技術図書館絶縁は数値で確かめる|有無では足りない原則は大地から絶縁し、例外は接地側端子など。基準は0.1・0.2・0.4MΩの3区分で、区分を先に確かめるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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電線の被覆、ブレーカーのケース、機器の絶縁物。電気設備はどこも、電気を決まった道の外へ漏らさないように作られています。これが電路の絶縁です。ただし「絶縁電線を使ったからOK」ではありません。絶縁がどれだけ保たれているかを数値で確かめるのが、内線規程と電気設備技術基準の考え方です。この記事では、絶縁の原則と例外、低圧の絶縁抵抗の基準、測り方を、3つの質問に分けて動く図で確かめます。

①絶縁は電路を大地から隔てて電気を漏らさないこと(例外は接地点など)、②低圧の絶縁抵抗は0.1・0.2・0.4MΩ以上、③開閉器で区切った電路ごとにメガーで測り、測れなければ漏れ電流1mA以下で確かめます。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。

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先に言葉をそろえる

言葉 ひとことで言うと
電路 電気が流れる道。電線、ブレーカー、機器の中の回路など
絶縁 電路を大地やほかの電路から隔てて、電気を漏らさないこと
絶縁抵抗 絶縁物がどれだけ電気を通しにくいかの値。単位はMΩ(メガオーム)
対地電圧 電線と大地の間の電圧。単相3線式の200V回路なら100V
メガー 絶縁抵抗計の通称。電圧を加えて絶縁抵抗を測る
漏れ電流 絶縁物を通って大地へ漏れる電流
電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)と、その解釈(電技解釈)の用語です。

質問① 絶縁って何? ― 原則すべて、例外は限られる

絶縁が保たれていれば、電気は電線の中だけを流れます。劣化すると大地へ漏れて、感電や漏電火災の原因になります。

電技省令 第5条は、電路は大地から絶縁しなければならないと定めています。絶縁の役割は、電気を決まった道の中に閉じこめて、感電・漏電火災・機器の故障を防ぐことです。

例外は、電技解釈 第13条で次のように限られています。

絶縁しなくてよい部分 例
接地工事の接地点 変圧器の低圧側の中性点に施すB種接地工事の接地点など
絶縁しないで使うことがやむを得ないもの 接触電線、エックス線発生装置、試験用変圧器、電気さく用電源装置など
大地から絶縁することが技術上難しいもの 電気浴器、電気炉、電気ボイラー、電解槽など
電技解釈 第13条(一部を抜粋)。
たとえるなら
絶縁は、川の水をあふれさせない「堤防」です。
堤防がしっかりしていれば、水(電気)は川(電線)の中だけを流れます。堤防がひび割れると、そこから水がしみ出して周りを水びたしにします。絶縁抵抗は、この堤防のしっかり具合を数字で表したものです。
ひっかけ注意
「高圧機器の接地側端子」「溶接機の二次側」は、例外の決まりの文言ではありません。
例外として条文にあるのは、接地工事の接地点と、電気炉・電解槽・電気さく用電源装置などのやむを得ないものです。「どこかで接地しているから、絶縁は気にしなくてよい」という意味ではありません。
ここまでのポイント
  • 電路は大地から絶縁するのが原則(電技省令 第5条)
  • 例外は接地点と、絶縁できないことがやむを得ないものだけ(電技解釈 第13条)
  • 絶縁は感電・漏電火災・故障を防ぐための基本


質問② どれだけあればよい? ― 0.1・0.2・0.4MΩ

300V以下で対地電圧150V以下は0.1MΩ以上、300V以下でそれ以外は0.2MΩ以上、300Vを超えると0.4MΩ以上です。

低圧の電路は、電技省令 第58条で、開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、電線相互間と電路と大地の間の絶縁抵抗が、次の値以上であることと決められています。

使用電圧の区分 絶縁抵抗 主な回路
300V以下・対地150V以下 0.1MΩ以上 単相100V、単相3線式の100V・200V
300V以下・上記以外 0.2MΩ以上 三相3線式200V
300V超 0.4MΩ以上 三相400V級
電技省令 第58条。電圧が高いほど、漏れたときの危険が大きいので、基準も高くなります。
ひっかけ注意
単相3線式の200V回路は0.2MΩではなく、0.1MΩの区分です。
区分を決めるのは対地電圧です。単相3線式(100V/200V)の200V回路は、線間が200Vでも、中性線が接地されているので対地電圧は100V。だから「300V以下・対地150V以下」で0.1MΩ以上です。三相3線式200Vは対地電圧が150Vを超えるので0.2MΩです。
ここまでのポイント
  • 開閉器で区切った電路ごとに、電線相互間と対地間で満たす
  • 0.1MΩ(対地150V以下)・0.2MΩ(300V以下のそれ以外)・0.4MΩ(300V超)
  • 区分は線間電圧ではなく対地電圧で見る

