【単線結線図の見方⑥】VT・CT・ZCT・ZPD ― 直列・貫通か母線に並列かの付き方で見分け、CTは開かずVTはつながない計器用変成器を読む
地図は、町を2万5千分の1に縮めて紙にのせています。それでも縮尺がわかっていれば、紙の上の長さから本当の距離がわかります。キュービクルの受電盤も同じです。電流計は「120A」を指していますが、計器に入っている電流は4Aしかありません。大きな値を小さく写す「縮尺」の役をしているのが、第6回で読むVT・CT・ZCT・ZPD(計器用変成器)です。
結論
計器用変成器は高圧の値を小さく写し、高圧から切り離す機器です。電流を見るCT・ZCTは直列・貫通、電圧を見るVT・ZPDは母線に並列という付き方で見分けます。
- VTは6,600V→110V、CTは例えば150A→5A
- CTは二次を開かない、VTは二次を短絡しない
- ZCTは零相電流、ZPDは零相電圧を取り出す
- ZCTとZPDがそろえばDGRで方向まで見分ける
変成器は「縮尺」と「絶縁」の2つの仕事をする
6,600Vや数百Aを、そのまま計器や継電器に入れることはできません。そこで、いったん扱える大きさに縮めます。同時に、計器や人が触れる側を高圧の回路から切り離します。この2つが計器用変成器の仕事です。
| 記号 | 何を取り出す | 代表的な定格 | つながる先 |
|---|---|---|---|
| VT | 線間電圧 | 6,600/110V | 電圧計・UVR(不足電圧継電器) |
| CT | 負荷電流 | 150/5A(比は物件しだい) | 電流計・OCR(過電流継電器) |
| ZCT | 零相電流(地絡の電流) | 零相一次電流 200mA | GR・DGR |
| ZPD | 零相電圧 | コンデンサ形分圧 | DGR(方向の判断) |
- 大きな値を小さく写す
- 高圧から切り離す
- 目盛は一次側の値
付き方で見分ける ― 直列・貫通か、母線に並列か
単線結線図の受電部には、小さな丸がいくつも並びます。見分けるいちばんの手がかりは付き方です。電流を見るものは電線に直列(くぐらせる形)、電圧を見るものは母線から枝分かれして並列に付きます。
| 付き方 | 変成器 | 図面での描かれ方 |
|---|---|---|
| 主回路に直列・貫通 | CT | 主回路の線の上に小さな丸。「CT 150/5A」「×2」などと書く |
| 3線まとめて貫通 | ZCT | 大きめの輪(楕円)。ケーブル3本をまとめて通す |
| 母線に並列 | VT | 母線から枝分かれし、丸を2つ重ねた記号。「6600/110V」「×2」 |
| 母線に並列 | ZPD | 母線から枝分かれし、コンデンサで分圧して接地へ |
図面には、比や個数のほかに負担(VA)、確度階級、極性(K・L/k・l)も書かれます。負担は、二次側につないでよい計器や継電器、配線の合計です。取引用のVCTとの違いは第3回で見ています。
- CT・ZCTは直列・貫通
- VT・ZPDは母線に並列
- 比・個数・負担を読む
CTとVTは、やってはいけないことが逆
CTは一次の電流が先に決まっている機器です。二次の電流が一次の磁束を打ち消しているので、二次を開くと打ち消すものがなくなり、鉄心が飽和して二次端子に数千Vの高い電圧が出ます。VTは電圧を保つ機器なので、二次を短絡すると大きな電流が流れて焼けてしまいます。
| CT | VT | |
|---|---|---|
| 先に決まっている量 | 一次電流 | 電圧 |
| やってはいけないこと | 二次側を開放する | 二次側を短絡する |
| 起きること | 数千Vの高電圧が出る | 大電流が流れて焼損する |
| 図面・現場での備え | 試験用端子(短絡端子) | 一次側の限流ヒューズ |
計器を外すとき
CTにつながる計器や継電器を外すときは、必ず試験用端子などで二次を短絡してから外します。作業のあとに短絡を戻し忘れないことも大切です。どちらの変成器も、二次側にはD種接地を施して、万一高圧と混ざっても低圧側に高い電圧が出ないようにします。
