この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
EV充電設備(最大充電電流が交流10Aを超える普通充電回路)の施設要点を内線規程にもとづき解説。対地電圧150V以下、接地極付きコンセント+D種接地、屋外の防水対策や設置高さまで整理します。
技術図書館EV充電設備の施設|150V以下・接地極付き・防まつ形専用回路で対地電圧150V以下、接地極付きコンセントとD種接地はセット。抜止式が使えない理由と屋外の条件を全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:内線規程【112】電気自動車等を充電するための設備
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及にともない、住宅や事務所の敷地内に充電設備を設けるケースが増えています。ここでは内線規程にもとづき、最大充電電流が交流10Aを超える普通充電回路を安全に施設するための要点を整理します。

EV充電設備設置の3つのポイント(対地電圧・コンセント・屋外設置)を整理した図解

この記事の結論

EV充電設備は屋内・屋外とも対地電圧150V以下(1300-1準用)で設計し、接地極付きコンセント+D種接地工事を基本とします。屋外は防まつ形または防水箱を用い、充電部を露出させないことが原則です。

この記事でわかること
✔ 対地電圧と配線の基本
✔ コンセントの選定と接地
✔ 屋外設置時の注意点
ペン太ペン太
EV充電って家の普通の100Vコンセントから延長すればいいんですよね?
ハリタハリタ
それは危険です。対地電圧150V以下で設計し、認定品の充電用設備が必要なんです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • EVと充電設備をつなぐ電路の対地電圧は、原則いくつ以下か
  • EV充電に使えないコンセントの種類は何か
  • 屋外に設けるときは、どんなコンセントまたは箱に収めるか
この記事でわかること
機器選定から入りたい方は、コンセントの項をご覧ください。

対地電圧と配線の基本

トピック1:対地電圧と配線の基本
  • 屋内配線の対地電圧は1300-1にもとづき150V以下で設計する
  • 屋外・屋側配線も1300-1を準用し、屋内と同等の安全性を確保する
  • EVと充電設備をつなぐ電路は原則として対地電圧150V以下とする
  • 3598-2のただし書に適合し、二種キャブタイヤケーブルと同等以上の性能・耐久性をもつケーブルであれば例外が認められる
  • 充電中に金属の充電部がむき出しにならない構造とし、充電部を露出させない
ペン太ペン太
単相100Vの抜止式なら抜けにくくて良さそうなのに、ダメなんですか!
ハリタハリタ
抜止式は不可です。接地極付きコンセントとD種接地工事が必須です。
ここまでのポイント
  • 屋内配線の対地電圧は1300-1にもとづき150V以下で設計する
  • 屋外・屋側配線も1300-1を準用し、屋内と同等の安全性を確保する
  • EVと充電設備をつなぐ電路も原則として対地電圧150V以下とする
  • 3598-2のただし書に適合し、二種キャブタイヤケーブルと同等以上の性能・耐久性をもつケーブルなら例外が認められる
  • 充電中に金属の充電部がむき出しにならない構造とする

コンセントの選定と接地

トピック2:コンセントの選定と接地
  • EV充電用には必ず接地極付きコンセントを使用し、D種接地工事とセットで施工する
  • コンセントは3597-2表にもとづき選定し、JWDS 0033(2011)に合致したEV充電用認定品を使う
  • 単相100V用の抜止式コンセント(3202-2表 備考6)はEV充電に使用できない
  • 30Aを超えるコンセントは、車両側の仕様を必ず確認する
コンセントの条件内容
形式接地極付きコンセント(D種接地工事とセット)
選定のよりどころ3597-2表、JWDS 0033(2011)に合致したEV充電用認定品
使用できないもの単相100V用の抜止式コンセント(3202-2表 備考6)
30A超の場合車両側の仕様を必ず確認する
ここまでのポイント
  • EV充電用には必ず接地極付きコンセントを使用し、D種接地工事とセットで施工する
  • コンセントは3597-2表にもとづき選定し、JWDS 0033(2011)に合致したEV充電用認定品を使う
  • 単相100V用の抜止式コンセント(3202-2表 備考6)はEV充電に使用できない
  • 30Aを超えるコンセントは、車両側の仕様を必ず確認する

屋外設置時の注意点

トピック3:屋外設置時の注意点
  • 雨線外(屋外)に設ける場合は防まつ形のコンセント、または防まつ形の防水箱に収める
  • 防水箱はいたずら防止のため鍵付きが望ましく、ケーブルを挿したまま扉が閉まる構造とする
  • 金属製の防水箱にはD種接地工事を施す
  • コンセントの高さは床から約1m前後が目安。寒冷地では積雪の影響を受けない高さに調整する

