結論

新人教育で一番むずかしいのは「教える中身」ではなく、毎週まわし続ける仕組みです。このページは、HARITAの新人講座(全51回・1回5〜6分)を社内のOJTに組み込むための、教育担当者向けの運用ガイドです。配属初日にURLを渡す → 12週間シラバスどおりに週の回を指定する → 週1回、本人のマイページで進捗と振り返りを確認する。この3つだけで、担当者が資料を作らなくても、新人が自走する教育が回ります。

  • 読む回・目標・OJT課題・確認の観点を12週分そろえた。担当者は「今週はここ」と指定するだけ
  • 読了は本人のブラウザに記録され、マイページで n/51 と編別の進捗が見える。全部読むと修了証を発行できる
  • 印刷用のシラバス表とチェックリストは下のボタンで開ける
この記事でわかること
✔ 新人講座を社内OJTに組み込む3ステップ(渡す・回す・見る)
✔ 12週間シラバス:週ごとの読む回・目標・OJT課題・確認の観点
✔ 教育担当者のOJTチェックリスト(印刷可)
✔ 修了のさせ方と、修了後の次のステップ(資格・設計マニュアル)

まず結論:担当者がやることは3つだけ

渡す・回す・見る
  1. 渡す:配属初日に新人講座の目次のURL(またはQRコード)を渡す。読む端末とブラウザを1つに決めてもらう(読了の記録はブラウザ単位で保存されるため)。会社PCのChromeでも、個人スマホでもよい。
  2. 回す:下の12週間シラバスの「読む回」を週初めに伝える。1回5〜6分なので、朝礼後の10分か通勤時間で足りる。順番どおりでなくてもよいが、第0〜3回だけは最初に。
  3. 見る:週1回、本人のマイページの「新人講座の進捗」を一緒に見る。読んだ回の末尾にある「振り返りチェック」を口頭で聞き、シラバスの「確認の観点」で理解を確かめる。

💡 ここがポイント

担当者の時間は週15分で足ります。教材づくりはゼロ。「今週はここ」と指定し、確認の観点で会話する。それだけで新人の学習が止まりません。

12週間シラバス(全51回)

4月配属なら6月末まで、10月配属なら12月末までの12週間で全51回を読み切る配分です。各週に「今週の目標」「OJT課題(担当者が出す実務課題)」「確認の観点」を付けました。OJT課題は自社の案件・現場に置き換えて使ってください。忙しい週は読む回だけ進めて、課題は翌週にまとめても構いません。また、内定者の段階で入社までに読む10本を案内しておくと、第1〜2週の回はほぼ読了済みの状態で配属を迎えられ、最初の2週間を復習と現場の用語合わせに使えます。

