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地図は、町を2万5千分の1に縮めて紙にのせています。それでも縮尺がわかっていれば、紙の上の長さから本当の距離がわかります。キュービクルの受電盤も同じです。電流計は「120A」を指していますが、計器に入っている電流は4Aしかありません。大きな値を小さく写す「縮尺」の役をしているのが、第6回で読むVT・CT・ZCT・ZPD(計器用変成器)です。

結論

計器用変成器は高圧の値を小さく写し、高圧から切り離す機器です。電流を見るCT・ZCTは直列・貫通、電圧を見るVT・ZPDは母線に並列という付き方で見分けます。

  • VTは6,600V→110V、CTは例えば150A→5A
  • CTは二次を開かない、VTは二次を短絡しない
  • ZCTは零相電流、ZPDは零相電圧を取り出す
  • ZCTとZPDがそろえばDGRで方向まで見分ける
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
受電盤の電流計が120Aを指していても計器に入るのはCT 150/5Aで縮めた4Aで、電圧計もVT 6600/110Vで110Vに縮めている場面から、CT・ZCTは主回路に直列・貫通、VT・ZPDは母線に並列という付き方、CTは二次を開くと数千Vが出てVTは二次を短絡すると焼損するという逆の禁止事項、ZCTで零相電流、ZPDで零相電圧を取り出しDGRが構内の地絡だけで切るしくみを示す動く図解
約50秒でくり返します。使っている場面から、付き方、禁止事項、ZCT・ZPDの順に見ます。

変成器は「縮尺」と「絶縁」の2つの仕事をする

6,600Vや数百Aを、そのまま計器や継電器に入れることはできません。そこで、いったん扱える大きさに縮めます。同時に、計器や人が触れる側を高圧の回路から切り離します。この2つが計器用変成器の仕事です。

記号 何を取り出す 代表的な定格 つながる先
VT 線間電圧 6,600/110V 電圧計・UVR(不足電圧継電器)
CT 負荷電流 150/5A(比は物件しだい) 電流計・OCR(過電流継電器)
ZCT 零相電流(地絡の電流) 零相一次電流 200mA GR・DGR
ZPD 零相電圧 コンデンサ形分圧 DGR(方向の判断)
古い図面ではVTを「PT」と書くこともあります。同じものです。
読み方のコツ:電流計の目盛は、そのCTの変流比に合わせて作られています。CT 150/5Aなら、計器に4A入ると「120A」と表示します。地図の縮尺と同じで、比がわかって初めて本当の値が読めると考えます。
ここまでのポイント
  • 大きな値を小さく写す
  • 高圧から切り離す
  • 目盛は一次側の値

付き方で見分ける ― 直列・貫通か、母線に並列か

単線結線図の受電部には、小さな丸がいくつも並びます。見分けるいちばんの手がかりは付き方です。電流を見るものは電線に直列(くぐらせる形)、電圧を見るものは母線から枝分かれして並列に付きます。

付き方 変成器 図面での描かれ方
主回路に直列・貫通 CT 主回路の線の上に小さな丸。「CT 150/5A」「×2」などと書く
3線まとめて貫通 ZCT 大きめの輪(楕円)。ケーブル3本をまとめて通す
母線に並列 VT 母線から枝分かれし、丸を2つ重ねた記号。「6600/110V」「×2」
母線に並列 ZPD 母線から枝分かれし、コンデンサで分圧して接地へ
電圧を見たいものは並列、電流を見たいものは直列・貫通です。

図面には、比や個数のほかに負担(VA)、確度階級、極性(K・L/k・l)も書かれます。負担は、二次側につないでよい計器や継電器、配線の合計です。取引用のVCTとの違いは第3回で見ています。

ここまでのポイント
  • CT・ZCTは直列・貫通
  • VT・ZPDは母線に並列
  • 比・個数・負担を読む


CTとVTは、やってはいけないことが逆

CTは一次の電流が先に決まっている機器です。二次の電流が一次の磁束を打ち消しているので、二次を開くと打ち消すものがなくなり、鉄心が飽和して二次端子に数千Vの高い電圧が出ます。VTは電圧を保つ機器なので、二次を短絡すると大きな電流が流れて焼けてしまいます。

CT VT
先に決まっている量 一次電流 電圧
やってはいけないこと 二次側を開放する 二次側を短絡する
起きること 数千Vの高電圧が出る 大電流が流れて焼損する
図面・現場での備え 試験用端子(短絡端子) 一次側の限流ヒューズ
「やりたいことを邪魔すると壊れる」と覚えます。CTは電流を流したい、VTは電圧を保ちたい機器です。

