第2種電気工事士|電気理論(オームの法則・合成抵抗・電力・交流・三相)の計算を図解で解説
第二種電気工事士の学科試験で、計算問題はおよそ5〜6問。そのうち半分ほどは、この記事で扱う「電気理論」から出ます。使う公式は10本もありません。オームの法則を軸に、合成抵抗・電力・交流・三相の順に広げていけば、見たことのある形の問題はほぼ解けます。
結論
電気理論はV=I×R(オームの法則)と P=V×I(電力)の2本が土台です。あとは「並列は積÷和」「直径2倍で抵抗1/4」「実効値×√2=最大値」「Yは÷√3、Δは×√3」を足せば、出題パターンの大半をカバーできます。
- オームの法則は3つの形(I=V÷R/V=I×R/R=V÷I)で使う
- 並列の合成抵抗は「積÷和」。答えは一番小さい抵抗より小さい
- 電線の抵抗は長さに比例し、断面積に反比例する
- 三相は Y と Δ で電流の求め方が変わる
オームの法則 ― すべての計算の入口
電気の計算は、ほぼすべてここから始まります。水道にたとえると、電圧は水圧、電流は流れる水の量、抵抗はホースの細さです。水圧が高いほどたくさん流れ、ホースが細いほど流れにくくなります。これを式にしたのがオームの法則です。
覚え方は「V を上、I と R を下に並べた三角形」。求めたい文字を指で隠すと、残りが答えの形になります(上下なら割り算、横並びなら掛け算)。
- V=I×R の3つの形を、求めたいものから選ぶ
- 単位は V(ボルト)・A(アンペア)・Ω(オーム)
- 聞き方が変わっても使う式は同じ
直列・並列の合成抵抗 ― 足すか、積÷和か
直列は1本道です。抵抗が続けて並ぶので、そのまま足し算になります。並列は分かれ道です。道が増えるぶん流れやすくなるので、合成抵抗は一番小さい抵抗より小さくなります。2本の並列なら「積÷和」、3本以上なら 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ + 1/R₃ で求めます。
| つなぎ方 | 式 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 直列 | R = R₁ + R₂ + … | 足すだけ |
| 並列(2本) | R = R₁×R₂ ÷(R₁+R₂) | 積÷和 |
| 並列(同じ値が n 本) | R = r ÷ n | 10Ωが2本なら5Ω |
| 並列(3本以上) | 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ + … | 逆数を足して、最後にまた逆数 |
回路の途中でスイッチを「閉じる」問題もよく出ます。スイッチを閉じると、その部分は抵抗0の線(短絡)になり、並んでいる抵抗には電流が流れなくなります。図を描き直して、電流が通らない抵抗を消してから計算すると間違えません。
- 直列は足す、並列は積÷和
- 複雑な回路は並列部分を先にまとめる
- 閉じたスイッチと並列の抵抗は、無いものとして描き直す
電力・電力量・熱量 ― 「どれだけ仕事をしたか」
電力は1秒あたりの仕事の大きさ、電力量はそれを時間でためた合計です。電気料金の請求書にある「kWh」が電力量です。電力の式は、オームの法則と組み合わせて3つの形で使います。
| 求めるもの | 式 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 電力 P [W] | P = V × I | 電圧と電流が分かっているとき |
| 電力 P [W] | P = I² × R | 電流と抵抗が分かっているとき(電線の損失など) |
| 電力 P [W] | P = V² ÷ R | 電圧と抵抗が分かっているとき(ヒーターなど) |
| 電力量 W [kWh] | W = P [kW] × t [h] | 何時間使ったか |
| 熱量 Q [kJ] | Q = 3,600 × W [kWh] | 1 kWh = 3,600 kJ |
ヒーターの電圧を変える問題では、抵抗は変わらないことに注目します。P = V² ÷ R なので、電圧を 0.9 倍にすると電力は 0.9 × 0.9 = 0.81 倍、つまり約2割下がります。
- P=V×I を軸に、I²R と V²/R を使い分ける
