内線規程の解釈と解説【008】|電路の絶縁
電線の被覆、ブレーカーのケース、機器の絶縁物。電気設備はどこも、電気を決まった道の外へ漏らさないように作られています。これが電路の絶縁です。ただし「絶縁電線を使ったからOK」ではありません。絶縁がどれだけ保たれているかを数値で確かめるのが、内線規程と電気設備技術基準の考え方です。この記事では、絶縁の原則と例外、低圧の絶縁抵抗の基準、測り方を、3つの質問に分けて動く図で確かめます。
先に言葉をそろえる
| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 電路 | 電気が流れる道。電線、ブレーカー、機器の中の回路など |
| 絶縁 | 電路を大地やほかの電路から隔てて、電気を漏らさないこと |
| 絶縁抵抗 | 絶縁物がどれだけ電気を通しにくいかの値。単位はMΩ(メガオーム) |
| 対地電圧 | 電線と大地の間の電圧。単相3線式の200V回路なら100V |
| メガー | 絶縁抵抗計の通称。電圧を加えて絶縁抵抗を測る |
| 漏れ電流 | 絶縁物を通って大地へ漏れる電流 |
質問① 絶縁って何? ― 原則すべて、例外は限られる
電技省令 第5条は、電路は大地から絶縁しなければならないと定めています。絶縁の役割は、電気を決まった道の中に閉じこめて、感電・漏電火災・機器の故障を防ぐことです。
例外は、電技解釈 第13条で次のように限られています。
| 絶縁しなくてよい部分 | 例 |
|---|---|
| 接地工事の接地点 | 変圧器の低圧側の中性点に施すB種接地工事の接地点など |
| 絶縁しないで使うことがやむを得ないもの | 接触電線、エックス線発生装置、試験用変圧器、電気さく用電源装置など |
| 大地から絶縁することが技術上難しいもの | 電気浴器、電気炉、電気ボイラー、電解槽など |
- 電路は大地から絶縁するのが原則(電技省令 第5条)
- 例外は接地点と、絶縁できないことがやむを得ないものだけ(電技解釈 第13条)
- 絶縁は感電・漏電火災・故障を防ぐための基本
質問② どれだけあればよい? ― 0.1・0.2・0.4MΩ
低圧の電路は、電技省令 第58条で、開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、電線相互間と電路と大地の間の絶縁抵抗が、次の値以上であることと決められています。
| 使用電圧の区分 | 絶縁抵抗 | 主な回路 |
|---|---|---|
| 300V以下・対地150V以下 | 0.1MΩ以上 | 単相100V、単相3線式の100V・200V |
| 300V以下・上記以外 | 0.2MΩ以上 | 三相3線式200V |
| 300V超 | 0.4MΩ以上 | 三相400V級 |
- 開閉器で区切った電路ごとに、電線相互間と対地間で満たす
- 0.1MΩ(対地150V以下)・0.2MΩ(300V以下のそれ以外)・0.4MΩ(300V超)
- 区分は線間電圧ではなく対地電圧で見る
質問③ どう確かめる? ― メガーで測る、だめなら1mA
絶縁抵抗は絶縁抵抗計(メガー)で測ります。手順の基本は次のとおりです。
- 停電して、測る回路のブレーカーを切る
- 電子機器など、測定の電圧で傷むおそれのある負荷は外す(またはつながないで測る)
- L端子を線路側、E端子を接地側につなぎ、電路と大地の間を測る(必要に応じて電線相互間も)
- 値を区分の基準と比べる。下回ったら、区切りを細かくして原因の箇所を探す
病院やサーバー室のように停電できず測れない場合は、電技解釈 第14条により、使用電圧を加えた状態の漏れ電流が1mA以下であればよいとされています。
- 停電して、分岐ごとにメガーで測る
- 電子機器は外してから。レンジは回路に合わせる
- 測れない場合は、漏れ電流1mA以下で確かめる
高圧の電路は絶縁耐力試験
高圧の電路は、MΩの基準ではなく絶縁耐力試験で確かめます(電技解釈 第15条)。最大使用電圧が7,000V以下の交流の電路は、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間加えて耐えることが条件です。公称6,600Vの電路なら最大使用電圧は6,900Vなので、試験電圧は10,350Vになります。ケーブルの場合は、その2倍の直流電圧(20,700V)で試験することもできます。
- 高圧は絶縁耐力試験(電技解釈 第15条)
- 6,600Vの電路は交流10,350Vを10分間
- ケーブルは直流20,700Vでも可
よくある質問
低圧の絶縁抵抗はどれくらい必要ですか?
電技省令 第58条により、開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、300V以下で対地電圧150V以下なら0.1MΩ以上、300V以下でそれ以外なら0.2MΩ以上、300Vを超えるなら0.4MΩ以上です。
単相3線式の200V回路は何MΩですか?
対地電圧が100Vなので、300V以下・対地電圧150V以下の区分で0.1MΩ以上です。三相3線式200Vは対地電圧が150Vを超えるので0.2MΩ以上です。
停電できなくて絶縁抵抗を測れないときは?
電技解釈 第14条により、使用電圧を加えた状態で漏れ電流が1mA以下であれば、絶縁性能があるものとされます。
絶縁しなくてよい部分はありますか?
電技解釈 第13条で、接地工事の接地点と、電気炉・電気ボイラー・電解槽・電気さく用電源装置など、絶縁しないことがやむを得ない部分に限られています。
高圧の電路はどう確かめますか?
絶縁耐力試験で確かめます。最大使用電圧7,000V以下の交流電路は、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間加えて耐えることが条件です。6,600Vの電路なら10,350Vです。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 絶縁電線を使えば確認は不要 | 絶縁抵抗を測って数値で確かめる |
| 単相200Vは0.2MΩ | 単相3線式の200Vは対地100Vで0.1MΩ |
| 建物全体で1回測ればよい | 開閉器で区切った電路ごと |
| 測れないなら確認できない | 漏れ電流1mA以下で確かめられる |
| 接地していれば絶縁は不要 | 例外は接地点ややむを得ない部分だけ |
| 高圧もMΩで判定 | 高圧は絶縁耐力試験(1.5倍・10分) |
📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】
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