配線図や複線図に出てくる「かえり線」。そして「接地側線」「非接地側線」。どれも用語集では一言で説明されますが、なぜその線が必要で、なぜ色が決まっているのかまでは分かりにくい言葉です。この記事は、この3つの線の役目と、スイッチを入れる側の決まりだけにしぼって説明します。

ペン太ペン太
複線図に出てくる「かえり線」って、どこからどこまでの線なんですか?
ハリタハリタ
スイッチから明かりまでの線だよ。電源の黒がスイッチで折り返して、明かりへ「かえる」から、そう呼ぶんだ。

結論

かえり線は、スイッチから明かりへ行く線です。電源の非接地側(黒)がスイッチへ行き、接地側(白)は明かりへ直接つなぎます。スイッチを非接地側に入れるのは、切ったときに明かりへ電圧を残さないためです。

  • 黒=非接地側(大地との間に100V)、白=接地側(ほぼ0V)
  • かえり線の色は決まっていないが、赤などで区別するのが慣例
  • スイッチは非接地側に入れる。白の側に入れると切っても危ない
  • 白は受金ねじ部・W・N・「接地側」の端子へ
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。

かえり線とは ― スイッチから明かりへ「かえる」線

ペン太ペン太
電源から来る2本の線は、どっちも同じじゃないんですか?
ハリタハリタ
白は接地側で、大地との電圧はほぼ0V。黒は非接地側で、大地との間に100Vがかかっている。役目がまったく違うんだ。

照明の回路は、電源からの2本の線でできています。大地との間に100Vがかかっている非接地側線と、変圧器の側で大地に接地されている接地側線です。非接地側の線はまずスイッチへ行き、スイッチで折り返して明かりへ向かいます。このスイッチから明かりまでの線が、かえり線です。

黒電源からスイッチへ
かえり線スイッチから明かりへ
白明かりから電源へ戻る
入れたときかえり線に電気が来る
線 通る区間 よく使う色
非接地側線 電源 → スイッチ 黒
かえり線 スイッチ → 明かり 赤など(慣例)
接地側線 明かり → 電源(スイッチを通らない) 白

かえり線には、スイッチを入れたときだけ電気が来ます。3心のケーブル(黒・白・赤)を使うときは、赤をかえり線にすることが多く、複線図でも赤で描いて区別します。2か所から点滅させる3路スイッチでは、スイッチ同士をつなぐ「わたり線」も出てきます。

たとえるなら
かえり線は、駅の改札を通ったあとの通路
電源から来た電気は、まずスイッチという改札まで来ます。改札が開いたとき(スイッチを入れたとき)だけ、その先の通路を通って明かりへ向かえます。この改札から先の通路が、かえり線です。
ここに注意!
「白の線は電気が流れていないから、かえり線に使ってもいい」ではありません。
白は接地側の線を表す色です。かえり線に白を使うと、あとで見た人が接地側と思い込み、電気が来ている線に触れてしまうおそれがあります。かえり線には、白と緑以外の色を使います。
ここまでのポイント
  • かえり線は、スイッチから明かりへ行く線
  • 非接地側(黒)がスイッチへ、接地側(白)は明かりへ直接
  • かえり線は赤などで区別し、白は使わない


なぜスイッチは黒の側? ― 切ったときに、明かりへ電圧を残さない

ペン太ペン太
白の線にスイッチを入れても、明かりはちゃんと消えましたよ?
ハリタハリタ
消えても、明かりの口金には100Vが残ったままなんだ。電球を替えるときに危ないから、スイッチは黒の側に入れるよ。

スイッチを白(接地側)の線に入れても、明かりはつきますし、切れば消えます。違いが出るのは、スイッチを切ったときの明かりの電圧です。

正しい黒の側にスイッチ
切ると明かりは0V
誤り白の側にスイッチ
切っても明かりに100Vが残る

黒(非接地側)にスイッチを入れていれば、切ったときに明かりは電源から切り離され、ソケットに電圧は来ません。白の側に入れていると、明かりは黒の線につながったままなので、切っても100Vが残ります。電球を替えるときに口金に触れると、感電するおそれがあります。このため、点滅器は電路の非接地側に施設することになっています。第二種電気工事士の技能試験でも、この決まりどおりに結線します。