WEEK 01第1週 読む回:6本
今週の目標:「電気設備設計の仕事」と電気の基本量(V・A・W・kVA・力率)を自分の言葉で説明できる。現場・建築の用語で会話が止まらない
OJT課題(担当者が出す):直近の案件の図面1式を渡し、「この建物に電気はどこから来て、どこで何に変わるか」を口頭で説明させる(正解不要、語彙の確認)
確認の観点:kWとkVAの違いを聞かれて答えられるか。「躯体」「通り芯」「FL+300」が図面上で指せるか
WEEK 02第2週 読む回:5本
今週の目標:配置図・単線結線図幹線系統図の役割の違いが分かり、頻出記号を読める。単線結線図を「川の流れ」で上から下へ追える
OJT課題(担当者が出す):自社案件の単線結線図を1枚渡し、受電から末端のコンセント1か所まで指でたどらせる。コンセント・スイッチの記号を配置図で10個拾わせる
確認の観点:記号の読み違いがないか。「3路」「ほたる」「接地極付」を実物と結びつけて言えるか
WEEK 03第3週 読む回:6本
今週の目標:受電→受変電→幹線分電盤→回路→末端の流れを1枚図で持ち、電灯系と動力系を分けて考えられる。電線・配管材の呼び名と打合せの言葉が分かる
OJT課題(担当者が出す):現場(またはキュービクル写真)で、PAS・変圧器・主幹・分岐の順に指差し確認。分電盤の盤面で「L」と「P」を見分けさせる
確認の観点:「50kWの分かれ目」を説明できるか。CVT・IV・PF管・FEPを現物か写真で見分けられるか
WEEK 04第4週 読む回:4本
今週の目標:現場の1日の流れと安全の基本動作(KY・服装・声かけ)が身につく。墨出し・躯体仕込み・接地工事の段取りとタイムリミットが分かる
OJT課題(担当者が出す):朝礼・KYに参加させ、1つ発言させる。打設前の現場でスリーブ・ボックスの位置を図面と照合させる(チェックリスト持参)
確認の観点:「コンクリ打設日がタイムリミット」の意味を言えるか。接地極と接地線サイズの根拠(A〜D種)を答えられるか
WEEK 05第5週 読む回:4本
今週の目標:天井内配線・ラック・露出配管・盤据付・器具付け・竣工試験の要点を知り、「ボードが閉まる前」に何を確認するか分かる
OJT課題(担当者が出す):天井内の配線ルート写真を撮らせ、支持間隔・分岐ボックスの位置を確認。絶縁抵抗・接地抵抗の測定に立ち会わせ、値を記録させる
確認の観点:絶縁抵抗の基準値(0.1/0.2/0.4MΩ)を回路電圧で言い分けられるか。写真に「後で拾える情報」が写っているか
WEEK 06第6週 読む回:3本
今週の目標:需要率・不等率の意味と、許容電流・電圧降下でケーブルサイズが決まる仕組みを理解し、簡単な幹線を選定できる
OJT課題(担当者が出す):自社案件の負荷表から幹線1本を選ばせ、セコサポの電圧降下計算ツールで検算させる。答え合わせは設計者と一緒に
確認の観点:「許容電流は発熱の限界」と説明できるか。こう長を図面の直線距離で取っていないか
WEEK 07第7週 読む回:3本
今週の目標:ブレーカー(過電流・漏電)の役割と選定の3つの数字、接地の目的と接地線サイズ、電気の法律の全体地図(電事法→電技→解釈→内線規程)を押さえる
OJT課題(担当者が出す):分電盤の回路図を渡し、各ブレーカーの定格と電線サイズの整合を確認させる(内線規程の表を引かせる)
確認の観点:「電線を守るのがブレーカー」と言えるか。基準値の出どころ(法律か民間規程か)を区別できるか
WEEK 08第8週 読む回:4本
今週の目標:内線規程を「引く辞書」として使え、消防・防災設備の電気(自火報・非常照明・誘導灯・非常電源)の全体像をつかむ
OJT課題(担当者が出す):内線規程で「電圧降下」「接地工事」の該当節を実際に引かせる。建物の消防設備の設置根拠(用途・規模)を防火対象物の表で調べさせる
確認の観点:内線規程の節番号から表にたどり着けるか。自火報の感知器と受信機の関係を言えるか
WEEK 09第9週 読む回:4本
今週の目標:非常放送・誘導灯・非常用照明・非常電源の設置基準と、消防同意〜検査の流れが分かる
OJT課題(担当者が出す):既存建物で誘導灯(A/B/C級)と非常照明の器具を見分けさせ、電源方式(電池内蔵・電源別置)を確認させる。消防検査の写真台帳を1冊読ませる
確認の観点:非常照明(建築基準法)と誘導灯(消防法)の違いを言えるか。60分非常電源の意味を説明できるか
WEEK 10第10週 読む回:4本
今週の目標:設計の5幕(受注〜図面一式)とCADの作図作法、部位別の拾い方と拾い書の3点セット(様式・単位・根拠)を知る
OJT課題(担当者が出す):小さな部屋1室のコンセント・照明・配線を拾わせ、拾い書を作らせる(先輩の拾いと突合)
確認の観点:「あとで拾える図面」の条件を3つ言えるか。拾い書に根拠(図面番号・数量の出どころ)が書けているか
WEEK 11第11週 読む回:4本
今週の目標:拾い出しから積算・見積までの流れ、拾いミスの典型、複合単価と歩掛の考え方が分かる
OJT課題(担当者が出す):第10週の拾いを金額にさせる(自社単価または概算単価)。過去の拾いミス事例を1つ担当者が共有し、原因を一緒に分類する
確認の観点:材料費と労務費(歩掛)を分けて説明できるか。ミスの原因を「見落とし・単位・重複」に分類できるか
WEEK 12第12週 読む回:4本
今週の目標:内訳書の読み方・見積比較、改修積算の注意、他業種との調整の基本を理解し、自分の次の資格・学習計画を立てる。全51回を修了
OJT課題(担当者が出す):実案件の見積内訳書を2社分比較させ、差の理由を仮説で説明させる。修了証を発行し、面談で次の資格(第二種→第一種/電験三種/施工管理)を一緒に決める
確認の観点:「総額ではなく中身で比べる」ができるか。次の3か月の学習計画(資格・実務)を自分で書けるか
🖨 シラバスとチェックリストを印刷する
下のボタンで、12週間シラバス表と担当者用チェックリストだけを抜き出した印刷用画面(A4横・2枚程度)が開きます。新人と担当者で1枚ずつ持つと進めやすいです。