計器を外すとき

CTにつながる計器や継電器を外すときは、必ず試験用端子などで二次を短絡してから外します。作業のあとに短絡を戻し忘れないことも大切です。どちらの変成器も、二次側にはD種接地を施して、万一高圧と混ざっても低圧側に高い電圧が出ないようにします。

ここまでのポイント
  • CTは二次を開かない
  • VTは二次を短絡しない
  • 外すときは短絡してから

ZCTとZPDは地絡を見つけ、DGRが方向まで見分ける

ZCTは、3線をまとめて輪の中に通します。正常なときは3線の電流の和がゼロなので、何も出てきません。地絡して大地へ電流が漏れると和がゼロでなくなり、その差の零相電流(I0)だけが取り出せます。ZPDは、地絡のときに現れる零相電圧(V0)を取り出します。

組み合わせ 継電器 わかること
ZCTだけ GR(地絡継電器) 地絡が起きたこと。方向はわからない
ZCT+ZPD DGR(方向性地絡継電器、器具番号67) 構内の地絡か構外の地絡か
ZPDがあるかどうかは、GRかDGRかを見分ける手がかりになります。
読み方のコツ:三相3線式で「CT×2」と書かれているのも、同じ「和がゼロ」の考え方です。2相の電流がわかれば残り1相は計算で求まるので、CTは2個で足ります。ZCTはこの性質を逆に使い、漏れた分だけを見ています。引込のPASに付くDGRについては第2回、くわしい設計の考え方は設計マニュアル⑦ 計器用変成器と計器で扱っています。
ここまでのポイント
  • ZCTは零相電流I0
  • ZPDは零相電圧V0
  • ZCT+ZPDでDGR


間違えやすいところ

よくある読み違い

  1. CTの二次を開いたまま送電する:試験や計器交換のあとに、短絡端子の戻し忘れが起きやすいです。
  2. ZCTの通し方を気にしない:ケーブルのシールド接地線を輪の内側から戻すか外側から戻すかで、検出できる値が変わります。施工要領どおりに通します。
  3. CTだけ交換して計器はそのまま:変流比が変わると表示がまるごとずれます。CTと計器はセットで確かめます。
  4. あとから計器を足す:負担(VA)をこえると精度が落ち、保護の設定も狂います。
  5. 取引用VCTの二次を構内の計器に使う:VCTは電力会社の計量専用です。構内用のVT・CTは別に設けます。

次回は、変成器がとらえた値で「切るかどうか」を決める保護継電器(OCR・GR・DGRと器具番号)の読み方です。主遮断装置との関係は第5回、全体の流れは第1回で見ています。

ここまでのポイント
  • 短絡端子を戻す
  • CTと計器はセット
  • 負担をこえない

よくある質問

計器用変成器とは何ですか?

高圧の電圧や大きな電流を、計器や継電器で扱える小さな値に変える機器です。VT(計器用変圧器)は6,600Vを110Vに、CT(変流器)は数百Aを5Aに落とします。高圧の回路から計器や人を切り離す役目もあります。

VT・CT・ZCT・ZPDは図面でどう見分けますか?

付き方で見分けます。電流を見るCTとZCTは主回路に直列(電線をくぐらせる形)で付き、電圧を見るVTとZPDは母線から枝分かれして並列に付きます。ZCTは3線をまとめて通す大きな輪で描かれます。

CTの二次側を開放してはいけないのはなぜですか?

CTは一次の電流が先に決まっている機器で、二次の電流がそれを打ち消しています。二次を開くと打ち消す電流がなくなり、鉄心が飽和して二次端子に数千Vの高い電圧が出ます。計器を外すときは、試験用端子などで二次を短絡してから外します。

VTはなぜ二次側を短絡してはいけないのですか?

VTは電圧を保つ機器なので、二次を短絡すると大きな電流が流れて焼けてしまいます。禁止事項がCTと逆になるので注意します。VTの一次側には限流ヒューズを入れるのが一般的です。

ZPDがない図面でも地絡は見つけられますか?

ZCTとGR(地絡継電器)で見つけられます。ただし方向がわからないので、構外の地絡で動いてしまうことがあります。ZPDがあればDGR(方向性地絡継電器)で、構内の地絡かどうかを見分けられます。

三相なのにCTが2個なのはなぜですか?

三相3線式では、3線の電流の和が理論上ゼロになります。2相の電流がわかれば残り1相は計算で求まるので、CTは2個で足ります。VTが2台(V結線)なのも同じ考え方です。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。