- CTは二次を開かない
- VTは二次を短絡しない
- 外すときは短絡してから
ZCTとZPDは地絡を見つけ、DGRが方向まで見分ける
ZCTは、3線をまとめて輪の中に通します。正常なときは3線の電流の和がゼロなので、何も出てきません。地絡して大地へ電流が漏れると和がゼロでなくなり、その差の零相電流(I0)だけが取り出せます。ZPDは、地絡のときに現れる零相電圧(V0)を取り出します。
| 組み合わせ | 継電器 | わかること |
|---|---|---|
| ZCTだけ | GR(地絡継電器) | 地絡が起きたこと。方向はわからない |
| ZCT+ZPD | DGR(方向性地絡継電器、器具番号67) | 構内の地絡か構外の地絡か |
- ZCTは零相電流I0
- ZPDは零相電圧V0
- ZCT+ZPDでDGR
間違えやすいところ
よくある読み違い
- CTの二次を開いたまま送電する:試験や計器交換のあとに、短絡端子の戻し忘れが起きやすいです。
- ZCTの通し方を気にしない:ケーブルのシールド接地線を輪の内側から戻すか外側から戻すかで、検出できる値が変わります。施工要領どおりに通します。
- CTだけ交換して計器はそのまま:変流比が変わると表示がまるごとずれます。CTと計器はセットで確かめます。
- あとから計器を足す:負担(VA)をこえると精度が落ち、保護の設定も狂います。
- 取引用VCTの二次を構内の計器に使う:VCTは電力会社の計量専用です。構内用のVT・CTは別に設けます。
次回は、変成器がとらえた値で「切るかどうか」を決める保護継電器(OCR・GR・DGRと器具番号)の読み方です。主遮断装置との関係は第5回、全体の流れは第1回で見ています。
- 短絡端子を戻す
- CTと計器はセット
- 負担をこえない
よくある質問
計器用変成器とは何ですか?
高圧の電圧や大きな電流を、計器や継電器で扱える小さな値に変える機器です。VT(計器用変圧器)は6,600Vを110Vに、CT(変流器)は数百Aを5Aに落とします。高圧の回路から計器や人を切り離す役目もあります。
VT・CT・ZCT・ZPDは図面でどう見分けますか?
付き方で見分けます。電流を見るCTとZCTは主回路に直列(電線をくぐらせる形)で付き、電圧を見るVTとZPDは母線から枝分かれして並列に付きます。ZCTは3線をまとめて通す大きな輪で描かれます。
CTの二次側を開放してはいけないのはなぜですか?
CTは一次の電流が先に決まっている機器で、二次の電流がそれを打ち消しています。二次を開くと打ち消す電流がなくなり、鉄心が飽和して二次端子に数千Vの高い電圧が出ます。計器を外すときは、試験用端子などで二次を短絡してから外します。
VTはなぜ二次側を短絡してはいけないのですか?
VTは電圧を保つ機器なので、二次を短絡すると大きな電流が流れて焼けてしまいます。禁止事項がCTと逆になるので注意します。VTの一次側には限流ヒューズを入れるのが一般的です。
ZPDがない図面でも地絡は見つけられますか?
ZCTとGR(地絡継電器)で見つけられます。ただし方向がわからないので、構外の地絡で動いてしまうことがあります。ZPDがあればDGR(方向性地絡継電器)で、構内の地絡かどうかを見分けられます。
三相なのにCTが2個なのはなぜですか?
三相3線式では、3線の電流の和が理論上ゼロになります。2相の電流がわかれば残り1相は計算で求まるので、CTは2個で足ります。VTが2台(V結線)なのも同じ考え方です。
あわせて読みたい
30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?
タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。
ご回答ありがとうございます!
よければ、あと3つだけ教えてください(任意・答えなくてもOK)
ありがとうございました。いただいた声は記事の改善に使わせていただきます。
この記事に関連する無料ツール
- 分電盤 単線結線図 作成ツール(セコサポ・ブラウザで無料)