教育担当者のOJTチェックリスト

12週で「やった/やっていない」を確認する項目です。新人の理解度より、担当者側の関わりが途切れていないかを見るためのリストです。

  • 配属初日に新人講座の目次URL(またはQR)を渡し、読む端末・ブラウザを1つに決めさせた
  • 週ごとの読む回を伝えた(朝の10分・通勤時間など時間帯も決めた)
  • 週1回、本人のマイページの進捗画面を一緒に見た(読了 n/51)
  • 各回末尾の「振り返りチェック」を口頭で確認した(週1〜2回分)
  • 図面一式を渡し、図面の種類と役割を言わせた(第2週)
  • 単線結線図を受電から末端まで指でたどらせた(第2〜3週)
  • KYで1回以上発言させた(第4週)
  • 打設前の仕込みを図面と照合させた(第4週)
  • 絶縁抵抗・接地抵抗の測定に立ち会わせ、値を記録させた(第5週)
  • 幹線1本をツールで検算させ、答え合わせをした(第6週)
  • 内線規程を実際に引かせた(第8週)
  • 1室の拾い→拾い書→金額まで通しでやらせた(第10〜11週)
  • 内訳書2社分の比較をさせた(第12週)
  • 修了証を発行し、次の資格・学習計画を面談で決めた(第12週)

進捗の見方と、修了のさせ方

新人講座の各回には、記事上部に「🎓 新人講座の進捗 n/51回」のバーと、記事末尾に「✔ この回を読了にする」ボタンがあります。末尾まで読むと自動で読了になり、マイページには全体の%、編別(本編・用語編・施工実務編・積算編・消防設備編)の進み、全51回の一覧(読了は✔)、「つづきから読む」が表示されます。すでに読んだ回は閲覧履歴からも自動で取り込まれます。

修了証について
  • 全51回を読了すると、マイページから修了証(PNG画像)を発行できます。名前は任意入力で、サーバーには送られません。
  • 面談記録や育成シートに添える、社内の掲示に使う、といった使い方を想定しています。公的な資格ではありません。
  • 読了記録は本人のブラウザ内だけに保存されます。端末を変えると引き継がれないので、最初に読む端末を決めてもらうのが大切です。


修了後の次のステップ

新人講座は「配属から3か月」の土台です。修了後は、現場中心なら第二種電気工事士(技能の複線図ハブ)から第一種電気工事士へ、受変電設備や保安を担うなら電験三種 出題範囲×実務記事マップ、現場の管理職を目指すなら1級電気工事施工管理技士 出題範囲×実務記事マップへつなげてください。設計の実務は高圧受変電設備の設計マニュアルをはじめとする設備別の設計マニュアル(各6〜14回)に続いています。配属から1年の全体像は電気設備の新人が読む順番|配属から1年の教育ロードマップにまとめています。

よくある質問

新人の進捗は担当者の画面から見えますか?

見えません。読了記録は新人本人のブラウザ内(localStorage)だけに保存され、サーバーには送られません。週1回、本人のマイページを一緒に見る運用にしてください。

途中の回から始めても大丈夫ですか?

大丈夫です。ただし第0〜3回(仕事の全体像と電気の基本量)だけは最初に読むことをおすすめします。それ以降は現場の状況に合わせて、施工実務編や消防設備編を先に回しても構いません。

内容が自社のやり方と違う部分があります。

内線規程や電技解釈などの基準値は共通ですが、社内標準(使う電線の種類、盤の仕様、書式)は会社ごとに違います。違う部分は担当者が「うちではこうする」と一言添えるだけで、むしろ良い教材になります。

複数人の新人を同時に教育できますか?

できます。同じURLを配り、同じシラバスで回してください。読了記録は各人のブラウザに別々に保存されます。週1回の確認は、まとめて15分の勉強会形式にすると効率的です。

動画版はありますか?

現時点では記事(図解と対話形式)のみです。各記事はスマホの全画面で1見出しずつ読める「スライドモード」に対応しているので、移動中でも読みやすくなっています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。