質問③ どう確かめる? ― メガーで測る、だめなら1mA

停電して負荷を外し、分電盤の分岐ごとに、絶縁抵抗計(メガー)のLを線路側、Eを接地端子につないで測ります。

絶縁抵抗は絶縁抵抗計(メガー)で測ります。手順の基本は次のとおりです。

  • 停電して、測る回路のブレーカーを切る
  • 電子機器など、測定の電圧で傷むおそれのある負荷は外す(またはつながないで測る)
  • L端子を線路側、E端子を接地側につなぎ、電路と大地の間を測る(必要に応じて電線相互間も)
  • 値を区分の基準と比べる。下回ったら、区切りを細かくして原因の箇所を探す

病院やサーバー室のように停電できず測れない場合は、電技解釈 第14条により、使用電圧を加えた状態の漏れ電流が1mA以下であればよいとされています。

たとえるなら
メガーは、堤防に水圧をかけて「しみ出しがないか」を見る検査です。
ふだんより少し強い圧力(試験の電圧)をかけて、どれだけ水(電流)がしみ出すかを見ます。しみ出しが少ないほど(抵抗が大きいほど)堤防は丈夫。停電できないときは、ふだんの流れのまま、しみ出している量(漏れ電流)を直接測ります。
ひっかけ注意
電子機器をつないだまま測ると、機器を壊したり、値を見誤ったりします。
メガーは測定のために数百Vの直流を加えます。インバーター機器、LED照明の電源、制御機器などは外してから測ります。測定のレンジ(電圧)も回路に合わせて選びます。
ここまでのポイント
  • 停電して、分岐ごとにメガーで測る
  • 電子機器は外してから。レンジは回路に合わせる
  • 測れない場合は、漏れ電流1mA以下で確かめる


高圧の電路は絶縁耐力試験

高圧の電路は、最大使用電圧の1.5倍の交流を10分間加えて耐えるかで確かめます。ケーブルは、その2倍の直流で試験することもできます。

高圧の電路は、MΩの基準ではなく絶縁耐力試験で確かめます(電技解釈 第15条)。最大使用電圧が7,000V以下の交流の電路は、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間加えて耐えることが条件です。公称6,600Vの電路なら最大使用電圧は6,900Vなので、試験電圧は10,350Vになります。ケーブルの場合は、その2倍の直流電圧(20,700V)で試験することもできます。

ここまでのポイント
  • 高圧は絶縁耐力試験(電技解釈 第15条)
  • 6,600Vの電路は交流10,350Vを10分間
  • ケーブルは直流20,700Vでも可
ひとことで言うと:「電路は大地から絶縁するのが原則。低圧は対地電圧で区分して0.1・0.2・0.4MΩ以上、測れなければ漏れ電流1mA以下」。

よくある質問

低圧の絶縁抵抗はどれくらい必要ですか?

電技省令 第58条により、開閉器や過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、300V以下で対地電圧150V以下なら0.1MΩ以上、300V以下でそれ以外なら0.2MΩ以上、300Vを超えるなら0.4MΩ以上です。

単相3線式の200V回路は何MΩですか?

対地電圧が100Vなので、300V以下・対地電圧150V以下の区分で0.1MΩ以上です。三相3線式200Vは対地電圧が150Vを超えるので0.2MΩ以上です。

停電できなくて絶縁抵抗を測れないときは?

電技解釈 第14条により、使用電圧を加えた状態で漏れ電流が1mA以下であれば、絶縁性能があるものとされます。

絶縁しなくてよい部分はありますか?

電技解釈 第13条で、接地工事の接地点と、電気炉・電気ボイラー・電解槽・電気さく用電源装置など、絶縁しないことがやむを得ない部分に限られています。

高圧の電路はどう確かめますか?

絶縁耐力試験で確かめます。最大使用電圧7,000V以下の交流電路は、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間加えて耐えることが条件です。6,600Vの電路なら10,350Vです。


まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
絶縁電線を使えば確認は不要 絶縁抵抗を測って数値で確かめる
単相200Vは0.2MΩ 単相3線式の200Vは対地100Vで0.1MΩ
建物全体で1回測ればよい 開閉器で区切った電路ごと
測れないなら確認できない 漏れ電流1mA以下で確かめられる
接地していれば絶縁は不要 例外は接地点ややむを得ない部分だけ
高圧もMΩで判定 高圧は絶縁耐力試験(1.5倍・10分)
「区分(対地電圧)→ 電路ごとに測る → 基準と比べる」の順で確かめます。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。