内線規程の解釈と解説【015】|漏電遮断器
洗濯機を触ったらピリッとした、雨の日に分電盤のブレーカーが落ちた。どちらも漏電のサインです。漏電遮断器は、電気の「行き」と「帰り」のわずかな差から漏電を見つけ、人が感電したり、漏れた電気で火災が起きたりする前に電路を切ります。この記事では、漏電遮断器のしくみ、電技解釈 第36条・第143条で付ける必要がある電路、目的に合った感度の選び方を、3つの質問と動く図で整理します。
先に言葉をそろえる
| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 漏電 | 絶縁が悪くなり、電気が本来の電線以外(外箱や大地)へ流れること |
| 地絡遮断装置 | 地絡(漏電)が起きたとき自動で電路を切る装置。漏電遮断器はその代表 |
| ZCT | 零相変流器。行きと帰りの電線をまとめて通し、その差(零相電流)を取り出す |
| 定格感度電流 | 漏電遮断器が動作する漏れ電流の大きさ(15mA・30mAなど) |
| 簡易接触防護措置 | 人が容易に触れないように、高さや囲いで守ること |
質問① どう漏電を見つける?
電気は、行きの電線で機器へ流れ、帰りの電線で戻ってきます。正常なら行きと帰りの電流は同じです。絶縁が悪くなって一部が外箱や大地へ漏れると、そのぶん帰りが減り、差が生まれます。漏電遮断器は、行きと帰りの電線をまとめて通したZCT(零相変流器)でこの差を取り出し、設定値(定格感度電流)を超えると電路を切ります。流れている電流が大きいか小さいかではなく、差を見ているのがポイントです。
- 行きと帰りの電流の差(零相電流)で漏電を見つける
- ZCTで差を取り出し、定格感度電流を超えたら切る
- 負荷電流の大きさではなく「差」を見ている
質問② どこに必要? ― 第36条第1項
電技解釈 第36条第1項では、金属製外箱を持つ使用電圧60V超の低圧機械器具に接続する電路に、地絡遮断装置(漏電遮断器など)を施設することを求めています。ただし、次のような場合は省略できます。
| 省略できる主な場合(第36条第1項) |
|---|
| 機械器具に簡易接触防護措置を施す |
| 発電所・変電所またはこれに準ずる場所、乾燥した場所に施設する |
| 対地電圧150V以下の機器を、水気のある場所以外に施設する |
| 電気用品安全法の2重絶縁構造の機器、ゴム・合成樹脂などで被覆した機器 |
| C種・D種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下 |
| 絶縁変圧器(機器側300V以下)を施設し、機器側の電路を非接地にする |
| 電気用品安全法の漏電遮断器を機器に内蔵し、電源引出部が損傷を受けないようにする |
- 60V超・金属製外箱の低圧機械器具の電路に必要
- 乾燥した場所・簡易接触防護・2重絶縁などは省略できる
- 対地電圧150V以下でも、水気のある場所では省略できない
ほかにも必要な電路 ― 300V超・住宅150V超
| 条文 | 地絡遮断装置が必要な電路 |
|---|---|
| 第36条第3項 | 高圧・特別高圧の電路と変圧器で結合される、使用電圧300V超の低圧電路(発電所・変電所の電路、電気炉などの専用電路を除く) |
| 第143条第1項 | 住宅の屋内電路で対地電圧が150Vを超えるもの(2kW以上の機器の専用回路など。絶縁変圧器で非接地にした場合を除く) |
- 高圧と変圧器で結合される300V超の低圧電路に必要
- 住宅の対地電圧150V超の屋内電路に必要
- 条文ごとの条件と除外をたしかめる
質問③ どれを選ぶ? ― 感度と動作時間
漏電遮断器は、定格感度電流と動作時間で種類が分かれます。人の感電を防ぐ目的なら、高感度高速形(30mA以下・0.1秒以下)が基本です。定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を水気のある場所以外に施設すると、D種接地工事を省略できる場合があります(電技解釈 第29条)。幹線など上位で漏電火災を防ぐ目的では、中感度形や時延形を使い、下位の高感度形と動作が重ならないようにします。
| 選ぶときの確認 | 内容 |
|---|---|
| 感度・動作時間 | 感電防止なら30mA・0.1秒以下。上位と下位で協調をとる |
| 定格電流・遮断容量 | 過電流保護付なら、配線用遮断器と同じく定格と遮断容量を確かめる |
| 極数・中性線欠相保護 | 単相3線式の主幹には中性線欠相保護付を使う |
| 適合規格 | JIS・電気用品安全法に適合したもの |
- 感電防止は高感度高速形(30mA・0.1秒以下)
- 15mA・0.1秒以下ならD種接地の省略条件にも使える
- 上位は中感度・時延形で、下位と動作を協調させる
よくある質問
漏電遮断器はどうやって漏電を見つけますか?
行きと帰りの電流の差(零相電流)をZCT(零相変流器)で取り出し、定格感度電流を超えたら電路を切ります。
漏電遮断器が必要な電路は?
電技解釈 第36条第1項では、金属製外箱を持つ使用電圧60V超の低圧機械器具に接続する電路です。乾燥した場所、対地電圧150V以下で水気のある場所以外、2重絶縁の機器などの場合は省略できます。
300Vを超える低圧電路には必ず必要ですか?
第36条第3項で必要とされるのは、高圧・特別高圧の電路と変圧器で結合される使用電圧300V超の低圧電路です(発電所・変電所の電路などを除く)。
住宅で漏電遮断器が必要になるのは?
第36条第1項の条件のほか、第143条で住宅の屋内電路の対地電圧が150Vを超える場合(2kW以上の機器の専用回路など)に地絡遮断装置が必要です。
感電防止にはどの漏電遮断器を選びますか?
高感度高速形(定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以下)が基本です。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 電流の大きさで漏電を見る | 行きと帰りの差で見る |
| 300V超の低圧電路はすべて必要 | 高圧と変圧器で結合される300V超の低圧電路 |
| 100Vなら不要 | 水気のある場所では必要 |
| 住宅の水回りだけ気にすればよい | 対地電圧150V超の住宅電路にも必要 |
| 感度はどれでも同じ | 感電防止は30mA・0.1秒以下 |
📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】
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