たとえ話でイメージ

EV充電設備は、家庭に新しく引く「専用の蛇口」のようなものです。普通の蛇口(一般コンセント)より大きな水(電流)を流すので、しっかりした配管(接地極付き配線)と、屋外なら雨よけのカバー(防水箱)を用意しておく——そう考えると安全対策の理由が見えてきます。

見習いペン太
見習いペン太
うちにもEV充電器をつけたいんだけど、普通のコンセントじゃダメなの?
はりた
はりた
EV充電は電流が大きいから、接地極付きコンセントとD種接地工事がセットで必須なんだ。対地電圧も150V以下が基本だよ。
見習いペン太
見習いペン太
屋外につけるときは何に気をつければいい?
はりた
はりた
防まつ形か防水箱を使って、高さは床から約1mくらいが目安。寒冷地なら雪に埋もれない高さにしてあげるといいよ。
EV普通充電回路の構成と接地(対地電圧 150V以下)
配電系統
→
専用回路
150V以下
接地極付き
コンセント
+D種接地
→
EV/PHV
屋外:防まつ形コンセント/防水箱(鍵付き・金属製はD種接地)、設置高さ約1m  不可:単相100V抜止式コンセント
電気自動車等の充電設備の対地電圧・コンセント・屋外設置を示した図
EV充電設備の屋内配線は1300-1にもとづき対地電圧150V以下、屋外・屋側配線も1300-1を準用する。EVと充電設備をつなぐ電路も原則150V以下とし、充電中に金属の充電部がむき出しにならない構造とする。コンセントは必ず接地極付きのものを使い、D種接地工事とセットで施工。3597-2表にもとづき選定しJWDS 0033(2011)適合のEV充電用認定品を用い、単相100V用の抜止式コンセントは使用できない。屋外では防まつ形のコンセントまたは防まつ形の防水箱に収め、設置高さは床・地面から約1m前後が目安。
取り違えやすいところ正しくは
抜けにくい抜止式のほうがEV充電に向く単相100Vの抜止式はEV充電に使用できない
一般のコンセントでも接地さえ取れば使える接地極付きコンセントを使い、D種接地工事とセットで施工する
屋外は防水であればどんな箱でもよい防まつ形のコンセントまたは防まつ形の防水箱に収める
防水箱は扉が閉まらなくても構わないケーブルを挿したまま扉が閉まる構造とする
金属製の防水箱に接地は不要D種接地工事を施す
ここまでのポイント
  • 雨線外(屋外)に設ける場合は、防まつ形のコンセント、または防まつ形の防水箱に収める
  • 防水箱はいたずら防止のため鍵付きが望ましい
  • ケーブルを挿したまま扉が閉まる構造とする
  • 金属製の防水箱にはD種接地工事を施す
  • コンセントの高さは床から約1m前後が目安。寒冷地では積雪の影響を受けない高さに調整する

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. EV充電設備にはどんな接地工事が必要ですか?
A. 接地極付きコンセントを使用し、D種接地工事を施すのが基本です。金属製の防水箱を用いる場合も、その防水箱にD種接地工事が必要です。
Q. 屋内配線の対地電圧はいくつ以下にしますか?
A. 1300-1にもとづき150V以下で設計します。屋外・屋側配線も同条を準用し、屋内と同等の安全性を確保します。
Q. 普通の単相100V抜止式コンセントは使えますか?
A. 使用できません。単相100V用の抜止式コンセント(3202-2表 備考6)はEV充電には不可で、JWDS 0033(2011)に適合したEV充電用コンセントを使用します。
Q. 屋外コンセントの設置高さの目安は?
A. 床や地面から約1m前後が目安です。寒冷地では積雪の影響を受けない高さに調整します。

まとめ|150V以下・接地極付き・防まつ形

EV充電設備の要点は「対地電圧150V以下」「接地極付きコンセントとD種接地」「屋外は防まつ形」の3つです。一般のコンセントを流用できない理由も、この3点から説明できます。

確認する順番見るところ基準
Step1電路の対地電圧原則150V以下(1300-1)
Step2コンセントの形式接地極付き、EV充電用認定品(JWDS 0033)
Step3接地工事D種接地工事とセットで施工
Step4設置場所屋外なら防まつ形のコンセントまたは防水箱
Step5高さと車両仕様床から約1m前後、30A超は車両側の仕様を確認

住宅への後付けでは、既設のコンセントを活かしたくなる場面がありますが、EV充電では形式そのものが要件になります。積雪地では高さの調整も含めて、最初に位置を決めておくと施工がスムーズです。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
屋外に付けるときの次の確認は?
ハリタハリタ
防まつ形や防水箱の選定と、床から約1m前後の設置高さを押さえましょう。

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内線規程の実務では、規程集や技術資料を手元に置いておくと確認がぐっと早くなります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。