか?
30分以上作動できる容量が必要です。延べ1,000㎡以上の特定防火対象物では非常電源専用受電設備は使えず、自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備とします。
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