- 電力量は kW×時間。分は時間に直す
- 1 kWh = 3,600 kJ
電線の抵抗 ― 長いほど大きく、太いほど小さい
電線にもわずかな抵抗があります。長いホースほど水が流れにくく、太いホースほど流れやすいのと同じです。式は R = ρ × L ÷ A。ρ(ロー)は材料で決まる値で、銅は約 1/58 Ω·mm²/m です。
試験でねらわれるのは直径と断面積の違いです。断面積は直径の2乗に比例するので、直径 1.6mm と 3.2mm では断面積が4倍、抵抗は1/4になります。「直径が2倍だから抵抗は半分」と答えると不正解です。
- R=ρL/A。長さに比例、断面積に反比例
- 直径が2倍なら断面積は4倍
- 長さと太さは別々に倍率を出して掛ける
交流 ― 実効値・リアクタンス・力率
家庭のコンセントは、電圧が1秒間に50回(西日本は60回)プラスとマイナスを行き来する交流です。「100V」は実効値で、同じ仕事をする直流に置き換えた値です。波の山(最大値)は実効値の √2 倍、約141V になります。
コイルとコンデンサは、交流の流れを邪魔する
交流では、抵抗のほかにコイル(L)とコンデンサ(C)も電流を邪魔します。この邪魔の大きさをリアクタンスといい、単位は抵抗と同じ Ω です。
| 部品 | 式 | 周波数を上げると |
|---|---|---|
| コイル(誘導性リアクタンス) | XL = 2πfL | 大きくなる(50Hz→60Hzで1.2倍) |
| コンデンサ(容量性リアクタンス) | XC = 1 ÷ 2πfC | 小さくなる(50Hz→60Hzで1/1.2倍) |
| 抵抗とリアクタンスの合計(インピーダンス) | Z = √(R² + X²) | 直角三角形の斜辺 |
抵抗 R とリアクタンス X は、直角三角形の2辺のように足し合わせます。R=8Ω・X=6Ω なら Z = √(64+36) = 10Ω。「3・4・5」「6・8・10」の三角形がよく出るので、見たら反射的に斜辺を出せるようにしておきます。
力率 ― 送った電気のうち、仕事をした割合
力率 cosθ は R ÷ Z で求めます。上の例なら 8 ÷ 10 = 0.8。実際に仕事をする電力(有効電力)は P = V × I × cosθ です。ジョッキのビールにたとえると、泡を含めた全体が皮相電力(V×I)、飲めるビールが有効電力で、その割合が力率です。
- コンセントの100Vは実効値。最大値は約141V
- XLは周波数に比例、XCは反比例
- Z=√(R²+X²)、力率=R÷Z、P=VIcosθ
三相交流 ― Y結線とΔ結線
工場やビルの動力で使う三相交流は、3本の電線で電気を送ります。負荷のつなぎ方には Y(スター)と Δ(デルタ)があり、√3(約1.73)がどこに付くかが違います。
| Y結線 | Δ結線 | |
|---|---|---|
| 1相にかかる電圧 | 線間電圧 ÷ √3 | 線間電圧そのまま |
| 線電流 | 相電流と同じ | 相電流 × √3 |
| 三相電力 | P = √3 × V × I × cosθ(どちらも同じ式) | 同左 |
どちらのつなぎ方でも、三相電力は P = √3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率で求められます。抵抗負荷だけなら力率は1です。同じ抵抗を Y から Δ につなぎ替えると、1相にかかる電圧が √3 倍になり、電力は3倍になります。
- 200 ÷ 1.73 ≒ 115.6 V(Y結線の相電圧)
- √3 × 200 × 10 ≒ 3,460 W(三相電力の計算)
- 試験の選択肢は近い値が並ぶので、1.73 で計算して一番近いものを選ぶ
- Y は電圧を √3 で割る、Δ は電流に √3 を掛ける
- 三相電力は √3VIcosθ
- Y→Δ のつなぎ替えで電力は3倍
よくある質問
計算問題が苦手です。全部捨てても合格できますか?
関数電卓は持ち込めますか?
√2 と √3 はどう覚えればいいですか?
周波数を 50Hz から 60Hz に変えると、何が変わりますか?
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