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非常電源専用受電設備ってなに?
キュービクル式非常電源専用受電設備とは、電力会社から受電する電源を非常電源とみなすことができる設備になります(他の非常用電源装置が不要となります)
設置には条件あるため、条件を満たした場合でのみの設置が可能となります。
- 認定キュービクルについて調べている方
- 非常電源専用受電設備について調べている方など
キュービクル式非常電源専用受電設備とは
キュービクル式非常電源専用受電設備とは、電力会社から受電する電源を非常電源とみなすことができる設備になります。
福祉施設、病院、物販店舗など消防関係法令で定める建物には、消防用設備等の設置を義務付けられています。(消防法第17条第1項)この法のうち屋内消火栓設備やスプリンクラー設備などには非常電源の確保が必要となりその非常電源の供給方法として用いられています。
適用のメリット
特定用途の防火対象物や一定規模以上の防火対象物では、消火用設備等の設置が義務付けられています。そのため、非常電源の確保が必要となり、蓄電池設備、自家発電設備を非常電源として計画する場合、機器本体のコスト、設置スペースの確保が必要となる。小規模建築物の場合、非常電源の占めるコストが大きくなってしまいます。非常電源専用受電設備にて計画した場合、コストやスペース面において低減を図ることができますが、専用受電設備を計画する際には下記の点について考慮する必要があります。
採用時のデメリット
- 地震や落雷によって停電が発生した際、電源を供給できない
- 特定用途となる部分の床面積が1,000㎡以上の場合、適用できない
- 非常電源を供給する変圧器に太陽光設備を接続できない(認定規約による)
- ひとつの変圧器に対する配線用遮断器の合計値は、変圧器二次側電流の2.14倍以下とする
- 負荷の増設など改造を行う際、改造内容が認定基準に適合するかの打合せを所轄の消防署と行う必要がある
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認定キュービクルの適用方法
認定キュービクルの適用にはいくつかの条件を満たす必要があります。この基準を満たさずに記載されている図面も多くトラブルものとになりますので十分理解した上での検討をお勧めします。
変圧器二次側電流値による検討
- 対象トランス
消火設備の接続されたトランス
- 条件
開閉器のトリップ値の合計 < 変圧器の二次側電流×2.14倍以下
- 変圧器
3φ3W6.6kV/210 100kVA
- 変圧器二次側電流
275A
275×2.14≒589A…(1)
- しゃ断器のトリップ値を合計する(変圧器に接続されている遮断器の合計)
- 100AF 75AT
- 225AF150AT
- 225AF150AT
- 225AF175AT
75+150+150+175=550[A]…(2)
(1)>(2) (589>550)
このため非常電源の要件を満たしていると判断できます
2.14倍の根拠
2.14倍という数値は「不等率1.5/需要0.7」より定められている
盤の認定品適用の要否を確認する
- 非常電源専用受電設備の適用を受けるためにはキュービクルが認定品であることが必須です。この規格はメーカーごとに審査機関にて事前に承認を得たものになるため基本的には規格に合ったものしか認定品として認めらていません。
- しかし設計図の中には事前に確認せず認定品の適用外であるにも関わらず適用可と記載された図面が多く出回っており納入時のトラブルとなることが多いです。そうならないよう規格に収まったキュービクルを計画するようにしましょう。
型式認定
設置場所、設備容量、寸法、換気方式等の分類に応じて定めた形式区分毎に認定を行い基準に適合したものには、5年間の有効製造期間が与えられています。
型式認定品の対象例(中立電機製の場合)
- 変圧器容量の基準
変圧器の総容量 | 4,000kVA以下 | |
変圧器の単体総容量 | 3φ | 2,000kVA以下 |
変圧器の単体総容量 | 1φ | 500kVA以下 |
- 盤の外形寸法:型式取得寸法以上必要
取得寸法より、W・H・Dいずれか1つでも小さい寸法のキュービクルは、個別認定の対象となります
個別認定
製造者が型式認定・推奨の区分を取得していない場合や、キュービクルと発電機が接続される場合に、出荷品そのものに対して個別に行います。
個別認定品の対象例(中立電機製の場合)
- 型式認定区分のもの(該当する形式認定の区分の認定品を取得していない場合)
- 受電設備容量が型式認定の区分を超過するもの
- 盤の外形寸法が型式認定のものより小さいもの
- 変圧器の単体総容量:3φ2,000kVA1φ500kVAを超えるもの
- 上記以外で個別に審査が必要なもの
- ガス変圧器を使用しているもの
- 三相変圧器のみのもの
- 低圧自家発電設備と接続するキュービクルであって別に定める低圧自家発電設備取得要領に該当するもの
- その他特殊な設備が付属しているもの等
個別認定及び推奨品は、いずれもその都度審査になるため、製品納期に十分注意がに次要となります。
個別認定は型式認定(承認済みのもの)以外を新たに審査するためのものになりますが審査のための費用、期間、実際に承認が下りるとは限らない。これらのことを考慮すると現実的ではありません。
まとめ
- キュービクル式非常電源専用受電設備とは。
電力会社から受電する電源を非常電源とみなすことができる設備になります
- 適用時のメリット
- 商用電源を消火用設備等の非常電源としてみなすことができる
- その他の非常電源設備が不要(発電機、蓄電池)
- 設置スペースが縮小可能
- 建築物との離隔を緩和可能(3m以上 → 1m以上)
- 適用時のデメリット
- 震や落雷によって停電が発生した際、電源を供給できない
- 特定用途となる部分の床面積が1,000㎡以上の場合、適用できない
- 非常電源を供給する変圧器に太陽光設備を接続できない(認定規約による)
- ひとつの変圧器に対する配線用遮断器の合計値は、変圧器二次側電流の2.14倍以下とする
- 負荷の増設など改造を行う際、改造内容が認定基準に適合するかの打合せを所轄の消防署と行う必要がある
専用受電設備適用の条件
- 対象トランス
消火設備の接続されたトランス
- 条件
開閉器のトリップ値の合計 < 変圧器の二次側電流×2.14倍以下