ここに注意!
「明かりがつけば、スイッチはどちらの線に入れてもいい」ではありません。
白の側にスイッチを入れても、明かりはつきますし、切れば消えます。けれども、切ったときにも明かりのソケットに100Vが残り、電球交換で触れると危険です。点滅器は電路の非接地側に施設するのが決まりです。
ここまでのポイント
  • スイッチを白の側に入れても、明かりはつく
  • ただし切っても明かりに100Vが残り、危ない
  • スイッチは非接地側(黒)に入れる

色と、つなぐ端子 ― 白は接地側だけに使う

ペン太ペン太
白はどの端子につなぐか、覚え方はありますか?
ハリタハリタ
「接地側」の目印がある所、と覚えるといい。受金ねじ部、W、N、それに「接地側」の表示がある端子だね。

電線の色は、あとから触る人が線の役目を見分けるための約束です。屋内配線では、次のように使い分けます。

黒非接地側
白接地側
赤などかえり線
緑接地線

白の線は、器具の接地側の端子につなぎます。第二種電気工事士の技能試験の施工条件でも、次の端子には白を結線するよう指定されています。

  1. ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子
  2. コンセントの「W」と表示された端子(長い穴の側)
  3. 引掛シーリングローゼットの「接地側」と表示された端子
  4. 配線用遮断器の「N」と表示された端子

コンセントの長い穴が接地側になるのはこのためで、検電器を当てると短い穴だけが反応します(検電器の使い方)。色の決まりがどこから来たのかは、電線の色は誰が決めたのかで紹介しています。

たとえるなら
線の色は、道路の車線の色分けのようなもの
白線・黄線の意味がみんなに伝わっているから、初めての道でも迷わずに走れますよね。電線の色も、黒は電圧側、白は接地側、緑はアースと決めておくことで、あとから触る人が安全に作業できます。
ここに注意!
「W」や「N」の表示は、飾りではありません。
コンセントのWや配線用遮断器のNは、白(接地側)の線をつなぐ端子の目印です。反対につなぐと、コンセントの長い穴に電圧が来るなど、器具の中の接地側と非接地側が入れ替わってしまいます。
ここまでのポイント
  • 黒は非接地側、白は接地側、赤などはかえり線、緑は接地線
  • 白は受金ねじ部・W・接地側・Nの端子へ
  • 色と端子の約束を守ると、あとから触る人が安全になる


まとめ|結論

結論

かえり線は、スイッチから明かりへ行く線です。電源の非接地側(黒)をスイッチへ、接地側(白)を明かりへ直接つなぎ、スイッチは必ず非接地側に入れます。白は接地側だけに使い、受金ねじ部・W・接地側・Nの端子につなぎます。

複線図を描くときは、この順で線を引きます。

  1. 電源の白(接地側)を、明かりやコンセントへ直接つなぐ
  2. 電源の黒(非接地側)を、スイッチとコンセントへつなぐ
  3. スイッチから明かりへ、かえり線を引く
  4. 白が受金ねじ部・W・接地側・Nの端子に来ているかを確かめる

よくある質問

かえり線とは何ですか?

スイッチから明かり(照明器具)へ行く線のことです。電源から来た非接地側の線がスイッチで折り返し、明かりへ「かえる」ことからこう呼びます。スイッチを入れたときだけ電気が来ます。

かえり線の色は決まっていますか?

決まった色はありません。3心のケーブルを使うときは、黒・白以外の赤をかえり線にすることが多く、配線図や複線図でも赤で区別するのが慣例です。白は接地側に使う色なので、かえり線には使いません。

接地側線と非接地側線の違いは何ですか?

接地側線は、変圧器の側で大地に接地されている線で、大地との電圧はほぼ0Vです。非接地側線は、大地との間に100Vがかかっている線です。屋内配線では、接地側を白、非接地側を黒で区別します。

スイッチを白の線(接地側)に入れると、どうなりますか?

明かりはつきますが、スイッチを切っても明かりに100Vが残ります。電球を替えるときに口金に触れると感電するおそれがあるので、スイッチは非接地側(黒)に入れます。

白の線は、どの端子につなぎますか?

ランプレセプタクルの受金ねじ部、コンセントの「W」と表示された端子(長い穴の側)、引掛シーリングの「接地側」と表示された端子、配線用遮断器の「N」と表示された端子です。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。