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プロット図の見方 第22回連載の一覧 ›

高いビルの階段室で、赤いランプの付いた鉄の箱を見たことはありませんか。中にあるのが非常コンセントです。ふだんは誰も使いませんが、火事で停電したとき、消防隊が投光器や工具をつなぐための「消防隊専用の電源」です。第22回は、プロット図での記号と、置き場所・電源の決まりを見ていきます。

結論

記号は四角で囲んだコンセント。11階以上の階の階段室などに、どこからでも水平距離50m以内になるよう置き、専用回路・耐火配線で非常電源につなぎます。

  • 消防法で決められた消防隊のための電源
  • 非常用発電機の回路のコンセントとは別もの
  • 高さは床から1m以上1.5m以下
  • 1回路に10個まで、漏電遮断器は付けない
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
火事で停電したビルの11階で消防隊が階段室の非常コンセントに投光器をつなぐ場面から、四角で囲んだ非常用コンセントの記号、11階以上の階の階段室に水平距離50m以内で置く配置、専用回路と耐火配線で非常電源につなぐ電源の決まりを示す動く図解
約50秒でくり返します。使っている場面から、記号、置き場所、電源と配線の順に見ます。

非常コンセントは「消防隊の電源」

火事で停電すると、ビルの中は真っ暗になります。はしご車が届かない高さでは、消防隊は階段を上がって消火します。そのとき投光器や電動工具を使うための電源が、非常コンセントです。いわば消防隊のための「専用の電源タップ」です。

項目 内容
決めている法律 消防法(非常コンセント設備)
必要な建物 地階を除く階数が11以上の建物の11階以上の階、延べ面積1,000m²以上の地下街
使う人 消防隊(ふだんは使わない)
目印 保護箱の「非常コンセント」の表示と上部の赤い灯火
停電しても使えるよう、非常電源につながっています。
ここまでのポイント
  • 消防隊が使う電源
  • 11階以上の階・大きな地下街
  • 赤い灯火が目印

記号は「四角で囲んだコンセント」

プロット図では、ふつうのコンセントとは違う形で描きます。JIS C 0303では、非常用コンセント(消防法によるもの)として決められています。

名前 記号 読み方
ふつうのコンセント 壁側を塗った円に2本の線(第2回) ふだん使う電源
非常用コンセント(消防法) 四角で囲んだコンセント(四角の中に丸と2つの点でもよい) 消防隊のための電源
発電機回路のコンセント 図面ごとに決める(色・傍記など) 停電時に一般の機器を動かす電源。凡例で確かめる
「非常」という言葉が付いていても、消防法の非常コンセントとは限りません。
読み方のコツ:事務所ビルなどでは、非常用発電機につながったコンセント(色を変えたものなど)を「非常用コンセント」と呼ぶことがあります。消防法の非常コンセントは四角で囲んだ記号で、保護箱に入っています。どちらなのかは、記号の形と凡例の両方で確かめます。
ここまでのポイント
  • 四角で囲む
  • 丸と2つの点の書き方もある
  • 発電機回路のコンセントと区別

置き場所は「階段室などに、50m以内」

消防隊は階段や非常用エレベーターで上がってきます。そのため非常コンセントは、上がってきてすぐ使える場所に置きます。

決まり 内容
置く場所 階段室、非常用エレベーターの乗降ロビーなど
数の決め方 階のどこからでも、水平距離50m以内に1つあるように
高さ 床から1m以上1.5m以下
保護箱 鋼板製(厚さ1.6mm以上)、表面に「非常コンセント」、上部に赤い灯火
細かい基準(階段出入口からの距離、保護箱の大きさなど)は、所轄の消防の基準で確かめます。
ここまでのポイント
  • 階段室・乗降ロビー
  • 水平距離50m以内
  • 高さ1m以上1.5m以下


電源は「専用回路・耐火配線・非常電源」

消火の途中で電気が切れては困ります。そのため電源と配線にも決まりがあります。

決まり 内容
電圧と容量 単相交流100Vで15A以上を送れること
コンセント 接地形2極(15A125V)
回路 1回路に10個まで。各階で2回路以上(1個だけの階は1回路)
配線 主配電盤からの専用回路を耐火配線で
電源 非常電源につなぐ(停電しても送電)
漏電遮断器 付けない(消火中に切れないように)
盤の記号は第9回、壁や床を通る所の処理は第18回で扱っています。
読み方のコツ:プロット図では、非常コンセントの配線は幹線(EPSなど)から各階へ立ち上がり、階段室の保護箱へ向かいます。ふつうのコンセントの回路と混ぜずに、専用の回路として追いかけます。
ここまでのポイント
  • 単相100V・15A以上
  • 1回路10個・各階2回路以上
  • 耐火配線で非常電源へ

間違えやすいところ

⚠️ よくある読み違い

  1. ふつうのコンセントと同じに拾う:保護箱・表示灯付きの器具として別に拾います。
  2. 発電機回路のコンセントと混同する:記号と凡例で消防法のものか確かめます。
  3. 一般のケーブルで配線する:耐火配線が必要です。
  4. 漏電遮断器の回路につなぐ:非常コンセントの回路には付けません。
  5. 10階以下の階にも付けると思い込む:必要なのは11階以上の階です(地下街は別の決まり)。

複合コンセントの読み方は第21回、コンセントの基本の記号は第2回で扱っています。

ここまでのポイント
  • 保護箱付きの器具として拾う
  • 凡例で区別する
  • 耐火配線・漏電遮断器なし

よくある質問

非常コンセントとは何ですか?

消防法で決められた、消防隊が消火活動に使うための電源です。高いビルの上の階や大きな地下街で、投光器や電動工具などをつなぎます。非常電源につながっているので、火事で停電しても使えます。

どんな建物に必要ですか?

地階を除く階数が11以上の建物の11階以上の階と、延べ面積1,000m²以上の地下街です。はしご車が届きにくい高さや場所で、消防隊が電源を確保できるようにするためです。

図面ではどんな記号ですか?

JIS C 0303では、四角で囲んだコンセントの記号です。四角の中に丸と2つの点を描く書き方も使えます。壁側を塗ったふつうのコンセントとは形が違います。

非常用発電機につながったコンセントとは違いますか?

違います。停電時に一般の機器を動かすための発電機回路のコンセントは、消防法の非常コンセントではありません。記号や色は図面ごとに決めるので、凡例で確かめます。

どこに付けますか?

階段室や非常用エレベーターの乗降ロビーなど、消防隊が上がってきて使いやすい場所です。階のどこからでも水平距離50m以内に1つあるように配置し、高さは床から1m以上1.5m以下にします。

電源や配線の決まりは?

単相交流100Vで15A以上を送れること、1回路に10個まで、各階で2回路以上(1個だけの階は1回路)にすることなどが決められています。配線は耐火配線で、非常電源につなぎます。細かい基準は所轄の消防で確かめます。

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ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。